今回は、船釣りにおける両軸リール(ベイトリール)の選び方についてです。
はじめにいっておくと、主要メーカーから販売されている両軸リールは入門スペックでも軽くて性能が高いです。
なので、どんな釣りでもだいたいなんとかこなせます。
一方、ハイギアと左巻きハンドル(右利きの場合)は、購入する前にメリット・デメリットの理解が必要なので覚えておきましょう。
使い手の利き手・筋力・釣り物の種類(仕掛けやルアーの種類)によっては顕著な疲労につながります。
では、一体ハイギアや左ハンドルのリールを選ぶ際にどこに気を付けたほうがよいのでしょうか。
女性と子供はハイギアよりノーマルギア・ローギア(パワーギア)のリールがオススメ
まず、平均的に女性のほうが男性より握力や手首の力が弱いということはみなさんも納得だと思います。
それと子供。
体格差はありながらも小学生ぐらいまでは握力や手首が弱いです。
わたしは週末に釣りのレクチャーをしているんですが、これまで数百人の親子に船釣りを教えてきました。
毎回、ロッドとリールを正しく持つ、つまりきちんとパーミングすることから教えています。パーミングって、船釣りに慣れている人でも意外とできていないことが散見されます。
リールをしっかり手で包み込むことで重心が安定し、竿のぶれがなくなり、しゃくりなどのロッドアクションも安定するわけです。このあたり、男性で腕力が強いからカバーできちゃっている人もいます。
ですが、女性と子供は手が小さいということもあり、腕力でのカバーが困難なようです。
いつだったかTwitterで「リールはハイギアを選んでおけばOK」的なツイートが流れてきました。これは船釣りじゃなくてバス釣りの話題だったような気がするんですが、けっこう安易だなーと思ったんです。
バス釣りでも、どんな人が使うか、どのようなルアーを使うかによってハイギアのリールが適さない場合もあります。
船釣りでも、同じような思考は意外とあって、リールを買うときに、「ハイギアのリールを買えば巻き上げが速いからいいよ。深場でも楽だよ」というような考えがあります。
本当にそうなのでしょうか。わたしはそうは思いません。
ハイギアのリールは当然、1回転の巻抵抗が、ローギア(パワーギア)やノーマルギアのリールより強いわけです。自転車でギアをあげるとペダルが重くなるアレですね。
もちろん腕力が一定以上ある人であれば、ハイギアの巻抵抗にそれほど疲労を感じず巻いてこれるんです。
が、腕力がない女性や子供の場合は大体手首を痛めます。
アマダイなど、100m程度からひたすら巻き上げる釣り(電動リールであればよいんですが)、タチウオやエギタコのように、しゃくりやたたく動作が多い釣り物の場合は、特に手首に負担がかかりやすいです。
人はそれぞれ、骨や筋肉の可動域が異なります。なかには手首で繊細なロッドアクションをつけることが苦手な人もいます。こういう人の場合はそもそも手首にあまり力がかからないので、よいとは思います。
<ハイギアだと女性と子供はツライ釣り>
- アジビシ(LT含む):浅場でもビシの巻抵抗が強いため
- アマダイ:深場からの巻き上げ負荷が強い
- タチウオ:深場からの巻き上げ負荷が強い。ヒット後にスムーズに負けない
- タコ:張りつかれると剥がしにくい。大型がヒットした際の巻抵抗が強いため
ハイギアの巻き上げ疲労を軽減するにはパワーハンドル換装が効果的
ここまでで、女性と子供のように腕力がより低い人はハイギアは注意したいと伝えてきました。
でも、「ハイギアのリールしか持ってないしなー」という場合もあると思います。
そんなとき、巻き上げ疲労を緩和するのがパワーハンドル換装です。
ゲンプウXTはもともとパワーハンドル(所有者は左利き)
パワーハンドルはシングルハンドルで、長めの柄に大き目のハンドルノブがついたものを差します。
ダブルハンドルやシングルハンドルの小さなハンドルノブがついたものは基本的に指でハンドルをつかみ、手首を回すようにして巻き上げることを想定されて設計されています。
一方、パワーハンドルは手全体でハンドルノブをつかみ、手首ではなく腕全体でリールを巻くようになります。
つまり、ハイギアのリールを巻くと手首が痛くなってしまう女性や子供でも、パワーハンドルであれば手全体でハンドルをもって、腕をつかって回せるので、疲労が軽減されるわけです。
このパワーハンドルは各メーカーのリールに装着できる安価なものがAmazonでも多く販売されています。
腕力はなかなか向上しないものなので、ハイギアリールの巻の重さがツライひとは、一度チェックしてみるのも一つです。
▼ゴメクサスのパワーハンドルは各メーカーのリールに対応しています。3,000円程度なので、ノーマルギアやパワーギアのリールをもう1個買い替えるよりは安価。
「左ハンドル」のリールに注意。利き腕とハンドルの選び方
ハイギアと並んで注意したいのが、利き腕ではない側のハンドルを選ぶことです。
スピニングリールは構造上、左右のハンドルを入れ替えるのでなんとかなります。
一方、両軸リールは構造上、ハンドルの向きが固定です。
右利きの人が多いので、左ハンドルにフォーカスして考えていきましょう。
男性の場合、利き腕でなくてもある程度の腕力があるので、右利きでも左ハンドルが大体回せます。が、女性や子供の場合は、左ハンドルだとかなり手首や肘下部分にかかるのです。
釣り物でいえば、前述のハイギアだと女性や子供にツライ釣りはそっくりそのまま左ハンドルだとツライ釣りに当てはまります。
ハイギアでも負荷が大きくなるのに加えて、左ハンドルだとさらに負荷が大きくなるわけです。
左ハンドルのリールを選ぶメリットは、だいたい2つあります。
- 利き腕でロッドを持つことによって、ロッドアクションがやりやすいという点
- キャスト後にロッドの持ちかえなしにロッドアクションに移れる
ロッドの持ちかえ云々については、船釣りのように下手投げがルール化されている場所では、オーバースローほど力がいらないので、左手で投げてそのまま右手で巻いてしまう人も多いため、それほどメリットが感じられないかもしれません。
一方、カワハギ釣りのように浅場メインでオモリ負荷も少ない場合はどうでしょうか。
これは、巻抵抗も少ないので、左巻きリールのメリットを感じられるはずです。
まとめ
今回は、ハイギアや左ハンドルのリール(右利きの場合)を選ぶ場合は一定の腕力が必要で、女性や子供が使う場合は留意が必要という話をしてきました。
道具を選ぶ際に、人に聞くといろんなことをいうはずです。
「ハイギアは巻き取りが速い」
「左巻きリールのほうが操作しやすいよ」
などなど。
この記事では、リールについて言及したわけですが、竿選び・仕掛け選びについても一緒です。
「ダイワがいい」
「シマノがいい」
などなど。
釣り人にはそれぞれのノウハウがあるので、それぞれが良かれとおもって、あなたに道具を進めてくれます。
一方、その人のノウハウが自分に合うとは限らないのも事実です。
その人の体力レベルや骨格の稼働範囲、道具使用のクセが自分と同等だということもそうとは限らないわけです。
もしあなたが、釣りになれてきて、誰かに釣り具を進めるときは、相手の性別・年齢・筋力・身長などを考えて道具を考えてあげて、すすめてあげるとよいでしょう。
その際に、理由をロジカルに伝えてあげるとよいでしょう。
わたしはいつも考えを文章にまとめているので、だいたい、理由をさっと伝えられるんですが、一般的な人は釣りに関しての考えをテキストにして落とすことなどしません。
なので、だいたい曖昧なまま、「なんとなくいい」「○○をつかってきてよかった」というような理由が、人にお勧めする動機になりがちです。
以上、釣り具選びの参考にしていただければ幸いです。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
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