船釣りで人気の高級魚アマダイ。
数が釣れる魚ではないのですが、食味もよく、秋冬の人気ターゲットです。
関西エリアでは胴突き仕掛けで狙う場所もありますが、東京湾や相模湾では天秤に吹き流し仕掛けで狙います。
今回はアマダイ釣りの「天秤仕掛け」基本ノウハウ・勘所を解説し、おすすめの天秤を紹介します!
アマダイ釣りで天秤仕掛けを使用する理由
釣り物として狙われているアマダイは大きくわけて3種類(シロアマダイ・アカアマダイ・キアマダイ)です。
それぞれ水深50m~100m前後の砂泥地帯に穴を掘って生活しています。
漁業者が行うアマダイ漁は網ではなく、「延縄(はえなわ)」で行われます。
出典:京都府
いくつもの枝スがついたハリにイカ短冊・ホタルイカなどをつけて沈めておき、一定時間経過後に回収するという方法です。
関西方面の釣りでは、胴突き仕掛けで底をたたき、タナを的確にして狙う方法があります。
一方、関東では天秤仕掛けが主要です。
天秤仕掛けが使用される理由は、アマダイが底上に自然に漂って落下してくる餌に反応しやすいためです。
天秤と吹き流し仕掛けの使用により、タナさえとれれば、だれでも簡単にゆっくりと沈下する餌を演出することができるのです。
胴突きと異なりハリスも長いため、主要なエサとなるオキアミをより自然に動かすことができます。
アマダイ釣りの天秤はストレートタイプが人気(おすすめ紹介)
ストレートタイプの天秤
ずばりアマダイ釣りでオススメなのは、ストレートタイプの天秤です。
ストレート型天秤の特徴は以下の通りです。
<メリット>
- 餌を動かしやすい
- アマダイや他の魚のアタリを感じ取りやすい
- アワセをきかせやすい
<デメリット>
- アタリを弾きやすい(特に線材が太いもの)
それぞれ曲線部による「タメ」がないからうまれるメリット・デメリットです。
これらのメリットを生かし、デメリットを軽減するためには、ストレート型の形状記憶天秤(基部がステンレス)がベストです。
<アマダイにおすすめのストレート天秤>
▼<一番おすすめ>サニー商事のハイブリッド天秤・直は1.4mm(ステンレス線)0.7mm(形状記憶合金部)400mm(全長)がアマダイにおすすめです。ストレート系天秤は低活性時のアタリを弾きやすく、バレやすいというデメリットがあるのですが、ハイブリッド天秤は先端部の形状記憶合金部がアマダイの引きをうまくいなします。
▼<おすすめ>ダイワの快適天秤マルチ Φ1.6-300はアマダイ釣りで1番よく見る天秤です。オモリ固定用のスナップが頑丈でシュリンクパイプの色が黄色のため視認性高め。迷ったらΦ1.6-300を3本買っておけば安心です。マルチ Φ1.4-250は線材が細い分アタリを弾きにくくなります。ライトアマダイで2mぐらいまでの仕掛けならこちらがおすすめ
▼<おすすめ>ヤマシタの船テンビン Y型はアマダイなら1.6㎜ 30㎝が適しています。ダイワの快適天秤マルチと大差はないのですが、価格はやや高め。オモリ固定部のインターロック式スナップがやや弱いので小突きを多用するアマダイではかしめるとよいです。船テンビンY型 1.4㎜ 20㎝は、ライトアマダイで短めの仕掛けならおすすめ
アマダイ釣りにおける弓型天秤のメリットとは?(おすすめ紹介)
弓型天秤。湾曲部がクッションの役割も果たす
かつてアマダイ釣りでもよく使用されていた弓型天秤のメリットはどこにあるのでしょうか。
弓型天秤の特徴は以下の通りです。
<メリット>
- 湾曲部(タメ)の存在により、ヒットしたアマダイがバレにくい
- 低活性時にアマダイのついばむようなアタリをはじきにくい(特に8:2調子以上の先調子竿をつかう場合)
- やや根混じりのエリアで着底後仕掛け部が根がかりしづらい(湾曲部の高さによる)
- 湾曲部のしなりにより餌が自然に動く
<デメリット>
- 餌を動かしにくくなる(ストレートに比べて)
- アマダイや他の魚のアタリを感じ取りにくくなる(ストレートに比べて)
- アワセをきかせにくくなる(ストレートに比べて)
アマダイやオニカサゴで人気の快適天秤アーチ
<アマダイにおすすめの弓型天秤>
▼<1番おすすめ>サニー商事のハイブリッド天秤・弓は1.4mm(ステンレス線)0.7mm(形状記憶合金部)400mm(全長)がアマダイにおすすめです。一般的な弓型天秤よりしなやかなので、餌のオキアミがより自然に動き、食い込みも抜群。
▼<おすすめ>ダイワの快適天秤アーチは1.5mm-35mmがアマダイに適しています。オモリ固定用スナップが丈夫で、オモリ部から仕掛け部がやや上がる独特の形状により、オニカサゴ類が混じるような根周りでもハリス部の根がかかりが軽減できます。
▼<おすすめ>ヤマシタの船テンビンK型は型 1.6mm25cmがおすすめ。比較的線材が太いモデルが多いのですが、アマダイに太すぎるものは不要です。かつてはアマダイ釣りで良く使用されていた天秤です。デメリットは仕掛け接続部のインターロック式スナップが開きやすい点です。仕掛け側にスナップを使用している場合は、天秤側のスナップをかしめてしまいましょう。
アマダイ釣りにおける天秤の注意点(長さ・剛性)
ストレートタイプでスナップ類の剛性が高い天秤。線材はやや太目。まず破断しない安心さがある
天秤の長さは30㎝ほどでOK
天秤を使った吹き流し仕掛けは、アマダイの場合ハリス全長が2m前後です。そのためあまり長い天秤は必要ありません。
全長30㎝程度の線材が太すぎないものを選びましょう。
長いものをつかうことで手前マツリしづらくなりますが、タナボケの原因にならないように仕掛けを調整する必要があります。
細い線材をつかっている天秤ほど潮受けしづらくなります。
また細かいアタリも弾きにくく、乗せ(掛け)やすくなります。
アマダイを狙う水深は50~100m程度が中心です。
海域や潮回りによっては、天秤がかなり潮受けしてオマツリの原因になります。
天秤が潮に流れることにより、余計なPEラインが出るため、エサ取りによるアタリも感じにくくなります。
天秤の剛性は重要
40㎝を超えるアマダイは「デカアマ」と呼ばれ、ヒット後にかなり強い引き込みをします。
また近年浅場でよく狙われるようになったシロアマダイはさらに大型に成長し、強烈な引き込みが特長です。
さきほど線材が細いものが潮受けしないといいましたが、あまりにも細いものや長期間使い金属疲労しているものは避けましょう。
溶接部や負荷が集中するポイントでの破断リスクがでてきます。
これは盲点ですが、天秤の線材自体は頑丈でもスナップ類の剛性が低い市販品も見受けられます。
よくチェックして購入しましょう。
天秤に装着するオモリと号数
夜光系のオモリは一定の効果があるとされる
アマダイは自分の巣穴に対して縄張りを持ち、大型の個体ほどその傾向が強くなるといわれます。
また、底荒れや水温の急激な低下などを原因として活性が低い場合は巣穴に潜って出てこない場合もあります。
こうしたアマダイの生態をふまえ、海底を小突いてアマダイの注意を惹く小突きの釣り方が知られています。
このとき、無塗装の鉛オモリでも問題ありませんが、水深100m等でも光る夜光系のオモリを使用するのも人気です。
反面目立つオモリはフグやその他魚が寄る原因にもなり、釣況によって鉛無垢がよい場合もあります。
東京湾や相模湾における主な船宿指定のオモリ号数は、以下の通り。
- ノーマルタックルの場合80号~100号(PE3号以上)※だいたい80号
- ライトタックルの場合は40~60号(PE2号以内)※だいたい60号
相模湾(江ノ島~小田原方面)の場合はライトタックルで~60号が指定されることが多いです。
また、東京湾口(剣崎沖)や城ヶ島近辺など潮流が速いエリアを狙う船宿は、~80号が指定されることがほとんど。
それぞれ、潮流によっては60~80号と重さを変えることもあるので、複数サイズのオモリを持参しておきましょう。
<アマダイ釣りのオモリを選ぶポイント>
- アピール重視:夜光
- 沈下速度重視:スカリー(フジワラ)、ドラゴンシンカー(ダイワ)、タングステン素材
<アマダイにオススメなオモリ>
▼夜光カラーでアピール大。水深60m程度の浅場でもケイムラ塗装の効果を期待できる
▼スカリーのピンクグローカラーはアマダイファンに人気
▼ハヤブサの目玉集魚シンカー舵型もアピール度高く人気
▼シンプルな夜光カラーのスカリー
▼安価なベーシックタイプのスカリー
▼沈下速度を上げて、手返しを上げたい人向け。
▼一般的な六角オモリと長めのオモリ。沈下速度は細長い方が速いが、底上でのタナとりは六角オモリの方がやりやすい
集魚パーツ類(ケミホタル・水中ライト・夜光ビーズ)はアマダイに有効か?
「ケミホタルや水中ライト類はアマダイに有効なのか」という議論はよく行われています。
体感値から、集魚ライト類をつけている人の釣果が極端によい印象はありません。
小突きをいれてアマダイの注意を喚起する際には水中ライトのメリットが出てくるかもしれません。
一方、ライト類はつけると潮受けの原因になります。
特に水中ライトはサイズにもよりますがオマツリや仕掛けの吹きあがりの原因になることを覚えておきましょう。
使用するのであれば、できるだけ潮受けしないサイズを選ぶとよいでしょう。
ケミホタルであれば25がオススメです。
早潮時にキダイがよく釣れる場合、チモトにつける夜光ビーズや浮力体もとってしまうと釣果につながることがあります。それでも仕掛けが吹きあがる場合は、枝ス上かスナップ下あたりに2B程度のガン玉を打って調整しましょう。
天秤仕掛けのハリス号数と針のオススメ
ハリスは4号がオススメ
キダイなどに飲まれたハリチモトはすぐに痛む
市販の天秤仕掛けのハリスは、標準がフロロカーボン3号です。
細いハリスであるほど餌であるオキアミが自然に動くのでよい印象を受けがち。
一方、40㎝以上のアマダイがヒットすると、しばしばハリス切れが起きるという点は理解しておいた方がよいでしょう。
アマダイが針を丸呑みすることも多く、ハリスが切れたり、アマダイのヒット前に黄鯛などの歯で傷んでいるから破断するわけです。
アマダイのハリスで大型狙いならオススメはフロロカーボンの4号です。
4号であれば、キダイやヒメなどにハリごと丸呑みされてチモトが傷ついていても、大型のアマダイのキャッチ率が上がります。
3号ハリスを用いる場合、強度が高い信頼性の高いハリスを選ぶとよいでしょう。シーガーのハリスがおすすめです。
ナイロンハリスは、より自然に餌を漂わせられるのですが、根ずれや歯による摩耗に弱いので避けたほうが無難です。
ほかに4号ハリスは3号より張りがあるため手前マツリも減り、オマツリ時の復旧速度も上がります。
▼4号であれば安価なタイプで問題ないです
▼3号の場合、グランドマックス(ハリがあるので3本針にもおすすめ)もしくはグランドマックスFX(張りが強いので枝スなど)がおすすめです。
アマダイ狙いの釣り針(チヌ針と丸海津の違い)とオススメ紹介
オキアミがまっすぐつけやすく外れにくいハリを選ぶ
アマダイ釣りの主要餌は「オキアミ2Lか3L」サイズです。
エサがずれたりとれてしまうと、アマダイに見切られアタリが極端に出なくなってしまいます。
手返し良くオキアミをつけることができる形状で、一度針がけしたら外れにくいケン付きタイプを選びましょう。
また針の形はチヌ針系か丸海津系の2種類が人気です。
左:丸海津系 右:チヌ針系
それぞれの特徴は以下の通り。
<丸海津針>
まとめると「餌のオキアミがつけやすく、チモトのハリスが傷みにくいが、バレが多くなることもある針」
- 軸が長く餌がつけやすい
- 軸が長く餌(オキアミ)が安定しやすい
- 軸が長く針先がよりオキアミの頭部側にいきフッキングしやすい
- 軸が長く魚の歯による糸切れが軽減する(黄鯛対策に有効)
- 軸の長さと「ふところ」の浅さから針が外れやすい(かかりどころ、ラインがゆるむとてこの原理で外れやすい)
- 同じ太さではチヌ針系より折れたり曲がりやすい
- 同じ太さではチヌ針系より重い
<チヌ針>
まとめると「より軽量で丈夫な針」
- 針がかりすると外れにくい
- 同じ太さでは丸海津より丈夫(飲まれなければ)
- 餌がややつけづらい(丸海津のつけやすさと比べると)
- 針が飲まれてチモトが傷みやすくなる(軽く軸が短いので)
※チヌ針はオキアミをまっすぐつけられるようにヒネリがないものを選ぶのが基本
※それぞれケン付であるとオキアミがズレにくくなるが、針の強度は落ちる
▼さらに詳しく解説してます
【アマダイ釣りの針について】
アマダイ釣りの針を大きくわけると、丸海津とチヌ針(ひねりなし)が2強です。… pic.twitter.com/utWvNTuGR1
— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) January 26, 2024
<アマダイ釣りにおすすめのハリ>
現行のアマダイ専用針ではオーナーとダイワの製品がオススメです。
オーナーのみ夜光塗料付きの針があり、ダイワはケイムラ仕様のみ。
オーナーは丸海津のみですが、ダイワは丸海津に加えてチヌ針系があります。
個人的には軽量なダイワのアマダイライトKP3号が12本入りで安いので愛用しています。
他に曇天・深場・濁り潮ではオーナーのインブライト甘鯛を使うこともあります。
▼浅場や光量が多い日
▼深場や曇天・雨天の日
▼その他、アマダイ以外にもコマセ釣りなどに応用できる各社の「沖アミチヌ」もおすすめ。オーナーは金針、ササメ針はケイムラ銀、がまかつは銀
吹き流し仕掛けの2本針と3本針、メリットデメリット
3本針のアマダイ仕掛け
天秤をつかったアマダイの吹き流し仕掛けの場合、針数は2本か3本で狙う人がほとんどです。
メリットデメリットは以下の通り。
<2本針のメリット・デメリット>
- 餌付けが速い(手返しが速い)
- オマツリしにくい(復旧が速い)
- 誘って釣る場合、タナをよりイメージしやすい
- キダイやトラギスなどに餌をすべてとられやすい
<3本針のメリット・デメリット>
- 置き竿や底上ステイでも、餌が残っている時間が増える
- トラギスなどのアタリが出た場合も、放置しておくことで他の針へアマダイがかかる率が上がる
- 大型アマダイがヒットした場合、複数本のハリを飲み込んでいることがあり、ランディング率が向上する
- 親子サルカンの数が増えてオモリなしでも仕掛けが底上で安定しやすい
- 餌付けが遅い(手返しが遅い)
- オマツリしやすくなる(復旧が遅い)
基本的に頻繁に誘って釣るのが好きな人は2本針で手返し良く狙い、置き竿や待ちの釣りが好きな人は3本針の仕掛けを使用するとよいでしょう。
どうしても、手返しが遅れる手巻きタックルの場合も3本針にすることで、少しでも餌針が生きている時間が増えます。
また、仕掛けの再投入速度をあげるためには、予備仕掛けにオキアミをつけておき、サルカンだけ天秤とつけかえるテクニックがあります。
そんなときマグネットシートがあると便利です。
▼3本針の場合、幹糸を5号~6号にし、枝スにハリのあるラインを使うと絡みづらいのでオススメです。底潮が速い場所ではガン玉で安定させるか、4号ハリスを使用しましょう。枝スは極小親子サルカンで接続します。
▼市販仕掛けのおすすめ
ささめ針(SASAME) FSM82 実船 アマダイ ケイムラ&フロートビーズ
→比較的安価でフロートビーズがアマダイへのアピール大
ハヤブサ(Hayabusa) アマダイ シーガー仕様 2本鈎 2セット
→船宿購入仕掛けに多いアマダイ仕掛けの基本。シーガーハリスで3号ながら丈夫。丸海津とナイロン仕様の商品もあり(それぞれシーガーハリスではない)
ダイワ 快適アマダイKPSSケンチヌ
→標準的な仕掛けで針が軽量
がまかつ(Gamakatsu) アマダイ仕掛 速潮ロング2本鈎
→全長2.5mとやや長めの2本針仕掛け。仕掛けが吹き上がるときにはガン玉をうって使用するのがおすすめ
がまかつ(Gamakatsu) ライトアマダイ仕掛 攻めコヅキ FA110 8-3.
→全長1mの短ハリス仕様。海域や釣況によって差があり、小型しか釣れない場合もある諸刃の剣
ダイワ ジャンボアマダイ仕掛けSS
→市販仕掛けではあまりない太ハリス(枝ス4号or5号仕様。全長3mと長め。50UP狙いで置き竿主体ならこれ
まとめ
黄アマダイ
今回はアマダイ釣りでよく使われる天秤仕掛けのノウハウやおすすめの仕掛けを解説しました。
エサのオキアミがしっかりつけられ、タナや誘いも理解できれば、平均釣果は伸ばせるはずです。
さらに、釣果を上げたいという場合には天秤吹き流し仕掛けを構成する、それぞれの要素にこだわっていくとよいでしょう。
最初は市販仕掛けもよいですが、自分で自信をもって使える仕掛けを自作するのも一つです。
また、大型狙いは運ですが、いざヒットしたときに確実に釣りあげるための仕掛けやタックル構成が大切です。