東京湾では、コウイカは一般的に「スミイカ」と呼ばれています。
スミイカは釣りの対象として長い間人気があり、秋口から初春にかけて多くの釣り人が狙っています。
船から釣る方法は、以下の3つです。
- テンヤスミイカ
- エギスミイカ
- スッテスミイカ
これらの方法を本記事では「東京湾スミイカ 三釣法」と呼びます。
今回は、東京湾で愛されているスミイカの釣り方について、それぞれの特徴や魅力を詳しく説明します。
これからスミイカ釣りをはじめる人の参考になればと思います!
テンヤスミイカ
まずはじめにテンヤスミイカです。
現在は「テンヤスミイカ」「テンスミ」「スミテンヤ」などと呼ばれますが、大昔は単に「船スミイカ釣り」といえば、このテンヤスミイカでした。
テンヤスミイカは1対の大きな針が付いたテンヤ(タコ用より小型)に活きたシャコやサイマキを輪ゴムで縛って釣る方法です。
職漁の1本釣りに由来し、「東京湾スミイカ 三釣法」の中では一番昔からあった方法ですが、東京湾のシャコ資源が激減したときに存続が困難になりました。
結果、代替手段として、スッテやエギといった釣り方が浸透しました(エギテンヤという代替品もあった)。
そのため、テンヤスミイカを愛好するユーザー数が減り、メーカーも専用竿を出すことから撤退したという時代があります。
一方、釣り物としての強烈な個性から、1度やると熱狂的にハマる人も多く、じわじわとユーザーも増えていて、再び専用竿が販売されています。
また旧来のテンヤ単体の釣り方に加え、スッテを枝スにつける釣り方がかなり前から浸透し、初心者でも比較的釣果を上げやすくなっていることも人気が再熱している理由です。
釣り方概要
広範囲にキャスト(基本的には潮上に向けて)し、テンヤを底から約30~50㎝程度しゃくりあげ、それからゆっくりと沈めます。
再度着底したら道糸をゆるめ、スミイカが乗るのを見計らってしゃくってかけます。
実際には、「スミイカが乗っている」状態がわからないことが多く、シャクリ≒合わせという釣りです。
ヒット時の衝撃は極めて強く、1瞬の興奮(30分ぐらい持続するがその後欠乏する!)の繰り返しをもとめてテンヤスミイカフリークは船宿に通っています。
スミイカの活性や道具立てによって前アタリ(イカパンチや抱きながらのフォール気配)はわかりますが、基本的に前触れもなく衝撃的なアタリ(ノリ)が生じる釣りです。
▼【1番詳しい】東京湾のテンヤスミイカの釣り方解説記事
メリット
- ヒット時の衝撃力が「スミイカ三釣法」で最も強い(専用竿の調子・太針による衝撃力・PE号数から強いアワセができるため)
- キャストして広く探れる
- テンヤ単体やスッテ併用などの工夫ができる
- シーズン序盤から終盤まで通して釣りができる
デメリット
ポリシーによってスッテを付けない人もいる。衝撃度はテンヤ単体が大きく、軽くしゃくれて投げやすい
- シャコやサイマキの餌コストがかかる(特に10~12月ぐらいまでサバフグが多いときは+1,000~2,000円程度の餌代)
- シャコが苦手な人は餌付ができない、しづらい
- 代用竿が使用しづらい(長めのヤリイカ竿は対応可能。全体的に釣ることはできても、釣趣が落ちる。貸竿利用推奨)
- 竿が長いため取り扱いが難しい。身長や腕の長さによってはキャストしづらい(210㎝の短竿も販売されている)
- スッテやエギタックルと比較すれば道具が重い
- 慣れると疲労度は減るが、慣れないと力むため疲労度が極めて高い
釣果の差につながる点
- 釣り座(潮先、より広角に投げられる四隅)
- 釣況に応じたシャクリ変化の妙(フルしゃくり、ソフトしゃくり、スッテゆらし、ずる引き)
- 釣況に応じたスッテ装着の有無
- キャストの飛距離(特に浅場)
- 精神力と体力(瞬発力と持続力。瞬発力があると掛け漏れが減るが穂先の調子によってカバーできる)
- 適切な道具選び(浅場・深場・潮・活性・瞬発力の程度による竿の硬さと調子選び)
こんな人におすすめ
- スミイカ独特の衝撃力を最大限に感じたい人
- 遠くに投げたい人
- 独特な構えで釣りたい人
スッテをつけない主義の人もいるが、シャクリ慣れていないひとはつけたほうが釣りやすい
エギスミイカ
次はエギスミイカです。
10号、15号程度の中オモリに1.5m前後のフロロカーボンリーダー2.5~4号程度をつけ、2.5号前後のエギで狙います。
仕掛けとしては餌マゴチの構成と近く、長ハリスゆえ、釣りの難しさもタナ取りの妙にはじまりよく似ています。
釣り方概要
底取り後、底上1mに中オモリを置き、エギを底上すれすれ~30㎝以内を漂わせます。
置き竿&穂先監視でもよいですが、微妙なアタリがわかりづらくなるため手持ちでの待ちがおすすめです。
潮によって、30秒前後で竿によるシャクリをいれ、底上のエギを跳ね上げフォールさせます。
水深が一定ではなく、かけあがり等を狙うことが多いので、タナ取りも頻繁に行い、エギの位置をコントロールします。
スミイカのアタリは触腕によるイカパンチ、もしくはエギ全体への本抱きに分かれます。
基本的に1.5mのハリスがアタリと中オモリの存在を鈍らせるので、大きなアタリがでないことがほとんどです。
手元に伝わるわすかな振動や、道糸の動き、穂先の違和感を感じ取って即合わせしてかける釣りです。
波・道具立て・手感度によってはアタリを感じにくくなるため、タイム釣り(一定時間で空アワセ)が有効な場面もあります。
▼エギスミイカの釣り方解説記事
メリット
- アタリが感じ取りやすい(感じ取って釣る、空アワセの釣りもあるが)
- 道具が軽く、座って釣ることもでき、シャクリ負荷も低いので疲労度が少ない
- 代用竿が使用しやすい(柔らかめのカワハギ竿、湾フグ竿、マルイカ竿、ライトゲームロッドなど)
- 餌消耗リスクがない(が、高価なエギがサバフグに破壊されることも・・・)
デメリット
- 投げられないため、ポイント選択、流し方、釣り座によっては釣果が極端に落ちる
- 軽量オモリと長ハリスのため釣り船では浅場以外を攻められない(おおよそ12月付近でシーズン終了)
- エギ沼にハマると道具コストが極端に増える(メーカー・色・号数)
- 長ハリスの存在からヒット時の負荷が軽減されてしまう
- 早潮時など、初心者にはタナをしっかりとるのがむずかしくなる
<釣果の差がでる点>
- 釣り座(潮先)
- 釣況に応じたタナ取りとシャクリの妙
- 釣況に応じたエギ号数やカラー変更
- 適切な道具選び(軽量&柔らかくわずかなアタリも表現する穂先・細めのPEライン)
- エギのフォール姿勢を崩さない結び方
- 手感度、目感度の素養
こんな人におすすめ
- アタリを目や手で感じて釣りたい人
- 疲労を軽減したい人
- すでに代用竿になる道具がある人(カワハギ・湾フグ・マルイカなど・ライトゲームロッド)
スッテスミイカ(ダウンショットスッテ)
スッテスミイカはダウンショットリグにスッテをつけて狙う釣り方
最後にスッテスミイカです。ダウンショットスッテとも呼ばれます。
20~30号程度のオモリをつけた胴突き仕掛け(枝ス45㎝~50㎝程度)で狙います
「東京湾スミイカ 三釣法」のなかでも、最もお手軽にスミイカを釣ることができる釣り方です。
初心者で「まず釣果を出したい」ならスッテスミイカからはじめてみましょう。
きっとはじめてでも、釣果を上げることができます。
またやりこむと、道具立てや仕掛け等を工夫をしてさらに釣果を高める面白さもあります。
釣り方概要
広くキャスト(基本的に潮上)し、着底後、スッテを底上から30~50㎝程度しゃくりあげ、ゆっくりフォールさせます。
再度着底したら道糸をゆるめ、スミイカが乗るのを見計らってしゃくってかけます。
(実際には「スミイカが乗っている」状態がわからないことが多く、シャクリ≒合わせという釣り)
一般的に、着底後に道糸をゼロテンションにして竿を動かしてスッテを動かすとされています。
一方、枝ス45㎝程度で中オモリ(極端に大きい親子サルカン等)がない場合、実際には底上でほとんどスッテが動きません。
竿のアクションは「乗る間をつくっている動作」と考えた方がよいです。
テンヤほどではないのですが、ヒット時の衝撃は強めです。
この衝撃は道具立てや合わせ方により高めることもできます。
スミイカの活性や道具立てによって前アタリ(イカパンチや抱きながらのフォール気配)はわかりますが、基本的に前触れもなく衝撃的なアタリ(ノリ)が生じる釣りです。
▼【1番詳しい】スッテスミイカの釣り方解説記事
メリット
- ヒット時の衝撃力が「スミイカ三釣法」では2番目に強い(91カワハギ竿orテンヤスミイカ竿+PE1.5or2号でアワセ負荷は高められる)
- キャストして広く探れる
- スッテの種類、色、号数などの工夫ができる
- 枝スと下糸のバランスや中オモリなどで釣況に応じた工夫ができる
- 代用竿が使用しやすい(カワハギ竿、エギタコ竿、ライトゲームロッド、テンヤスミイカ竿など)
- シャコやサイマキなど生餌を触らなくてよい
- 海が悪い状況、潮が極端に速い釣況(&深場)などで40号オモリをつけることで安定してシャクリができる
- シーズン序盤から終盤まで通して釣りができる
デメリット
- スッテ沼にハマると道具コストが極端に増える(スッテのメーカー・色・号数)
- 長めの枝スと細軸カンナによりヒット時の衝撃が軽減されてしまう
- カンナが細いので軽い抱きに対して比較的勝手にヒットしやすい
- 仕掛け構成によっては手前マツリ(枝スがらみ)が増える
釣果の差がでる点
- 釣り座(潮先、より広角に投げられる四隅)
- 釣況に応じたシャクリ変化の妙(フルしゃくり、ソフトしゃくり、スッテゆらし、ずる引き)
- キャストの飛距離(特に浅場)
- 精神力と体力(瞬発力ではなく持続力。瞬発力があると掛け漏れが減るが穂先の調子によってカバーできる)
- 適切な道具選び(浅場・深場・潮・活性・瞬発力の程度による竿の硬さと調子選び)
こんな人におすすめ
- すでに代用竿になる道具がある人(カワハギ竿・エギタコ竿・太刀魚竿・ライトゲームロッド)
まとめ
フルキャストは穂先破損にもつながるのでほどほどに
今回は、東京湾のスミイカ釣りを釣り方ごとに特徴を解説しました。
これからスミイカ釣りをはじめる場合、以下の4通りがあります。
- 代用竿で挑戦したい&遠くに投げたい&とにかく釣果を出したい :スッテスミイカ
- ヒット時の衝撃を高めたい&とにかく釣果を出したい :テンヤスミイカ(スッテ併用)
- ヒット時の衝撃を高めたい&遠くに投げたい :テンヤスミイカ(テンヤ単体)
- 代用竿で挑戦したい&疲労を軽減したい&アタリをとって釣りたい :エギスミイカ(場合によってはスッテスミイカも行う)
どれも面白い釣りなので、ぜひチャレンジしてみてください。
▼具体的な釣り方はそれぞれの詳細ページでチェック!
ちなみに、筆者のおすすめは圧倒的にテンヤスミイカです!(スッテ併用もする)
テンヤスミイカはこんな釣りです。
シャクリは人それぞれ違ったり。 pic.twitter.com/jMinPeaW3N— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) November 29, 2020
関連アイテム
▼スミイカはスカリがあると墨を洗って持ちかえることができます
▼持ちかえりは胴体の突起を折ったうえでジップロック冷凍用Lサイズに密封するとクーラーが汚れません。
▼クーラーは釣況が極端によい場合以外は10~15L程度で十分です
▼マイたもを持参するのも一つ