この世で一番楽しいイカ釣りでございますか。
アオリイカ…ヤリイカ…いろいろございますなァ…
ただ ―― たった1つだけというのなら、やはり…
スミイカ釣りでございます。
こんにちは、jomoです。グラップラー刃牙で好きなキャラクターは、マイク・クインです。
11月に入ると本格化するのが、東京湾のスミイカ釣り。フッキングした瞬間の「ドシンッ!」という衝撃と、とろけるような食味にはまり、早春まで続くシーズン中は船宿に足しげく通っています。
それほど数が釣れるわけではなく、時に「修行」になりがちな一方、シンプルな道具立てなので初心者も気軽に楽しめると思います。
今回は「船スミイカ」にチャレンジしてみたい!という方に、ルアー(スッテとエギ)を使う釣り方を紹介します。
後半では実際のスミイカ釣行記もあるので参考にどうぞ。
スミ?モンゴウ?シリヤケ?イカもいろいろ
そもそもスミイカとは何やねん、という方もいらっしゃるかもしれません。
スミイカはコウイカ科コウイカの、東京湾での呼び名です。
コウイカ科にはシリヤケイカやモンゴウイカ(カミナリイカ)もおり、どちらもスミイカのゲストとして釣れてきます。
スミイカ狙いのスッテを抱いてきたシリヤケイカ。スミイカに比べて白っぽく、体表の斑点は小さい
スミイカは海底すれすれを狙う釣り
スミイカは基本的に、砂地の海底すれすれの位置に生息しています。
この「海底すれすれ」に仕掛けをキープすることが、スミイカ釣りのカギになってきます。
海底をトレースするとスミイカが釣れる
船スミイカの3釣法とは
スミイカは①スッテ②エギ③テンヤのいずれかで狙うことになります。③についてはORETSURI平田さんが苦しみながら記事にしていますので、省きます。
今回は私が楽しんでいるスッテとエギについてお話しします。
スッテ&ダウンショット釣法で狙うスミイカ釣りについて
イカ用の疑似餌である「スッテ」を、ダウンショット(胴付き)仕掛けにつけて狙う方法です。
ラインはPE1.5~2号+フロロリーダー5号1メートル。
その先に小型の親子サルカンを結びます。
親サルカンの下側のリングには、捨て糸のフロロ3号30cm前後+スナップサルカンを介してオモリ(船宿によりますが25号の場合がほとんど)を取りつけます。オモリは丸型・六角型がよく使われています。
子サルカンには、フロロ4号を40cm前後結び、その先にスッテを直結、または小型のエギスナップで取りつけてください。スナップサルカンは重量がありスッテが沈んでしまうので、よろしくないようです。
スッテ釣法の良いところは、オモリを海底につけていれば、自然とスッテが海底すれすれに来るところで、スミイカに最適なタナを簡単にとることができます。
鉄板のスッテはヨーヅリの「ウルトラスッテ布巻き」
お気に入りのスッテ一覧(上からレッドヘッド、夜光ブルー、夜光ピンク、夜光オレンジ)
個人的な印象では、ヨーヅリ「ウルトラスッテ布巻き」が安定して釣果が得られています。
カラーは夜光ボディのオレンジ、ピンク、ブルー、グリーンなど。サイズは年内がS、イカが大きくなる年明け以降はMを使うと良いと思います。
ミニマムな装備品で攻めるのならば、通常・濁り時用の夜光オレンジと、澄み潮用の夜光ブルーをおすすめしておきます。
スミイカ狙いのスッテ釣法はカワハギ竿でもOK
タックルに関しては、スミイカのテンヤ専用竿+小型の両軸リールorスピニングリールの組み合わせがベストです。
ただ、テンヤ竿はかなり特殊。そんなもん持ってない!という方は、カワハギ竿でも大丈夫です。
カワハギ釣りではないので、極限まで研ぎ澄まされた穂先の感度は必要ありません。私はお値ごろ価格のシマノ「カワハギBB MH」を使っています。このほか、8:2調子のライトゲームロッドや、硬めのキス竿も対応できます。
スッテの釣り方はタタイテ、シャクる
スッテでの釣り方です。
- 仕掛けをアンダーキャストで投入する。できなければ、船下に落とせばOK
- オモリが海底についたら、竿の角度を海面から上向き30度程度にし、糸ふけ巻き取る
- 穂先を10cmほど下げて糸ふけを出し、すぐに穂先を上げて糸ふけがない2の状態に戻す。カワハギ釣りの「タタキ」をやや大きめに行うイメージ。これにより、ハリスの先のスッテがわずかに動いてイカのノリを誘う。オモリは海底についたまま
- 5~10秒ほどタタいたら糸を巻き取りつつ竿の角度が同0度(海面と平行)よりやや下になるまで穂先を動かし軽くシャクる。同30~40度程度まで。あまり大きいシャクリはイカを散らすそう。シャクるときは、リールのハンドルを巻いていた手で竿のリールシートと第1ガイドの間を下から支えるとやりやすい
- 3秒程度をかけゆっくりとオモリを海底に下ろし、2以降を繰り返す。海底にオモリをストンと落とすとイカが散ってしまう
イカが乗っていれば、4のシャクリ時に「ドシンッ」と竿を止められます。
針にカエシがないため、常に糸が張っている状態でゆっくり等速で巻き上げましょう。あまり無理をすると身切れで逃げられてしまいます。
派手なオモリはイカを誘うといわれているので、カリスマシンカー六宝SP25号などが効くかも。
エギ釣法で狙うスミイカ釣りについて
中オモリを介した小型のエギで、スミイカを誘う釣り方です。
ラインはPE0.8~1号+フロロリーダー4号1m。スッテ釣法よりオモリが軽い上に感度が求められる釣りですので、細めが良さそうです。
リーダーの先にはエギ用の中オモリ10~15号(深場は20号)をつけ、その下にフロロ2.5~3号1.5mを結びハリスとします。
エギスナップ、または直結でエギを取り付ければ仕掛けは完成です。シンプルですねー!
スミイカ用のエギはどんなのがいいの?
ヨーヅリ「プレミアムアオリーQ 2.5号」腹の輝きが美しいバレンシアオレンジ
ヨーヅリ「プレミアムアオリーQ 2.5号」が人気だと思います。
色はマーブルサクラダイ、バレンシアオレンジ。年明け以降は3号もアリ。
以前にブラックやグリーンのエギで美味しい思いをしたこともあるので、潮色・光量・活性に応じていろいろと試してみると面白いですよ!
エギスミイカも専用竿以外でもOK
エギスミイカのタックルについてです。各社からエギスミイカの専用竿が出ているので、小型の両軸リールを合わせましょう。
私はマゴチ竿をつかっています。
ほかには、湾フグ竿やマルイカ竿、シロギス竿で釣果を上げている方を見たことがあります。穂先の感度と胴の強さが重要です。先調子のライトゲームロッドなどでも、対応できそうです。
エギ釣法で海底すれすれにいるスミイカを狙うには以下のSTEPです。
- 仕掛けを竿下に投入する。ハリスを潮になじませてから中オモリを落としていくと、絡みにくい
- オモリが着底したら、ラインを巻きつつ竿の穂先を海面まで近づける
- 竿が海面と平行になるまで穂先を持ち上げる。このステップは、海底からオモリを1m持ち上げるために行う。潮が速い時は1mより低い位置に、逆に遅い時は1mより高い位置にオモリを置く。オモリの下で潮に流されたエギが、スミイカのいる海底すれすれを漂うイメージ
- 竿先の位置をキープし、穂先を注視しつつアタリを待つ。アタリがない場合は、30~40秒に1度、小さくしゃくる
- アタリは竿先を絞り込むような分かりやすいものから、「クッ」と一瞬入るだけのものまでさまざま。怪しいと感じたらアワセを入れる
船の移動にともない水深が変わるようならば、シャクリごとにタナを取り直すとよいでしょう。ここら辺のアナウンスをしてくれる船だと、釣りがやりやすいですね。
フッキングできたイカを巻き上げる際の注意点は、スッテ釣法と同様です。
知らないと墨地獄!スミイカの取り込み方
手についた墨を落としきれないまま、ジャケットの袖を触ってしまった結果がこちら
スミイカは名前の通り、大量かつ濃い墨を噴射します。
取り込みに失敗すると、船上はイカ墨まみれ、朝一にこやかにあいさつを交わしてくれた隣のおじさんはブチ切れ、買ったばかりのゴアテックスも台無しになる…かもしれません笑。
でも、これを読めば大丈夫!
まずエギorスッテをつかめ!
手順は次の通りです(右巻きの場合)。
- イカが海面まで来たら、竿が海面と平行になるところまでラインのテンションを抜かずにリールを巻く
- 竿を大きく・ゆっくりと立てイカを手元に寄せる。
- エギorスッテの頭部を、右手の親指・人差し指・中指で掴む(イカがスッテの下側にくっついている状態)
- 竿を船べりに置く。フリーになった左手の親指と人差し指で、イカの目と胴の間のくびれを強く掴む。掴んでいる間は、イカは墨を吐けない
- 左手の掴みを保ったまま、右手でエギorスッテを外す。
- 水を入れていない空のバケツに、背中側(模様のある側)を上にしてそっと置く。墨の吐出口がある腹側は、バケツの底側に向ける。なお、水中にイカを入れると、延々と墨を吐き続ける「墨噴水」と化すので要注意
こんな感じでスッテやエギをつかみます
掴むべきは赤いライン
特に重要なポイントは3です。
エギorスッテに結んであるハリスを掴んでしまうと、イカがくるくると回転しながら全方位を射程にして「ローリング墨噴射」をし続けるという悲しい事態に陥ります。
また、焦ってしまい直接イカをつかんでしまっても「ブシャーッ」とやられます。
いいですか。
全ての工程をゆっくり・静かにやるのがコツですよ!
「うまく取り込める自身がない」、「かかりが浅そう」、「サイズが大きい」といった場合は、周囲の人や船長にタモですくってもらうのが確実です。タモに入れた後は③以降の手順で!
針を外されてそっとバケツに置かれたスミイカたち(中央はゲストのマルイカ)。落ち着いていますね
もし墨を吐かれてしまったら・・・
知ったような顔で書いている私も、墨を爆発させたことがあります。そうなったら、すぐに海水で墨を洗い流しましょう。
周囲の人や船体にかかってしまっていたら、そちらを最優先で!墨が乾くと、落とせなくなってしまうそうです。特に人にはお詫び必須です。
とはいっても結構な頻度で墨噴射が見られるので、スミイカ釣りの場合、お互いに汚れてもよいウェアで釣行するのもマナーなのかもしれません。
スミイカを釣り上げたあとの処理について
釣ったあとのスミイカは野絞めと生き絞めがある
こんな風に、スミイカ用の網に収納しますよ
空のバケツに入れたスミイカは、そのまま放置して野締めにするのが一般的です。
バケツには、スミイカ釣り用に販売されている、袋状の網をかぶせておきます。この網は袋の口をすぼめることができ、また長いロープが付いています。
沖上がり30分ほど前になったら、イカが入った網を船べりから海に垂らし、海水で墨を洗い流すという仕組みです。
海水循環ポンプが備わっている船の場合、沖上がり前に海水を出してくれてイカを洗えるので、この手順は不要だと思ってください。
気温が高めだったり陽ざしが強めな日に、沖上がりまで常温でイカを放置するはちょっと…という場合は、生き絞めしてからクーラーボックスにしまいましょう。
イカの目と目の間を胴体方向と脚方向にそれぞれハサミなどで刺すと、体表がさっと白くなります。これで生き絞めは完了です。
スミイカの甲に尖りがあるので折る
スミイカの甲を取り出したもの。粉末にしたものは漢方薬にされるとか。先端がとがってますね
絞まったイカはビニール袋に密封してから、氷の入ったクーラーボックスに収納するのがおすすめです。
身が水っぽくなったり白く濁らない上に、クーラーボックスの内部が墨で汚れるのを防いでくれます。
この際、イカの胴の先端にあるトゲをハサミで切り取ってからビニール袋に入れるといいと思います。
このトゲは胴の中にある幅広い甲の先端部分なのですが、意外に鋭くビニール袋を破ってしまいます。
取り込むときに、このトゲを船べりでごく軽く叩くことで折ることもできます。
なお、「船べりが傷む」ということでこの行為を禁止している船もあるので、確認が必要です。
100均で買えるスミイカ釣りグッズ(締め具と歯ブラシ)
カニのイラストが頼もしい締め具と歯ブラシ
写真は、私がスミイカ釣りに持参している絞め具と歯ブラシ。どちらも100均で買っています。
絞め具はカニスプーンです笑。大きさといい形状といい、ちょうどいい具合なので、オススメです。
歯ブラシはスッテやエギの針に付着した汚れ(海藻やイカ墨など)を取り除く際に使います。汚れたままだと、スミイカが警戒してノリが悪くなるそうです。
ここまでスミイカの釣り方や注意点を紹介してきました。次に実際の釣行の様子をお話しします!
良型スミイカをゲット@ミナミ釣船
11月上旬、東京・南六郷のミナミ釣船から、今シーズン2回目となるスミイカ釣りにいってきました。シーズン初期にしては良型のスミイカを、ゲットできましたよー。
当日のミナミは、午前中にスミイカを狙い、午後からは釣り場を変えてアジを狙うというリレー船。スミイカは短時間の釣りになるので、手持ち竿(スッテ)+置き竿(エギ)の二刀流で攻めます。
スッテは夜光オレンジでスタート!
中ノ瀬でスタート
六郷水門を出航した船は多摩川を下り、東京湾へ。
そこからさらに南下し、中ノ瀬でスタートです。
シーズン初期のスミイカは、湾中央部にある、中ノ瀬・木更津沖・海堡周辺といった水深20メートル前後のポイントを狙うことが多いようです。
季節が進むごとに南下し、年明けには久里浜沖・下浦沖といった同50メートル以上の深場をメインに狙うことになります。
スッテにスミイカヒット!
スッテをキャストし、着底するまでの間にエギのタナを取る。この繰り返しで攻めていきます。船内渋めかなー、と思っていると、右隣りの方がエギで良型を上げました。
うらやましい。
飽きず、丁寧にシャクリと着底を繰り返していると、ドシン!
来ました!
ゴムシートで包んだ鉄球をひっかけたような感覚!ラインを緩めないよう、ゆっくりと巻いてきます。
たまらん!
夜光オレンジのスッテをしっかりと抱いてきたのは、11月にしては大きいスミイカ。ほっと一安心です。
潮止まり対策はハリスの長さをつめる
船は木更津沖に移動。
当日は大潮で、スッテが浮き上がらないように45cmのハリスを使用していましたが、潮止まりの時間に入りスッテに泥がつくようになってきました。
これはあれですね、ハリスがだらんと垂れ下がり、スッテが海底についてしまっている状態。海底すれすれがキモなので、頻繁についてしまってはイカも捕食しにくいというもの。
すかさずスッテのハリスを10cm詰めて35cmに変更。エギのハリスも1.5mから1.3mにチェンジ。
潮が動きはじめるかなーというころ、スッテ竿に、ドシン!
先ほどよりはやや小ぶりのスミイカをゲットです。
3杯めのヒットか!?
その後中ノ瀬に戻り、シャクリを続けていると祥一船長から「この流しで最後にして、アジに切り替えていきます」とアナウンス。
だいたい最後の流しって釣れないんだよね。ここで一発大物をかけるなんて、そんな都合のいいことは起きない、分かってるって。
と、軽くシャクリゾンビ化しつつ惰性で船下まで探ってくると、三度目のドシン!
うおっ、でかいぞこれ!やべー、不意を突かれてシャクリを入れた竿が一瞬下がったか?と思った瞬間、ふっと軽くなりイカ様はお逃げになられました。
かんなの赤丸部分に注目。曲がってる…
回収したスッテを見ると、針が曲がっています。
曲がっていたせいでフッキングできなかったのか、それとも中途半端なシャクリで体表など硬い部分に針があたって曲がったのか。
いずれにしろこうなると貫通力が落ちるので、別のスッテを使うことをおすすめします。
いやー、しかし悔しい…デカイカは次回の楽しみにとっておこうと思います!
熟成前のスミイカは加熱料理がオススメ!
釣ってきたスミイカは甲と内臓を取り、「胴」、「ゲソ」、「エンペラ+皮」に分けます。
これらをキッチンペーパー→ラップの順で包み、冷蔵庫で寝かせ、概ね3~4日熟成させると、甘みが出て食べごろとなります。
冷凍も可能で、味が落ちる感じはしません。この場合は洗わずに丸ごとビニール袋で密封して冷凍庫に。流水で解凍すれば、生スミイカと同じように使えます。
今すぐ食べたい!というときには加熱調理がおすすめ。
素人ながらに飾り包丁をしてみると、それっぽくなりますね。
これは身をそぎ切りにしてバターで炒め、醤油で香りづけしたもの。
熟成期間が短いがゆえに足りないコクを、バターで補う戦法です。天ぷらやフライなども当日食べるのに向いているかと。
でも、まずは寝かせて刺身を食べてみてくださいね!
スミイカ釣りは楽しい&美味しい
スミイカはまさにシーズン入りしたばかり。
はじめてチャレンジする初心者の方も、浅場でなら気軽にチャレンジできるかと思います。
金属的な質感を感じられるほどのアワセの衝撃と、甘く濃厚な味わいを楽しんでみてください!
アングラー
jomo
お世話になった船宿
当日のタックル
ロッド:(スッテ)シマノ・カワハギBB MH (エギ)ダイワ・マゴチX
リール:(スッテ)ゲンプウ150 (エギ)ダイナスター150
ライン・リーダー:(スッテ)PE1.5号+フロロ5号 (エギ)PE1号+フロロ4号
ルアー:ウルトラスッテSサイズ、プレミアムアオリーQ2.5号
その他あると便利な道具:スミイカ用網、歯ブラシ
関連アイテム
▼スッテタックル。
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