毒魚が釣れるごとに、毒魚についてまとめた記事に追記するようにしている。
堤防で釣れる毒魚のなかでも一番身近で旨い魚はなんだろうかと考えてみたところ、満場一致で「ゴンズイ」がドラフト1位に浮上した。契約金はだせないが。
ゴンズイといえば堤防釣りで釣れるときは矢鱈に釣れる魚。
夜行性で基本的に群れているので、夜釣りで足元の落とし込み釣りなどをしていると、ひっきりなしに釣れてくることもある。
あらゆる常連釣り師からディスられ、あらゆる釣り初心者から「なんかキモイの釣れたんだけど」とキワ物扱いされる魚。
それがゴンズイではなかろうか。
一方、以前、ゴンズイチゲについて記事をUPしたところ、SNSでゴンズイLOVEな人が一定数いることがいて、うれしかった。
ということで、引き続きゴンズイの啓蒙のため釣り方をまとめることにした。
これをみて、「よし!俺もゴンズイ釣りに行こう!」と思う人がどれくらいいるかわからないが、そんなあなたへはエールをおくりたい。
それ以外の方においては、ディスる前に喰え。喰ってからディスれ。ということを伝えたい。
ゴンズイの毒
ゴンズイの毒は胸鰭の棘2本と背びれの棘にある。
ゴンズイ自体はナマズのようなイメージだが、この棘は大変鋭く、薄いスニーカーの底やサンダルなどを貫通する攻撃力をもっている。
この棘に刺されると、激痛が走る。
堤防で釣れる毒魚であるハオコゼ同様、この毒はたんぱく毒で熱によって分解される。もし刺されて痛みや腫れが酷いが場合は、まず患部の毒を口で吸ったあと、湯を沸かして火傷しない程度の湯に患部をつけよう。痛みが緩和される。
堤防釣りをしていると、ゴンズイの見た目や毒魚であるからといって無責任に堤防上に投げ捨ててあるのをみるが、死んだゴンズイでも毒や毒棘の効力は持続している。
自分が持ち帰えず、釣りたくないからといってその場に投棄するのは絶対にやめよう。子供や散歩中の犬が触ってしまう危険もある。
余談だが、ナマズ類に棘をもっている種類はほかにもある。淡水であればギギ、アメリカナマズといわれているチャネルキャットフィッシュも鋭い棘をもっている。身体に鱗がないという点にたいして、棘をもつことで他の魚類や鳥類から食べられることを防いでいるのだろう。
釣り上げたゴンズイの外し方
ゴンズイが釣れた場合、ハリスを切って海に逃がすことを推奨している釣り公園や釣り具店もあると思う。個人の自由なので否定はしない。
一方、食べる食べないに関わらず釣った魚の釣り鈎はできるかぎり外したいという方針の人もいるのではないかと思う。
この場合、まず針がかりしたゴンズイを空中でぶらぶらさせるのはやめよう。何かの拍子に毒棘が刺さってしまうかもしれない。
まず、釣りあげたゴンズイは堤防の上にあげよう。そして必ず、メゴチバサミやワニグリップのような魚を安全につかめるアイテムでしっかり固定したうえでプライヤーを利用して釣り鈎を外そう。
もしゴンズイが針を飲んでいるときは、多くの場合釣り鈎を外しても蘇生しないので、無理せずハリスをきって対処したほうがいい。
これも堤防釣りでよく見る光景だが、危険回避のつもりで足裏でゴンズイをとりおさえて針を外すのも危険だ。靴底の厚さにもよるが、毒魚の棘は総じて鋭利なので、擦り減ったサンダルなどでは容易に貫通し怪我をする。
また、ゴンズイをリリースするときに蹴っ飛ばして海に放る人もいるが、同じ理由で靴の甲部分を毒棘が貫通する可能性がある。靴が革やゴム長靴などで一見堅牢に見えてもゴンズイの棘は貫通するので注意したい。
ゴンズイのポイント
どこにでもいる。
砂でも泥でも岩場まじりでもゴンズイは生息しているし、汽水域で単体のゴンズイがさまよっているのも見かける。
が、一番のゴンズイポイントは比較的波が穏やかなところで、港の堤防内側だ。
ゴンズイにとって潮通しのよさはあまり関係ないらしく、どよーんとよどんだところにも彼らは群れているし、他の魚のアタリがないときに、アタリが連発することもある。
漁港内の内側は釣り人も少ないので絶好のゴンズイポイントと言える。
「何を釣ってるんですか?メバルですか?」
と、聞かれたら、
自信をもって
ゴンズイです。
と、いいきろう。
ゴンズイが釣りやすい時間は夜
ゴンズイは夜行性だ。もしゴンズイを本命として釣る場合(そんな人いるのか)、夜に漁港にいくといい。
夜釣りをする場合は、明るい時間帯に到着するようにし足場などを確認して釣りをするようにしよう。落水の危険もあるため、ライフジャケットなどの装備に配慮したい。
ゴンズイの釣り方比較
明るい時間帯は海底の溝などに群れて隠れていることも多い
いろんな釣りで勝手に釣れてくる魚ではあるので、釣り方もクソもあるかという話なのだが、効率的かつ安全に釣るためには以下の方法について私感を述べていく。
ブッコミ釣り ★★★
波止の釣りでもっともポピュラーな釣りであるブッコミ釣り。もちろん釣れるのだが、ゴンズイの数を釣る場合、投げて待って巻くタイムラグを考えると適さない。またゴンズイは、岸壁の障害物脇を平行に移動していることが多いので、あまり沖になげる必要もない。
サビキ釣り ★★
コマセをまいて、サビキで釣るゴンズイ釣り。釣り業界で数といえば、サビキ釣りである。が、ゴンズイが群れできたときには、全針にかかってくるという通称『ゴンズイ地獄』に見舞われることがある。この場合危険なのは、一尾の針を外したり棘を外そうとしているときに他の個体の棘にやられる可能性が増えるという点だ。筆者としては、ゴンズイを狙うときは1本針で、一尾ずつ丁寧に処理していくことをおすすめする。
ウキ釣り ★★
ウキ釣りでもゴンズイは釣れる。ゴンズイボールが水面下に展開しているときはよいかもしれない。が、仕掛けを組む工数が増えるのと、ウキ釣りの場合タナを合わせる手間があるのであまりおすすめしない。
足元の落とし込み釣り(スプリットショット・胴付き・ブラー・ジグヘッド類)★★★★★
これが一番釣りやすいし安全だと思う。ゴンズイは堤防脇にゴンズイボールと呼ばれる群れをつくっていることが多い。そのため、ちょい投げで投げるよりは、足元に落としつつ、底から1メートルきざみで探っていくとよい。またあたりが出ない場合、堤防をよこに移動しながら落とし込み釣りをすると釣果があがりやすい。難しいアクションは不要。
仕掛けについては安い順に、スプリットショットリグ>胴付き>虫ヘッド(ジグヘッド)>ブラーだ。
ゴンズイを釣るのに高い仕掛けなど不要なので、ナイロンライン2号あたりに袖針か小型のワームフックを直結して、かみつぶし錘(スプリットショット)を着けて落とし込む。
バス釣りをやる方にはおなじみだが、ウォーターグレムリンのスプリットショットは柔らかく再利用も可能なのでおすすめだ。
ゴンズイ釣りのエサ比較
ゴンズイは雑食だ。先日釣ったゴンズイは二枚貝を貝殻ごと食べていたので、その悪食さが見て取れる。ということでなんでも釣れるのだが、以下の通り一応比較しておく。
オキアミ ★★★
海の万能餌であるオキアミでもゴンズイは釣れる集魚力も高い。が、エサ持ちが悪いところはネックでもある。撒き餌にも使える。
アオイソメ ★★★★★
ゴンズイ釣りというジャンルがあるのかわからないが、とにかくもっとも多く用いられるエサである。イソメの頭部をつければ比較的餌持ちもよく集魚力も高い。
ジャリメ ★★
ジャリメでも釣れるが、アピール力と餌持ちはアオイソメより数段落ちる気がする。
サバやサンマの切り身 ★★★
魚の切り身もゴンズイの好物である。アミコマセがないときに、サンマをクラッシュしてまくことにより代用にすることもできる。ゴンズイを本命にしてあわよくばカサゴあたりも釣りたいというヨコシマな考えをもったときにはこの身エサを選んでおくとよい。
イカの塩辛 ★★★★
ゴンズイ釣りでも効果的な餌だ。この餌の魅力は塩辛液の拡散による集魚力と餌持ちの強さだ。釣り餌屋によらなくてもふらっと釣りに行ける手軽さもいい。ちなみにイカの塩辛はジップロックに小分けして冷凍しておくとよい。
魅惑のゴンズイ料理
ゴンズイは鮮度劣化が激しい。雑食ということもあり、一体何を食べたらこんな臭いにおいを発生できるのだろうかというような個体も現れる。道頓堀の底にたまったヘドロの臭いはこういうもんだろうなというようなニオイを胃袋から発する輩もいる。
できるかぎり、釣り場にて、内臓とエラをぬいて氷をきかせて持ち帰るようにしたい。
冬場であれば、カセットコンロを持ち込みゴンズイ鍋にしてみるのもいいだろう。
塩仕立て、醤油仕立て、みそ仕立て、いずれにしても味わい深い。
その他のゴンズイ料理は、味噌汁、蒲焼、韓国風チゲ(+うどん)、唐揚げなどがある。
ゴンズイだからって堤防に投げ捨てるのはやめましょうね
堤防釣りをしていて、ゴンズイがディスられてるのを眼のあたりにするごとに、おしいなあと思う。
とくに堤防の上にゴンズイをぽいぽい投げてミイラ化させる行為は本当にやめてほしいと思う。
秋から冬場にかけてのゴンズイは脂のりがよく味噌汁にしても脂が浮かぶ。みなさんも一度は味わってほしいものだ。
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