ボート釣りや堤防釣りでよく釣れるゲスト「イトヒキハゼ」。
「カミツキハゼ」「テカミ」の愛称で、マニアにはマゴチ釣りの特餌としても知られています。
今回は、「イトヒキハゼ」の生息場所・釣り方・餌としての使い方について解説します。
イトヒキハゼについて
イトヒキハゼは、別名「カミツキハゼ」「カミツキ」「テカミ」「パックンチョ」とも呼ばれるハゼの仲間です。
標準和名の由来は、背びれの一部が糸のように長いから。通称の由来は、釣りあげて針を外そうとすると指に噛みついてくため。または、口を大きく開いて威嚇するところからついています。ちなみに噛まれても痛くありません。
イトヒキハゼは、内湾の砂泥地帯にテッポウエビ類と共生しています。
テッポウエビは視力がそれほど良くないのですが、穴を掘るのが得意。一方、イトヒキハゼは穴の入り口で外敵が接近するのを目ざとく発見し、穴に逃げることでテッポウエビに知らせます。
▼イトヒキハゼとテッポウエビが共生している様子の動画
イトヒキハゼは釣って食べる対象というよりも、泳がせ釣りの餌としてマニアが狙っていることがほとんどです。
マゴチやヒラメがよく釣れるのですが、特にマゴチについてはメゴチやマハゼと匹敵するほどの特餌です。
<マゴチを釣りやすい餌の順位>
メゴチ≒イトヒキハゼ ≒マハゼ >シロギス
なぜイトヒキハゼに、マゴチがヒットしやすいかというと以下の点があります。
- 底上を這わせやすい
- ヒレのボリュームやカラーなどでアピール度が高い
- 動きが遅いので捕食しやすい
- 全体的に柔らかいので食い込みがよい
- 生命力が強いため針がけしても弱りにくい
さらにイトヒキハゼは、マハゼやメゴチと異なり、一年中浅場で釣ることができます。
そのため、ハゼやメゴチ餌が手に入りにくい状況やシーズンでの釣り餌としても重宝されます。
イトヒキハゼの釣り方
ウルトラライトタックルで砂泥底を広く探る
イトヒキハゼを釣るためのタックルはシロギス用のスピニングタックル(UL)とボート釣り用の天秤仕掛けが最適です。
ハリを小さくしすぎると飲まれてしまい、弱りやすくなってしまうため、流線のキス仕掛けをつかうのがベストです。餌は青イソメが最適です。
▼ハヤブサの「船宿特製 シロギス仕掛 流線金鈎 2本鈎2セット」はイトヒキハゼに最適な仕掛けです。
次に、砂泥エリアを探しましょう。オモリをつけてキャストし、着底する際にオモリが底に埋まる「ぬぽっ」とした感触があるところが砂泥底です。
航路などの駆け上がりにも数多く生息しています。船の往来に注意しながら遠投して釣ると効果的に釣れます。
誘いは放置するよりは、底を1mずつさびいて、食わせの間をつくるとよいでしょう。ずる引きをしつづけるよりは、オモリを一定距離はねあげ、餌が上からゆっくり落ちてくる状況をつくりだします。
オモリを引き続けると、イトヒキハゼが住む穴を直撃してしまい、穴に隠れてしまうことも増えます。
イトヒキハゼが一尾釣れた周辺には、テッポウエビの巣が複数あるため、さらに多くの釣果が望めます。
餌としてつかうときのコツ
次にイトヒキハゼを釣り餌として使うときのコツを紹介します。
元気よく活かしておこう
ダイワの友バッグ
釣りあげたイトヒキハゼをバケツにいれておくと、だんだん弱ってしまいます。
バケツに入れる際は、エアーポンプをきかせ、頻繁に海水も交換するようにしましょう。
ボート釣りでは、「ダイワの友バッグ」をオールのクラッチ部分につないでおくと便利です。水替えと酸素補給が不要で、釣りあげたイトヒキハゼをどんどんしまえるため、手返しもよくなります。
ハリはチヌ針6号~8号がおすすめ
イトヒキハゼ餌にマゴチやヒラメを狙う際はチヌ針6~8号か、セイゴ針16号がおすすめです。
あまり細い流線針等の場合は、マゴチやヒラメがヒットした際に曲がってしまったり、フッキングしにくくなります。イトヒキハゼの頭部と同等の大きさの針をつかうとよいでしょう。
がまかつ管付チヌ8号
SASAME管付丸セイゴ16号
ハリスとオモリ
イトヒキハゼでマゴチやヒラメを釣る際は、イカのセッティングがおすすめです。
- ボート釣り:バランスシンカー10号or15号
- 岸釣り:ミニジェット天秤8号(シーバスロッドでキャストできる負荷)
ハリスは超大物を狙うわけでもなければフロロカーボンの5号で十分です。
イトヒキハゼで釣れる魚
イトヒキハゼで釣れる魚は底物と呼ばれる魚がほとんどです。
まれに底付近を回遊してくる青物も釣れますが、青物をメインに釣る場合はイワシ・アジ・カマスなどがおすすめです。
- マゴチ
- ヒラメ
- スズキ
- イナダ&ワラサ
イトヒキハゼで一番釣れるのはマゴチ。普段から食べている餌なのでしょう
ヒラメの場合は、より低層の餌をとりがちな1キロ未満の個体がヒットしやすい
イトヒキハゼは食べられるのか?
イトヒキハゼには毒はないので、食べられます。
マハゼと比較して、身は水気がやや多めです。
身が少ないので、内臓と頭を落としてから揚げや天ぷらにするのがよいでしょう。
まとめ
手漕ぎボートのわらしべ釣りも面白い
今回は、知る人ぞ知るマゴチ釣りの特餌「イトヒキハゼ」の生態や釣り方、餌としての使い方を解説しました。
泳がせ釣りの餌を現地調達する際に、冬場から初夏まではメゴチやマハゼが手に入らず苦労するかと思います。
一方、イトヒキハゼであれば、ポイントを間違えなければ通年調達が可能です
ぜひ、現地調達して、わらしべ的に大物を狙ってみてください。