オキアミは好きですか?
あの独特のニオイ。まー臭いですよね。でも、いろんな魚が釣れる。
今回はエサ釣り派の釣り人と切ってはきれないオキアミについて解説します。
オキアミとは
釣り人が『オキアミ』と呼んでいるものは、正式には『ナンキョクオキアミ(南極沖醤蝦)』といいます。
姿形はエビに似ていますが、プランクトンの一種で、南極付近の表層に生息しています。
南極周辺の海には、約10数億トンの南極オキアミがいるとされ、クジラを最大の捕食者として、鳥類、魚類など数多くの生き物の生命を司っていることが知られています。
オキアミは数年の寿命があるとされ、最大6cm程度まで成長します。そのほとんどは氷がとける期間に多く捕食されるのですが、冬季氷が発達する時期に産卵(1回に~1万個)し、おびただしいまでの数が維持されています。
氷の下につく藻類を好んで食べるのですが、流氷には洞窟状になっている部分も多く、そういった隠れ処があるからこそすべてが捕食されないわけです。
今後、地球温暖化で氷がとけると、捕食者から隠れる場所が少なくなりオキアミの量も変動し、釣り餌が高くなるということなどどうでもよいぐらいの重要な影響がでてくるのかもしれませんね。
なお、オキアミは低水温の南極海で生命を維持できるための構造と体組織を有しているため、栄養価が高く、人類の健康食品としても研究が進められています。
市販のオキアミの種類
オキアミは南極海にしかいない生き物ですので、自分で採捕してエサにすることができる人はほぼいないはずです。そのため、市販品を買うわけですが、これらには釣り人として覚えておきたいいくつかの特徴があります。
- 冷凍品か不凍品か
- サイズ(S・M・L・2L・3L)
- アミノ酸や着色の有無
順に解説していきます。
冷凍品か不凍品か
南極海でオキアミは細かい網で採捕され、品質が劣化しないようにすぐさま冷凍処理されるわけですが、この冷凍処理された大きなブロックが輸入され細かいブロックに加工され市販されます。
このオキアミには大きくわけて2つの種類があります。
一つ目は、冷凍品です。
これはオキアミの大きなブロックを規定サイズにカットしたものです。いわば船上冷凍品ですね。特に保存料などで加工されていないものは解凍して人間が食用にすることもできます。
メリットとデメリット以下の通り。
・メリット:
単価が比較的安いので大量に利用することができる。撒き餌などにする場合もこちらが利用されることが多い
・デメリット:
解凍する必要がある。色が白身がかっていることが多く、解凍する際に水分が出やすく崩れやすい
次に、不凍品です。
これは解凍したオキアミから崩れがすくないものを選別し身が崩れにくく凍らないように加工したもので、多くがアミノ酸や着色料を添加した物です。
・メリット:
色合いもよく、崩れがなく良質なオキアミがそろっているためつけエサに向いている。解凍する際に水分が出にくい。とくに真鯛・アマダイ・メバルなど神経質な魚にはぴったり。
・デメリット:
高単価。
サイズ(S・M・L・2L・3L)
オキアミにもサイズがあり、大まかながらSから3L等のサイズにわけられて販売されています。
魚の口のサイズ、針のサイズに応じてオキアミのサイズを考えて購入する必要があります。
このサイズを間違えると、釣り針につけづらく、結果的に釣果が伸びません。
アミノ酸や着色の有無
不凍品のなかには、アミノ酸や赤色の着色をされているものも販売されています。
これらは集魚効果が高いとされ、やや単価があがります。
自分でできるオキアミの強化技
購入したオキアミは集魚効果や崩れを防止するため、加工することが知られています。
市販の集魚剤を釣り場でつかう
エビシャキをつかって締めたオキアミ。
専用アイテムを購入しおもに釣り場で加工します。
本みりんや塩・蜂蜜でつけこみ、食品着色料+味の素(グルタミン酸等)で自宅で加工
諸説ありますが、家庭用の調味料のうち本みりんは食材を引き締め固くする作用が知られています。
また塩や蜂蜜をつかってもオキアミの水分を抜くことができ、身もちをよくすることが可能です。
たとえば塩で締めると色合いもぬけてやや白っぽくなるのですが、これに対して気になる人は食用色素などで好みの色に染めるとよいでしょう。
基本は赤ですが、黄色、深場を意識して青など、好みの色で染めるのもよいでしょう。ただし、染めたオキアミを釣り場で触ると指などに色が付着して落ちにくいので注意です。
<例>赤色色素で染めたイソメ
オキアミの取り扱いで注意したいこと
解凍したオキアミはすぐに劣化する
アミコマセ同様オキアミも酵素で劣化する
オキアミは体内に酵素をもっており、解凍されるとこれらが活性化していきます。
温度によって酵素活性が変わるようで、夏場など太陽光線にじりじり焼かれると、あっというまにくすんだ色になり、やがて黒くなってしまいニオイも変化していきます。
要するに臭いのですが、この臭さが集魚につながるかは不明で、多くの人が鮮度の高いオキアミが釣れるといいます。
また酵素によりぐじゅぐじゅになってしまったオキアミは針付けが困難になるため、結果的に狙っているタナまで届きづらくなり釣果にも響いてきます。
エサは尾側から腹にむけてまっすぐにつけるのが基本
釣るのが難しい魚ほどオキアミのつけ方には注意が必要です。
なかには、胴部分にチョンがけしてしまう人もいますが、基本的に尾羽をとって腹側にまっすぐ刺すようにしましょう。
このとき、針の軸がオキアミの中心線から著しくずれていたり、尾部分が曲がっていると水中で回転してしまい餌がとれやすくなったりハリスが寄れたりします。
マグロやカツオなどを釣る際は、大型のものを抱き合わせにしてアピール力を高めてつける方法もしられています。
自分で購入する際は解凍しておいてもらうとベスト
翌日に釣りにいくことが確定している場合、あらかじめ釣り餌屋に連絡して解凍予約をすることもできます。
予約をすることにより翌朝すぐにオキアミを使うことができるわけです。
オキアミで釣れる魚はハゼからマグロまで
カツオやマグロもオキアミで釣れる魚
上もの・底ものほとんど対応
オキアミは釣り餌のなかでも万能で、上物から底ものまで多くの魚を狙うことができます。
※魚食性が高い魚の場合はオキアミでエサを釣って泳がせるなどの対応が必要です。
魚食性の高い魚が釣れるのはなぜか?
オキアミで釣りをしていると、一般的に魚食性が高い魚が釣れることがあります。
スズキ、マゴチ、ヒラメ、マトウダイ、などなど。
これらは、オキアミを魚と間違えて食べているほか、オキアミを食べた魚を食べて釣れてくるのがほとんどです。
実際に釣りあげたときには、オキアミを食べた小魚はとれたり、胃袋のなかに入ってしまってあがってくることが多いのでオキアミで釣れたと錯覚されるものも混じっていることが想定されます。
また魚食性の高い魚でも幼魚のうちはオキアミなどのプランクトン類を食べるのかもしれません。
実際にオキアミをつかっていたら釣れたことがある魚
<上もの>
アジ、イワシ、ウミタナゴ、真鯛、クロダイ、アイゴ、サヨリ、カワハギ、マサバ、ゴマサバ、セイゴ・フッコ、イシダイ、ベラ、ソーダガツオ、カゴカキダイ、メジナ
<底もの>
ハゼ類、メゴチ、キス、ムシガレイ、カサゴ、ムラソイ、メバル、ギンポ、アカエイ(1.3m)、ドチザメ(1m)、ホシザメ(1m)、イイダコ(これは天秤に反応したのかも)、マハタ(小型)、ゴンズイ、マトウダイ、マゴチ(小型)、ヒラメ(小型)
オキアミ利用のルール
よく釣れるオキアミですが、利用にはルールもあります。
オキアミの使用禁止エリアがある
アミコマセの利用は可能であるものの、オキアミの利用が禁止されているエリアもあります(撒き餌が全面禁止のエリアもある)これらは海域ごとの漁業者によって取り決められているものですが、遊漁者も守るにしましょう。
<理由>
以下のような理由があげられています。
- 海洋汚染防止(あまったオキアミが海底に堆積する)
- 養殖魚への影響防止もしくは特定海域で魚のブランド化をすすめている
オキアミ使用量のルールがある(コマセカゴのサイズを含む)
これも海洋汚染防止が理由ですがオキアミの使用量が決まっているエリアがあります。
釣り船の場合は規定量が取り決められているので間違えませんが、ボート釣りや岸釣りで出船する場合、大量の撒き餌を撒いてしまう人もいます。
海はすべて繋がっているので、自分が釣りをしているエリアのルールを必ずチェックしておきましょう。
例:神奈川県の場合
堤防での利用は掃除必須
オキアミは刺し餌・撒き餌どちらの利用でもゴミや汚れが出やすいものです。
パッケージは必ず持ち帰り、冷凍品を解凍する際に出る液体や残りエサなどは岸壁に放置せず清掃してから帰るようにしましょう。
※堤防でも共同漁業権内はオキアミ撒き餌の利用禁止されているところがあるので注意が必要です。
レンタカーに乗せるのは禁止なことがほとんど
多くのレンタカーではオキアミをはじめとした釣り具をのせることが禁止されていることがほとんどです。
特にオキアミやアミコマセは移動時に車内に乗せておいただけでもシートなどに独特のニオイがつきます。
利用規約によりますが、返却時に落ちない汚れやニオイはクリーニング費用を請求されることがあるので注意が必要です。
オキアミは使い方に注意すれば万能のエサ
今回はエサ派の釣り人の必需品オキアミについて解説しました。
使い方に注意すればよく釣れる餌ですので、特徴を覚えておき釣具・釣り餌点で購入して活用してみましょう。
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