船釣りのなかでも多くの釣り人を魅了するターゲットに「真鯛(マダイ)」がいます。
マダイを船から狙うためには、様々な釣法があります。
- ひとつテンヤマダイ
- タイラバ
- コマセマダイ
- ジギング(インチク含む)
など。
今回は、真鯛釣りのなかでも根強い人気がある「コマセマダイ釣り」の基本について解説します。
コマセマダイ釣りとは
のっこみシーズン中、有名なマダイポイントが賑わう
コマセマダイとは、名前の通りコマセを寄せ餌にして行う釣法です。
マダイ釣り自体は、ほぼ年中行われているのですが、人気なのは以下のシーズンです。
- 3月~5月の乗っ込みシーズン
- 9月~11月の秋シーズン
- 12月~1月の冬シーズン
プラビシ(カゴ)やステンカンと呼ばれるコマセ入れにオキアミを入れ、指定のタナに到着したら竿をしゃくることでオキアミを振り撒き、マダイを寄せて食わせるイメージです。
一見アジビシ釣りやイサキ釣りと同じようですが、この釣りの大きな特徴は、その長いハリスにあります。
アジビシなどのハリスは大抵2~3本針で1.8~2m程度のものがメジャーですが、コマセマダイで用いるのは1~2本針で、8m~10m、時期や場所によっては12m、15mといった長いハリスを用いるところもあります。
なぜ長いハリスを使うかというと、マダイがコマセカゴの存在を嫌うからという点とコマセが出ていて魚が集まっている場所を警戒して餌が流れてくる端で食餌すると言われているからです。
釣り竿も、他の多くの船釣りとはことなり、5:5や6:4といった胴調子でかなり柔らかめのものを用います。
次に、コマセマダイの道具について紹介していきます。
コマセマダイの釣り竿について
コマセマダイの竿はよく曲がり揺れを吸収する
コマセマダイに用いる竿は、竿の曲がり方が5:5や6:4の胴調子竿を用います。
胴調子の釣り竿はムーチングロッドとも呼ばれるのですが、バット部分(持ち手付近)の付け根から竿先までの竿の曲がり方の比率で、5:5ならちょうど真ん中で曲がり、6:4ならば少し竿先側で曲がります。
全長も2.5m~3.5m程度の長いものを用います。
なぜ、コマセマダイ釣りでこのような長くて柔らかい竿を用いるのでしょうか。
それは、マダイに警戒心を持たれないようにするためです。
マダイは警戒心が強く、特に春の乗っ込みシーズンではエサやコマセカゴが少しでもおかしな動きをするとすぐ警戒し、口を使わなくなります。
例えば、海が荒れていて、かなり竿が上下する状況を想像してみてください。
硬めの釣り竿ですと、竿が揺れを吸収しきれないため、揺れがダイレクトに仕掛けに影響してしまうわけです。結果、コマセカゴや、つけエサのオキアミが上下してしまいます。
コマセマダイ釣りでは、つけエサを自然に漂わせるのが理想です。そのため、波の上下を少しでもいなせるような柔らかく、長い竿を用いることが必要なのです。
5:5と6:4調子の違いや使い分けは、マニアな世界でもあります。例えば、一回のコマセの振り撒き量を少し多くしたいといった時や、よりダイレクトにマダイのアタリや引きを感じたいといった時に使い分ければよいでしょう。
コマセマダイ釣りを極めていくには、釣況によって竿を使い分けることも大切です。この釣りはもともと基本ロッドキーパーに掛けておく置き竿が主流でした。
一方、誘いを入れたり、さらに波から仕掛けを上下させないように手に持って釣る方法も普及しています。個人的には以下のように使い分けられるかと考えています。
・1日凪+基本置き竿の場合:2.5~3m程度の5:5調子の竿。アクションを入れる場合は6:4
・午後から多少波+基本置き竿の場合:3m程度の5:5。あまりに波が出たら手持ちで
・波がある+手持ち:3m~3.5m程度の5:5。
これは、どれだけ波をいなせるかという観点から分類しています。
コマセマダイ釣りにとって凪の日はチャンスです。一日凪の日は、2.5m~3mの竿を置き竿にしていても十分カバーできます。
午後から風が吹き、波立つようなときは3m程度の釣り竿が良いと思います。凪のときは置き竿でもカバーでき、多少上下するようになってから手持ちに変え、竿の長さと体で波をいなせます。
終日波が高い日は置き竿はやめましょう。竿の長さと体で可能な限り波をいなせるよう、長い竿をつかうのがオススメです。
ちなみに初めてコマセマダイにチャレンジする場合は3m程度、5:5の竿がおすすめです。手持ちスタイルでも、置き竿でもカバーできます。
コマセマダイ用の船竿でオススメなのは以下の通りです。
<入門者向け>
シマノ シーマイティ R64 50-300
ダイワ アナリスター 真鯛 300
ダイワ リーオマスター SX MH-300
<中・上級者向け>
シマノ ミヨシ 40‐330
ダイワ リーオマスター SX 真鯛 M-300
コマセマダイのリールについて
重いビシを素早く回収するため電動リールが主流
コマセマダイ釣りに使うリールは、マダイ特有の三段引きに対して、うまく対応できるようにドラグ性能が良いものが必要です。電動リール、もしくはカウンター付きのベイトリールを選びましょう。
PEラインは末端から10mがはじまる位置でつかう
道糸はPEライン3号。正確のタナとりのために、必ず10m毎に色が変わり、1m地点でラインマーカーがついたものを用います。必ず末端が新しく10m始まるところにしましょう。
カウンター付きリールでは水深が表示されますが、正確とは限らないので必ずラインマーカーで水深を合わせる必要があります。PEラインは、最低200m、余裕をもって300m巻いてあれば安心です。
おすすめなのは、仕掛けが重いので回収時に疲れない電動リールですが、初期コストがかかるので手っ取り早く手持ちのものでやりたいという方は手巻きリールでも大丈夫です。
コマセマダイ用の両軸リールでオススメなのは以下の通りです。
<電動リール>
シマノ プレイズ 800
シマノ フォースマスター800
ダイワ レオブリッツ 300J
ダイワ シーボーグ 300j
<手巻きリール(カウンター付き)>
シマノ バルケッタ SC 1000
ダイワ タナセンサー300
コマセマダイに用いる仕掛け
仕掛けが長いので、トラブルをさけるためスプールシートを使うのも効果的
コマセマダイに用いる仕掛けは、道糸側から順に天秤、プラカゴ(ビシ)、クッションゴム、ハリス、ハリです。
全体像がこちら。それでは仕掛けをれぞれ説明していきます。
テンビン
天秤は、腕が長いものを準備しましょう。これは仕掛け投入時に道糸とハリスが絡まないようにする意味があります。アームの長さが50~70㎝程のものがオススメです。
また写真の天秤は弓型(アーム型)と呼ばれ、よく使われるものですが、弓状の部分にタメがあるため細かいアタリが分かりにくいという欠点があります。
他に弓型とは違い、テンビンのワイヤーが形状記憶合金でかなり柔らかく、仕掛けと一直線になるようなテンビンもあります。そういったものは、細かいあたりまで察知しやすいですが、仕掛け投入に慣れが必要です。
<コマセマダイに適した天秤>
ヤマシタ 船テンビンK型
吉見製作所 夢の天秤 TL-700-1.2 シュリンプカラー
コマセカゴ(ビシ)
ビシや天秤は高切れによるロストにそなえて最低2セットは用意したい
ビシやプラカゴと呼ばれるコマセカゴについては、オモリと一体になっていて、色々なサイズがあります。
オモリを連結できるタイプもありますが、手前マツリの原因になったり、プラカゴ部分とオモリがぶつかり音が発生するためコマセマダイではオススメしません。
コマセマダイでは80号のLサイズやFLサイズといったものを用います。LサイズとFLサイズの違いは太さの違いだと思ってもらって大丈夫です。船宿によってはFL限定だったりしますので注意が必要です。
多くのプラビシは穴の調節でコマセの放出量を変えることが出来ます。
以下、サニービシで解説していきます。
一番上の穴がしゃくったときに海水が流入する穴です。この穴を大きく開ける程、ビシ内部に入る海水が多くなるのでコマセが強く押し出されます。
通常1/3くらい開いていれば問題ありません。
海水で押し出されたコマセは、下の隙間から放出されます。コマセ1粒の大きさに合わせて幅を変えましょう。オキアミであれば1cm程度あける必要があります。
開き幅は、上の金属部分を回して調節します。
真上から見て時計回しすると広がり、反時計回りで狭まります。
また「ステンカン」や「テッカメン」と呼ばれるものもあります。アイテムにより異なりますが、ステンカンの穴調節は「開ける」か「閉める」の二択なので、あれこれ考えなくてよいというメリットがあります。また沈下速度もプラビシより速いのが特徴です。
ステンカンを用いる場合、黒塗りされているものを使うことをおすすめします。無塗装のものを使うと、水深にもよりますが、光を反射してしまい警戒心を持たれる可能性があるからです。ちなみにシルバーのタイプは、反射により青物には効果的と言われています。マダイ用には黒いマット系のスプレーで塗装することをオススメします。
おすすめはサニービシのFLサイズです。関東のコマセマダイでは一番使われている印象です。
Lサイズよりも潮受けしにくく、仕掛けが流れにくいという特徴があります。また、コマセマダイでは大量にコマセを巻く必要がないので、FLサイズの容量が丁度よいのです。
<コマセマダイに適したコマセカゴ>
サニービシ80号FL
ブラック 真鯛専用80号 テッカメン
クッションゴム(ゴムよりとり)
LTアジ用など細すぎるものは避ける
クッションゴムは、マダイの突然の強い引きに対して細めのハリスを守るためにあります。太さは1.5~2㎜、長さが1m程度のものを用います。
色がついたものと無色のものがありますが、視認性の高さから色付きのものがおすすめです。無色でも全く問題ありませんので、好みの問題ですね。
クッションゴムは、餌と錯覚するのかフグにかじられることもあります。ハリスと一緒ですが、絶対に切れないものではないので傷に注意しましょう。
船宿によって、長さや太さが指定のところもありますので、いくつか種類を持っていると安心です。
<コマセマダイに適したクッションゴム>
ヤマシタ ゴムヨリトリ マダイSP2㎜ 1m
ハリスと針
コマセマダイにつかわれるハリスには、“ストレートハリス”と“テーパーハリス”と呼ばれるものがあります。
ストレートハリスは、一種類の素材と太さのラインにハリを付けるだけの簡単なものです。
海域や釣れる魚の大きさなど状況にもよりますが、フロロカーボン3~4号くらいのラインを使います。つけエサが非常に自然に流れるので良いのですが、エサが沈みにくかったり、潮が早いと横に流れすぎてしまうという欠点があります。
ウェイトスイベルをつかう仕掛けもメジャー
二段テーパーハリスは、一種類または二種類の素材のラインをサルカンやウェイトスイベルを介して一本に繋げた仕掛けです。
こちらも状況によりますが、ナイロン5~6号、サルカンまたはウェイトスイベル、3~4号のフロロカーボンを使います。
ストレートハリスよりも自然な動きはできませんが、潮が早くても下に落としやすく、またエサがマダイがいる底付近まで早く落ちるのでエサ取りに取られにくくなります。
さらに、ウェイト部分により、餌のオキアミがよく動くとされていて誘う釣りとの相性がよいです。
自作するとマダイを釣ったときの喜びがUP
ハリスは市販品もありますし、自作することもできます。市販品は非常に便利です。長さのバリエーションも豊富です。
一方、あまりに長い仕掛けだったり、自分の好みに合う仕掛けがないこともしばしばです。
また、長い目で見ると自作の方が安上がりですので、仕掛けの自作をおすすめします。テーパーハリス仕掛けは特に自分の好きなスイベルがつけられたり、ハリスの太さを変えたりできます。
ほかに釣り船が販売している船宿仕掛けも仕様をふくめチェックしておくとよいでしょう。
<コマセマダイに適したハリス>
サンライン 海平 1000m 5号(ナイロンの高コスパライン)
シーガー フロロマイスター 320m(フロロカーボンの高コスパライン)
シーガー 船ハリス 4号 100m
ハリ
コマセマダイ用のハリは、太軸をおすすめします。
大鯛がかかったときに細軸だとマダイの歯と力で針が折られてしまうことが多々あります。大きさは8~10号あればとりあえずは十分です。
また、フグ等のバイトによりハリ先が甘くなることがあるので、随時ハリ先をチェックして交換しましょう。
<コマセマダイに適したハリ>
真鯛王 金 8号
がまかつ(Gamakatsu) ケン付真鯛 フック 金 8号 釣り針
コマセと付けエサはオキアミ
コマセマダイに用いるエサは、オキアミです。
海域によるルールもありますが、基本的に撒き餌も付けエサもこのオキアミを用いることがほとんどです。
付けエサは選別されたものを別に購入してもよいですが、コマセの中から状態の良いオキアミを選りすぐって使っても問題ありません。
選別されたオキアミを購入しておくのも一つ
<状態の良いオキアミとは?>
- 黒目が2個ついている
- 全体がつぶれていない
- 変色していない
- 頭部(胴体)と尾がしっかりついている
- 触覚部分がしっかり残っている
つけエサにつかうオキアミは、尾羽を切って尾の方から針に刺します。刺したら、エビが丸まらず、まっすぐになるようにセットします。丸くなるとエサが回転してしまい、糸ヨレの原因となったり、タイを警戒させてしまう原因となります。
丸まってつけると餌が潮流で回転してしまう
エサは基本船宿で購入するか、乗船代にエサ料金も含まれていて釣りの前に配布されることが多いので前日に買っておく必要はありません。
長ハリスを我がモノに!コマセマダイの釣り方
コマセマダイ釣りでの最初の難関、それが仕掛けの投入です。
なにしろ10m以上もある仕掛けを投入するのは、本当に慣れが必要です。仕掛けを投入する段取りは以下の通りです。
仕掛け投入前の下準備
・ハリスを踏んでいないか確認(ハリスは足元、あるいはバケツの中に巻いておくとよい)
・ハリスが船上にある時点で絡んでないか確認
・ハリと付けエサは船べりに置く
・ビシにコマセを入れる(コマセの量はビシの半分以下が良いです。)
風が左から吹いてくる場合の釣り座(スパンカー使用時の右舷)
コマセマダイ釣り座の様子は図の通り。スパンカーと呼ばれる船尾の帆をつかった状態では船首が風上をむきます。このとき右舷に座っている場合をイメージしてください。
バケツは釣り座の右手に持ってきてその中にハリスを入れるのも絡み対策でよいでしょう。その際はバケツの中に海水も入れておきます。
最初は竿がまがったままで気になると思いますが、テンションをかけないと道糸がガイドに絡んでしまうので、多少曲がるくらいのテンションをかけましょう。
仕掛け投入からタナとりまで
- リールのクラッチを切る
- リールのスプールに親指を乗せ、空いた手でハリスをつかみビシを海にゆっくり落とす
- 少しずつハリスを海に入れ、つけエサの手前で一度ストップ。このまま流れで落とすと指に針が刺さったり、ハリが跳ねて付けエサだけ海に落ちてしまうので必ずクラッチを戻して止める
- ハリの位置を確認したらそっと手を放し、船長の指示タナ+5~7mまで下ろし、クラッチを戻す。(船長の指示がある場合は言う通りにしましょう)
- タナまで下ろしたら、そのまま5~8秒くらい待ちます。この間、ゆっくりハリスが海底に沈んでいるイメージ。ハリスが10m以上であれば気持ち長めの8秒、10m程度であれば5秒待てばだいぶ馴染むと思います。
- 2回に分けてしゃくってコマセを出し、指示ダナへ。コマセは2回で十分です。
- ドラグをゆるめに調整します。軽く力を入れてラインを引っ張ったときに、ラインが出ていく程度にします。ドラグを投入前に調整して、シャクリ時はスプールを親指で押さえるという方法でもOK
これで完了です。
最初はなかなかうまくいきませんが、やっていくうちに自分のやりやすい方法が見えてきますので色々試してみましょう。
タナの取り方は、ラインを見ます。
ラインが何色出ていて、何メモリ目の1mマークが水面にあるかを確認します。例えば「タナ47m、52mから上げていってください」と指示があった場合、まずラインの色が五色(50m)変わるところまで下げます。
ピッタリ五色出たら一旦スプールを指で押さえ、さらに、ゆっくり1mマーカーが2つ出るまで落とします。これで52mです。
ここで5~8秒ほど待ってから、大きくシャクリ、二回に分けコマセを振り撒きます。47mなので、ラインの色が変わったところから3つマーカーが見えたところでキープします。
仕掛け回収は、初めにビシをコマセが入っているザルやバケツに入れ、ラインを手繰って回収します。
こちらの動画のように船上に仕掛け全体を上げないで再投入する方法もあります。
一方、釣り客が多かったり、慣れていない状況でやるとハリスが流され、ほかの釣り人とオマツリしてしまいやすいので、確実に自分が手早く回収できるという方法をとることが大切です。
コマセマダイの誘い方
コマセマダイの誘いにはいくつか方法があります。
基本的には「誘い下げ」という、付けエサを指示ダナ±50㎝以内で上下させたり、指示ダナより1~2m上からゆっくり指示ダナに下ろしていく方法です。
① ラインを直接引っ張って誘い下げ
リールのラインが出ているところを掴み、ゆっくり引っ張って下ろします。10秒で50㎝を目安にするとよいと思います。
② 竿自体を動かす
竿を一度大きくゆっくり上げ、4秒くらい静止した後、ゆっくり下ろしていきます。速さは引っ張って下げる時と同じくらいで大丈夫です。
③ クラッチを細かく切る
一瞬だけクラッチを切ってタナを下げる方法もあります。気持ち激しめのアクションになるので使いどころに気を付けましょう。
コマセマダイにおいて誘いはメリットになったりデメリットになったりします。
<メリットになる場合>
真鯛の活性が高く、船内でも釣れはじめているのに自分だけ釣れないというときは、まずタナを確認します。合っていれば誘いを入れるとよいと思います。ただし、誘いすぎたり、大きく動かしたり、不自然な動かし方だったりするとすぐに見切られます。ゆっくり誘いを入れたら1分以上はじっとさせましょう。
<デメリットになる場合>
マダイの活性が低く、船内でも釣れていないときは下手に誘いを入れない方が良いと思います。
特に、春の乗っ込みシーズンのマダイは非常にデリケートで、無暗に誘いを入れない方が良いと思います。釣れなくて触りたくなる気持ちもわかりますが、活性が低い要因は満腹だったり水温に起因していたりします。
基本的にマダイはそういったときは口を使わないと考えておくとよいでしょう。シーバスやブラックバスのルアー釣りのようにリアクションバイトは望めません。
では活性が低いときは何もできないのかというとそうではありません。
もし潮の流れがゆるい状態で活性が低いのであれば、ストレートハリスにして極力自然な動きをさせてみたり、付けエサを小さくしてみるのがよいでしょう。
船長が許すのならば、さらにハリスを長くしてよりタイの口元につけエサを持っていけるようにしたりと、誘い以外でも何でもやりようがあります。
闇雲にあれこれやるよりも、自分の頭で考えた「もしかして」が意外と当たったりしますので、常に考えを巡らせてみましょう。
つけエサはコマセに同調させる、というのがコマセ釣り全般の通説です。
一方、マダイ釣りの場合、コマセが流れる潮下側の端に付けエサが漂う状態が良いと覚えておきましょう。
これは、マダイ以外の小魚を上に集め、下からエサを求めてくるマダイに付けエサを食わせるチャンスを作ることや、警戒心が強いマダイにできるだけビシに近づけさせないようにできるという点があります。
警戒心が強いマダイは、余程やる気が出ない限りビシには近づきません。なので、撒いたコマセ群の端につけエサが来るようにし、遠くから寄ってきたマダイが最初に見る餌が自分のオキアミである状況を想像して作ってみましょう。
コマセを振り撒くときのコツとして、最初1~2mは竿をあおらずラインを巻き、残りの3m程度をしゃくってコマセを振り撒くようにするとよいかと思います。
アタリとやり取り。取り込みは必ずタモを使いましょう!
コマセマダイのアタリにはいくつかの段階があります。釣り竿が曲がったからといって、必ずしも掛かってるわけではないので注意しましょう。
~前アタリ~
ビビっと来るような小気味良いアタリが出ます。手持ちの場合、焦ってここで早合わせしがちですが、落ち着いて見守りましょう。この時は、おそらくエサを半分咥えてる状態です。
~本アタリ~
ビビっとしたアタリの後、一気にグンと竿が引き込まれたら本アタリです。水面に竿先が引き込まれるこの瞬間はなかなか快感です。
~アワセ~
糸フケを取りながら竿先を水面まで下げ、大きくゆっくり竿をあおってアワセます。魚がついていればグッと重く感じます。
~タモ入れ~
ハリス切れを避けるために、取り込みはタモ網で行いましょう。一人ではきつい場合は必ず、船長や隣の方に手伝ってもらったりしましょう。このため、隣の釣り座の釣り客とは朝一で挨拶しておくのが基本です。
コマセマダイの釣りの道具について
コマセマダイの釣りで必要であったり、あったら便利な道具を紹介します。
竿受け(ロッドキーパー)
竿受けは必須です。持っていなければ船宿から借りることもできます。事前に船宿のHPや電話で確認しておきましょう。
<ピックアップアイテム>
プライヤ―と針外し
マダイの口は頑丈な歯がびっしり。噛まれると危険です。ハリが硬く刺さっている場合は素手で外すのが困難です。プライヤーを持っておくと怪我せずに針を外せます。
<ピックアップアイテム>
ガン玉とビーズ等の装飾品
エサ取りを回避するためにもっと早く仕掛けを落としたい、というニーズには、針近くにガン玉を打つのが効果的です。
フグ類の寄りも多くなりますが、アピールを高めたいときは蛍光ビーズがあるとよいでしょう。どちらもつけすぎには注意です。
<ピックアップアイテム>
東邦産業 フロートパイプ真鯛
コマセと餌の同調性を高める効果があるとされる。
尻手ロープ
竿を海に落とさないようにするための紐です。
突然のアタリが来たとき、冬場など手が濡れていたりすると、大切な釣り竿を海へ奉納なんてことが起きることも十分ありますので付けた方が良いと思います。
<ピックアップアイテム>
ダイワ 尻手ロープST 1800
ダイワ ベリピタシッテベルト(A)
クッション
コマセマダイの釣りは置き竿で待ち続けることも多い釣りです。クッションがあったほうが快適に楽しむことができます。
<ピックアップアイテム>
サニー商事 SANY フィッシング ジェルシート
コマセマダイで釣れるゲストたち
次に、コマセマダイの釣りで釣れるマダイ以外のターゲットを紹介します。
イナダ・ワラサ
イナダやワラサは釣れすぎると困りますが、どちらもおいしいゲスト。
横に走るのでオマツリには気を付けましょう。深場でヒットした際、巻き上げても元気なのは大体ワラサだったりします。
サバ
サバは、イナダやワラサより引きは弱いですが、横に走るので注意です。群れが濃いときは落とし込む間にこのサバがヒットしてしまうことも。
アジ
コマセマダイはオキアミを振り撒くのでアジも寄ってきます。
海域にもよりますが、オキアミと長ハリスで釣れるアジは比較的大型が多い印象です。
クロダイ
クロダイも釣れます。比較的浅場や湾内で多い印象です。マダイかと思ったら「黒かった」というのは浅場ではよくあるは無いです。
オキメバル(ウスメバル・トゴットメバル)
トゴットメバル。体の模様が丸みを帯びている
水深~100m程度の深場の根周りでは、オキメバル(ウスメバルorトゴットメバル)が釣れることもしばしばです。食味もよいのでうれしいゲスト。
イシダイ
コマセマダイの釣りで、マダイ並、いやそれ以上にうれしいゲストが石鯛。食味も最高です。
クチバシ状の歯が頑丈なので、ハリス切れには最後まで気を付けましょう。かかりどころが悪いとハリスを瞬断されることもしばしば。
コマセマダイ釣りで初心者が注意すべきこと
コマセ釣り全般に共通することでもあるのですが、コマセマダイの釣りは、船内の人全員が協力しないと釣果を上げられません。
ここでは初心者のうちに覚えておきたい注意すべきことを紹介します。
船長の指示は絶対
例えば船長が「タナ42m、47mから上げていってください」とアナウンスしたら、必ず守りましょう。自分の仕掛けが10mで、ほかの釣り人が12mだから2m分下げてもいいだろうなんて考えてはダメです。そうなったらもう仕掛けを作り直しましょう。
他の釣り客よりもタナを下げるということは、マダイが警戒するビシがタイに近づくということです。すると、せっかく船長が良いタナを教えてくれているのに、タイを散らしてしまうかもしれません。
指定のビシがあれば必ず従い、細かくタナが指示されれば従いましょう。
オマツリやタモ入れ等は船上の釣り人と助け合おう
コマセマダイの釣りはハリスの長さからオマツリが多発することがあります。
オマツリしたら、どちらが悪いということではなく、すぐに「すみませんでした」と謝って対処しましょう。また、隣の方が、タイをかけたら積極的にタモ入れなどのアシストをしましょう。こういった助け合いが、気持ちの良い釣行に繋がります。
以前の釣行でこんなことがありました。
隣の釣り人がマダイをかけたのですが、泳ぎ回って2人分の仕掛けを巻き込んでしまったのです。その際、ハリスなどが絡んだままタイが船上に上がったのですが、うまく声掛けできずに、見えるハリスを手当たり次第に切ってしまったのです。
こうなると誰の仕掛けにタイが掛かっていたのか分からなくなってしまいます。こういった場合は、おちついて声掛けしんがら、タイの口元にあるハリスを切りましょう。
切れたハリスを手繰れば誰の釣った魚か判明します。
大型のマダイの場合、魚の取り合いで殺伐になるのは悲しいことです。オマツリした場合は声掛けをしながらそれぞれ落ち着いて対処しましょう。
コマセは撒きすぎない
マダイも当然お腹が一杯になります。そうなると、餌をとらなくなるはずです。
実際、時合後に釣れたマダイの胃袋の中は写真の通りコマセでいっぱいでした。
つまり、潮以外の条件で時合を長続きさせる方法はコマセを撒きすぎないということがポイントであるわけです。決して、コマセを撒けば釣れる釣りというわけではありません。
靴と釣り座の整理が大切
釣り座の整理整頓はとても大切
コマセマダイでは、紐があるタイプの靴はおすすめしません。
ハリが船べりから落ちた際に見失って、靴紐に刺さるなんてことが起きます。
釣行の際は引っ掛かりの少ない長靴などで行くのが良いです。タオル類もハリがかかるとトラブルになるので位置に気をつけましょう。
釣り座も余計なものは持ち込まず、シンプルにしたほうがトラブルなく釣りができます。
まとめ
今回は、全国的に楽しまれているコマセマダイ釣りの基本を解説しました。
一通り網羅したものの、コマセマダイの釣りは奥深く、語りつくせないほどの魅力があります。
船釣りにも慣れてきて、もうすこし大物を釣りたくなったり、難しい釣りをしてみたいと思ったら、ぜひ挑戦してみてください!
コマセマダイは難しい、それが癖になる。