楽しい釣り船。
乗合船の船釣りは老若男女が釣り座以外は同じ条件で同じ魚を狙うわけですが、釣果に差がでてきます。
船中で一番釣った人を「竿頭(さおがしら)」、二番手を「次頭」、一番釣れなかった人は「スソ」と呼ばれる習慣があります。
「ほどほど釣れればいいや」と思っていても、やはり船中で一番手になるとうれしいもの。
今回は釣り船で「竿頭(さおがしら)」になる確率を高めるのコツを紹介します。
①船長から事前に情報を得る
当日も船長に話を聞くとみえてくることも
やはり海のことは毎日釣況の変化をみている船長が一番良く知っています。
人間関係ができあがったら、直近の釣況や対策について確認しておきましょう。
釣り場の状況、魚の活性、アタリが出にくい人の傾向や、よく釣っている人の仕掛けやルアーのカラーなどを教えてもらえるかもしれません。
②釣行前にイメトレをする
タックルを手にしながら目をつぶって実釣イメージ
釣行前に、同じ釣り物で出船している船宿ブログや同じ釣り物を経験した人のブログなどを読んでおくのも大切です。釣況の変化について理解しましょう。
その後、当日の潮・風向き・想定される釣り座・乗客の人数などを考えながら1日の攻め方をイメージします。
「○○の釣り座を確保できた場合、前半は潮先で好条件なので一気に釣果を確保して、潮どまりで手を休めつつ」
というような1日のおおまかなスケジュールを立てておくわけです。
もちろん、当日は思った通りにはならないことがほとんどです。
一方、プランをいくつか作っておけば、行き当たりばったりで釣行するよりはすぐさま打ち手を変えられ、平均釣果を上げることができるはずです。
③有利な釣り座を確保する
釣り座の壁を超えられたら「真の竿頭」かも
多くの釣り物で、釣り座によって有利不利というものがあります。
コマセ釣りであればコマセが流れていく方向から魚が釣れはじめますし、底物を狙う場合も、船が流れていく方向が常に新しいポイントになるわけです。
みなさんは、常連客がいつも同じ席に座って釣果を上げているのを見たことがありませんか?
「あの人、いつも凄い釣っているけど、常に右舷大ドモだな」
「あの人、竿頭常連だけど、右舷のお立ち台にいるよな」
などなど。
これは、テクニック以外にもその釣り座であれば・・・
- 2本竿を出せる
- サイドキャストをフルにできて遠投が可能
- 利き腕的に投げやすい
- 冬場は○○が潮先になりやすい
- 船長の操船から○○が潮先になりやすい
というようなプラス要因があるわけです。
当日の風や潮を読みながら、有利な釣り座を確保できるようにしましょう。
④釣物にあった道具を使用する
基本をふまえないで奇策をやるとだいたい低釣果
いざ釣り座につくと、釣り物に全くあっていないタックルや仕掛けを使用している人を見たりします。
が、そういった人はやはり高い釣果を上げるわけでもなく、平均以下であることがほとんどです。オマツリの主たる原因になるようなこともしばしば。
狙った釣り物に対して、最適なタックルと仕掛けを複数用意しておくのは、安定して釣りをするための最低条件です。
タックルも攻め方によって交換できるように複数用意しておくとよいでしょう。
硬めの竿がよい場合、やわらかめの竿がよい場合など、攻め方の引き出しが広がります。
⑤「実釣経験数」をこなし「引き出し数」を増やす
ひとまず同じ釣りをやり込む
やはり、実釣経験数は、平均釣果の向上にもつながります。
海や魚の活性は毎日変化していくものですが、そうした変化に即応できるように引き出しの数は多いほうがよいのです。
様々な季節や天候のときに釣行することで、場にあった釣り方というのが自然と身につきます。
⑥他の釣り客を観察しながら釣りをする
極端に釣れている人には必ず理由がある
平均釣果が低い人は、「人の言うことを聞かず、人の釣り方を見ない」傾向にあります。
一方、平均釣果が高い人は、自分の釣りに固執せず、常にまわりの釣況を観察して行動に取り入れています。
- なぜ左舷胴の間の人だけ釣れているのか
- どんな仕掛けやルアーを使っているのか
- アクション方法はどうなのか
などなど、極端に釣れている人がいたら、ぜひ参考にしてみましょう。
特に友人・知人と一緒の釣行ならば聞かない手はありません。
同じアクションが自分の釣り座で通用するとは限りませんが、結果に至るプロセスをできる限り同じようにしてみるのはとても大切なことです。
周りで釣れている人にあわせる。
これは誰もがやっていることですし、ベテランになっても決して恥ずかしいことではありません。
⑦手の抜きどころ、集中する場を理解する
移動中などの仮眠も重要
1日船は、7、8時間という長時間を船上で過ごすことになります。
起床してからの移動時間を含めると、だいたい10時間以上になっているわけです。帰宅までの時間をいれると12時間ほどになるはずです。
では人が7、8時間も釣りに集中できるかというと、そんなことはありません。
自分では集中しているつもりでも、いつの間にか思考が散漫になり、行動もやっつけになりがちです。
これはゴープロで動画を撮っているとわかるのですが、以下の点が変わってきます
- 餌のつけ方が雑になる
- 仕掛けや餌のチェックが雑になる
- シャクリなどのアクションが雑になる
- 自然と疲れて竿先が下がりがちになる
こうなると、釣れる魚も釣れなくなってしまうわけです。
▼ORETSURIちゃんねるの矢鱈に長い動画をみていただくと、最初と最後で構えやシャクリが変わっているのがわかります。
ではどうすればよいかというと、前述の通り、「釣行前のイメトレ」にあわせて、休憩をはさんでいきましょう。
- 潮どまり
- 全体的に釣れなくなっているとき
- 船が移動しないとき
- 船の移動中
こんなときは絶好の休憩タイムです。
もちろん活性が低くても釣る方法はあるわけですが、その後に釣果を伸ばせそうな時間帯があるのであれば、あえて休んでしまうのも一つです。
よく釣っている人をみると、休んでいる時間をまわりの観察や仲間との会話に費やしています。
仕事もそうですが、さぼるのはとても重要な時間なのです。
⑧しっかり寝る。しっかり食事をとる
寝ながら釣れるほど甘くない
「いやー昨日は気持ちが高まって、2時間しか眠れなかったよ」
そういうことは良くありますね。
朝のうちはやる気に満ち溢れていても、だいたい昼ご飯を食べたあたりに、睡魔がやってきて、気づいたら立ちながら寝ていたり。
で、そんなときにアタリがきて対応できないというのもよくあります。
睡眠不足や空腹では集中力は持続できません。
できれば仕掛けや道具の準備は前夜に行わず、早目に就寝しておきましょう。
食事も適度に取り、あまり腹にたまるものを避けるとよいでしょう。
⑨高速PDCAを回す
ぼんやりした顔で脳を高速回転
「引き出し」が多くても釣果があがらないことがあります。
刻一刻と変化する釣況に対し、適切と思われる「引き出し」を開けて中身を出すための仮説思考や、打ち手の速度が遅いと平均釣果はあがりません。
「○○だから△△をやれば釣れるんじゃないか?」
「同じような時に××を早引きしたら釣れたことがあったな」
「△△だとアタリがないから、潮の流れ的にオモリをかませよう」
というような思考を巡らせていくわけです。
あなたの隣でよく釣る釣り人も、一見ぼーっとしているかもしれませんが、脳内では超速で思考を巡らせて釣っているはず。
⑩「手が合わない」ときは遠慮せず船長に相談する
船長は自分の釣り座から見えないところも見ている。あなたも見ている
船釣りでは「手が合わない」「シャクリがあわない」という状況があります。
「前回爆釣したやり方でシャクっているのに、全く釣れない」
「あの人、すごく中途半端なシャクリだけど、なんで連発しているんだろ。釣り方違うのに」
などなど。
よくある話です。
- 魚の活性や群れの濃さ
- 潮色や潮速
- 釣り座によって変わる揺れ幅
などなど、様々な要因が重なって「手が合わない」「シャクリがあわない」が起きます。
こうなると、ベテランでも迷いが生じてしまって、釣果が伸びないということも。
そんな時は、一旦竿を置いて、全体をみている船長に相談してみるのも一つです。
「ハリスを30㎝詰めてみて」
「潮的に○○はつけないほうがいい」
「シャクリ幅が釣れている人より大きい」
「食わせの待ち時間をもっととったほうがいい」
などなど、自分では気づいていないことがわかるかもしれません。
また、自分では釣れない原因について薄々気づいていても、惰性でやってしまい行動を変えられないこともあるわけです。
そんなときには、「何をやってもダメな時は船長の言う通りにまずやってみる」というようなルールを作るのもの一つです。
⑪最後まであきらめない
ご覧ください。これが諦めない人の顔つきです(え?あー本命ボウズでした)
早朝から釣りをすると、昼過ぎぐらいから、「もしかして、もうダメぽ」というネガティブなゴールイメージができあがってしまうかもしれません。
この国ではこうしたシーンでよくスラムダンク安西先生の「あきらめたらそこで沖上がりですよ・・・?」というセリフが引き合いにだされますね。
やっぱり人間諦めてしまうと、いろいろと散漫になるわけです。
試合で言えば消化試合になってしまい、敗けてもよくなってしまうんです。
サッカーでいえば、30秒後に絶好のセンタリングがくるかもしれないのに、ぼーっとしているから、敵のディフェンスに出遅れる。そういうことです。
釣りというものは、いつ釣れるかがわからないのが面白いところ。
船長の「じゃあ、この流しで上がりますんでね」「はい、最後の一投やるかたはどうぞー」で、いきなり巨大マダイがワッショーイってな具合にヒットするかもしれないのです。
そんなときに、雑にオキアミをつけていたらどうでしょう。
真鯛はきっとあなたのオキアミをスルーするわけです。
最後の一投まで勝負する。これも竿頭への道への一歩です。
⑫「なぜ釣れたか、なぜ釣れなかったか」のログを残し、次回に活かす
エクセルにデータを落とすもよし、ブログを書くもよし。
ほとんどの人は釣りにいって以下の思考で終わります。
- 楽しかったー
- 釣れた、釣れなかったー
- 次はもっとがんばろー
- 道具ちゃんとそろえよー
が、成果にこだわる人は、釣りに行ったあとにきちんと思考を整理する習慣があります。
その一つが「実釣ログ」なわけですが、以下のような点を記録しておくと先々の実釣に活かすことができます。
- 潮汐情報(予想と実際の流れ)
- 水温
- 風速
- 釣り座
- 釣り場
- 乗客の人数
- 全体釣果と自分の釣果
- 釣り座ごとの大まかな釣果
- 釣れていた人に関する仮説
- 自分の釣果に対しての仮説。仮説検証したことに対しての結果
- 次回への課題と改善するためのSTEP(○○を買う、○○を練習するなど)
帰りの車中、入浴中、就寝前に振り返るのもよいですが、やはりログとしてアウトプットしておくと、あとあと振り返れますし、記憶にも残りやすいので便利です。
書く場がない人はORETSURIフィールドレポーターになるのも一つです。
SNS等で多くの人からの反応も見られるため、書き続けるモチベーションにつながるかもしれません。
まとめ
向こうアワセでない、能動的な釣りは特に差がでやすい
今回は船釣りで「竿頭(さおがしら)」になるためのコツを紹介しました。
釣りは自然が相手なので、しっかり準備をしていっても、勝負の結果はわかりません。
「釣りとは、いつも二手三手先を考えて行うものだ」ジオンのシャアもそんなようなことを言っていましたし、「先んずれば即ち人を制す云々」は史記にも書かれているわかりやすい話です。
先を考えないで釣りをしても楽しいのは楽しいのですが、先を考えて、成果を考えて行動することで、さらにエキサイティングな釣りを楽しむことができるはずです。
とはいえ、船釣りは「釣り座」が大きな要素を締めているのも事実です。
ORETSURI(俺釣)としては、あんまり釣果を追い求めすぎて疲弊するよりは、その日の釣座で最善を尽くす。目標は自分で決めて楽しむ。というスタンスを提案したいと思います。
また、乗合船はいろんな人が限られた時間を楽しく過ごすために集まっているところでもあります。
釣りたいがために、他の釣り客を蹴落とすような行為はくれぐれも慎みましょう。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)