【考察】堤防の立ち入り禁止エリアに不法侵入する釣り人について

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不法侵入をする釣り人ですか
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常日頃、釣り関連のニュースをウォッチしていると、毎日のように全国で発生する釣り人の死亡事故が目に入ります。

先日こんなニュースをみました。

苫小牧東港の防波堤 無断立ち入り相次ぐ

苫小牧港・東港国際コンテナターミナル向かいの内防波堤で、立ち入り禁止のフェンスを乗り越えて釣りをする人が後を絶たない。2009年12月に起きた釣り人の海難事故を受けて苫小牧港管理組合は安全対策として設置したが、フェンスの有刺鉄線が切断されたり、鉄パイプが抜き取られる被害も出ている。管理組合は苫小牧署や苫小牧海上保安署と連携して巡回や取り締まりを強化。発見した場合は法的措置も検討するなど厳しい態度で臨むとしている。

どうやら、2009年12月に北海道苫小牧港の防波堤周辺で起きた海難事故(プレジャーボート)をきっかけに立ち入り禁止フェンスを設置したところ、様々な手段で釣り人が侵入してしまって取り締まりを強化している。という話です。

もともとは堤防上での事故ではないものの、波の影響等で危険と判断して閉鎖したことが想定されます。

この話をもとに今回は考えてみましょう。

目次

堤防の立ち入り禁止エリアがなぜ設置されるか

堤防の立ち入り禁止エリアがなぜ設置されているのでしょうか?

大きくわけて3つ考えられます

  • 波浪や滑りやすい足場等の状況要素により、釣り人が落水する可能性がある場所
  • 改正SOLAS条約によってそもそも港湾自体が立ち入り禁止
  • 漁港を管理している漁協が釣り人のマナー悪化により禁止措置をとっている

全国の立ち入り禁止エリアについて(例:鹿島港南防波堤)

次に全国のケースを考えてみましょう。

全国の堤防には当然改正SOLAS条約(※)や危険度合いによって、立ち入り禁止エリアが設定されているのですが、鹿島港の南防波堤は特に有名です。

※SOLAS(ソーラス)条約 (海上における人命の安全のための国際条約):もともとタイタニック号の海難事故を契機として締結された。アメリカ同時多発テロをふまえて改正され、テロ対策のため港湾関連施設の保安対策強化が義務づけられたもの。日本でも数多くの港湾施設が24時間監視のもと立入禁止となった。

この鹿島港南防波堤は、沖合に4キロほどせりだしていて、魚のつき具合は抜群のようで、クロダイや伊勢海老がとれるようです。

一方足場が低く、普段は穏やかな波も、海が荒れるとかなりの高波に飲み込まれるようで、これまでに判明しているだけで68名の方が死亡している危険な場所でもあります。

そのため、堤防入り口は施錠されているものの、柵をこえる人やフェンスを切断する人があらわれたり、器用にも合いかぎが出回ったりしているようです。

この堤防については、海の安全を守っている海上保安庁もかなり危険視していて、第三管区の海上保安部のサイトにも注意事項が掲載されています。

[1]鹿島港南防波堤、[2]鹿島港中央防波堤
恐るべし!関東地方最大の「落とし穴」!
死者・行方不明者が続出しています。
ここでの釣りは、命がいくらあっても足りません。
「立入禁止」の大看板にも目もくれず、ネットフェンスを切り裂き、鋼鉄のフェンスを乗り越え、さらには防波堤移動用にスクーターまで運び込むマナーの悪い釣り愛好者が後を絶ちません。
これらの防波堤で釣りをしている人を見かけたら、118番に通報して下さい。

出典:第三管区海上保安部

▶なぜ釣り人は立ち入り禁止エリアに入ってしまうか?を次のページでチェック

なぜ釣り人は立ち入り禁止エリアに入ってしまうか?

3つの理由が浮かんできました。

  • とにかく魚を釣りたいから
  • 自分だけは大丈夫だと思っているから
  • 海は誰のものでもないと思っているから

魚が良く釣れるのだったら、そこで釣りをすることは誰にも邪魔されたくない、とにかく釣りたい、自分は大丈夫。

何人たりとも俺の釣りキチぶりを止められないということなのでしょうか。

そういった方々の気持ちを代弁している釣り人のブログがありましたのでここで引用しておきます。

たまにしか釣りにいけない人は釣りたい!と思うのはごく、ごく自然の感情です。

犯罪者扱いされては困ります。

こんな仕打ちは少なくとも税金を払っている納税者をバカにしているとしか思えません。

この法案を作った官僚と、時の内閣及び総理大臣、閣僚は誰だったのでしょうか?

釣りは1000万人いる趣味です。

誰もが知らないうちに、勝手な法律を作るな!

出典:防波堤からの釣りパーフェクト・マスター講座

リンクから本文をよめばわかるのですが、身勝手な主張が繰り広げられています。

社会で定められたルールに対して我が釣道を盲目的に進んでいって、ときに事故を起こし、ときに死んで他人に迷惑をかける人の考え方がよくわかる文章かと思います。

こういう人は釣り場でも、身勝手な行為をしそうでできるかぎり近づきたくありません。

立ち入り禁止エリアに入り続けると何が起きるか(結果、その先)

では、立ち入り禁止エリアに入り続けると何が起きるのでしょうか。

まずエリアの管理者や当局がどのぐらいの態度で接するかは地域差がありそうです。

初犯の場合は、口頭での厳重注意や警察署で念書を書かされて開放されることが想定されますが、器物損壊や暴力行為ななどの軽犯罪を含んだり数度注意をしても不法侵入を継続することによっては罰金や執行猶予付き懲役になるかもしれません。

また運悪く釣りをしていて落水した場合は、海上保安庁職員や警察・救急隊・漁業者等の救助を受けることになり、迷惑がかかります。死んだ場合は、死体や釣り道具や車等の運搬費用もしかりです。

その他、事故にもあわず釣りをしていたとしても、釣り人=犯罪者といったマナー悪化の印象を広めることになり、時として、特定の防波堤の先端エリア等の立ち入り禁止エリアだけなく漁港全体が立ち入り禁止等になるかもしれません。

そして、また最寄りの釣り場が一つなくなるわけです。

▶まとめを次ページでチェック

全国の釣り場をこれ以上減らさないために

港湾等の釣り場で死亡事故がおきた場合、責任者が監督責任を問われるのが通例です。

これは自己責任の原則が浸透していない日本の特徴です。

自分はだれにも迷惑をかけないんだ!

と、考えていても、結局落水をしたり死亡したら数多くの人に迷惑をかけてしまいます。

全国の釣り場は、前述のSOLAS条約や釣り人のマナー悪化によって増えることはほぼなく減っていきます。

良識がある方は、自分でできることを一つ一つしていけばよいかと思います。

  • ゴミの放置をしない
  • 違法駐車をしない
  • 漁業者とトラブルを起こさない
  • 釣り場で事故を起こさない
  • マナー違反者に声をかける

こういったことは、釣り人一人一人の努力で成し遂げられていくことかと思います。

一方、人間一人でできることはすくないので、釣り場ごとにチームをつくったりして、ゴミ拾いイベントやマナーの声掛けを行い釣り場を浄化していくことも、少しずつですが事態の改善につながるのではないかと思います。

サーフィンをやる知人にきいた話ではサーフィンをやる方も浜のゴミ問題に頭を悩ましているようで、週一回早朝集まってゴミ拾いをやってから波乗りをしているようです。素敵ですね。

誰もリーダーをやる人がいない場合は、自分がリーダーになればよいですし、もし自分がリーダーの器にないと理解している場合は、まわりにいるリーダーシップをもった方のフォロワーとなって活動すればよいでしょう。

自分たちの釣り場は自分で守る。

特に特定の釣り場に日々通っている方は行動を起こしてみてはいかがでしょうか。

<追記>

逆転の発想「管理釣り場」

全国堤防系の釣り場は日々失われていますが、マナーをまもって釣りをして、リーダーをつくって行政にはたらきかけていけば、釣り施設として成り立つ事例があります。

この防波堤はこれまで立ち入り禁止でしたが、無断で釣りをする者が多く問題になっていました。それを2016年7月、NPOが管理する有料の管理釣り場として開放したのです。直江津港は「改正ソーラス条約**」が適用されている国際港で、原則として今でも港内は一般立ち入り禁止です。しかし第3東防波堤の管理釣り場のみ、例外となっています。http://(*)で釣りをしてきました。 この防波堤はこれまで立ち入り禁止でしたが、無断で釣りをする者が多く問題になっていました。それを2016年7月、NPOが管理する有料の管理釣り場として開放したのです。直江津港は「改正ソーラス条約**」が適用されている国際港で、原則として今でも港内は一般立ち入り禁止です。しかし第3東防波堤の管理釣り場のみ、例外となっています。

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