ちょ、それ「コウイカ」じゃないぜ!コウイカ科3種の見分け方(コウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカの違い)

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釣りあげたスミイカ(コウイカ)
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~この記事は約 9 分で読めます~

日本全国の沿岸部で気軽に狙えるコウイカの仲間。

そんなコウイカ科のなかでも「コウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカ」の3種は、見た目がよく似ているため、種類を混同している人も多くみられます。

▼コウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカを特徴で判別できる人は「24.5%」※ORETSURIしらべ

みなさんはどうでしょうか?

コウイカ類を釣ったものの、種類が正確にわからないから、なんとなく「スミイカ釣った」みたいにSNSにUPしていませんか?

それはそれで自由なんですが、本記事は「種類を見極めた上で取り扱いたい方」に書くことにしました。

釣ったコウイカ類をしっかり判別できると、それぞれに適した調理法もわかります。

「モンゴウ(カミナリイカ)はデカすぎて美味しくない」
「シリヤケイカはまずいから持ちかえらないんだよね」

このような発言をよく見聞きするのですが、ふたをあけてみると、カミナリイカやシリヤケイカの食べ方としては不適な方法であったり。

そうした誤解を解きたい。

そう思い、今回は間違えやすい「シリヤケイカ・コウイカ・カミナリイカ(以下、コウイカ3種)」の種類・特徴・見分け方を紹介します。

目次

コウイカ(スミイカ)

スミイカ(コウイカ)
秋に釣れた300gほどのコウイカ(スミイカ)。刺身・寿司・天ぷらともに、小型が珍重される
名称コウイカ(標準和名)、スミイカ(主に関東)、マツバイカ、ハリイカ
生息地青森以南。船釣りでは東京湾、職漁での水揚げは九州、瀬戸内が有名
大きさ胴長20㎝程度、1kgまで成長
釣期10月半ばごろから3月頃まで(関東)
食味コウイカ3種では最高峰。固くなりすぎず、甘みが強く、食感がよい
特徴獰猛だが、カミナリイカほどではない

はじめは、コウイカから紹介します。

コウイカという標準和名はコウイカの仲間でも最も一般的な漁獲物であるからつけられた名前なのかもしれません。

地域によって通称が異なり、遊漁船の釣り物として全国随一の人気がある関東では「スミイカ」、その他の地域では「マツバイカ」「ハリイカ」「マイカ」なども呼び名もあります。
※ハリイカ(甲に尖りがあるため)はコウイカモドキを、マイカがシリヤケイカを指すことも

コウイカは温かい海を好むとされ、もともと太平洋側は関東、日本海側は富山湾から南西西に分布していたのですが、昨今の平均海水温上昇からか、青森以南にも生息しています。
※北海道南部~青森県での釣果は「コウイカ」と表現されるが「エゾハリイカ「ヒメコウイカ」がメイン

漁獲高は瀬戸内から九州に多いのが特徴ですが、遊漁船の釣り物としては東京湾が一番有名です。

コウイカは釣りあげた時の状態により色味や柄が異なります、柄がはっきりとしている状態から濃い茶色のときもあります。

季節によってサイズは異なり、胴長は最大で20㎝強、重さは1kg程度まで成長します。

食味は「コウイカ3種」ではもっとも美味とされ、特に江戸前寿司ネタや天ぷらでは珍重されます。

<釣りあげたばかりのコウイカ(スミイカ)ギャラリー>

釣りあげたスミイカ(コウイカ)
茶~飴色メインで柄が浮き出た状態
テンヤで釣ったスミイカ(コウイカ)
濃い茶系で模様がうっすらある状態。砂泥底に張り付いて擬態している個体ともいわれるが真偽不明
スミイカ
松葉状、横線に白い帯状の柄がある状態。マツバイカという名前の由来
テンヤで釣ったスミイカ(コウイカ)
茶系の色素が薄く、柄がはっきりとした個体。ヒレ付け根は金縁

カミナリイカ(モンゴウイカ)

モンゴウイカ
ヒレ付け根は蛍光縁の発色
名称カミナリイカ(標準和名)、モンゴウイカ、モンゴウ
生息地関東以西が中心
大きさ胴長30㎝、2.5kgまで成長
釣期10月半ばごろから3月頃まで(関東)※実際はコウイカより釣期が長い
食味コウイカ3種ではコウイカに次ぐ。大きくなると身の厚みでるため調理に工夫が必要
特徴極めて獰猛。一度目を付けた餌・ルアーには執念深く襲い掛かる

次にカミナリイカです。

名前の由来は甲に点在する模様が雷のように見えるからですが、釣り人からは「キスマーク」と表現されます。

カミナリイカは釣りでも流通場面でも標準和名で扱われることは少なく、「モンゴウイカ」「モンゴウ」と呼ばれることがほとんど。

国内では南海に生息するコブシメの次に大きくなるコウイカ類で、最大で2.5㎏程度まで成長します。

カミナリイカはコウイカより温かい海を好むのか、分布は関東以西がメイン。

釣りあげたばかりはコウイカによく似ているのですが、前述の雷(キス)マークで判断できます。

食味は「コウイカ3種」で、コウイカに次ぐとされ、実際美味しいのですが、平均サイズが大きいため身が厚く、調理法をしらない場合、「大味」「硬くてまずい」という印象を持ちがち。

「モンゴウイカ大味説」については、他にも理由があります。

実は「モンゴウイカ」という流通名で以前からヨーロッパコウイカ(東大西洋・地中海)・トラフコウイカ(中東や東アフリカ・東南アジア)などの輸入品があったのですが、これに由来しているのかもしれません。

個人的にも少年時代に、モンゴウイカのボイルゲソなどが食卓にでたことがあるのですが、「硬くて味がない」という記憶があります。

これはカミナリイカとの種の違いや、ゲソなどがボイル&冷凍のち、輸入されたりすることからかもしれません。

それが炒め物などに混ぜられ「旨味が薄くゴムのような質感」という印象を持たれ、「モンゴウイカ≒あまりおいしくない」となったのではないでしょうか。

では、実際のところ、国産のカミナリイカはどうなのか?

これは、間違いなく美味しいイカです。

まず生食で食べるときは最低1週間寝かせるか、冷凍すると柔らかさと旨味が増します。

また刺身や天ぷらにするときは薄くスライスしましょう。

厚い身は中途半端に加熱するとゴムのように固くなりやすいので、さっと火を通すか、煮込みなどの長時間調理がむいています。

<釣りあげたばかりのカミナリイカ(モンゴウ)ギャラリー>

モンゴウイカ(カミナリイカ)
左:落ちたカミナリイカ(モンゴウイカ) 右:釣ったばかりのカミナリイカ(モンゴウイカ)死ぬと白くなりキスマークが目立つ
モンゴウイカを釣ったjomo氏
中型のカミナリイカ(モンゴウイカ)。コウイカに似ているが、キスマークが目立つ。ヒレ付け根は緑系の色彩で光る

シリヤケイカ(ゴマイカ)

金沢八景一之瀬丸 シリヤケイカ釣った
名称シリヤケイカ(標準和名)、マイカ、シリクサリ、ゴマイカ
生息地関東以西が中心
大きさ胴長15㎝、最大600g程度
釣期10月半ばごろから6月頃まで(関東)※岸からは産卵期の5月前後がメイン
食味コウイカ3種で比較的低評価。比較すると甘みなどはコウイカに劣るが、調理に工夫をすればよいおかずになる
特徴コウイカより湾奥に生息し、群れで回遊する。やや浮いていることもある

最後にシリヤケイカです。

ユニークな名前の由来は「水揚げすると胴体端から茶褐色の液体を分泌し尻が焼けたように見える」から。同じ理由で「シリクサリ」というようなさらに不名誉な通称もあります。

釣りでは「シリヤケ」と呼ばれることがほとんどながら、流通場面では「コウイカ」と混同されたり、あえて「コウイカ」という不正確な表記で販売されていることをよく見ます。
※一般的に市場ではシリヤケイカはコウイカより数段安価で取引される

SNSでは「コウイカをスーパーで安く買ったぜ!」というような投稿で、実際はシリヤケイカということも散見されます。そう、やはり種類の違いがわかったほうが買い物も上手にできるわけです。

そんなシリヤケイカですが、コウイカより小型で600g程度まで成長します。また、コウイカよりさらに湾奥に分布し、船釣りで専門に狙うのではなく岸釣りで好まれています。

たとえば、東京湾奥では川崎から横浜の岸壁に5月前後に産卵を意識した群れが到着し、盛んに狙われています。

船釣りでは食味が上回るコウイカやカミナリイカも釣れ、「外道扱い」で比較されやすく、分泌液を出す見た目からも低評価されがち。

「なんだシリヤケか」

船釣りになれた人ほど、釣り船ではそんな扱いをする印象です。

では、シリヤケイカはまずいのか?

これに対しては「コウイカやアオリイカなどと比較しなければ、十分おいしいおかずになる」が、適切なアンサーです。

食味では、刺身にするにしろ良さを出すには「さっと湯びいた」ほうが旨く、基本的に加熱調理がおすすめ。

じっさいのところ、細かく切った上で、たとえば味の濃いブイヤベースやアヒージョやパスタ・焼きそば・お好み焼き・八宝菜等の具にする分には、コウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカの判別など、素人にはできません。

ということでイカ好きの方は、シリヤケイカが釣れたら「なんだシリヤケか」という他人の言葉に影響されず、ほくほく持ち帰り冷凍しておくとよいですよ。具材として重宝します。

<釣りあげたばかりのシリヤケイカギャラリー>

金沢八景一之瀬丸 シリヤケイカ釣った
ヒレ付け根の縁は白。黒と白のメリハリがあるものはオス。灰色に白い胡麻状の斑点が広がる(ゴマイカという名前の由来)
金沢八景一之瀬丸 シリヤケイカ釣った
胴体端から出た茶褐色の液体が釣り人を萎えさせる(が、ひるんではいけない)
シリヤケイカ 突端部分に穴がある
これが謎の分泌液が出る場所

コウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカを特徴で判別しよう

それでは、コウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカの3種類を比較していきましょう。

まず表にまとめました。

コウイカ(スミイカ)カミナリイカ(モンゴウ)シリヤケイカ
生息域青森以南関東以西関東以西
大きさ~1㎏程度~2.5㎏程度~600程度
時期10月~3月頃10月~3月頃10月~6月頃
獰猛さ獰猛だが繊細さもある獰猛かつ執拗獰猛
分泌液墨のみ墨のみ墨+胴体端からの分泌液
模様キスマークはない背中にキス(雷)マーク胡麻状に白斑点。脚に白い筋が走る
ヒレ付け根の縁蛍光緑
食味どの料理でも美味しい。寝かせると甘みが出る。大型はスライスしたほうがよい生食は寝かせ必須。基本的に身が厚いので、スライスして食べる加熱主体で美味。
刺身も湯びくとよい。

このように、それぞれの種類を判別するにはいろいろ要素があるんですが、釣ったばかりの判別は以下の要素で判断すると楽です。

<コウイカ(スミイカ)>

テンヤで釣れたスミイカ(コウイカ)
釣りあげたときから茶系のコウイカ(スミイカ)。500g程度
  • 1kg以内=9割程度あたるが、1kg超えるコウイカも稀にいる
  • 背中にキス(雷)マークがない
  • ヒレ付け根の縁取りが金=わかりやすい

※キス(雷)マーク以外の柄や色合いは複数パターンあるので最初は考えなくてもよい

<カミナリイカ(モンゴウイカ)>

モンゴウイカ
背中のキスマークがわかりやすいカミナリイカ(モンゴウイカ)。1kg強
  • 背中にキス(雷)マークがある=わかりやすい
  • ヒレ付け根の縁取りが蛍光緑=わかりやすい

※キス(雷)マーク以外の柄や色合いは複数パターンあるので考えなくてもよい
※1kg以上、2.5kgまで成長するが、秋の個体は小さいので注意

<シリヤケイカ(ゴマイカ)>

金沢八景一之瀬丸 シリヤケイカ釣った
胴体端から分泌液を出していないシリヤケイカ350g程度。
  • 重さが600g以内=コウイカ同様1kg超える個体はほとんどいない
  • 胡麻状に白斑点。脚に白い筋が走る=わかりやすい。コウイカとカミナリイカは白さがない
  • ヒレ付け根の縁取りが白=わかりやすい

おまけの練習問題

さて、ここまでコウイカ・カミナリイカ・シリヤケイカの見分け方を紹介してきたのですが、最後に練習問題を用意しました。

回答は記事末に記してあります。

勉強してきたコウイカ知識を活かして、ぜひ正解してみましょう。

問題①これはコウイカ(スミイカ)でしょうか?(YES or NO)

釣りあげたスミイカ(コウイカ)

問題②これはカミナリイカ(モンゴウイカ)でしょうか?(YES or NO)

モンゴウイカ(カミナリイカ)

問題③これはシリヤケイカ(ゴマイカ)でしょうか?(YES or NO)

金沢八景一之瀬丸 シリヤケイカ釣った

問題④以下写真のなかでコウイカ(スミイカ)を選んでみてください。

スミイカとモンゴウイカ

まとめ

スミイカを釣り上げた釣り人
内房・岩井沖で釣ったコウイカ(スミイカ)

今回は間違えやすい「シリヤケイカ・コウイカ・カミナリイカ」の種類・特徴・見分け方を解説しました。

慣れたらすぐわかるんですが、最初はどうにも見分けがつかないことも多く、なんでもかんでも「コウイカ」「スミイカ」と呼びがち。

しっかり見分けられるようになれば、最適な調理法で美味しく食べられますよ。

そう、「シリヤケイカ・コウイカ・カミナリイカ」は、みんな美味しいのです。

尚、本文中の生息域やサイズなどはORETSURI調査によるものなので、「自分の釣っているエリアでも釣れてる」「サイズは○○kgあった」などの情報は随時教えていただけるとありがたいです。ほか、記載に誤りがあればお知らせください。

<練習問題の答え>

問題①これはコウイカ(スミイカ)でしょうか?→YES
問題②これはカミナリイカ(モンゴウイカ)でしょうか?→YES
問題③これはシリヤケイカ(ゴマイカ)でしょうか?→YES
問題④以下写真のなかでコウイカ(スミイカ)を選んでみてください。

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釣りあげたスミイカ(コウイカ)

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