横浜市は広大な海岸線を有していますが、実際に海釣りができるエリアは限られています。
3か所ある海釣り施設は潮通しがよい場所に設置され、コマセの影響によりアジやイワシなど回遊魚の寄りもよいのが特徴です。
今回は横浜の三大海づり施設(大黒・本牧・磯子)の特徴を解説します。
北側(右)から大黒・本牧・磯子の海づり施設がある
大黒(だいこく)海づり施設
6月に湾奥のタコ釣りが解禁。大黒海づり施設周辺も釣り船が狙うエリア
大黒海づり施設の特徴は「好アクセス」「外と内側で異なる地形」
大黒海づり施設は横浜市鶴見区大黒ふ頭にある海釣り施設。
もともと横浜沖堤の一つであったものがより安全な釣り場として再生されたものです。
横浜港の入り口にあり、「横浜大黒防波堤西灯台(赤灯)」のある長さ200m・幅17mの桟橋部が釣り場です。
広大な釣り公園なのですが、東京方面からのアクセスがよいため、いつでも混雑しがち。
潮通しがよく、イワシ・アジをはじめとしてシロギス・カレイなどのちょい投げのターゲットも釣れます。
大黒海づり施設で季節ごとに釣れる魚
出典:大黒海づり施設
- アジやイワシ:6月から10月ぐらいまでが盛期
- シロギス:6月から9月ぐらいまで
- タコ:6月から8月ぐらいまで
サビキ釣りで人気のアジは夏から秋に安定して釣れます。
冬から春は水温が低くなりやや沖目がポイントになってしまい釣りづらくなります。
他に、餌となるイワシについているタチウオが釣れることもあります。
大黒海づり施設周辺は釣り船がタコを狙うエリアです。
近年の東京湾ではタコの湧きがよく、6月から10月(盛期6~8月)ぐらいまではタコを狙うのも一つ。
大黒海づり施設のポイントと釣り方
桟橋周辺は水深7.5m程度、30mほど投げると水深17mで平坦な砂泥底です。
堤防外側(沖側)は砂泥まじりの根で、ちょい投げなどは根がかりしやすいため、基本的にサビキ・ウキ釣り・カゴ釣りで狙いましょう。
日中にアジを釣りたい場合はカゴ釣りで沖目の底から2m以内のタナを狙うのがおすすめです。
クロダイやスズキ狙いのヘチ釣りもおすすめ。
根周りを軽めのオモリで探ると、カサゴやアイナメも釣れます。
堤防内側(横浜港側)は砂泥底です。
ちょい投げや投げ釣りをやるのであれば、内側に釣り座を構えましょう。
アジやイワシは先端部のより潮通しがエリアが釣果が伸びます。
一方、夏場の魚影が濃いシーズンであれば先端以外でも十分釣ることができます。
大黒海づり施設の施設概要
年間に複数回釣行する場合は回数券がお得
出典:大黒海づり施設
- 公式ページ:http://daikoku.yokohama-fishingpiers.jp/
- 主に釣れる魚:アジ・サバ・イワシ・サッパ・タコ・クロダイ・スズキ・カサゴ・メバル
- 営業時間:①4月~10月:6~19時 ②11月~2月:7~17時 ③月6~18時
- 定休日:年末年始(12月31日、1月1日)
- 収容人数:250人
- 地形:砂泥底および根混じりの砂泥
- 料金:上図の通り
- 予約の有無:土、日、祝日及び繁忙期の入場予約が可能(7日前)、インターネットによる予約=220名分、電話予約=30名分
- 駐車場(台):200
- アクセス:品川から車で約40分、JR鶴見駅からバスで約40分(17系統 JR鶴見駅前発「大黒海づり公園」下車)
- 足場:網目状の金属床
- 釣り具レンタル:一式2,000円(補償金1,000円、返却時返金)
- 餌の有無:あり
<その他注意点>
見学者を含め入場者が180名を超えた場合、釣り方制限になります。
ルアー、エギ、テンヤ、遠投カゴ、投げサビキ、飛ばし浮き、浮きフカセなど、『普通の投げ釣り、普通のサビキ釣り、落とし込み釣り』以外の釣り方は、アンダースローでの投入のみとし、オーバースローは『普通の投げ釣り』のみとします。(ご不明の点はスタッフにお問い合わせください)
尚、施設スタッフが釣り場のご利用状況を確認し、150名を下回った時点で釣り方制限を解除致します。
- 見学者を含め入場者が180名を超えた場合、釣り方制限あり
本牧海づり施設
本牧海づり施設(台風修繕前)
本牧海づり施設の特徴は「大規模」「釣り場が複数」
本牧海づり施設は横浜市中区区本牧ふ頭にある海釣り施設です。
横浜市にある3つの海釣り施設ではもっとも大規模で総延長1.4㎞、釣り人収容人数700名。
複数のエリアがあるため、様々な釣り方が可能です。
L字型の沖桟橋(渡り桟橋)は2019年9月の記録的な台風により全損していましたが、2022年3月22日に復旧しました。
同桟橋部は支柱の上に設置され、外側と内側で魚が行き来できるのが特徴です。
サビキなどコマセ釣りにおいても内側と外側で釣果の偏りがありません。
沖桟橋は水深が15~18mあり、底付近のタナを狙えば日中でもアジを狙うことができます。
イワシやアジがよく釣れる釣り場ですが、砂底のエリアがほとんどのため、シロギスやカレイ狙いのちょい投げや投げ釣りにも最適です。
桟橋周りではスズキやクロダイの魚影も濃く、ヘチ釣りにもむいています。
本牧海づり施設で季節ごとに釣れる魚
出典:本牧海づり施設
- アジ、イワシ:6月から10月ぐらいまでが盛期
- シロギス:6月から9月ぐらいまで
- タコ:6月から8月ぐらいまで
サビキ釣りで人気のアジは夏から秋に安定して釣れます。
冬から春は水温が低くなりやや沖目がポイントになってしまい釣りづらくなります。
アジを日中ねらう場合はカゴ釣りで底上のタナを狙いましょう。
本牧海づり施設のポイントと釣り方
本牧海づり施設は大きく分けて4つの釣り場で構成されています。
- 旧護岸釣り場
- 新護岸釣り場
- 渡り桟橋
- 沖桟橋
新旧の護岸釣り場の沖目は砂泥地が広がるため、シロギス・カレイ・イシモチなどを狙う、ちょい投げや投げ釣りに向いています。
釣れたアジやイワシを泳がせるとマゴチ・ヒラメ・スズキも狙え、夏から秋はイナダが釣れることも。
サビキ釣りは潮通しがよい沖桟橋が最適で、釣果も出やすいため一番人気です。
沖桟橋(改修前)
沖桟橋先端方面(改修前)
本牧海づり施設の施設概要
出典:本牧海づり施設
- 公式ページ:http://honmoku.yokohama-fishingpiers.jp/
- 主に釣れる魚:アジ・サバ・イワシ・サッパ・タコ・クロダイ・スズキ・カサゴ・メバル・カレイ・マゴチ
- 営業時間:①4月~10月:6~19時 ②11月~2月:7~17時 ③月6~18時
- 定休日:年末年始(12月31日、1月1日)
- 収容人数:700人
- 地形:砂泥底
- 料金:上図の通り
- 予約の有無:先着順(並び方は公式サイト参照。変更があります)
- 駐車場(台):230
- アクセス:品川から車で約45分、JR横浜駅からバスで約45分(JR横浜駅前発026系統横浜港シンボルタワー 行「海づり桟橋」下車)
- 足場:桟橋部は網目状の金属床、護岸部はコンクリート床
- 釣り具レンタル:一式2,000円(補償金1,000円、返却時返金)
- 餌の有無:あり
<その他注意点>
- ご入場者が500名を超えた場合、釣り方制限になります。
可能な釣り方は、◆投げ釣り、◆足元のサビキ釣り(ウキを使用しないもの)、◆足元のカゴ釣り、◆落とし込み・泳がせ釣りを含むヘチ釣り、のみです。
(ルアー類、エギ・テンヤ類、投げサビキ等は全釣り場で終日禁止となり、解除されません。)
- 入場者が500名を超えた場合、釣り方制限あり。ルアー、エギ、テンヤ(タコ等)、投げサビキ等が終日禁止になるため注意。
基本的にハイシーズンの週末や連休は入場制限になりがちなので、ルアー釣りが終日禁止になりやすいと言えます。
複数の釣りができるようにタックルを持参しましょう。
超人気ゆえ、週末は先着順のため早朝から行列ができる(写真は午前4時)
▼本牧海づり施設での釣行記事。並び方なども解説!

磯子海づり施設
磯子海つり施設周辺の海域(企業用地に囲まれている)
磯子海づり施設の特徴は「温排水の影響で冬場に強い」「漁礁があり根魚が豊富」
磯子海づり施設は横浜市磯子区にある海釣り施設です。
大黒や本牧の釣り施設と比べて、根岸湾の奥まったところにあります。
潮通しでは大黒や本牧には到底及びませんが、火力発電所の温排水により冬場も魚の寄りが多く、低水温期のカレイやアジなどは好釣果に恵まれることもあります。
もともと磯子周辺は根の上に埋め立ててできたエリアで海底には根が存在しています。
また、釣り桟橋の沖には人工漁礁があり、カサゴやメバルなどの根魚やメジナやウミタナゴなどが居着く要因にもなっています。
磯子海づり施設で季節ごとに釣れる魚
出典:磯子海づり施設
- アジ、イワシ:6月から10月ぐらいまでが盛期
- メジナ:周年
- シロギス:6月から9月ぐらいまで
- マゴチ:6月から9月ぐらいまで
- カレイ:10月から4月ぐらいまで(冬場は日中あまり釣れません)
サビキ釣りで人気のアジは夏から秋に安定して釣れます。
冬から春は水温が低くなりやや沖目がポイントになってしまい釣りづらくなります。
アジを日中ねらう場合はカゴ釣りで底上のタナを狙いましょう。
磯子海づり施設のポイントと釣り方
磯子海づり施設は大きく分けて2つの釣り場で構成されています。
- 南側桟橋
- 東側桟橋
それぞれの桟橋沖に4か所漁礁(南側1か所、東側3か所)が設置され、根魚も豊富です。
投げ釣りの場合、桟橋の幅が3m程度のため長竿は避けましょう。
全域で秋から春にかけてのマコガレイ狙いが人気です。漁礁をさけて狙いましょう。
桟橋角地は比較的深場のエリアを狙いやすいポイントです。
カサゴ・メバル・メジナなどは漁礁周りを狙います。
一帯は遊漁船がマゴチを狙う砂泥底が続いており、夏場は釣れたキスやハゼを泳がせてマゴチを狙うのも一つです。
磯子海づり施設の施設概要
出典:磯子海づり施設
- 公式ページ:http://isogo.yokohama-fishingpiers.jp/
- 主に釣れる魚:アジ・サバ・イワシ・サッパ・クロダイ・スズキ・カサゴ・メバル・カレイ・マゴチ
- 営業時間:①3月~10月:8~18時 ②7月8月:8~19時 ③11月~2月:8~17時
- 定休日:年末年始(12月31日、1月1日)
- 収容人数:250人
- 地形:砂泥底・漁礁
- 料金:上図の通り(営業時間の短さもあるが、やや安価)
- 予約の有無:先着順
- 駐車場(台):90
- アクセス:品川から車で約50分、JR磯子駅からバスで約16分(JR磯子駅前発085系統南部水再生センター前行「ジェイパワー前」下車)
- 足場:桟橋部は網目状の金属床
- 釣り具レンタル:一式2,000円(補償金1,000円、返却時返金)
- 餌の有無:あり
<その他注意点>
- 事務所横、売店横はつり禁止
- エギング、タコテンヤ、ルア-釣りはアンダースローのみ。必ず、みぎ、ひだり、うしろを確認してから投げる
- アルコール持ち込み、飲酒禁止
▼隣接している電源開発前護岸でも釣りが可能

横浜市の海釣り公園共通の注意事項
- 3本以上の釣糸を垂らす行為は禁止(未就学児と同伴の大人は子供と併せて釣糸2本まで)
- 投入コマセ(エサを海に撒くこと)。ダンゴ状のエサ等を海中に投げ込む行為は禁止
- カラス貝の採取など、施設内でのエサ取り行為は禁止(貝をとる漁具は神奈川県海面漁業調整規則違反)
- コンロ、バーナーなど火気使用は禁止
その他釣りに関するルールがあるので確認の上、しっかり守って楽しく遊びましょう。
特に休日の海釣り施設は左右の釣り座が近くなります。
両隣の釣り人とは朝一で挨拶をしておくのがお互いにトラブル軽減のコツです。
▼堤防釣りの基本ルールとマナーはこちら

魅力的な周辺施設
大黒ふ頭海釣り公園 デイキャンプ&BBQ ガーデン
大黒海づり施設で早朝から釣りをし、昼前にあがりBBQをするなどのプランも魅力的。
予約サイト:https://www.herofield.com/bbq/daikoku/
みなとみらいエリア
大黒・本牧・磯子の海づり施設からは、みなとみらいエリアも近く、ついでの観光も魅力。
日中の釣れない時間を早目に切り上げて、横浜中華街によるのも一つ。
三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド
磯子海づり施設からはアウトレットも近く、ついでのショッピングも魅力的。
小学生低学年までの子供連れ釣行の場合、ユニクロ PARK 横浜ベイサイド店の遊具がおすすめです!
横浜南部市場
磯子海づり施設からは横浜南部市場が近く、アウトレットとはハシゴのショッピングも魅力的。
海釣り施設(公園)全般の知識
釣れるポイントはどこ?
アジやイワシなどの回遊魚であれば桟橋の先端や角など潮がよく当たる場所がよく釣れます。
水深のある釣り場ほど、大型の回遊魚もまわってきやすいと言えます。
ちょい投げに適した地形について
岩礁帯や根混じりのエリアは、ちょい投げや投げ釣りで根がかりが発生するため慣れが必要です。
砂泥底のツブ根がまじる程度であれば軽めのオモリで攻略は可能です。
一方、はじめてのちょい投げでは、基本的に砂泥底のエリアを狙いましょう。
とはいっても、釣り場の混雑でちょい投げに適した釣り座を確保できないこともしばしばです。
ウキ釣りやサビキ釣りなどができるような準備をしておきましょう。
サビキ釣りで釣果を上げるポイント
隣あった釣り座でサビキ釣りをしていても、釣果の歴然とした差がでることがあります。
イワシや小鯵・小鯖などのサビキ釣りで釣果を上げるコツは以下の通りです。
- なるべく細いハリス、小さいハリの仕掛けを狙う(小型狙い)
- なるべく長い竿を使う(磯子のように長竿が不利な釣り場もあります)
▼トリックサビキやパニックサビキ(ショートタイプ)が圧倒的におすすめです。

海づり施設で釣れる時間はいつ?
魚はまんべんなく釣れるわけではなく、実は釣れる時間が決まっています。
アジ・イワシ・小鯖などは潮の動く時間帯(満潮・干潮前後の4時間)や朝方と夕まずめを狙いましょう。
横浜市の海釣り施設では、大黒と本牧の営業開始時間がやや早いので朝方から回遊魚を狙いやすいと言えます。
また、日中に中型以上のアジは岸際でほとんど釣れません。
もし釣りたい場合は沖目の海底付近を遠投カゴ釣り等(釣り場や混雑により制限あり)で狙いましょう。
無料で海釣りができる釣り場(横浜市)
横浜には無料で海釣りができる釣り場もあります。
海釣り施設と異なり、事前に道具や餌の用意が必要ですが、釣りになれたらチェックしてみましょう。
子供連れの場合は転落防止柵などがあるエリアをおすすめします。
▼横浜で海釣りができる釣り場解説(海づり施設以外)

まとめ
今回は横浜の三大海づり施設(大黒・本牧・磯子)の特徴を解説しました。
釣りは自然が相手です。
人間相手に自然がサービスしてくれるわけでもありません。
海釣り用に整備・管理された施設だからといって、何も考えないで釣行すると「ボウズ(なにもつれない)」になってしまうこともしばしばです。
あらかじめ釣りに行く前には、公式サイトなどを参考に「今なんの魚がよく釣れているのか」を把握しましょう。
ターゲットを考えたあとは、ターゲットがよく釣れる時間帯や潮回りを考えてから道具も準備して釣行しましょう。
「なにか釣れればいいな」は岸釣りでは坊主の素です。
関連アイテム
▼海釣り公園で「ちょい投げ」「サビキ釣り」「ちょっとしたルアー釣り」をしたい場合シマノのシエナコンボが便利
▼横浜の海釣り公園のパイプ状転落防止柵にはスーパー受太郎がフィットします。ウキ釣り、サビキ釣りなど竿をより長く使用しつつ置き竿にするためには用意するとよいでしょう。
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