船釣りに「アミ五目」というものがあるんですが、その名称はそれほど多くの船宿が使っているものではなさそうです。
ウェブでは金沢八景の一之瀬丸のほかに一部の船宿のプランがでてきます。
多くの船宿では同じような釣りを「ライト五目」「LT五目」「ウイリー五目」と呼んでいます。
五目釣りというと初心者にも優しそうに見えますが、ウェブ上にあまり釣り方を解説したものが見当たらないので今回解説します。
本文のながれは、まず一之瀬丸のアミ五目について解説しつつ、それから実際の釣行編に移ります。
一之瀬丸のアミ五目とは?
五目釣りというだけあっていろいろ釣れる
アミ五目ことアミコマセをつかった五目釣り(またの名をライト五目・LT五目)では、その名の通り様々な魚が釣れます。
基本はアジやサバをメインに、黒鯛・真鯛・イナダ・カサゴなどを狙うことができます。
アジ船は95%アジを釣る釣りですが、アミ五目の場合はアジ以外にもいろんな魚が釣れるポイントを回るため、同じ釣り物だと飽きてしまう人にもオススメです。
※お土産確保のためにアジポイントも回ります。
アミ五目のタックル
船宿レンタル品のビシ40号+アミコマセ+オキアミ(つけエサ)
今回お世話になった一之瀬丸のレンタルタックルは以下の通りです。
- アジ釣りレンタルロッド+シマノ小船PE3号程度
- プラスチックビシ(レンタル品は手榴弾型のプラビシ40号)
- ヤマリアの弓型天秤
- イサキ等用のハリス2号3mチヌ針3本仕掛け(イナダ狙いの際は仕掛けが4号以上になります)
- 撒き餌はアミコマセ
- 付けエサはオキアミ解凍品もしくはイカタン(アジ用のアカタンではなくイサキ船等で使う白いイカタン)
持参する場合は、ライトゲームタックルにPE1.5(先糸フロロ4号)~2号、LT天秤+サニービシ40号or60号(規定に合わせる)がぴったりです。
アミ五目とLTアジの違いとは
前述の通り基本的にアジ釣りのタックルと同じ。
ですが、アジだけでなく大サバ・イナダ・真鯛・黒鯛あたりも狙っていくということもあり、やや仕掛け部分が変わってきます。
これからはじめる人はすべてレンタルからチャレンジすればよいと思うのですが、マイタックルを持参する人はLTアジ用の40号~60号のビシがちゃんとしゃくれるものであれば問題ないです。
コマセカゴ(ビシ)
東京湾のLTアジ用のコマセ籠(鉄仮面系のあれ)は船宿によっても目の幅がことなりますが、イワシミンチに適した網目です。
アミコマセをいれると着底前にコマセがほとんど出ていってしまいます。これはほんと注意。
たまに、このアジビシでアミ五目にチャレンジしている人をみるのですが、かなり不利なのでやめたほうがいいです。
船長がチェックしてくれると「コマセカゴ変えてください」といわれるはず。
アミ五目の刺し餌は2種類
一之瀬丸で配られる刺し餌は2種類。
- 冷凍オキアミ
- イカタン(白)
一つ目は解凍オキアミです。
はやめに解凍しよう
こちらは乗船時にはブロック状で凍っているので、バケツに海水をためて解凍しておきましょう。
オキアミがはいったビニール袋に海水が入ってしまうとぐちゃぐちゃにヘタってしまうので注意です。
ほかに、これは解凍オキアミの宿命ですが、針持ちなどは不凍品のオキアミに劣ります。
警戒心の強い真鯛やイシダイあたりをメインに狙いたいという場合は、事前に釣り具屋で不凍品(500円程度)を買っておきましょう。
こちら不凍品のオキアミにマルキューのエビシャキ!を漬け込んだもの。
艶感がでてしっかりします。
他に、はちみつ・ガムシロップ等に漬け込むと締まります。
アマダイ釣りでもたまにやる方法です。
次に食紅で染めていないイカタン。
一之瀬丸のアジ釣りでは食紅で染められたアカタンが利用されますが、アミ五目では白が用いられます。
こちらはアジ釣り同様チョンがけ。
基本一つの針に1つチョンがけします。2つ3つつけてもあまり釣果は変わりません。
アジ狙いの場合、吸い込みが悪くなり、かかりが浅くなったりバレやすくなります。
アミ五目における仕掛けとエサの使い分けはぜひ覚えておきたい
オキアミを船べりにおくと乾燥するのでやめましょうの図
慣れていない人は迷うと思うのが、アミ五目の仕掛けと餌の選択です。
一之瀬丸のアミ五目では、主に金沢八景から中ノ瀬界隈で以下のポイントを回ります。
- アジが釣れる場所(いわゆるお土産というやつです)
- アジやカサゴが釣れる浅場(岸壁際や根周り。北風強めの日は風よけ目的で)
- イナダやオオサバ、大アジ(マルアジ含む)が回遊しているところ(中ノ瀬が多い)
- 真鯛やイシダイなどが出るポイント
以上を、その日の海況をもとに順繰りにめぐります。
このとき魚ごとに仕掛けや餌の使い分けをしたほうがよいので覚えておきましょう。
船長によるのですが、タナ以外は船上ではあまり「ここは○○が狙える」等アナウンスはされないこともあります。
わからないことはすぐに中乗りの方や船長に直接聞くとよいと思います。
船長によっては、「○○を狙うので太目の仕掛けつけてください」「アジ狙いなので細目の仕掛けをつけてください」等のアナウンスがあります。
<アジを釣りたい場合の仕掛けと餌>
アミ五目での船宿で推奨される仕掛けはハリス2号or3号、3mイサキ五目仕掛け3本チヌ針です。
一方、アジであれば通常のLTビシアジ仕掛けにハリス1.8m~2m2号2本針を選んでおくのが無難です。
五目系の釣りはビギナーも多く、週末の場合は極端に釣り座が近いこともあります。
このとき1.8m仕掛けを使うとおまつりを避けながら釣ることもできます。
ライトアジの標準仕掛けは2.0mなのですが、サルカン側20~50㎝程度をカットして結ぶと、さらにオマツリが減ります。
アジであれば、エサはオキアミとイカタンどちらでも釣れます。
ですが、手返しを考えると解凍オキアミはとれやすいので、イカタン1択です。
ほかに、イソメがほしい人は乗船前に購入(アジ船ではないので追加購入)しておきましょう。
基本、八景・富岡沖・本牧付近等の浅場でアジを狙っているときはイカタンで手返しよくお土産をゲットしておきましょう。
このとき、3本針のハリスが3号だと、アジに仕掛けを見切られたりして数が伸びません。これほんと。
めんどくさがらず、ハリスは1.5号か2号でやりましょう。
<イナダ・真鯛等を釣りたい場合の仕掛けと餌>
アジのポイントからやや沖目のポイント等に移動して、「ここはおっきいのがでるよ。ハリス切れ注意してね」というようなアナウンスがあります。
真鯛やイナダなどの大物が釣れるんだなと受け止めましょう。
この場合、前述の2mの仕掛けよりは3本針3mの仕掛けのほうがよいです。
真鯛もイナダもある程度コマセカゴを嫌うので、長めのハリスが有利だからです。
とはいえ、一気に真鯛狙いで6mなどのハリスをつかうのは船の種類からしてオマツリが頻発するので控えた方がよいです。
3mで頑張りましょう。平日や、潮先の四隅であればありです。
ハリスは2号だと、瞬断されるので、3号以上にしましょう。
釣り慣れていない人は4号がベストです。
というのも、オマツリをさけてイナダをあげるためにはドラグをつかうことが難しく、強引に巻き上げる必要があるからです。
イナダや真鯛の場合、餌や仕掛けシンプルなほうが警戒心を持たれません。
ハリス4号1本針で自作するのも一つです。
エサは、イカタンではなくオキアミを丁寧につけましょう。
しっかりしたオキアミにまっすぐ刺す
ちなみに移動中に解凍したオキアミから黒目が2個あり、身が崩れていないのを選別しておくとよいです。
もしくは前述の不凍オキアミをここぞと投入しましょう。
アミ五目でウィリー仕掛けって釣れるの?
ライト五目系の釣りでは、ウィリー仕掛け(色付きの繊維が針についたものを呼びます)が広く用いられますね。
一方、一之瀬丸のアミ五目船では空針にオキアミをつけるのがスタンダードで、あまり使われないようです。
一応、このウィリー仕掛けでもアジやサバなどは釣れます。
が、目立って釣れるわけではないので、あえて使う必要はありません。
ウィリー仕掛けは持参不要と覚えておきましょう。
アミ五目の釣り方
基本的な動作(底からのタナ取り指示)
- コマセカゴを着底させる
- 竿を水平から海面まで下げながら1mリールを巻く
- 海面から水平まで竿をしゃくる
- ハリスの長さ分2を繰り返す
- 巻き上げた地点で竿を静止してアタリを5秒から30秒待つ(長くても1分)
- 以降1~5の繰り返し。2往復したらコマセを入れ替える
※回収時にアミコマセが10%程度コマセカゴに残っている程度にカゴの窓を開いておく。下窓全閉、上窓4分の1~3分の1開
(海面からのタナ取り指示)
「上から13m」という指示
- 海面から16m=13m+3m(ハリス分)コマセカゴを落とし込む。※PEラインの色変化で判断する
- 竿を水平から海面まで下げながら1mリールを巻く
- 海面から水平まで竿をしゃくる
- ハリスの長さ分2を繰り返す
- 海面から13m地点まで巻き上げ、竿を静止してアタリを5秒から30秒待つ(長くても1分)
- 以降1~5の繰り返し。2往復したらコマセを入れ替える
※回収時にアミコマセが10%程度コマセカゴに残っている程度にカゴの窓を開いておく。下窓全閉、上窓4分の1~3分の1開
※解凍オキアミの場合、つけ餌が取れている可能性があるので頻繁に打ちかえす
<投入>
まずコマセカゴにはアミコマセを7~8分目程度つめます。
2mのアジ仕掛け等であれば、針から海面に流して次にビシを投入します。
4m~の真鯛・イナダ仕掛けなどはハリスが絡みやすいので、まずビシを投入して、ハリスが絡まないように手で誘導しながら順次投入していきます。
<着底>
基本的にアジ狙いであれば、コマセカゴを着底させてタナをハリスの長さ分とります。
コマセカゴが着底すると、PEラインの出が止まるor遅くなるので、余分な糸を巻き取り底立ち状態で5秒ほどストップさせます。
潮の速さによってはこの判断がつきにくくなるので着底がわからなかった場合は、再度5~10mほど巻き上げてコマセカゴを落とすという動作を繰り返します。
<巻き上げとシャクリ>
次に、仕掛けの長さ分(2~4m程度)巻き上げて釣ります。
具体的には、1mずつリールを巻き上げて、竿を短くしゃくってコマセを出します。
あまり長い範囲しゃくるよりは、竿先が海面についているあたりから水平まで短くしゃくるほうが効果的です。
ポイントによってはカサゴなどもいるため、そういった根魚も狙いたい場合は底から狙いはじめてもよいです。
<厳冬期は待ち時間をやや伸ばす>
1月2月の厳冬期は魚の動きが鈍くなるので、きびきび動かしすぎず、ゆったりしゃくって待ち時間を延ばすことを意識するとよいでしょう。
タナまでシャクリあげていってもアタリがでない場合、2往復ほどしたら、全体を巻き上げ、コマセを入れ直しましょう。
待てば釣れる釣りでもないので、魚の反応がないときは以下のことを意図して行う必要があります。
- コマセをこまめに入れ替える
- 付けエサがオキアミの場合、毎投付け替える
- 仕掛けのヨレなどがある場合は付け替える
<アタリの出方>
アミ五目でのアタリの出方も基本的にアジ釣りと変わりません。が、真鯛、イナダ、大アジ(40前後のマアジ)などもいる海域で釣るため、ドラグ調整はしっかりしておきましょう。
アタリは、穂先や手元で感じたものに対して強く合わせるのではなくそのまま食い込んだのを確認して巻き上げて乗せるように合わせます。
<ランディング方法>
基本的にサバ以外は等速で巻いて、コマセカゴが海面に見えた時点で巻くのをやめます。
次に竿をたてて、コマセ籠をアミコマセ用の洗面器に置いた後に、ロッドを船べりに対して垂直に置きます。
次にハリスをはったままできるだけハリスの下側を持ち、一気に船内に抜き上げます。
- サバの場合や横走してオマツリの原因になるので、一気に巻き上げるようにしましょう。
- 船べりでハリスをたるませるとアジなどはすぐに落ちてしまいます。
<▼詳しい釣り方は以下の記事で>
アミ五目釣行編
まずはアジ・サバ
この日はまず本牧沖付近へ。
複数の釣り船がこの本牧沖の岸壁エリアに集っていました。
ここで釣れるのはアジ。
タナは、底2~3mで、底から1mごとにビシをしゃくり、3mまで来た時点で竿を水平から徐々に誘い下げる動作にアタリが集中。
この日は6人の方に釣りのレクチャーをしていたのですが、全員まずはアジが釣れました。
その後、ややタナが上ずると、
このサイズのサバはフライがベスト。
サバフィーバー。
30cm程度の中サバが回遊していて、これが複数人でオマツリし、てんやわんやで。
反対舷も初心者の方が多かったようで、最盛期は5人ぐらい同時にオマツリしていたような。
岸壁際はカサゴが混じる
次第に埠頭の奥へ。
これが遠くからみたときにキリンにみえるクレーンですね。
このような岸壁。
このエリアも小型のアジが釣れているものの、カサゴがちらほら釣れていたので、わたしもここから釣りスタート。
イワシが釣れたので、針がけし直して、底からビシをすぐにあげて、そこすれすれに漂わせると・・・
・・・
・・・
・・・
ちょっと微妙なあたりながらも何かがのった引きが。
アジとは違う引き。
カサゴです。
たまたま包丁があったので、揺れに気をつけながら、先ほど釣れていた中サバをフィレにして切り身に。
すると、カサゴが入れ食い。
浅場なので浮袋も膨らみにくく、このぐらいまでのサイズはリリースすることに
釣れる。
どんどん釣れる。
こういった岸壁際の根が入っているところをやるようであれば、サバの短冊を冷凍しておいて忍ばしておいてもよいですね。
一瞬仕掛けを胴付きに変えたりして。
・・・
ここで場所移動。
真鯛か石鯛の大物を釣りたい・・・が、
ここから魚群が発見できないのかポイントが定まらないようで、40分ほど移動・移動・移動。
最後の野島沖堤防付近の海域で、ハリス2号のウィリー仕掛けを底から1mきざみに6mまでしゃくってきたところで重い引きが。
・・・
グン、グーン、グーン。
あ、これ真鯛だな。
と、相手はよくわからないのですが、とりあえずアジサバではなさそうで、下にずんずん引いていきます。
よしよしドラグ調整、
と、思ったら、7巻きぐらいして、ラインブレイク。
思わず中乗りのおじさんと顔を見合わせお互い苦い顔をしてしまったわけです。
ハリス2号だと飲まれたら一発だなー、ドラグを緩めにしておけばとれたのだろうか、などと自問自答しながらと思いながら、仕掛けをウィリー仕掛けの3号ハリスにして次のポイントへ。
最後のポイントでもアタリはあまりでないながらも、底から4mくらいまで速いピッチでしゃくってきたところ、
ズン!
という引き。
あ、これ、真鯛かも。
と、思いきや、引きがそれほどという。
とはいえ、「これ真鯛です。たぶん」と、周囲にアピールしておき、真鯛だったら30cmぐらいかもなーと思って、船長にタモお願いします視線をおくって、タモ入れしてもらうと・・・
・・・
・・・
あ。なんかオオサバっぽいシルエットだなとおもったら、
デカアジでした。
38cm。
このぐらいだとアジも1尾でかなり引きますね。
このポイントではこのぐらいのアジが他に数本。
午後船だったので16時過ぎでタイムアップ。
はじめて釣りをした年中さんの子供ちゃんも魚を触って楽しそうな釣行でした。
アミ五目釣行のまとめ
この釣りは数度やっていますが、ポイントごとの仕掛け変更や釣り方変更など、しっているかしらないかで釣果の差がかなり出そうな感覚はありました。
アジ釣りの場合は、よっぽど悪い日ではなければ指示ダナをまもれば20尾前後はだれでも釣れます。
が、アミ五目の場合は、タナが上ずっている場合などをちゃんと踏まえて釣らないと、差が出るなと。
今回、操舵室の斜め後ろの釣り座でしたが、魚探がやや見えるので、あ、このポイントは水深25mで起伏があって、やや魚群がうわずってるなーなどとわかってよかったです。
コマセをつかった釣りの場合は潮下が有利であるわけですが、初心者は船長にいろいろ聞いたりできる胴の間(船の真ん中)あたりがオススメです。
<お世話になった船宿>
予約制で週末は混みあうことも多いです。当日朝に空席があれば乗船も可能ですが、なるべく早く予約していくことをオススメします。
関連アイテム
マイタックルの目安にしてください。
※船宿推奨は3本針の空針ですが、浅場は2本針のアジ仕掛けも持参しておくとよいです。カウンター付きリールを紹介していますが、底をとってから2m~数メートルがタナなので、PEラインをみれば大体のタナはとれるのでカウンター無しの両軸リールでも問題ありません。
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