東京湾では、マゴチを餌釣りで狙う釣り船が多く出船しています。
釣り船の場合、餌はサイマキ(クルマエビの幼体)かハゼ餌が一般的。
前アタリを本アタリに持ち込みしっかりあわせるという釣趣があります。
この船マゴチでの釣果をあげるために各メーカーから販売されているのが「船マゴチ専用竿」です。
今回は、各メーカーの「船マゴチ専用竿」を紹介します。
船マゴチ釣りの特徴
長めの船マゴチ専用竿「がまかつマゴチスペシャル」
餌で狙うマゴチのアタリはいくつかのパターンにわかれます。
- 居食い
- 丸呑みでいきなり強く引き込むもの
- 微妙なアタリがつづき、やがて強く引き込むもの
実際にはさらに多くのパターンがあり、潮や船の流れ、魚の活性によっても変わってきます。
そんな船マゴチで竿に求められる要素は以下の通りです。
- 繊細な穂先(15号オモリの着底がわかる、前あたりに気づける)
- 硬めのバット(本アタリへ合わせる際に必要)
- 軽量さ(手持ちメインの釣りであるため)
- やや長め(タナとりのしやすさと、アワセやすさ)
これらはライトゲームロッド(20~80号程度のオモリ負荷)でも十分対応できます。
一方、専用竿はよりマゴチに適した設計のため、実釣での快適さが抜群なのです。
船マゴチ専用竿での長竿・短竿のメリット・デメリット
あえて3m程度のメバル竿をつかう人もいる
船マゴチ専用竿は長めの竿と短めの竿の2種類に分かれます。
長めの竿は2.3m~3.0m程度、短竿はライトゲームロッド類よりは長いのですが、2~2.15mが一般的です。
次に長竿・短竿のメリットとデメリットを紹介します。
<船マゴチでの長竿のメリット>
- 手元の小さな動作でタナをとりやすく、誘いもききやすい
- 竿の長さをつかえるので、アワセが効きやすい
- 置き竿でオモリが安定しやすく、餌の位置も底上をズレにくい(特に荒天時やミヨシ側)
- 他の釣り人に対して落とす筋を変えやすい(1.9mのライトゲームロッドや船マゴチ用短竿の使用が多いため)
<船マゴチでの長竿のデメリット>
- 重い(小型軽量リールでは持ち重りしやすい)
- 持ち重りにより、疲労時や終盤竿先が下がりやすく餌が底を這いやすくなる(手持ちの場合)
- 短竿より手感度が下がる(同スペックの場合)
<船マゴチでの短竿のメリット>
- 軽いため持ち重りしづらい
- 長竿より手感度が上がる(同スペックの場合)
<船マゴチでの短竿のデメリット>
- タナ取りの際に、腕を伸ばしたり、竿先を海面に突っ込むような大きな動きが必要
- アワセを効かせづらい
- 置き竿では仕掛けが安定しづらい
- 他の釣り人に対して落とす筋が重なりやすい(1.9mのライトゲームロッドや船マゴチ用短竿の使用が多いため)
次に各メーカーから販売されている船マゴチ専用竿と特徴を紹介します。
ダイワの船マゴチ専用竿
極鋭マゴチ
出典:ダイワ
地域特化や特定の釣り物に専用竿を出すダイワが東京湾のマゴチのターゲットを絞り、最高レベルの竿を登場させました。
それが、極鋭マゴチです。
これまでタチウオロッドやライトゲーム汎用の「極鋭」でマゴチを楽しむ人は見られたのですが、短竿でタナ取りに難があったり。
今回登場した極鋭マゴチは2.16mに自重79g(メタリアマゴチと比較して-6g)と、タナ取りや手持ちで誘い続ける釣り方に最適のロッドです。
メタリアマゴチ
出典:ダイワ
メタリアマゴチはダイワの船マゴチ専用竿でもハイスペック。
極鋭マゴチ登場までは、最高峰のマゴチ竿でした。
穂先がメタルトップ(チタン合金)かつAGS(エアガイドシステム)なのが特徴。
15号オモリの着底はもちろん、フグやイカなどのゲストによる微妙なアタリも手感度で判別できる高性能穂先。
自重も85gと超軽量です。
ダイワファンで最高のマゴチ竿を選ぶならこちら。
あえてデメリットをあげるのであれば、穂先はアナリスターマゴチのように穂先が白色のほうが濁り潮の東京湾では見やすいという点です。
実売価格は3万円前後。
▼メタリアマゴチのインプレ記事
アナリスターマゴチ
出典:ダイワ
「アナリスターマゴチ」はダイワの船マゴチ専用竿では中堅スペックです。
手持ちと置き竿に配慮して、215㎝と235㎝の2モデルがあり、自重はそれぞれ100gと105g。
それぞれ手持ち竿でも問題ない重さですが、2本竿で狙うときに長さをわけるときにもよいでしょう。
グラスソリッド穂先は白色。
実は真夏の濁った東京湾の潮色でも最も見やすい穂先が白です。
微妙なアタリも穂先の動きでしっかりとらえることが可能。
目感度の取りやすさでは、上位機種のメタリアマゴチ(穂先部赤)より上です。
船上ではマゴチXの次によく見る竿です。
実売価格は2万5,000円前後です。
▼アナリスターマゴチのインプレ記事
マゴチX
出典:ダイワ
「マゴチX 210・R 」は2021年3月に旧バージョンから刷新したモデルです。
ダイワのなかでもXシリーズは対象魚ごとの入門アイテムといった位置づけ。
低価格ということもあり、船上でもよく見かける竿です。
マゴチXは上位機種と比べるとカーボン含有率が低めに設定され、長さのわりに自重は重め。
これはダイワの船の下位機種における特徴なのですが、実釣で気になる重さではありません。
旧型のXシリーズはグリップ・ボルト・ネーム部分のデザインが今一つだった
旧型マゴチXとの変更点は大きく分けて以下の通り。
- 穂先部のガイドが傾斜して絡みづらくなった。スレッドのカラー部分の幅も長くなり目感度上昇
- グリップとネーム部分のデザイン改善
実売価格は1万5,000円前後です。
▼マゴチXのインプレ記事はこちら
シマノの船マゴチ専用竿
シマノからは船マゴチ専用竿は販売されていません。
以前は「ベイゲームX マゴチ」があったのですが、現在は販売されていません。
検討したい人は中古品マーケットを検索してみましょう。
シマノの竿で船マゴチをやる場合は7:3調子のミディアムクラスのライトゲームロッドを選ぶことになります。
- ライトゲームBB 73 M195 (実売価格15,000円程度)
- ライトゲームSS 73 M190/RIGHT or LEFT(実売価格25,000円程度)
- ライトゲームCI4+ 73 M200/RIGHT or LEFT (実売価格30,000円程度)
シマノのライトゲームロッドでは、M(ミディアム15~60号)or MHクラス(ミディアムハード20~80号)のいずれかが適しています。
Mクラスでは、よりオモリ着底や穂先の感度がよいですが、ややバットが柔らかく感じられます。
MHでは、バットがしっかりしているため、アワセが効きやすい印象です。
ただし慣れていない場合や、潮が速いときなどは着底がわかりづらいことも。その場合は20号オモリをつかうのも一つ。
ライトゲームCI4+は穂先がカーボンソリッドなのですが、SSとBBはグラス。
マゴチに違和感をもたれない食い込みの良さではグラスソリッドのライトゲームSSやBBがおすすめです。
▼シマノではライトゲームSSがお手頃。グリップにこだわらなければライトゲームBBで十分
アルファタックルの船マゴチ専用竿
海人マゴチ
出典:アルファタックル
アルファタックルは江戸前釣り物での専用竿を多くリリースしています。
マゴチ専用竿は「海人マゴチ」があります。
2.05m8:2の掛け調子と、2.35m6:4の乗せ調子の2種類。
手持ち竿で積極的に本アタリを誘発していく攻めのスタイルなのか、置き竿での違和感を軽減して本アタリに持ち込みやすくするのかによって選択肢が変わります。
2本竿でつかいわけるのも一つ。
技術的にはカーボントップでガイドが小口径なのが特徴。
この小口径ガイドは、感度向上のためなのですが、リーダーを組むとつまりやすく、穂先破損の原因になるので注意しましょう。
マゴチ釣りであればPE2号でオモリに直結するとトラブルが減ります。
がまかつの船マゴチ専用竿
がま船 マゴチスペシャル
がま船マゴチスペシャルはしぶめなデザイン
「がまかつ」からは「がま船マゴチスペシャル」が船マゴチ専用竿として販売されています。
出典:がまかつ
7.5:2.5調子というこだわりで、カーボン含有率は90.5%。
全長が2.55mと長めのため、自重は140gとやや重めです。
手持ち竿でつかうよりは、置き竿メインに向いている竿です。
手持ち竿の場合、オシアコンクエストのように重量がある金属丸型リールとあわせると持ち重りが軽減します。
長めのグラスソリッドティップがマゴチの微妙なアタリによく追従し、バットが強めで合わせもしっかりききます。
実際につかってみた印象は以下の通り。
- 穂先は繊細で15号オモリの着底や前アタリがよくわかる
- バット部分は強靭でほぼ曲がらず、アワセ時はベリーから曲がる仕様
- 2.55mはクラッチ操作なしでタナとりをしやすい。てこの原理から手元をすこし上下するだけでタナとりが完了する
- 同、長めなので合わせがききやすい
▼がま船マゴチスペシャルのインプレ記事はこちら
櫻井釣漁具の船マゴチ専用竿
江戸前の釣り物に秀でた「サクラ」こと、櫻井釣漁具からは「金剛 まごち竿」と「Sガイド付NEWまごち竿」が販売されています。
櫻井釣漁具 金剛 まごち竿
金剛まごち竿は、以下2種類のラインナップです。
・金剛まごち竿2.25m
・金剛まごち竿2.2m 誘い喰わせ調子
穂先は黒で蛍光オレンジスレッド巻き。
実売価格は3万円弱です。
船マゴチ専用竿を流用できる釣り物について
船マゴチ専用竿で対応できる釣り物はマゴチ以外にもあります。
繊細な穂先と、しっかりした胴にくわえ、ライトゲームロッドよりやや長めの特徴を生かせる釣り物を紹介します。
エビメバル・イワシメバル
東京湾奥では毎年2月にエビメバル釣りが解禁されます。
「黒メバル」と呼ばれる沿岸型のメバルを生きたモエビ狙う釣り物です。(学術上は「シロメバル」主体)
相模湾西域では同シーズンにイワシメバルがスタートします。
生きたカタクチイワシを餌に、「アカメバル」を狙う釣り物です。(金メバルという呼称もあります)
それぞれ、胴突き仕掛けをつかうのですが、比較的仕掛けが長め(2m強)に設定されています。
近年ライトゲームロッドに対応する2m以内の仕掛けも販売されていますが、2m強の仕掛けはライトゲームロッドではやや扱いづらいと言えます。
その場合、メバル専用竿が便利なわけですが、やや長いマゴチ竿も流用しやすいと言えます。
カサゴ
カサゴは20号から25号のオモリに胴突き仕掛けで狙うことがほとんど。
この釣りでもマゴチ竿は比較的扱いやすいと言えます。
カサゴのアタリを穂先で感じつつ、はじかず、しっかり聞き合わせることができます。
バットにも一定の硬さがあるので、根に潜られたときも、引き出しやすいという特徴があります。
イシモチ
イシモチは20号から25号のオモリに胴突き仕掛けで狙います。
アオイソメをムツ針に一本がけすることが多いのですが、イシモチは餌をしゃぶるように食べていきます。
このとき、穂先が固い竿ではイシモチのアタリをはじいてしまい食い込みが悪くなります。
マゴチ竿は穂先が繊細なため、イシモチのアタリをはじかず、しっかり乗せることができるのです。
まとめ
今回は、東京湾でファンが多い「船マゴチ」で釣果をあげるために販売されている「船マゴチ専用竿」について解説しました。
実際やってみると船マゴチはライトゲームロッドでも十分釣果をあげることができます。
一方、比較してみると、やはり専用竿は穂先がより繊細で、バットも強く、やや長めの全長もタナとりや置き竿に適していることに気づきます。
船マゴチをはじめるときはライトゲームロッドで十分ですが、さらに釣果を上げたい人は専用竿を検討してみるのも一つです。
▼餌マゴチではライトゲーム使用率が高く59.8%
東京湾の餌マゴチ
「竿」について教えてください!— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 21, 2023