釣り人にとってなじみ深いマゴチは、スーパーや魚屋にはあまり流通しない魚です。
特に夏場の活魚は高級魚として扱われることも。
食味がよく、引きも強いため、岸釣りでも船釣りでも専門に狙う人が増えてきている人気のターゲット。
今回は人気の「マゴチ釣り」について、堤防・サーフ・船・ボート、それぞれのタックルや釣り方のコツを紹介します。
シーンごとのより詳細な釣り方は関連記事で紹介しています。
マゴチについて
マゴチ(真鯒)は通称「コチ鯒)」と呼ばれる魚です。
コチの仲間はワニゴチ、イネゴチ、ヨシノゴチ、エンマゴチなど様々な種類がいます。
その中で、一番よくみられる種類なので「真」がついているわけですね。
マゴチは、温暖化により生息域が北上しているのですが、青森以南のほぼ日本全国の水深30m程度までの沿岸部に生息しています。
どちらかというと南方系の魚で、南洋には「ミナミマゴチ」と呼ばれる種類がいて、本州のマゴチより大型に成長する傾向にあります。
体つきは平べったく、フラットフィッシュとも呼ばれます。
海底に貼りつくようにしていたり、砂に潜るようにジッとしているほか、底上をゆっくり徘徊しながら餌を探している個体もいます。
ヒラメとマゴチは生態がよく似ているが、マゴチの方がタナが下
マゴチと生態がよく似た魚にヒラメがいます。
ヒラメは比較的遊泳力が高く、底から離れたイワシの群れなどついて追いかけまわすことがありますが、マゴチは基本的には底上にいる魚です。
サーフからマゴチを釣る方法
サーフからの底物ルアー釣りではヒラメに次ぐ人気なのがマゴチ
サーフと呼ばれる砂浜はマゴチ釣りにうってつけのポイントです。
マゴチは砂底、または砂泥底に好んで生息しています。
メインシーズンはマゴチが接岸する5月頃から10月頃です。
比較的水深があるエリアはそれ以外の季節でも釣れることがあります。
ルアー釣り
サーフはドン深(いきなり深くなる)エリアもありますが、基本的には水深が浅めの釣り場です。
そのため、遠投が必要なことが多く、飛距離を出しやすいライトショアジギングが有利。
波の影響もあり、ライトなタックルを使い泳がせ釣りで狙うのは難易度が高いと言えます。
ライトショアジギングタックルでは、ジグヘッド&ワームも使用でき、ヒラメと合わせてマゴチを狙うことができます。
<サーフでマゴチを釣りやすい場所>
サーフの釣りでマゴチを釣るには、「餌の多い場所」である以下のポイントを頭にいれておきましょう。
- 海底に変化がある場所
- 流入河川がある付近
- 離岸流付近
イワシなどのベイトが接岸している場所は、青物だけでなくヒラメやマゴチも集まっている可能性が高いと言えます。
根混じりの場所や、根の際、海底に隆起があるような場所は餌もたまりやすく、マゴチがまとまって生息していることもあります。
流入河川がある場所は河川から餌が流れ込んでくるため、マゴチも好む場所です。
夏から秋の高水温期は汽水域まで入り込んでいることもあります。
離岸流が強いところは、遊泳禁止エリアです。岸から離れる流れにベイトが流され、弱って底上に落ちるイワシなどをマゴチは狙っています。
<釣り方>
マゴチに絞るのであれば、メタルジグやスピンテールジグよりはジグヘッド&ワーム(アシストフック)がおすすめです。
メタルジグをつかうのであれば沈下速度が遅いスロータイプのほうがヒット率が高いと言えます。
ジグヘッド&ワームをキャストし、必ずそこをとりながら、基本はさびくように引いてきましょう。
ボトムハンピング(底から跳ね上げる)のようなアクションは不要です。
またアクションをさせ続けるのではなく、食わせる間を必ずとりましょう。
マゴチは捕食があまり上手ではないので、あまり速い動きには反応できないことがあるからです。
根が少ないところであればトリプルフックのアシストをつけることでフッキング率が格段に上がります。
根混じりの場所では、シングルフックをアシストにするとよいでしょう。
基本的にロングキャストするものですが、イワシが接岸して打ち上げられているようなケースでは波打ち際付近までマゴチが寄っていることもあります。
周囲に釣り人がいなければ、沖目ではなく、岸と平行気味に斜めにキャストしてみるのも一つ。
<おすすめのタックル>
マゴチはメタルジグの速い動きより、ワームのゆっくりとしたアクションで釣れがち
- ロッド:9フィート前後のライトショアジギングorシーバスロッド(30~40グラム程度投げられるもの)
- リール:PE1号or1.2号が200m巻けるスピニングリール
- ライン:PE1号or1.2号
- リーダー:フロロカーボン5号
- ルアー:メタルジグ、スピンテールジグ、ジグヘッド&ワーム(波動が強いシャッドテイルorカーリーテイル)
マゴチはヒラメより捕食力が高くありません。
また視力も高くないため、ゆっくり巻いてもしっかり波動を出すワーム類がおすすめです。
▼釣り竿は7,000円から10,000円程度のもので十分です。シマノのルアーマチック、ダイワのルアーニスト、メジャークラフトのクロステージあたりが入門には人気
▼スピニングリールはPE1号or1.2号が200m巻ける型版を選びましょう。シマノのサハラかナスキー、ダイワのレブロスLT、アブのカーディナル3STXあたりがお手軽
▼道糸はPE1号で十分ですが、キャストが苦手な場合や根が多いエリアでは1.5号にするのも一つです。
▼リーダーは必ずつけましょう。PE直結では結び目から切れたり、根ずれがによる高切れが起きがちです。号数は5号で十分ですが太くしても釣果に差はありません
▼マゴチに向いているジグヘッドとワーム。マイスタージグヘッドは安価ながらフックが柔らかめ。大型ヒラメを合わせて狙うなら太軸フックを選びましょう。
▼メタルジグはスロータイプを選びましょう。フォールでのバイトが増えます
▼アピール力が強いブレード付きのメタルマルは青物も合わせて狙いやすいルアー
堤防からマゴチを釣る方法
堤防や岸壁の釣り場は比較的岸近くから水深があります。
サーフ同様、ルアー釣りでもよいのですが、ぶっこみ釣り(泳がせ釣り)がおすすめ。
<堤防や岸壁でマゴチを釣りやすい場所>
マゴチが好む、砂底や砂泥底のエリアを選びましょう。
ぶっこみ釣りの場合、オモリが根がかると釣りになりません。
かけあがりがある場所、航路付近もおすすめです。
メインのシーズンは水温が上がりはじめ、マゴチが接岸する5月頃から10月頃です。
<釣り方(ぶっこみ釣り)>
イトヒキハゼは砂泥底のマゴチが最も好む餌
エギングロッド・シーバスロッドなどに20~30g程度の中通しオモリをつけ、サルカンを介して、5号のハリスを1から1.5m程度取ります。
ジェット天秤+ハリス1m程度でもOK。
ハリはチヌ針や海津針がおすすめです。
ハゼやメゴチなどの上唇にハリをチョンがけして、身切れしないように、慎重に投げます。
シロギスはやや動きが速く、頭部が固く食い込みが悪いので使用しないほうが無難です。
竿の反発は使わず、オモリの重さだけでキャストするとよいでしょう。
着底後は、シロギスを釣るようにさびいてくるだけです。1m竿を動かすごとに5~10秒程度のステイ時間をとります。
アタリが出ないときは、さらに待ち時間を伸ばすのも一つ。
いざ、マゴチのバイトがあると、竿先や手元にあたりがくるので、一旦引っ張るのをやめます。
竿のテンションをはらずゆるめずにし、すこし送り込みましょう。
そこからだんだんと、竿先にテンションをかけて、ごくゆっくりオモリを手前に移動させるようにしていきます。
するとマゴチが餌を完全に飲み込んだシグナルとして、竿が引き込みます。
このタイミングで、リールをつかって余ったらラインを巻き取りつつ、長いストロークで合わせます。
アタリがあってからすぐに合わせたり、短く鋭い合わせをすると、ハリがかりせず、餌やハリがすっぽ抜けてしまうので注意しましょう。
<おすすめのタックル>
- ロッド:8フィート前後のエギングorシーバスロッド(~30g程度投げられるもの)
- リール:PE1号or1.2号が200m巻けるスピニングリール
- ライン:PE1号or1.2号
- リーダー:フロロカーボン5号
- 仕掛け:中通しorタル付きオモリ5~8号(30g)程度orジェット天秤28g+フロロ5号1m程度+チヌ針or海津針
▼岸からマゴチを釣る方法
釣り船やボートでマゴチを釣る方法
活餌をつかった釣り(ハゼ・サイマキ・メゴチ・ギンパク)
マゴチを狙う釣り船には、エサ釣りとルアー釣り(ジグヘッド&ワーム主体)があります。
東京湾の場合は餌釣り主体です。
マゴチの餌釣りは、アタリの種類が変化に富んでおり、前あたりから本アタリを誘発し、かけて釣りあげるという独特の釣趣があります。
<船やボートマゴチを釣りやすい場所>
釣り船の場合は船長がポイントを案内してくれるわけですが、ボートの場合は自分で探す必要があります。
水深5m~30m程度程度までの砂底・砂泥底を広く探りましょう。
平坦なところにも生息していますが、起伏があるエリアに多く生息しています。
<釣り方>
7:3調子のライトゲームロッドかマゴチ専用竿に小型両軸リールをセットします。
道糸は2号がおすすめで、中オモリのサルカンには直結してしまいましょう。
1号や1.5号でも釣れますが、アワセ時に道糸から高切れする率が高くなってしまいます。
中オモリは三日月オモリやイカ用の中オモリが用いられ、東京湾では15号が標準です。
中オモリには、マゴチ針17号前後を結んだフロロカーボン5号を1.5をつけるのが一般的。
サイマキ(クルマエビの幼体)かハゼ(夏~秋)を使うのですが、前者はマゴチ針を使い、後者はチヌ針や海津針を使います。
サイマキは餌が弱らないように餌付けをし、一旦オモリで底をとってから、1m巻き上げます。
すると、餌が海底すれすれを這い、マゴチのアタリが出ます。
タナとりは船の上下運動や、潮流によっても変わり、釣果の差につながります。
活餌で狙うマゴチは、いきなりガツンとアタリが出ることはほぼありません。
餌も比較的大きく、オモリから1.5m程度のハリスがあるため、アタリは穂先へ微妙に出ます。
これを前あたりと呼ぶのですが、すぐに、マゴチに違和感を持たれないように、竿を送り込みましょう。
その後、竿のテンションを道糸にかけていきます。
餌が逃げると勘違いしたマゴチが餌をしっかり食い込んだところで、アタリが増幅します。
すかさず、道糸を巻き取りつつ、大きなストロークでハリをかけましょう。
▼マゴチの船釣りの詳細解説
<おすすめのタックル>
▼置き竿ではなく手持ち竿で狙う場合、ライトゲームロッドでは7:3調子が一番マゴチに向いています。
▼マゴチ専用竿はやや長く、穂先がより繊細で、バットが強めにデザインされています
▼道糸はPE2号がおすすめです
▼バランスシンカーは15号主体で、20号があると潮が速い際に便利
▼ハリスは5号が主要です
▼マゴチ針は、がまかつがおすすめ。細軸と太軸があります。迷ったら17号を用意しましょう。16号は伸びやすいので注意です
マゴチの旬や食味について
マゴチは上質な白身の魚。加熱すると身がしまりやすい
マゴチは白身の魚で、脂肪分が少なく、周年安定した食味です。
特に夏場は、産卵後のヒラメの味が落ちることもあり、活魚が高値で流通します。
底引き網で漁獲した野締めの個体は1キロ1,000円程度ですが、釣り物で神経締めした個体は1キロ3,000円程度で取引されることも。
釣りたての身は、いかった状態(歯ごたえがある)なのですが、冷蔵庫で寝かせることで、しっとりし、旨味も強くなります。
刺身以外にも、揚げ物・煮物など、様々な料理で楽しむことができます。
マゴチの刺身
マゴチの皮酢橘味噌和え
マゴチのムニエル
マゴチの南インド風唐揚げ
香醋油淋真鯒(ユーリンマゴチー)
マゴチのアラ汁
▼ORETSURI独自の「マゴチ」料理レシピ大全です。38選以上のマゴチレシピを紹介しています。
まとめ
今回は、一般の人にはあまりなじみがないものの、釣り人にとってはなじみ深いマゴチの釣り方について紹介しました。
堤防・サーフ・船・ボートのそれぞれで、タックルや釣り方が変わってきます。
より詳細なノウハウやコツについては各項目の関連記事をチェックください。
関連アイテム
▼岸でも船でもボートでも、マゴチは海面でバレやすい魚です。
これは上顎が固くフックが貫通していないことが多いという点と、強く首振りをすることが要因です。
針やルアーを飲まれてしまうと、ラインがすれてブレイクしやすいとも言えます。
抜き上げはできるだけさけて、釣り場やシーンにあったランディングを活用しましょう!