2019年6月29日(土)に第7回の「リストランテORETSURI」を金沢八景と逗子で開催しました。
リストランテORETSURIとは
リストランテORETSURIとは、釣り×料理×食のイベントです。
魚をたのしく釣って料理して食べるという一連の遊びをそれぞれのペースで楽しむ会です。毎回20~30人程度のORETSURIファン、釣り好き、魚好き、そのファミリーが参加しています。
リストランテORETSURI経由で釣りをはじめる人も多く、たまに釣らないで料理して食べるというイベントがあったり、地引網体験だったり、ゆるめで初対面でも楽しめるコミュニティなのです。
釣りの部は八景沖でマゴチ
今回の釣りの部は金沢八景・一之瀬丸さんから午前マゴチの仕立てでスタート。
マゴチはポイントは近いものの、ボウズの可能性もあり1日船で出船しているところがほとんど。
釣りの部は全体で21名。
今回は全体の半数以上が船釣りや釣り初心者ということもあり、7割程度釣れればよいなということで目標を15本にすることに。
今回は仕立てということもあり、渡辺船長ではなく、ハルト船長が出船前に釣り方のレクチャー。
このハルト船長は教え方が丁寧なのと、ポイントに到着してからのアナウンスもしっかりしてくれるのでありがたいんです。
おっさん各位が、オフの日にこんなに真剣な顔をしてしまうだけの魅力が釣りにはあるんです。
ちなみにエビ餌をつかったマゴチ釣りはルアー釣りと違って、餌をロッドアクションで動かさないため、つけ方を間違えるとテキメンに釣れません。これほんと。餌付けをなめちゃいけない。
あたりの差が顕著にでるので、やったことがない人は餌のつけ方をかならず教わってから釣りましょうね。
マゴチ釣りをやるために、LT竿を買ったまつともさん。さて釣れるのか??
わたしの釣り座は左舷ミヨシ2番。左隣がまつともさん。右隣が釣人割烹さん。
右舷ミヨシにはルアーが得意な荒井さんを配置するという陣形で、前方を広くさぐってもらうことに。
わたしはいつもの2本竿。
置き竿をシマノ・ライトゲームSSの6:4モデルに。左手の手竿はダイワのマゴチX。ここ数回のマゴチ釣行だと、ほぼ置き竿側しかアタリが出ないというところもあり、なんとか手竿で釣りたいところ。
序盤から予報通り雨がふりはじめるなか、全員真剣にタナをとるとる。
が、2枚潮で上潮がかなり走っていることもあり、思うように全員タナがとれいない模様。
主催者的にはちょっと嫌な予感がするわけですが、ここで左舷トモ1番、ナカジマ氏にヒット。
ふふふ。読み通りであーる。
というのは、ナカジマ氏はマゴチを釣ったことがなく、前回いっしょにいった釣行で見事ボウズを散らかして今回本番に登場したというわけなのです。
ということで、序盤、下げの潮先にくるトモ側にスタンバイしてもらったのです。こうなってくると軍師っぽいな。船上軍師とはわたしのことですよ。おほほほ。
その後、ポツポツと2本ほど左舷右舷で釣れるなかで、右舷ミヨシ2番の白石さんが初マゴチをゲット。
やりましたなー。
白石さんはリストランテORETSURIに毎度参加してくださるんですが、その釣り物がはじめてでも結構打率が高いんです。
これはたぶん仕事ができるからで、予習してきて実際の現場で微調整しているからなんだろうなと。
コマセの釣りと違って、マゴチのエサ釣りはタナトリと誘い、当たってからの駆け引きからの本アタリの誘発としっかりとしたアワセができないと釣果が伸びないのです。
いわば玄人の釣り。
ちょっとその玄人の釣りに、半数以上が船釣り初心者の陣営は挑戦しているのです。しかも雨降ってるし。
こちらまつとも氏。
まつともさんはもともとおかっぱりで大物を狙っている釣り師なんですが、自分のなかに釣りの垣根をつくらないで、おもしろそうな釣りは船でも陸でもなんでもチャレンジしていこうというスタンス。
この数十分前に、反対舷側にひっぱられるそれ根がかりでしょ、というような引き込みがあったんですね。
で、あまりにも引きが強いのをみて、「あーそれ、アカエイっすよ」といってみたら、あがってきたのがマゴチで、エイだとおもってアワセが弱かったので海面間際でばれるという。
竿が6:4のライトゲームロッドとはいえ、あれは60cmアップ確定の引きだったような。もうなんというか、浅場の泳がせで誰かにヘビーな引きがあったら、「あーそれ、アカエイっすよ」というような「アカエイの計」みたいなのが成立しやすいわけです。ごめん。
それにしても、マゴチ釣りを得意としているわたしはここまででアタリ2回。
一回目はたぶん40cm未満の小型マゴチかソゲでいつまでも食い込まず合わせ切らないという状態。2回目はもっと大き目ながらも、食い込まずという呪い。
この時点で船中5本、6本ぐらいという暗雲。
リストランテORETSURIは、午後に釣った魚を料理するので、食材がないとちょっとダメなんですよね。
後半2時間程度で上げ潮に転じているということもあり、ミヨシ側にそろそろあたりがあるかなーと思っていたら・・・
と、おもったら「キター」と、右隣の釣人割烹さんがマゴチゲット。
よしよし。
そろそろ、わたしにもアタリが来るはずだぞー。
右舷トモ2番で女性参加者落合さんがマゴチゲット。
意図して大トモに配置した下衆大将こと北條貢一はなにをやっているのだ。
ちょっと主宰者的にはそろそろでっかいマゴチを一本とって、総大将の首をとった感を演出したいところ。
・・・
落ち着きたまえ。
ここまでであたりがあったのは置き竿のみ。
落ち着いてよく考えよう。
潮は2枚潮だ。上潮で道糸のPEラインが飛ばされて、底潮と連動していないということもありバランスシンカー15号の着底がおぼつかない状態。
ここでタナを1mとっているつもりでも、もしかしてマゴチからするとぜんぜん射程範囲外を餌のサイマキが泳いでいるんじゃないだろうか。
浮きすぎるとアタリはほぼ出ないものの、底上を這うほうがまだアタリが出る可能性はあるんじゃないだろうか。
ということで、底上1mにオモリがある状態(イメージ)で、そこからさらに30cm、40cmと穂先を下ろしていくことに。
こうすると、徐々に錘が下がって、どこかでサイマキがふわりと底上にたどり着くはず。
と、ちょうど竿を海面上50cm程度まで下げたとき。
ググン。
ぬお。きた!
これは落ち着いてとらなければ。
ググン。
ググン。
こりゃ素直なアタリ方だな。
テンションを保ちつつゆーっくり送り込む。さらに増幅するアタリ。
ググン。
ググン。
これはマゴチがサイマキを口にいれてから頭を左右にふっているんでしょうなー。
ここから竿先でゆっくり聞き上げる。
ググン。ググーン!
きたこれ。
ラインを海面までまきとってからの長いストロークでのアワセ!
ガツン!
決まった。
ハルト船長のタモ入れであがってきたのは、ナイスサイズのマゴチ。
釣りはおっさんを笑顔にするんです
いやはやボウズ逃れたー&いいサイズということでこの笑顔であります。はい。
すんげーうれしい。
右舷でもちらほら釣れていたり。
残り30分程度。
もう一本釣りたい。
と、1m程度の手ばね竿で釣っていた右隣の釣人割烹さんが「キタ!」と叫ぶ。
おお。手ばねでかけたのか。すごい。
一瞬テンションがぬけたかとおもったら、まだついていたようで、ここから巻き上げる。
おー、ナイスマゴチ。いいサイズですねー。
手ばねで釣った価値ある一本。たまらんでしょうね。
ということで11時30分、試合終了。
見事ラストに大物を釣った土田さん
左舷でもアタリがありつつもボウズになってしまった人が、4人。
結果は船中21人でマゴチ13本。ボウズの人が10人。
竿頭はお二人で2本ずつという結果でした。
厳しい戦いだったー。
わたしの釣ったのは右から2番目。
厳正なるサイズ比べが行われている図。審判は「俺のマゴチが一番デカい」とうるさい模様
竿頭(数)のお二人中、釣人割烹さんが、手ばね竿で釣ったときの興奮をコメント。
同じく厳しいなかでマゴチを2本釣ったマエダさん。
確かレンタルタックルだったはず。すばらしい、お見事!
いつもは房総でバス釣りをしていて船釣りはじめてだったという土田さんは大物賞で大好きだというアブのリールをゲット。バス用のベイトリールでもソルトはできますが、やっぱりさびやすいですからねー。これで安心ですね。
レディース賞の落合さんは、見事はじめてのマゴチをゲット。2枚潮がキツメだったので、価値ある一本だったと思います。
こちらのじゃんけんはなんですか?
一番左の人の演技力
今回のイベントスポンサーをしていただいた、漫画「銛ガール」(電撃コミックスNEXT / 株式会社KADOKAWA刊 / 電撃大王にて連載中)をプレゼント!
銛ガールは、女子高生が魚釣りじゃなくて「魚突き(スピアフィッシング)」をする漫画なんですが、個人的に、突いた魚の命をもらうときに「おまえはうまい」というようなセリフがあるのが好きです。みんなも面白いので読んでみてね。
料理の部に移動する前に、有志のみなさんがマゴチの下処理を担当してくれました。
- 棘をカット
- うろことり
- 内臓とエラをぬく
- 頭部と棒身にわける
という工程。
みなさん、どうもありがとうございました。
料理の部
続いて、金沢八景から三浦半島を横断して逗子へ移動。料理の部へ。
13時ごろから準備スタート。
逗子ののせさんの庭には夏の間ヤギちゃんがいて、ゆったり草を食べています
会場は京急新逗子駅から近いレンタルキッチンスペース「逗子ののせ」さんをお借りしました。
我が息子「凪」もスタンバイ。ヘルメットが大きい。
おっさんになって三人横並びでリッツにハーブチーズをぬるという貴重な体験
リストランテORETSURIに3人ぐらいのおっさん仲間で参加するとこのようにリッツにハーブチーズをディップする担当が割り振られる仕様です。
ここからはざっくりつくられた料理を紹介していきます。
写真がないのもあるのですがね。
ではいきます!
ホンビノス貝の酒蒸し
まずホンビノス貝の酒蒸し。これは東京湾の千葉側でまつともさんがとってきたやつなわけですが、本人的には食べ過ぎて飽きたと。
が、常に食べてない人からすると、ハマグリみたいなもんなんですよ、ホンビノスは。貴重です。ご持参ありがとうございます!
鍋にホンビノスと安日本酒筑後盛とニンニクざく切りと、パプリカ。
ホンビノスからでた汁は締めのラーメンのスープに合流させることに
あとは弱火で加熱すると蒸し焼きに。
イタリアンパセリをかざって出来上がり。
逗子ののせさんは、備え付けの器が素敵でして、ホンビノスの白にこの黒い盛り皿はよく似合っているなと。調和。
ホンビノス貝の焼貝
つづいて、ホンビノスを一番シンプルに食べる方法。
それが焼貝。
イワタニの「炙り屋」を持参してバーニングですよ。おほほほ。
焼き担当は、逗子在住の扇谷さんや白石さんたちが担当。
一個焼き立てをもらったら、めっちゃうまい。
おっさんの好物・海鮮の炙り焼き
続いて、マゴチが釣れないことを想定して、先日釣ったマダコを6杯ほど持ち込んだんですが、これを焼き担当のみなさんがゲソ焼きにしてました。
国産マダコのゲソがたくさん。
買うと高いですからねー。
これを焼いては食べる。
食べては焼くというグループ。お酒もすすみますねー。
マゴチの薄造り
おい、マゴチの話はどうなったんだ。というわけですよ。
マゴチは料理上手の荒井さんを中心に料理されてました。
マゴチの薄造り。シャレオツ~
薄造り。
マゴチは寝かせるとうまいという魚ではあるんですが、当日たべても食感がコリっとフグのようでうまいなと。当日刺身にするときはポン酢などの旨みをすこし加えた調味料をつかうとよいと思います。
マゴチの白子ポン酢
マゴチの白子ポン酢。荒井さん作。
胆嚢の汁などがつかないように、丁寧にとりだした白子をさっと湯がいて、ポン酢をかけて薬味と一緒に食べる料理。
わたしもひと口もらったんですがクリーミーな白子にはポン酢がマッチ。マゴチの成魚は個体数的にオスよりメスのほうが多いので、なかなか手に入らないのが白子なんです。
マゴチの皮と胃袋ポン酢
こちらも荒井さん作。
今回はマゴチの産卵シーズンということもあり、エサをあんまりとってなかったようで、胃袋の中にはなにもはいってなかった個体が多かったとのこと。
胃袋の中身をきれいに出して、皮とさっと湯がいたものをポン酢で食べる知る人ぞ知るマゴチ料理。
ほんとうにうまいので、マゴチを釣ったときは胃袋と皮を廃棄するのはもったいないですよ。
マゴチのカマの煮つけ
つづいて、ほろよいのナカジマ氏による、マゴチのカマの煮つけ。
今回は大量のゴボウと炊きこんでもらいました。
こちらも人気であっという間に完売。
マダコのアヒージョ
ぶつ切りにしたマダコのゲソ。
こちらは下衆大将こと北條貢一氏担当のアヒージョ。
自慢の作品とのこと。
このように、リストランテORETSURIでは、料理が好きな人は豊富な素材をもとに、好きな料理をつくってみんなに「うわ、これ、おいしい!どうやってつくったんですか?すごい」といってもらえるイベントでもあるんです。
あれはいわれるとちょっとうれしいんですよね。
大人になるとほめられなくなりますが、やっぱり褒められるとだれでもうれしいもんです。
昨今、なにかと人を貶める世界ではあるんですが、たのしくお互いのよいところを誉めあって尊敬するってとても大切な気がします。
って、ちょっと真面目な話になっちゃいましたね。ね。
スミイカのチヂミ
こちらスミイカのゲソチヂミ。
リストランテORETSURIでは、みなさんがいろいろ料理できるように、わたしはあえて自分で料理しないようにして、アシスト役に徹しているんですが、ちょっとこのチヂミが放置されてたので、焼きの部分を担当することに。
チヂミも少量ずつ焼くと簡単なんですが、フライパンに分厚くつくると、ひっくり返すのがけっこう難易度が高いんです。
ホウボウの唐揚げとシロギスの天ぷら
こちらのシロギスとホウボウは葉山でボート釣りをしていたという黒崎さんたちがもってきてくれたもの。泳がせ釣りもやってたようですが、マゴチは出ずとのこと。
このように、いろんなところでそれぞれ釣りをして、いろんな獲物を持ち込むのも面白いですね。
ホウボウは骨格が扁平ですこしマゴチに近い存在。
ホウボウはひと口サイズにされて天ぷらに。
揚げたてをヒマラヤピンクソルトで、ハフハフいいながら食べるのがたまりません。
こちらは野菜天たち。
本郷さんの奥さんと落合さんがメインで揚げ方を担当してくださりました。カラっと揚がってますね。
ゴボウはサラダ用のクセがないものをつかったので、それほど火を通さなくてもソフトで香りが高く揚がってました。
極・マゴチのアラ炊き味噌ラーメン
つづいて、今回の締め。マゴチのアラ炊きラーメンをつくることに。
ほかにフライドマゴチなどがあったのですが、時間的に間に合わなそうなので、タレにつけこんだものを参加者のお土産にすることに。この日はマゴチも半量余っていたので、お土産が豊富でした。
マゴチは頭部と中骨をわって、血合いを流し霜降り処理をしてから長ネギの青いところと生姜と炊きだすことに。筑後盛と久米仙をドバドバいれておきました。
中骨もエキスが出やすいように手で折っておきます。
一旦霜降り処理。
熱湯をかけてから、流水で丁寧にアラを洗い上げます。
これで魚の臭みが出にくくなります。
その後、こんぶと長ネギなどと炊く。
炊く炊く炊く炊く、宅麻伸。
するとこのように、芳醇なスープができあがります。
ここにウェイパースープをブレンドして、動物系出汁とのハイブリッド状態にする。
事前に仕込んでいた沖縄豚の皮つき三枚肉の角煮チャーシュ。
これをスライス。
どんぶりに事前にブレンドしておいた味噌だれをいれてスープを注ぐ。
・・・
こちらは撮影用として、味噌を丼で溶かしてつくったもの
これですよ。
極・マゴチアラ炊き味噌ラーメンです。
白みそと麹量が多い味噌を各種香辛料とブレンド。体にしみいるシャキッとした味。メンマにくわえて、刻んでいれた「いぶりがっこ」がよく似合う。これは全国の味噌ラーメン屋は真似した方がいいと思います。
いやはや、魔法瓶にいれて冬場の釣りに持ち込みたい。
夏だからマゴチつけ麺もよかったなー。
小椀で味噌を溶くのが大変なので、あとは寸胴に味噌だれをいれてミソスープして注ぐことに。
スープが大量にあまったので、先着順に瓶とペットボトルにわけてお土産に。
これはそのままでも、白飯いれてもうどんいれても、うまいだろうなー。
まとめ
こちらはマゴチの卵。料理しきらず。お土産
ということで無事開催できたリストランテORETSURI7。
毎年のことながら6月、7月の梅雨時はマゴチの産卵期にかぶるんですね。こうなると餌を食べなくなる個体も増えてくるわけです。
もちろん一斉産卵するわけではないので、やる気のある個体もいるわけですが、6月から7月のマゴチ釣りはちょっと釣れないときにはまるとつらいものがあります。
確実なんてないんですが、より確度をあげたい人は4月、5月、もしくは7月後半ぐらいから9月ぐらいに釣りにいくとよいんじゃないかと思います。
そんなにたくさん釣っても食べきれないので、2、3本釣れば満足だとは思うですけどねー。