多摩川は東京と神奈川といった都市の間を流れ、駅から歩いて釣行できるポイントも複数あり人気の釣り場です。
今回は梅雨時から盛夏(5月~8月)に楽しまれているテナガエビ釣りのポイントについて紹介します。
都会の水辺で気軽に遊べる釣り物で、食べてもおいしいので、ぜひ休みのときにでも遊びにいってみましょう。
※筆者のおすすめは多摩川でもっともテナガエビがたくさん生息していると思われる④六郷橋上流です!
①「調布堰・丸子橋下流(JR鉄橋下」テナガエビはテトラ帯を狙う
丸子橋付近はJR鉄橋下(東京側)がテナガエビスポット
<丸子橋下流JR鉄橋下のポイント特徴と攻略法>
- テナガ密度:★(テトラ帯が狭く、近年は場荒れ気味)
- 最寄り駅:東急多摩川線「沼部」
- 釣り方:干潮時メインでテトラ帯を狙う
- おすすめの竿長:干潮時3m、テトラ上での釣り1.5m
<丸子橋付近の施設情報>
- 釣り餌屋:周辺になし
- トイレ:周辺になし(仮設トイレがグランドにありますが、女性には厳しい環境です)
テナガエビには純淡水で生きる「陸封型」と「降海型」がいます。
多摩川の場合は降海型です。
産卵・孵化にともない汽水域に幼生が拡散することを考えると、上流にいけばいくほど密度が薄くなっていきます。
これは多摩川でもよく釣れるウナギも同様です。
調布堰周辺はそもそも釣り禁止ですが、堰上流部は足元の水深が浅く捨て石やテトラ帯などが少ないためテナガエビ釣りには適していません。
丸子橋周辺でテナガエビを狙う場合、おすすめなのが下流にあるJRの鉄橋下です。
東京側に沈みテトラがあります。
周辺ではテナガエビやモクズガニが釣れるのですが、テナガエビは下流域ほど密度が高くありません。
ダボハゼとも呼ばれるヌマチチブやチチブの猛攻をうけながらの釣りになることがほとんど。
以 前は下流よりテナガエビ狙いの釣り人は少なくのんびり釣りができたのですが、近年は釣り客が増えています。
テナガエビが狙えるテトラ帯も広くないため、場荒れしがち。
狙って釣るためには、干潮時を中心に釣行して、以下のパターンで攻めましょう。
- 3m強の竿でテトラ帯の隙間を狙う(干潮時テトラ手前ではテナガはほぼ釣れない。満潮時は釣れる)
- 立ちこんで1.5m以内の短竿で足元をダイレクトに狙う(ほかの釣り人の迷惑にならないように留意)
夕まずめに、釣れたチチブやテナガエビを投げておくとウナギやナマズ、スズキ(セイゴメインだがフッコサイズも)が釣れることもあります。
尚、丸子橋付近は堰からの出水と、潮の干満の影響により釣り場の様相がかなり変化します。
調布堰上流。一定距離のエリアは釣り禁止。川崎側は浅い
②「ガス橋」のテナガエビは護岸の隙間を狙う
ガス橋は川崎側の護岸際(隙間)を狙う
<ガス橋のポイント特徴と攻略法>
- テナガ密度:★★★(シーズンインがやや遅い。ウナギも釣れる)
- 最寄り駅:JR南部線「平間」
- 釣り方:護岸の隙間の穴や杭周りを狙う
- おすすめの竿長:満潮時2~3m、干潮時1.5~2m
<ガス橋付近の施設情報>
- 釣り餌屋:とのむら釣具店(東京側)
- トイレ:周辺になし(セブン-イレブン川崎ガス橋通り店が物資購入も含めて便利)
ガス橋~大師橋までのエリアは多摩川テナガエビの主要ポイントとして人気。
川崎側に長く続く護岸があり、テナガエビのストックも豊富です。
下流の六郷などと比べ、テナガエビがよく釣れはじめるまでに季節的なタイムラグがあります。
川崎側からみたガス橋
ガス橋下(川崎側)からみた下流方面。満潮時は護岸が斜めで足場が悪い
テナガエビは護岸のブロックの隙間に生息している。穴釣り感覚で狙う
日中は護岸のつなぎ目の穴釣りがメインです。
隙間や点在している杭周りを一つ一つ狙っていきましょう。
曇りの日や夕まずめは、ブロックの上をテナガエビが歩く姿も目撃できます。
見えテナガエビを狙ったサイトフィッシングも楽しめます。
足元の水深は浅いのですが、全体的に足場が傾斜していて、雨後はかなり滑りやすいので注意が必要。
子供連れの釣行の場合は、橋周りの護岸より、ガス橋60mほど上流の「丸子ポンプ場」の排水口付近が比較的安全です。
丸子ポンプ場付近。満潮前後がおすすめ
ちなみにガス橋周辺には、ヘラブナ師が構築した違法建築物のヘラ台があります。
トラブルをさけるため、上にのって釣らないようにしましょう。
酷く朽ちているものもあり、落水の恐れもあります。
潮位によっては杭が露出する(ガス橋下流)
ガス橋上流側にはヘラ台があるが乗らない方が安心
③「多摩川大橋(国道1号線)」はテトラの穴釣り主体
川崎側のテトラ帯は広範囲に続き、東京側は橋のたもと付近のみ
<多摩川大橋下(第二京浜下)のポイント特徴と攻略法>
- テナガ密度:★★★★(女性や子供にもオススメの釣り場)
- 最寄り駅:東急多摩川線「矢口渡」
- 釣り方:テトラの穴を狙う
- おすすめの竿長:満潮時2~3m、干潮時1.5~2m
<多摩川大橋付近の施設情報>
- 釣り餌屋:なし
- トイレ:川崎側の土手に施設あり(多摩川河川交流センター、かわさきリバーサイドカフェ)
- 飲食店:テナガエビ釣りのあとは川崎側の中華料理屋六龍が人気
多摩川大橋は第二京浜下(国道1号線下)とも呼ばれるポイントです。
東京側・神奈川側ともにテトラ帯があり、テナガエビも多く生息しています。
どちらかというと川崎側がおすすめで、河川敷が広いため水辺まで少し歩きますが、多摩川河川交流センターや、かわさきリバーサイドカフェがありトイレなども便利なため女性や子供連れにもオススメの釣り場です。
テトラ帯も東京側より長いため、混み合いにメリットがあります。
潮の干満によりテトラの露出度が変わるため、長短2本の竿(もしくは長さ調整ができるのべ竿)があればよいでしょう。
テトラはすべりやすく安定していないため、子供にテナガエビ釣りをさせる場合は、テトラではなく護岸から3メートル程度のべ竿で遊ばせると安全です。
多摩川大橋川崎側。テトラがあり、穴釣りでテナガエビを狙う
④「六郷橋上流」は多摩川随一のテナガエビ釣りポイント
神奈川側のJR付近から上流のテトラ帯がメインポイント。京急~六郷橋間と六郷橋下流も釣りが可能
六郷橋上流川崎側。干潮時は護岸足元が露出してしまうので満潮前後にテナガエビを狙う(工事が行われテトラ帯になった)
<六郷橋上流のポイント特徴と攻略法>
- テナガ密度:★★★★★(多摩川テナガエビ釣りの主戦場。最大サイズ全長20cm~もよく釣れる!)
- 最寄り駅:川崎駅or京急六郷土手
- 釣り方:テトラの穴もしくは護岸際の隙間やゴロタ石の間を狙う
- おすすめの竿長:満潮時2~3m、干潮時1.5~2m
<六郷橋上流付近の施設情報>
- 釣り餌屋:上州屋川崎東口店(駅から歩くと多摩川の反対側でやや遠回り)
- トイレや物資の補給:近隣スーパー(オーケーストア川崎本町店)
- 飲食店:川崎駅周辺で購入しておくことをオススメします)
六郷橋上流はJRと京急の橋が3本あり、川崎側にはテトラ帯が広がり、東京大田区側には護岸エリアが広がっています。
テトラを中心に多摩川でも最も多くのテナガエビが生息しています。
これまで多摩川で幾度となくテナガエビ釣りをしてきましたが、テナガストック量はこの六郷橋上流エリアが最大です。
地形的に多摩川が大きく蛇行するため、流下物(餌)がたまりやすいのかもしれません。
テナガエビを釣る釣り人が一番多いのにもかかわらず、エビの逃げ場も多いため釣り切られていません。
東京側は最寄り駅が京急の六郷土手、川崎側はJR川崎駅ならびに京急川崎が最寄りです。
はじめての釣行は川崎側からが便利で、多くのテトラが投入されています。
東京側は水辺まで歩くとやや時間がかかり、川崎側も駅からやや歩く(JR川崎駅から徒歩15分程度)という立地。
このあたりの特徴として、河川で生活している方も多いので、安全面や臭い問題等を気にされる方もいるかもしれません。
気になる場合は、東京・大田区側のほうが影響は少ないといえます。 東京側はアクセス面からか人が少ないのですが、護岸の隙間を的確に狙えばかなり釣れるのも確かです。
六郷テトラ帯(京急線上流)でのテナガエビの釣り方
JR鉄橋下は大き目テトラが入っている。テトラと護岸の際や穴を狙う。外側は見込み薄
満潮時も干潮時も、テトラの外側ではなく内側を釣ります。
水深が30センチ程度あればテナガエビは生息しています。
同じようなポイントが続いていますが、条件が良い穴にはエビが集まっているため、1尾釣れた場合は粘るのも効果的です。
個体数が多い場所では数十尾釣れることもあります。
干潮時はテトラの間をのぞくと、テナガエビがテトラにはりついているのが見えるため、見釣りをするのが効果的。
JR鉄橋下付近のテトラ帯には大型のテナガエビも多い
このエリアでは、20センチ強の多摩川最大サイズのテナガエビ(通称「多摩川バルタン」)が生息しています。
ハリスが細すぎたり、待ち時間が長すぎると穴に潜られたり障害物に巻かれて切られることもあります。
穴釣がメインで、テトラの外側は釣りにならないため1.5m以内の短めの延べ竿が便利。
あまり長い竿は持てはあましてしまうので注意しましょう。
穴の隙間をピンポイントで狙う。基本的に仕掛けは底につける
基本的にこのエリアはテトラの上にのって短竿で穴釣りをするのがメインです。
テトラは滑りにくいもののサンダルなどをさけ、グリップの強い靴をはいて挑戦するとよいでしょう。
お子様連れの場合は下流の護岸エリアが安心です。
テトラエリアにはウナギがいることも
護岸エリア(六郷橋上流と京急線の間)での釣り方
満潮時を中心に足元や葦際を狙うのがコツ
六郷橋上流は長く続く護岸エリアであったのですが、 護岸工事によりテトラ帯が増えました。
テトラがなく竿を出せるエリアでも捨て石(ゴロタ石)や投棄されたゴミが多くころがっており、その間にテナガエビが生息しています。
干潮時は護岸エリアはほぼ干上がってしまい、テナガエビは沖目に移動してしまいます。そのため満潮前後に釣りをしましょう。
干潮時は上流のテトラ付近に水深があるのでそちらで釣りをするのがオススメです。
満潮時は水門や芦際などの捨て石や、護岸の隙間、割れ目を狙うと効率的にテナガエビを釣ることができます。
川崎側の護岸上から釣る場合、足場がやや高いため2メートル程度の竿が最適です。
護岸エリアは足場がよいため、子供連れ釣りにもよいでしょう。
護岸の上はウナギのペットボトル釣法に最適。が、根がかりが多い
テナガエビ釣りをしつつ、護岸の上からペットボトル釣法やブッコミ釣りでウナギやシーバスも釣れますが、一帯はかなり根がかります。
またこのエリアで釣れるウナギはかなりサイズが小さいことが多く、釣り鈎を飲まれていない限りリリースするとよいでしょう。
⑤味の素裏(前)
<味の素裏のポイント特徴と攻略法>
- テナガ密度:★★★★★(多摩川テナガエビ釣りの主戦場その2)
- 最寄り駅:京急大師線鈴木町
- 釣り方:テトラの穴をねらう
- おすすめの竿長:満潮時2m、干潮時1.5m
<味の素裏付近の施設情報>
- 釣り餌屋:上州屋川崎東口店
- トイレや物資の補給:イトーヨーカドー 川崎港町店
- 飲食店:イトーヨーカドー 川崎港町店
「味の素裏」は「味の素前」とも呼ばれる有力テナガエビスポットです。
広大な「味の素」の事業所裏に広がるテトラ帯が釣り場です。
人気の六郷橋付近と比べると釣り人が減り、長いテトラ帯のおかげで釣り座には困りません
⑥六郷水門もテナガエビの有名ポイント。葦際に大物がいる!
<六郷水門のポイント特徴と攻略法>
- テナガ密度:★★★★(水門周り)
- 最寄り駅:京急 雑色駅
- 釣り方:葦際、護岸際の隙間や水門周りを狙う
- おすすめの竿長:満潮時2~3m、干潮時1.5~2m
<六郷橋水門付近の施設情報>
- 釣り餌屋:つり具の上州屋 蒲田店
- トイレ:近隣スーパー(オーケーストオーケー 南六郷店店)
- 飲食店:近隣スーパーで購入しておくことをオススメします。
六郷水門付近は干潮時にも水深が確保されていて、芦などのストラクチャーが多いため、付近のテナガエビが集まるポイントです。
満潮時は護岸エリアでも釣れますが、干潮時はエビが移動するため、水門付近を狙いましょう。
水門エリアは同じポイントで延々と釣れることもあるのでよく釣れる場所をしっかり見極めて釣るのがコツです。
地元のテナガエビ釣り愛好家が愛するポイントでもあるので、挨拶をしながらいろいろ聞いてみるのも一つ。
同じ水門まわりでも、竿を出すポイントによって大きく釣果が変わる場所でもあります。
⑦大師橋周辺は満潮前後にテナガエビが狙えるポイント
<
オススメ度★★★
東京側の羽田第二水門付近が主要な釣り場です。捨て石周りを狙って釣りましょう。
大師橋下付近は、流下してきた土砂の堆積により干潮時になるとほぼ干上がります。
この釣り場でテナガエビを釣るのであれば、アクセス面も含めて上流の六郷エリア~味の素前で釣ったほうが釣果があがるはずです。
満潮時の夕まずめから夜間はセイゴからフッコクラスのシーバスも釣れます。
また、付近の砂泥をかき分けると、しじみがとれるので、あわせて釣行するのであればオススメな釣り場です。
大師橋より河口の海老取川との合流部までのエリアでもテナガエビは釣れますが、やはり六郷エリアより釣果は落ちます。
8月以降のハゼ釣りを合わせての釣行であればオススメです。
まとめ
今回は多摩川でテナガエビを狙うための釣り場を紹介しました。
毎年6月前後には多くの釣り人が集います。
ポイントが複数あり、迷いがちですが、はじめての場合は六郷橋上流からJR鉄橋付近を釣れば、まず間違いなく釣果を上げられるはず。
テトラの上での釣りは危険を伴うので十分に注意しましょう。
子供連れの場合、落水の備えてライフジャケットを着用させてあげるのがおもいやりです。
多摩川でのテナガエビ釣行・釣り方解説記事
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