冬の海でおかっぱり釣りをするというのは、ハードなものですね。
地域によってもことなりますが、多くの魚が深場にいる状況で狙って釣れるとしたら、メバル、カサゴ、セイゴあたりがメインになってくるかなと。
そんな釣り物が少ない冬のおかっぱりだからこそ釣れるターゲットがいます。
ヤリイカ。
今回は、冬の堤防から釣れるヤリイカの生態や、堤防などのおかっぱりからヤリイカを釣る方法について解説します。
イカ釣りは、意外と身近な釣り場で狙え、釣れるまではしんどいかもしれませんが、いざ釣れてしまえばどんどん釣れるものです。
釣りたてのヤリイカは透き通って甘くて、丸ごと料理できますので、ぜひチャンレンジしてみましょう!
ヤリイカとは?
ツツイカ目ヤリイカ科ヤリイカ属。
英名も、Spear squid(ヤリイカ)。主に北海道以南の本州に生息しています。
名前の由来は、エンペラ部分と胴の先端が槍のようにみえるからと言われています。
スルメイカやアオリイカと比べると、胴の長さに対して触腕がみじかいところが特徴で、最大で外套長50㎝以上まで成長し、雌より雄のほうが大型になります。
通常は深場に生息しているので、沖釣りのターゲットとして有名なヤリイカ。
実は、1月~4月中ぐらいに沿岸部の岩礁地帯に産卵活動をで集まるため、おかっぱりでの釣りのターゲットとして親しまれています。
寿命は他のイカと同じで1年間といわれており、産卵活動後は死に、他の海洋生物のエサとなります。
エサは、イワシ類・アジ・キビナゴなどの小魚がメインです。
おかっぱりからヤリイカが釣れるシーズンと場所は?
地域にもよりますが、ヤリイカが産卵によって沿岸部によるシーズンが1月~4月なので、この期間に釣りをするようにしましょう。
注目する必要があるのは水温です。
ヤリイカの産卵海域の水温は小樽近海で平均10.2℃(10m層)(諌早、1934a)、 青森で7.6~13.6℃(青森水試1988)、
島根で13~16℃(底層)(大野ら1982)であり、概ね8~15℃の範囲である。 また、産卵盛期のヤリイカは水温に敏感で 、
福島沿岸では10℃付近 を下限にしてこれ以上の海域に移動する(松井、1974)といった報告もあり、防波堤など構造物へ 来
遊するヤリイカ産卵接岸群も地域の水温条件の影響を受けると考えられる。
ヤリイカは本州以南の場合、12月以降に水温が15度以下に下がると産卵を意識して浅場へ向かうとされ、海水温が下がっていないと群れが接岸しません。
特に黒潮蛇行の影響をうける海域の場合、年によっては2月になっても海水温が下がらない場合もあり、その場合は3月になってから釣れはじめるということもあります。
足場の良い堤防でも十分釣れますが、堤防の周りに岩礁帯があるところを見つけましょう。
具体的なポイントの選定ですが、まず釣り場のポイント解説本で調べたり、Googleマップの衛星写真で現地付近が岩礁帯であるかをしらべて目星をつけます。
その後、現地にいき堤防上に墨痕がついていればヤリイカが釣れている可能性が高いといえます。ちなみにヤリイカの墨痕は、スミイカと呼ばれるコウイカよりかなり控めです。
アオリイカとヤリイカの力関係
ヤリイカが狙えるところは、条件が重なるためアオリイカのポイントでもあることが多いのですが、沿岸に集まるヤリイカは大量に群れているからか、ヤリイカのほうが場を制圧している力は強いようです。
こういった理由からか、ヤリイカがたくさん釣れている時期はアオリイカは少し離れたところにいってしまうようでなかなか釣れません。
もし狙ってアオリイカを狙いたい場合は、遠投をするなど工夫が必要です。
ヤリイカ釣りのタックル
ルアー(エギング)
近年ではヤリイカもアオリイカやコウイカ同様にエギングで狙う人が多いといえます。
エギングタックルは、ライトクラスがちょうどよいのですが、メバリング用のウルトラライトクラスでも問題なく釣りをすることができます。
※エギの重さを考慮すればメバリングロッド×ラパラのジグヘッドエギでも十分成り立つ釣り。
ロッド
ロッドの長さは7フィート前後が使いやすいですが、アタリが遠のいたときに群れをおって遠投することで釣果が伸びることもあるため8フィート以上のものをつかっても大丈夫です。
ヤリイカは、釣りあげてみるとわかりますが、短足で身切れしてしまうこともしばしばです。
固めのロッドよりは、ヤリイカの引きを吸収できるような調子の竿を選びましょう。
リール
リールは、ロッドにあった番手であれば問題ありません。
2000~2500番台のスピニングリールが一般的で、高価なものはまったく必要ありませんが、夜間の釣りがメインなので、トラブルが少ない使いなれたものを選ぶとよいでしょう。
ライン
ラインは、飛距離を考えてPEライン0.6号が程度が最適です。1号以降の強度は必要ありません。
夜間の釣りということもあるのか、意外とPE直結でも喰いは変わりません。
ドラグ調整をしておけばPEラインのみでもよいでしょう。
リーダーはフロロカーボン2号8ポンドクラスが中心です。
エギ
シーズン当初はヒイカ用など2号以下のエギの食いがよいですが、3号、3.5号のエギやダイソーの100均エギでも、ヤリイカは十分抱きついてきますので、状況に応じてそれぞれ使い分けてみましょう。
夜間の釣りということもあり、カラーはグロー系が効果的です。蓄光アイテムを持参しながら釣ると釣果もあがっていきます。
餌巻きテーラー仕掛け
ヤリイカをエサ釣りで狙う場合は、活きアジをつかった泳がせ釣りや餌巻きテーラーを使った釣りがあります。
「テーラー」はイカヅノとも呼ばれるのですが、針金で塩漬けしたササミやキビナゴなどを巻き付けて釣ります。
ヤリイカが抱きつくときに、ササミやキビナゴの触感からしっかり抱き着くといわれ、エギングをする人においても針金を持参してエギにササミを巻き付けて釣果を上げる人もいます。
また餌がまきやすいような形状をした餌巻きエギというジャンルのエギも市販されています。
エサのササミについては、カンナ付近手前までしっかり覆うように巻き付けると針がかりがよくなるとベテラン釣り師はいいます。
この餌巻きテーラーをつかった釣りの場合は、電気ウキを利用し、竿は磯竿や投げ竿などを使います。
ウキ下は、水深や状況にもよりますが、海面から2メートル程度から海底から1メートル上、付近まで広く誘うとよいでしょう。
※エサ釣りの場合、アオリイカを合わせて釣る目的で活きアジ泳がせ釣りという方法もありますが、手返しを考えると餌巻きテーラーかエギングに軍配があがることが多いようです。
ヤリイカの釣り方
まず、夜釣りであれば釣り場には夕方明るいうちに到着し、現地の様子をよくみておきましょう。
夜釣りはトラブルが多い釣りです。根の位置や岸壁のロープ、堤防上の障害物などの状況を把握してから釣りはじめるとよいでしょう。
ヤリイカのポイントはベイトと呼ばれる小魚の集まる常夜灯や潮通しのよい堤防先端部分です。
人気のある釣り場で、ヤリイカが釣れている場合は、こうしたポイントにはいつも釣り人がいるかと思います。ポイントに入るときには常連(地元)の釣り人に挨拶がてらいろいろと聞いてみると、スムーズに釣れることが多いでしょう。
ヤリイカは時合の釣りで、夕まずめに釣れたあとは、回遊に波があり、そこかしこで釣れたり釣れなかったりします。この回遊のときに集中して釣りをすると釣果がUPします。
エギングでも餌釣りでも変わりませんが、それほどロングキャストは必要ありせん。堤防から30、40メートル手前のところをヤリイカは回遊しており、エギをおって堤防直下までやってくる個体もいます。
ちなみに、夜が白んでくると、ヤリイカのアタリはぐんとなくなることが多いようです。
ライトエギングの釣法
エギングの場合は、キャスト後に着底させその後はゆっくりしゃくって、フォールのときに抱かせることを意識します。
アオリイカのように強くしゃくらなくてもよく、キャスト後、一定スピードでただ巻するだけでもエギを抱いてくることもあります。
ヤリイカは岩礁帯付近を回遊しているわけですが、底付近を狙うと、どうしても根がかりが増え、手返しが悪くなるということを考えると、あらかじめ当日のタックルでの着底時カウントをとっておき、着底前にシャクって一定層をキープするような釣り方がトラブルもすくなく楽しめることでしょう。
中層から表層付近までアタリがでることもしばしばですので、あたりが出るところを広く探ってみましょう。
餌巻きテーラーの釣法
エサやガルプなどをしっかり巻いた餌巻きテーラーをキャストして、潮になじませましょう。
電気ウキは錘のサイズにあわせたぎりぎりの浮力にしておくと、なんらかアタリがでたときにわかりやすいです。
アタリがでる位置(ヤリイカが回遊するライン)とタナを探りつつ、アタリがでたら集中的に同じ場所にしかけを投入します。
アタリがあるとウキが沈んだり、横に移動するので、軽く竿をあげてヤリイカの重さを感じながらゆっくり一定の速度で巻いてきましょう。
このとき、強く合わせたり、急いで巻きすぎると、脚が身切れしてしまうこともしばしば。また、釣りあげるときは、道糸の巻き上げをとめるポイントと、どこにイカをあげるかを事前に押さえておくよいでしょう。
ヤリイカの釣果をもっと上げる方法
では、ヤリイカの釣果を上げる方法をもうすこし考えてみましょう。
ヤリイカが「今」釣れるところにいく
これはどの釣りでも当たり前のことですが、ヤリイカが釣れているところに釣りに行きましょう。インターネットでの情報収集だけでなく、現場での情報を大切にし、しっかり他の釣り人と関係をつくっておくと、たどり着けるはずです。
平日の夜に釣りいく
これもよく知られているものですが、堤防のよいポイントを押さえるだけで釣果はだいぶ変わってきます。
複数名で釣行し、堤防の異なる位置で釣り、適宜場所をチェンジする
堤防の形状にもよりますが、常夜灯がある堤防が沖に突き出ていて左右に海がある場所の場合は、この堤防まわりをヤリイカがぐるぐると回遊します。
こういったポイントでは回遊がなくなるとパタッと釣れなくなり反対側で釣れ始めたりします。
単独釣行では難しいかもしれませんが、複数人でばらけて釣る場合は、そのとき釣れているポイントを察知しやすく、長い時間釣り続けられることでしょう。
エギに餌を巻く
エギに餌を巻いたものを邪道エギとも呼ぶ人もいます。
エギの釣りではどうしても抱き方が甘いときがあるのですが、細い針金を束ねたものと塩で締めておいたササミをジップロック等で持参しておけば、状況の変化に応じて、釣果を上げ続けることができます。
他の釣り人とポイントに大差がないのに、相手が釣れ続けている場合は、タナやルアーのアクションやエギのカラー以外にも原因があると考えるのも一つの手です。
エギマックスを使う
最近では、エギにニオイをつけるようなアイテムも登場しています。
どこまで効果があるかは不明ですが、すこしでも釣果を上げたいという人はチャレンジしてみるのもよいでしょう。
防寒は万全?
厳寒期の夜間の堤防釣りはとても寒いです。ほんとに寒いです。
インナーやホッカイロだけでなく、暖をとれるアイテムなどをもっていくと、長時間集中して釣りができることでしょう。
<真冬のあったかアイテムなどの記事>
ヤリイカの食べ方
ヤリイカは、イカのなかでも食味が最上級に位置すると言われています。
味わい深く、身も柔らかい。生でも加熱しても美味しくいただけます。
メスの抱卵した個体は卵も美味しい。
刺身
アオリイカの甘みには劣るが、甘みがあり、とても上質な身。
寄生虫アニサキスによる食中毒を避けるためには、胴部分の皮をむき、あかりに透かしながら円形のアニサキスのコロニーがないかチェックしてから刺身にするとよいでしょう。
気になる人はジップロックにいれて冷凍庫で2日冷凍してから、流水解凍してから刺身にするとよい。イカは冷凍しても味や食感が落ちにくいという特徴があります。
ヤリイカ茶漬け
白飯か焼きおにぎりにヤリイカの刺身をのせ、だしなどをかけたもの。
さっぱりしておいしい。飲んだあとにも最適!
ヤリイカキムチ
ややパンチの効いた味や酒のつまみをもとめている人に最適。
塩分を強くして、ヤリイカの水分を抜けば1週間程度は保存できるメリットも
ヤリイカの沖漬け
釣り場に以下の材料をまぜたペットボトルとジップロック(大型)をもっていく。
<沖漬けのつけダレ>
- みりん
- 醤油
- 昆布だし
- 砂糖
- 島唐辛子or鷹の爪まるごと
※味は甘じょっぱくなっていればいい。好みでどうぞ。
まず、ヤリイカを釣りあげたら、沖漬けのたれを注ぎ大型のジップロックにいれる。
次にイカの胴を持ち、地面に向けて逆さにすると墨や海水を吐く。このあと、ヤリイカをジップロックにいれて呼吸させると沖漬けのたれを吸い込む。
これを持ち込んで刺身同様料理すればいい。
※アニサキス中毒の防止にはならないので、気になる人は前述の冷凍処理をすることをオススメします。
※活かし魚篭とエアレーションを用意しておき、まとめて釣ったものを最後に沖漬け処理するほうが時合は逃さない。
ヤリイカ納豆
納豆をよく混ぜ合わせたあと、ヤリイカの刺身をいれてさらにまぜる。好みで刻んだ大葉をいれるとさわやかで美味しい。ご飯にかけてかき込むのも幸せを感じる一品。
炒め物
ヤリイカをはじめとしてイカ類は捨てるところがあまりない。胃内容物とクチバシの固いところ以外は墨袋も含めて刻んで好きな野菜と炒めると実にうまく、白飯によく合います。
※残った炒め汁でリゾットをつくったり、トマト系のソースと合わせてパスタソースにしても実に美味
イカ焼きそば
焼きそばに、ヤリイカを使うという贅沢な一品。旨いわけがないですよね。
イカフライ(カラマリ)
魚介料理をしていると、身体が油を求める時があるはず。そんなときはこのようにイカフライにするとよいでしょう。衣に味をしっかりつけてレモンをしぼって食べたり、衣にはほとんど塩味を付けず、ソースをつけて食べるのもおすすめ。
イカメシ
50センチ強のヤリイカをそのままイカメシにするのも豪快でうまいです。
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