たのしい海釣り。今回は堤防釣りのマナー編に続いて、船釣りや沖釣りと呼ばれる釣り船(乗合船)での釣りのモラル・ルール・マナー・慣習についてまとめた。
船釣り初心者の方はもちろん、釣りについては玄人でも、マナーについては初心者といわれないように参考にしていただければと思う。
船宿予約後のルール・マナー
ドタキャンをやめよう
船宿が保有する船の台数と釣り物の内容、船長の人数によって、船宿が1日に得られる収益は限られている。
予約が充足した時点で船宿側は他の予約を断らなくてはならない。
こうした状況があるにも関わらず、直前で予約をキャンセルしたり無断キャンセルすることは、社会人としてルール違反であることを理解しておこう。体調不良などでどうしてもキャンセルしなくてはいけないときも必ず連絡して相談しよう。
※どの船宿にもキャンセル規定がある。予約前にチェックしておくとよい。中には費用保証があるところも。
ぶっつけ本番の釣りはやめよう。備えあれば患いなし
当日ぶっつけで船宿に行くことはやめたほうがいい。事前に以下のことを把握してからしっかり準備して当日を迎えよう。
- 釣り物向けのタックルと仕掛けの指定(仕掛けの種類・オモリ号数・PEライン号数・餌の種類)
- 初心者の場合、現地で購入やレンタルできる備品や準備について
- 車の方は駐車場の場所やキャパシティ
- 集合時間について、電車でぎりぎり到着の場合は事前相談しておこう。(船長によるレクチャーなどがあることも)
※仕掛けは前日の釣果などをふまえて狙うタナや魚が変わることもあるのでできれば確認しておきたい
出船確認をしよう
釣り船は気象状況、船体のエンジントラブル、船長の体調不良(小規模の船宿の場合)によって出船しないこともある。出船確認はウェブページやブログで確認できるが、サイトがない場合は船長に直接電話確認するなどのステップが必要。
確認タイミングは前日夜と当日朝だが、出船直前まで様子をみてから出船を見合わせることもある。
釣行当日のルールとマナー
出発前にタックルや装備を確認しよう
釣りに必要な装備は十分だろうか。
釣行当日は朝が早いことが多く意外と忘れ物がでてくる。個人のチェックリストを作成して前日までに準備は完了しよう。
足元については滑りやすい履物をはいていくと、自分だけでなく他の釣り人へも迷惑をかけてしまうことがある。滑らない靴を用意しておこう
<乗合船の持ち物チェックリスト>
□酔い止め
□ライフジャケット
□釣り竿とリール
□仕掛け(オモリやしかけもまとめておいてそっくり忘れることもある)
□長靴・サンダル等
□雨具
□昼食(1日船の場合)
□飲み物
□日焼け止め
□防寒グッズ
□財布
釣り物ごとに異なる集合時間を守ろう
乗り合いの釣り船はいろいろな人が集まる。
集合時刻に数分遅れても、待っている側からすると相当なストレスである。時間はきっちり守ろう。
多くの船宿の場合、集合時刻と出船時刻まで1時間程度の開きはある。
電車や交通渋滞によって到着が遅れそうな場合は事前に船宿に相談しておくと便宜をはかってくれる場合がある。
できれば集合時刻の30分前には船宿に到着して、支度をすませて、まわりの釣り人や船宿スタッフとコミュニケーションをとるのもよいだろう。
船宿では乗船前に、料金を払うだけでなく乗船名簿を記入する必要がある。
また、道具に不足がある場合、レンタルタックルや仕掛けを購入するなどの準備も必要だ。バタバタしないようにしたい。
なれない釣りで出船前にレクチャーを受けたい場合も事前に申し出た上で、できるだけ早めに到着したい。
船の釣り座について
船の釣り座の確保方法については、船宿のルールによってことなる。予約時に確認して対応しよう。
多くは以下の通りの方法で決まる
- 早い者勝ち(指定場所にクーラーボックスをおくタイプor席札をとるor電話予約時に確定)
- 船長の指示に従う(角席の4つは常連優先であり、初心者の場合は操舵室の脇など船長の目の届く場所を確保してくれることが多い)
※全体的にみると釣り座は早い者勝ちの船宿がほとんど
船長の指示があるまで乗船しない
沖釣りにいくと異様にテンションが上がってしまうことがある。
せっかちな人の場合、船長の指示なしにずかずか乗船してしまう人もいるが、橋渡しの準備が十分でなかったり季節によっては桟橋や船べりが凍結していて、スリップして桟橋から落ちてしまうこともある。特に冬季や降雨時の釣行には注意いしたい。
先をはやる気持ちをできるだけ落ち着かせ、船長や中乗りスタッフの指示とともに乗船しよう。
乗船中のルールとマナー
乗船したら両隣や船長・中乗りスタッフにあいさつしよう
半日船・一日船によらず、同じ船にのる釣り人についてはお互いできるかぎり気持ちよく過ごしたいものだ。
まずは両隣の釣り人や、船長・中乗りスタッフに挨拶をしておくとよいだろう。
挨拶というものは、あとからするのも何かと気まずくなってしまうものなので、乗船してすぐに行うといい。
「おはようございます。今日は、よろしくお願いします」
「おはようございます。この釣りは初心者なのでご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。よろしくお願いします」
相手が常連や船長の場合は、
「おーす。よろしくー」というような返事が返ってくるだろう。
筆者の経験上9割は気持ちよい挨拶が返ってくる。
また、船内で必要な道具などは積極的に他人の分もとりにいき、周りの人へ配る手伝いをすることでコミュニケーションが自然とうまれていく。
一方、世の中いろいろな人がいる。
しっかり挨拶をしても、なんの挨拶も返ってこない場合や、なにがあったのかわからないが敵意がむき出しの釣り人に遭遇することもある。
こうした方の隣りに座る場合は、難癖をつけられるなど、なにかとトラブルを誘発しがちなので、オマツリなど特に注意して釣りをするとよいだろう。
釣り座に余裕がある場合は、てきとうに理由をつけて船長に相談の上移動するものおすすめだ。
できるかぎり無用なトラブルは未然に賢く回避したいものだ。
船釣りではType-A形式のライフジャケットを必ず着用しよう
手漕ぎボート等の釣りと比較すると遊漁船は船舶規模にもよるが波風に対しても安定している。
一方、船同士の衝突による落水や船上火災によって海に避難することは実際にあるので常にライフジャケット(TYPE A)を着用して釣りをするようにしよう。
※国土交通省は関係法令を改正し平成30年2月から桜マーク付きのライフジャケットの着用が義務付けられています。
船宿ではレンタルのライフジャケットが常備されているが、マイライフジャケットを用意してもよいだろう。
PEライン・オモリ・仕掛けは指定のものをつかおう
狭い釣り船では、釣り物・仕掛け・混み具合や潮の流れにもよるが、すぐにオマツリが起きる。
PEラインやオモリや仕掛けを船長が指定している理由は、釣果を上げること以前に、混雑のなかでもオマツリをできるかぎり起こさないようにするためだ。
事前に指定の号数を確認しておき、現場でもポイントや状況の変化に応じて船長の指示に従おう。オモリが一人だけ指定号数より軽かったり重かったりするとオマツリを発生させる主要人物になってしまう。
尚、オモリは号数だけでなく形状による制限もあるので注意したい。スタンダードなオモリ以外は潮受けしやすいことがあり、特に深場の釣りで二枚潮がひどいときは毎回オマツリの原因になる。注意しよう。
勝手に釣り方を変えない
乗り合い船に乗っていると、お金をはらっているんだからいいだろうと、自分が好きな釣り方を躊躇なくやって、オマツリを繰り広げてしまう人がいる。
定められた本命の釣りでなかったり、コマセ餌でアジ釣りをする船で、泳がせ釣りなどを勝手にやることもトラブルを誘発しがちだ。小物釣りの場合、サメなどの魚がかかり、本命の魚を散らしてしまうことがある。
エサ船でのルアーの利用も同様。釣り座やハリスの長さ・号数等に配慮しつつ船長に許可をとってから行うとよい。
船長や中乗りスタッフの指示には従おう
釣り船では狭い範囲でたくさんの釣り人が釣りをする。また、海は一つ間違えば死亡事故等につながることもある。
釣り方等の指示については、素直に船長や中乗りの指示に従おう。
船の移動時には着席しておこう
釣り船が移動する際はかなり揺れる。
このとき歩いていると、落水の危険があったり、よろけて他の釣り人にぶつかってしまったり、釣り道具を踏みつけて破損させてしまったりする。
船釣りは高額な道具も多いので注意が必要だ。船が移動するときはおとなしくしておこう。
特にトイレなどは乗船前にすませ、乗船後は流し中+釣れない時間帯等の頃合いをはかってすませておこう。
地域独特のルールをまもろう
釣りをする海域によってコマセの量や種類、つけエサについて、サビキの本数制限、コマセ籠の大きさ等にルールが設けられていることがある。
こうした情報は事前に把握できるので、ルールを外した自分のスタイルのごり押しはさけて留意して釣りをしよう。
<参考>
船の設備に勝手に触れないようにしよう
船にはロープや流し用のマスト等が常備されている。
これらのロープ等が緩んだりすると手や道具が挟まれたりして危険であることもある。これらに勝手に触らないようにしよう。
クーラーボックスや私物の置き場所によってはこれらの備品と干渉する可能性がある。
この場合、船長から指摘をうけることもあるが、素直に移動しよう。
釣り座は勝手に移動しないようにしよう
まじめな船長は操舵室から船全体を見回して安全面だけでなく様々な状況判断をしている。釣り座を移動されると釣況の把握がしにくくなったり、なにかと問題になることもあるので、無断での移動は慎もう。
例えば船長によっては釣り座ごとの釣果の把握や、釣れてない人のために流し方を変更したりする。
どうしても移動したい場合は理由を言って船長に相談してからにしよう。
船べりにものを置かず腰掛けないようにしよう
船は揺れるので、なにかの拍子に落水する危険もある。船べりにはものをおかず、腰かけるときは座席に座ろう。座席は固いためクッションがあるといい。
釣り道具類は船べり下部のスペースや、座席におこう。無くしたくないものは尻手ロープなどを活用してもよい。
特に、針を外す小型のプライヤー類は船べりから落下させやすいものの一つ。
また、冬期のカワハギ釣りなどキャストがともなう釣りで手がかじかんでいて、エサのぬめりによって滑るような釣りはタックル一式を海に落としてしまうということも実際によくある話だ。
貸し竿を使うときは丁寧に使おう
ほとんどの船宿で安価に貸し竿をレンタルすることができるが、借りているものだからといって粗雑に扱わず丁寧に扱おう。そのレンタルタックルがあるからこそ助かる次の人がいるわけだ。
小銭を用意しておこう
おもったより仕掛けを消耗したときや、餌を追加で購入するときなど、船長から直接購入することが多い。この場合、大きな金額ではなく小銭を用意しておくとスマート。
多くの仕掛けは錘が100~300円程度。針つきの仕掛けが200~500円程度。エサは一尾100円等が多い。このあたりは乗船時に聞いてポケットやジップロックなどにいれて用意しておこう。
オマツリをできるかぎりさけよう
船釣りで対人トラブルになりやすいのが、他人と仕掛けが絡む『オマツリ』だ。
手前マツリといって自分の仕掛けが絡む場合には、海からあげてしまえば誰にも迷惑が掛からないが、誰かと絡むオマツリは必然的に相手の釣る時間を奪ってしまうことになる。
一方、オマツリは過失の度合いはありつつも、「お互いにオマツリしてしまったのでどちらが悪いというわけではない」と考えたほうがストレスなく解決できる。
こうした場合も、朝一の乗船時にしっかり挨拶をしておけばそれほど深刻なトラブルにはならないだろう。
初心者は、オモリの底立ちをしっかりとる(取り直す)等意識して釣りをするとよいし、わからなければ遠慮なく船長や中乗りさんやお隣さんに教わろう。
またトラブルがおきたらすぐに、どっちが悪いでなく、お互いに「すみません」「ごめんなさい」と声掛けするとよい。だまってやり取りしたり、勝手に一方の仕掛けや道糸のPEラインを切断することは控えたい。
<乗合船でオマツリが起きた後の対応>
- オマツリがおきているだろう人に声をかける「すみません、オマツリしてますねー」
- 反対舷からひっぱられた場合、ラインをはるとPEラインが船底で切れたり痛むのでラインをだす
- どちらか先に上がっているほうが巻き上げる。もう片方はラインを出す
- 仕掛けを巻き上げた人がほどく。中乗りスタッフ、船長のサポートが入ることも
- PEラインは基本的に切らず、ハリスの絡みから直していく
- やむなく仕掛けやPEラインをを切る必要があるときはもう片方に「すみません、仕掛け切りますね」と断りをいれる
- 仕掛けがほどけたら、速やかにラインを回収する
※時合などオマツリをほどくよりは速やかにハサミで切って解決してしまったほうがそれぞれのためになることもある。オマツリをほどくことに熱中しすぎないようにしたい
指示ダナを守ろう
船の釣りには船長が指示をする指示ダナがある。
釣り物にもよるが、コマセの釣りなどは指示ダナを守らないと魚が分散してしまうこともある。指定されたタナと、タナの取り方は指示に従おう。
タナの取り方については、海面から○mというようにとる場合と、一旦海底まで沈めたあとに仕掛けを巻き上げてとるやり方がある。
指示ダナの取り方についてよくわからないときは船長や中乗りさんに教えてもらおう。
<海面からタナをとる釣り物>
- コマセ真鯛
- 餌のタチウオ
他の釣り人に青物や大物がかかったら仕掛けを一旦回収しよう
釣りをしていると、隣の釣り人が大物をかけることがある。
このとき自分も大物をめざして粘りたいと思うかもしれないが、かかった魚によっては、仕掛けを投入し続けているとオマツリして最悪ばらしてしまうことになるかもしれない。
そうなると自分の仕掛け類もなくなってしまうこともある。
的確にまわりの状況を判断して、場合によっては仕掛けを一旦回収し隣の釣り人のアシストに回るのもよいだろう。
中乗りのスタッフがいない釣り船によっては、船長が操船によってたも網のアシストをできないタイミングもあるので、積極的に協力を申し出ると、その後、良好な関係が築けるかもしれない。
もし、自分に大物がかかったら、大声でまわりにアピールしたい。意外と気づかれないこともあるので。特に取り込みなどのサポートをしてくれる船長や中乗りスタッフにはきづかれるように声を張り上げるかジェスチャーでしらせよう。
置き竿をして釣り座を離れないようにしよう
トイレタイム等でキーパーに置き竿をして離れると、仕掛けが潮にながされ遊んだり、しらない間に青物等がかかって他人とオマツリすることがある。
また、トイレ中に船長からの竿上げ指示があったときに対応できず、船の移動が遅れてしまう。釣り座をはなれるときは、仕掛けはあげておくようにしよう。
「オマツリ」はお互い挨拶をし速やかに解く
船釣りにつきものの「オマツリ」。お互いに釣りをする時間が奪われるので神経質になりがちな場面だ。このとき、どちらが悪いという問題にせず、お互い「すみません」と挨拶をしてから、解くようにしたい。
誰かとオマツリになった場合、「すみませんオマツリです」とアナウンスする。特に反対側の釣り座の場合は気づかれず引っ張りっこになってしまい道糸のPEラインから高切れしてしまうため、気づいてもらうことが必要。
先に仕掛けがあがりそうなほうが引き揚げ、まずはオモリにあたるものをぶら下げず固定する。その後、仕掛けの状態をみて、解けそうならほどきに入り、無理そうであればハリスはすべて切ってしまう。
相手の仕掛けを切る場合は、一言「仕掛け解けそうにないので切ってしまいますね」と了承をとるとトラブルに発展しにくい。
天秤など仕掛けを固定しているスナップサルカンを一度外してから作業をすると解きやすい。あまりにも複雑な場合や中乗りスタッフがいる場合は声をかけるとよいだろう。
ゴミは海に捨てないようにしよう
海はゴミ箱ではない。
吸ったそばから何も考えずタバコを海にポイポイなげる人もいるが、クーラーボックスなどにゴミ袋をしっかり縛り付けておき、タバコや釣り具のパッケージや弁当類などの包装は風で飛ばないようにすぐにしまおう。
風の強い日は、ボートバッグ等のなかにゴミ袋をいれたほうが無難だ。
細かいゴミを座席や船べり下においておくと、風にあおられて飛んで行ってしまうし、結果的に排水溝から海に投棄してしまうことにもなる。
ガムテープを少量もっていき、両面にしたものをクーラーボックスにはりつけ、ゴミが出るごとにくっつけておき、最後に回収すると細かいゴミの取り扱いもスムーズになる。
また乗船後は、船の指定場所にゴミを集めるようにしよう。
トイレにいくときなどは足元に注意
釣り座にもよるがトイレに行く際は座席を歩いて移動することになる。
このとき足元に、仕掛けや携帯電話など置かれていることがあり踏みつけてしまったりする。
仕掛けは踏みつければハリスが弱るし、針が複数ある場合は引っ張られて持ち主の釣り人が指にカエシまで釣り針を刺してしまうこともある。
またスマートフォンなどは置く人の責任もあるが、蹴っ飛ばしてバケツに落ちてしまったら深刻なトラブルになるかもしれない。
足元をしっかりみつつ、釣り座を通る際は、「すみません後ろ通ります」など大きめに声掛けをして相手に自分の動きを意識してもらってからお互いに配慮していくとよいだろう。
サバなどの青物が釣れたら躊躇せず巻き上げよう
これは初心者の場合が多いが、アジ釣りなどでアジを狙っているときにサバがヒットすることがある。
ベテランになれば、サバがかかったタイミングでこれはアジの1荷(複数匹の魚がつく)ではなく、サバだなとわかるものだが、初心者の場合はわからないかもしれない。
サバの場合、針がかりした遊ばせると横はしりするので躊躇なく巻き上げよう。
LTアジ等で利用する仕掛けでハリスが2号程度であっても多少強引にやりとしても切れないものだ。また自分のハリスが切れたとしても、他人の釣りには干渉せずにすむ。
血抜きや墨痕について
釣り物や海域にもよるが、釣った魚の血抜きをして流すことでサメ類が集まってしまうこともある。
こうなると、サメにおびえた本命の釣り物が寄り付かなくなってしまうことがある。こうした点について船長に指摘された場合は素直に従おう。
血抜きはできれば移動時に行うのが望ましい。
また、船上はゆれるため、なれないうちはナイフや包丁を利用するより、調理バサミや釣り用のハサミを利用したほうが安全だ。
血抜きのあと、血糊が乾くと落ちにくくなるので、海水で必ず流しておこう。これはスミイカなどの釣りでの墨痕も同様。
船べりや船体を傷つけない
釣り船はもともと高価ですし、塗装などのメンテナンス費用もかなり大がかりなものです。
これはベテラン釣り師にみられることですが、釣ったり持ち込んだサバ等で身餌をつくるときに船べりや座席をまな板替わりにすると船体が傷んでしまい、見栄えも悪くなります。あくまでも釣り船は対価をはらって乗せてもらっているもので、船を傷つけることは真っ当な行為ではありません。
他に、タバコを吸うことができる船の場合、船べりを灰皿にすると船体が焦げてしまいます。焦げた場合は賠償責任を問われる可能性もあります。必ず灰皿を利用しましょう。
磯や沖堤防への渡船では、スパイクブーツ等で乗船する人もいますが、船に傷がつくことをよく考えて履き替えようの靴を用意してから乗船しましょう。
魚は食べきれる量だけ持ち帰る
釣った魚をどうするか。
これは個人の自由だが、食べきれない量の魚を持ち帰っても腐らせてしまうだけなので、貰い手がいない場合などは積極的に魚を逃がすのがスマートだ。
魚が死んでしまった場合も、海に放すことでカモメや他の魚介類のエサになるので資源は流通すると考えればよいだろう。
この場合、ハリスを飲み込んだままの魚を投棄することは避けよう。
釣ったものの食べきれないので車で帰る途中で大量に投棄するというような話を聞くが誰も得をしない。慎もう。
酒はほどほどにしよう
釣り船では特に飲酒は禁止されていないことが多いが、ときどき泥酔状態になっている釣り人をみることがある。
この場合、言行が自分の理性で制御できていないこともあり、知らず知らずのうちに他人に迷惑をかけがちだ。
まず、釣りにきたのであって飲みにきたのでないということは理解しておこう。自分がしらないところでこういった釣り師は周囲から引かれているものだ。
また車で船宿まで通った人については、アルコールが抜ける抜けないの問題ではなく酒を飲まないという選択肢がスマートだ。
タバコは風下や苦手な人に配慮して嗜もう
釣り船業界は他業界からかなり遅れているので全面禁煙や分煙の釣り船は少ない。
喫煙は個人の自由だが、今の時代タバコの煙を嫌う人のほうが多いことを理解して吸うようにしたい。吸うときも、船尾に移動したり風下に人がいない状態で吸う、声掛けしてから吸うなど考慮したい。
喫煙者が風上にいる場合、火のついた灰がアウトドアウェアに穴をあけたり、弁当などにはいると深刻なトラブルにつながる可能性があるし、単純にタバコの臭いが船酔いにつながるのでいやだという釣り人も多い。
勝手に早上がりしてコマセを投棄しない
人によっては、短時間で釣果を確保して休憩に入るひともいるかもしれない。
このとき、あまった餌やコマセは流し中のポイントに投棄しないようにしよう。まだ釣りをしている人がいる状態でのこの行為は物理的・心理的にストレスを与える可能性がある。
騒ぎ過ぎない
船の上はテンションがあがるものなので、仲間内で騒いでしまうかもしれない。仕立てであればどんだけ騒いでも貸し切りなのでよいと思うが、乗り合いの船は様々な釣り人が乗る。
あまり騒いでしまうと、気分が悪くなる人もいるかもしれない。配慮しておくとよい。
初心者と同行する際はきちんと面倒をみよう
自分が特定の釣り物の経験者だとして、初心者と一緒に釣行する場合がある。
このときに、初心者はその釣り物に詳しくはないので、オマツリに代表されるトラブルを引き起こす原因になってしまうことがある。
ベテランがきちんと同行の初心者を見守り、釣り方をレクチャーすることで防げることも多い。
一緒に釣りにきているのに、自分の釣りに夢中になるあまり、トラブルメーカーになってしまっている初心者の面倒を全くみない人もいる。
どうせ一緒に釣行するなら、面倒まで見るのが釣友というものだ。
沖上がり後のルールとマナー
船長や中乗りや同乗の人への挨拶
船宿の対応、釣果等に満足でき、次回以降も同じ船宿に通いたいと思った場合は積極的にお世話になった方に挨拶しておくとよい。
回をかさねるごとに見知った釣り人が増え、船長や中乗りスタッフとも良好な関係を築け、さらなる釣果につながるかもしれない。
とはいっても、特別なことはしなくてもよいので、「おつかれさまでした」「ありがとうございます」などの挨拶ができれば問題ない。
船宿の撮影等に協力しよう
多くの船宿は釣果をSNSやウェブサイトにUPすることで次の集客につなげている。
不快な対応を受けた場合以外は、積極的に船宿に協力すると良好な関係を築けるだろう。
船釣りのルールとマナーは初心者だけの問題ではない
乗合船のマナーやルールはこのほかにも船宿や地域ごとのローカルな慣習もある。
また、船釣りのマナー・ルールの問題は釣り初心者だけの問題ではなく、マナー初心者の問題でもある。
また、この他にも船釣りでまもってほしいマナーがあればSNS等でコメントをいただければ幸いだ。
過ちよりも、それを直さないのが問題
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船釣りの必須アイテムはライフジャケット
▼どの船宿でもライフジャケットはレンタルできるが、好きなメーカーのライフジャケットはやっぱりかっこいいし動きやすい。