年々人気の高まる船エギタコ。地域の枠をこえてエギタコをはじめる人が増えています。
エギタコでは数とサイズ、両方の楽しみ方がありますね。
どちらを追うかは人それぞれ。
とはいえ、「なぜか釣果(数)が伸びない」と悩んでいる人もいるはずです。
今回は船エギタコで釣果が伸びない人に共通する罠をまとめました。
初心者独特の罠、中級者以上だからこそハマりがちな罠など、ぜひ参考にしてみてください。
①そもそも船エギタコに適さないタックルをつかっている
竿先まで固い竿は船エギタコには不適
釣り船でどんなタックルをつかうかは他人の迷惑にならない限り自由です。
釣具メーカーの宣伝なんてなんのその、なんでもかんでも新しくタックルを買わなくても釣りは十分楽しめます。
一方、あきらかに船エギタコに適さないタックルで釣りをして釣果が伸び悩んでいる人をみかけることがあります。
「タコの触りや乗りと根がかりの違いが全くわかんない」
「根がかるとすぐにPEから高切れしてしまうんだよねー」
「根に張りついたタコを引きはがせないでラインが切れちゃう」
「あれ、なんだか小突いてるとエギが勝手に底を離れていような気もするぞ」
「うーん、はじめて1時間だけどこれタックルが重すぎて小突くのがしんどいな」
こういった感想をもった人は、そもそも使用タックルが船エギタコに適していない可能性があります。
- 竿が重すぎ、長すぎ、やわらかく胴調子、繊細すぎ
- リールのギア比がエクストラハイギア
- PEラインが1.5号や2号(平場&潮速いエリアではOK)でリーダーなし
船エギタコはこういった点に心当たりがあると、釣果を伸ばすのが難しい釣り物です。
▼船エギタコに適したタックルを学ぶ
②仕掛けやエギ・スッテにこだわらない
人間色々、タコエギも色々
船エギタコは極端に難しい釣り物かというと、そうでもありません。
水潮や潮がまったく流れないなど、極端に活性が悪くなければ、いるタコはすぐ釣れます。
タコがいるところにエギがきちんと落ちて、底を離れず、きちんと動かせ、本格的な根がかりをしなければ比較的高い確率で釣れます。
特に中小型のタコはその傾向が顕著です。
高度な技巧を屈指する釣り物というよりも、しっかりしたタックルで手返しよく攻め続けることで釣果は確実に上がっていきます。
タコのいる場所に根がかりを回避しながらエギを落とし、しっかりアクションするためには、状況に適した仕掛けやエギがあります。
エギやスッテも色だけの違いに見えますが、実は水中でのバランスは異なります。
スナップの大きさや仕掛けの長さでエギの動き方も変わってきます。
▼船エギタコで使うタコエギやスッテの動きを知る(水中動画)
またエギやスッテのハリ先にも注意が必要です。
針伸びていたり、針先がまがったり折れているとバラシや掛けもれが増えていきます。
根がかり回収のあとには、針角度を調整し、シャープナーをつかって研いでおきましょう。
③オモリ軽すぎ・重すぎ
オモリの号数や形状はエギと同じくらい大切
乗合船の場合、オモリは指定号数があります。
実際は海底地形・乗船人数(間隔)・潮や船の動きによって最適なオモリは変わってきます。
そういった諸条件を考えず、極端に軽いオモリや重いオモリをつかっていると釣果を上げにくくなります。
具体的にはオモリが軽すぎると、エギが海底を離れている時間が増えてきます。
特に穂先が固い竿と軽いオモリを組み合わせると効果はてきめんです。
着底判断が今一つできず、エギは水中で上下しやすくなってしまいます。
風が強く船が揺れる日の船首側に座った場合はなおのこと。
一方、オモリが重すぎると本格的な根がかりが増え、手返しが悪化してしまいます。
▼船エギタコはオモリ形状も含めて考えていく
④やみくもに小突きすぎ(小突き魔)
小突きには間(ステイ)と誘い上げ(空アワセ)を組み合わせる
エギタコというと、とにかく「小突き魔」になりがちです。
筆者も特に釣れない時間が長くなるとき、ふと気づくと妖怪「小突き和尚」状態になっています。
とにかく小突いてまわりのタコにアピールしたい。コツコツ。
「こっちにおいで、むしろ抱いて」という謎の切迫感が、心中に妖怪・小突き和尚を生み出します。コツコツコツ。
昔エギタコ釣りが好きだった或る僧侶がいました。
彼は寺を抜けてタコが釣れない9月に釣行し、いくら小突いても釣れないまま憤死。
やがてその魂魄が海底に眠るタコエギやスッテ残骸と融合して妖怪化したのです。
はい、失礼しました。
では、小突きすぎのデメリットはどこにあるのでしょうか。
- タコのわずかな触りがわからくなる
- アクションに間がなくなる(タコはエギの停止時に襲い掛かる傾向にある)
- 実はエギは海底付近で「ごにょごにょ」動いているだけで周囲には低アピール(上記動画参照)
だいたいこの3つが挙げられます。
終始オモリを倒して起こして、ごつごつ小突いていると、タコの脚先でおこなわれる細かい触りもわからなくなります。
タコはいつでもやるきがあるわけではなく、ただそれぞれの脚が独立して動き、エギやオモリに触っている場合もあります。
この初期触りに気づいて、間をつくってやると本格的に乗るタコも、やみくもに小突き続けると乗らないことも。
またオモリやスナップの構成にもよりますが、タコエギを小突いているとき(オモリを起こして倒す動作)は海底でほぼ動いていません(上記動画参照)。
そのため、とことん誘っているつもりが、タコエギが怠けてしまい周囲のタコにはアピールできていないこともあります。
小突きの合間にはしっかりステイ(動かさない間)をいれ、タコが抱くタイミングをつくってあげましょう。
または小突きの合間に空アワセをいれるのも大切です。
微妙な触りがあるとき、空アワセをすると重さを感じます。そこで、再度海底に落として乗り直しさせるのです。
同じ場所で小突いていてアタリ出ない場合、船も動いていないこともしばしば、適宜投入しなおすのも大切です。
平場である程度視界がある場所なら、小突いている場所から1m程度エギをあげて落としなおすことで、周囲のタコにアピールすることもできます。
とにかく妖怪「小突き和尚」の憑依には気をつけましょう。
⑤集寄つけすぎ・頼りすぎ(集寄魔)
集寄はつければつけるほど釣れるものではない
タコ釣りといえば集寄と呼ばれる飾りが人気です。
ラバー・ブレード・反射板・アルミフィルム・タコベイト・ワーム乗せなどなど。
タコは目立つものによってくるのであれこれつけたいのが釣り人の心情です。
釣り具メーカーもいろんな集寄を売りたいものなので、つけないと釣れないような気もしてきます。
が、集寄を妄信し、矢鱈につけすぎると潮受けしやすくなるのも事実。
タコの触りもわかりづらくなったり、潮が速ければ仕掛けが浮きやすくなったり。
「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」
集寄はつければつけるほど釣力がプラスになる魔法のアイテムではありません。
釣況に応じた適度な集寄を心がけるとよいでしょう。
実際はオモリとタコエギだけでタコは十分寄ってきます。
⑥タコをばらしすぎ(バラシ魔)
しばしば見るのがせっかくかけたタコをバラシまくっている人です。
タコをばらしやすい人に見られる特徴は以下の通りです。
- 竿が先調子でななく、胴が柔らかく、そもそもかけれられていない
- あわせ方が鋭く、短い
- 根がかりをしてもハリを研ぎなおさない。ハリの曲がりを直していない
- あわせるタイミングが早すぎて、脚先にヒットしていることが多い
- 取り込み時の想定がなされていない
しっかりした道具をつかい、アワセは道糸のあまりを巻き取ってから強く長いストロークで行う。
常に針先を点検する。
これでバラシは軽減できます。
▼エギタコでシャープナーは必需品
▼針が曲がったらプライヤーで元に戻そう
⑦タコエギつけ過ぎ(エギ魔)
3個以上はあまり意味がないような
エギやスッテをつけ過ぎるのも逆効果になりがちです。
つけすぎは根がかりの元ですし、つければつけるほどアピール力があがるかというとそうでもありません。
エギの2個付けはアピールという意味合いもありますが、良型タコの体に多点でフッキングし、バレにくくなります。
3本4本のエギをつけている人を見ると、だいたい釣果は伸びていません。
平場なら~2本付け、荒根では1本を基本に、釣り方に自信があるなら2本など、適度な仕掛け構成がおすすめです。
⑧平場で投げることができない
はじめにいっておくと無理して投げる必要はありません。
一方、比較的フラットなエリアを釣る場合、基本的にロングキャストが有効です。
特に潮や風がなく、船があまり動かない場合、船下だけではかなり狭い範囲しか誘えていないかもしれません。
船下で安定して釣れるようになったら、釣況に応じてトラブルなくキャストして釣れるようになると釣果は格段にあがります。
⑨投げすぎ(投げ魔)
一旦キャストの釣りを覚えると広く探りたくなり、キャストに適していない状況でも矢鱈めったらキャストしたくなります。
また一度キャストをすると、手返しよく次のキャストをしたくなる。
こうなると自然と1点での誘いが雑になり、エギの移動速度が速まり、すぐに回収してキャストしたくなるという力が脳に働きます。
これは船エギタコ初心者というよりも、中級者以上にありがちなトラップです。
むしろ中級者以上が貧果で終わる理由第1位といっても過言ではありません。
あさイチで広く投げやすい四隅席を確保し、あれだけ鼻息投げまくって広く誘った自分が2杯。
それなのに胴の間で船下をひたすら小突いていたタコ釣りはじめての人が10杯でフィニッシュ。
どういうことなのか。
自分の釣りスキルに自信があり、プライドが高い人ほど傷つくはずです。
実は筆者もこの「投げすぎの罠」にはハマりがちです。
「投げ」は麻薬みたいなものです。
投げの釣りを一度覚えると、あら不思議、いつのまにか素早く遠くにトラブルなく投げることが目的になりがち。
投げは打ちっぱなしやバッティングセンターのようなものなのです。
<キャストに適していない状況>
- 荒根(根がかりリスクが高まる)
- 蛸が根の中にいる状態(投げるよりはしっかり小突いて根からタコを引き出すほうがいい)
- 日中(タコは比較的障害物に隠れがちで広く探るよりはネチネチ小突いて音や光で寄せる釣り方がよいこともある)
- 船の移動速度が速い状態でラインが払い出す釣り座(クラッチを切ってためをつくるスキルがないとエギが高速で移動しタコがおいつけない)
⑩根がかりしすぎ(根がかり魔)
よくみていると船エギタコでは釣れない人ほど本格的な根がかりにハマりがちです。
ベテランの誰もが言う「タコは根にいるから根がかりを避けることができない」という話は半分事実。
とはいえ、無策でなんども根がかりに凸していくのは時間と費用の無駄です。海底のゴミも増えてしまい、誰も得をしません。
たとえば、1回の根がかりで仕掛けを切るまでにあれこれやって6分かかったとします。
1日に10回高切れorリーダー切れすれば、合計1時間のロスです。
さらにリーダーを付けなおしていたら、さらにロスです。
また、タコの触りと根にハマる瞬間を判断できていない人と、タコの触り(リード)を判断できる人では本アタリ(受注)に持ち込める数が異なります。
根がかりはタックル・仕掛け・釣り方でしっかり対策しましょう。
状況によりますが、エギタコの根がかりはゼロに近づけることもできます。
⑪底を離さないことを意識しすぎ
船エギタコではエギを底から離さないというのが基本です。
そのため、重いオモリをつかって底上で小突き続けるわけです。
一方、船に動きがない場合、小突いているエギのすぐ周りにタコはいるのでしょうか。
おすすめは、10回20回小突いたら、空アワセを兼ねて1mほど竿をしゃくり、エギを底から離すことです。
タコが触っていればかすかな抵抗を感じますし、足先だけのフッキングするかもしれません。
全くタコが触っていなくても、フォールする間により広い範囲にアピールできるわけです。
仕掛けを投入したら小突き続けるのではなく、たまに仕掛けをあげて周囲のタコにアピールしましょう。
キャストをしない釣り方の場合、スナップ上50㎝~1mにサルカンを介してタコベイトやビニールひもやテープをつけるのも効果的です。
船が移動しているときに、クラッチをきって糸を出しすぎてしまうのも、仕掛けの位置が動かず、広く探れない原因です。
⑫手返しが悪い
船エギタコで釣果が伸びない人は手返しが極端に悪い傾向にあります。
根がかりで時間をとらえれるほか、タコが釣れてもはりつかれ、再投入まで時間がかかったり。
タコも大型以外は、条件がよい(餌が多い・隠れ場所がある・潮がながれ酸素が多い)ところにある程度かたまっています。
そのため、一度釣れたらまた釣れる可能性が高いわけです。
数釣りでも大型狙いでも、投入の数が増えれば増えるほど、タコに出会える確率はあがります。
自分の動きで無駄なものをどんどん減らしてみましょう。
<手返しを上げる方法>
- タコを入れる網を折り畳み式のランドリーバスケットに変える
- エギやスッテのカエシをプライヤーでつぶしておく(あれば)
- 仕掛けの構成をシンプルにする(タコの絡みを減らす)
- タコが船にはりつくのをさける、はりついたらすぐに剥がす(胴体を引っ張らず、脚から剥がして胴体を引く)
- 1kg級まででしっかりフッキングしている場合はタモ網を使わない(絡んで再投入が遅れるため)
- 船下の釣りで潮がない場合は、タコを網にしまう前に再投入しておく(特に餌巻きでは、動かさなくても釣れることも)
- 投げないで釣れる状況では投げない(投げることにより広く探れるが、1杯を釣るまでの時間は増える)
⑬あきらめが早い
どの釣りでもそうですが、すぐにあきらめてしまう人は船エギタコでも釣果が伸びづらいです。
足るを知るのも大切なのですが、「もっと釣りたかった」のに今日はダメだとあきらめてしまうのも勿体ないことです。
タコ釣りはどの釣り船も1日船。
いつタコの活性が上がるタイミングがやってくるか、タコがたまっているエリアに行き当たるかはわかりません。
集中力が持続し、海底でしっかり誘いつづける人ほど、タイミングにいきあたったときに成果にむすびつけやすいわけです。
それこそ最後のひと流し、「あと5分で上りますねー」で船中最大サイズやシーズン最大サイズが上がることもあります。
タコシーズンは夏がメインのため、休息も必要ですが、できるだけ長い時間誘える忍耐力をもつ必要があります。
前日はよく寝て、当日はお昼前後でキューピーコーワゴールドαを飲みましょう。これほんと。
⑭船長や中乗りスタッフのアドバイスを聞かない
どの釣りにも当てはまる「釣れない人」の特徴は、他人のアドバイスを咀嚼しないで拒絶する人です。
船長や中乗りスタッフは毎日タコの釣況をみているため、気づきも多いわけです。
もし、あなたが釣れていないとして、なんらかアドバイスをもらったとします。
そんなときは、一度そのアドバイスの通りにやってみましょう。
例えば炎天下、小突きに熱中するあまり、自分だけエギが移動せず、周りの人のエギとオマツリしてしまっているとします。
船長は「頻繁に入れ替えないとまつっちゃって一番最後にタコに出会うんだから釣れないよ!」というかもしれません。
そういうアドバイスに対して、いちいち目くじらを立てず、「おーす」という具合にまずはやってみる。これ大切です。
まとめ
船エギタコ中級者以上が釣れなくなる罠第1位「投げすぎ」
今回は船エギタコで釣果が伸びない人に共通する特徴を紹介しました。
筆者も常々「投げ魔」に気をつけたいと思っているのですが、また今度いったら投げちゃうだろうなーと思ってます。
という具合に、多くの人にとって釣りは遊びなので、あんまり釣果に一喜一憂しないほうが、ごはんもおいしいと考えています。
釣れなかったら、自分の釣りを振りかえって、対策をして、また釣りにいって頑張る。
みなさんの釣果がさらに上がるとよいですね!