人気の船エギタコ。
関西発祥ですが、関東でもテンヤに代わり流行しています。
テンヤと比較するとエギ・スッテ・オモリ・集寄などバリエーションが多く、釣り人が工夫できるという楽しさがあります。
竿釣りのため、しゃくりも疲れにくく、合わせたときにロッドから伝わる独特の重量感も人気。
今回は、そんな船エギタコのリールを選ぶときの条件と、おすすめのリールを紹介します。
結論を先にいっておくと、2024年シーズンで一番おすすめのエギタコリールは「ダイワ(DAIWA) フネ XT 150P-OP」です。
船エギタコに適したリールの7条件
エギタコには高ドラグ力・パワーギア・パワーハンドルの軽量両軸リールがベスト
船「エギタコ」のリールを選ぶ際に、考慮したほうがよい条件を7つにまとめました。
- 高剛性
- 最大ドラグ力
- 糸巻き量
- ブレーキ機能
- パワーギア(ローギア)
- 軽さ(ロッドとのバランス)
- パワーハンドル
順に説明していきます。
①高剛性
エギタコリールに必要なのは、何より剛性の高さです。
やわなリールをつかっていると、巻き上げ時などに本体がたわんでしまいパワーロスしてしまいます。
ハンドルを巻く手から伝わる力が余計なところに逃げてしまうわけです。
両軸リールは基本的に高級品になるとアルミやマグネシウム合金のメタルボディになることが多く、よりしっかり巻き取ることが可能です。
※樹脂ボディや樹脂とカーボン等のハイブリッドボディが強度的に致命的に弱いわけではなく、たわみの起きやすさがポイントです。
②最大ドラグ力
最大ドラグ力もエギタコに重要です。
大ダコは時として海底に張りつきます。
まるで根がかりのような大ダコを底から引き離すためには、低ドラグ力で「ずるずるスプールが回転してしまう」モデルでは対応できません。
実際にはスプールを押さえながら合わせるとなんとかなることもありますが、ドラグ力は高いに越したことはないのです。
数キロサイズを海面まで巻き上げるときも、最大ドラグ力が低いリールではスプールが空転し、指ドラグでは対応できずバラす原因になってしまいます。
小型のリールでもよいですが、ドラグ力はしっかりしたものを選びましょう。
最低5キロ以上は欲しいところ。
かなりオーバースペックですが、マダコ専用リールでは、MAXドラグ力10キロを優に超えるものもあります。
またドラグ部分にオイルが入ってしまうと、ドラグが滑るという状況も見られます。
手持ちのリールは釣行前に点検しておきましょう。
※ドラグ力はドラグ性能とは異なります。スムーズにドラグ機構が動くような仕組みはエギタコには必要ありません。あくまでも合わせた際にスプールが固定できるものを選びましょう。スペック上ドラグ力が高い場合も、初期不良でスプールが滑るものもあります。新品でも実釣前にチェックしましょう。
③糸巻き量
エギタコはPE3号もしくは4号程度を巻き、水深15m以内の浅場を攻めることが多い釣りです。
船下を攻めるだけであれば、ライン自体は50mもあれば問題ないのですが、実際はキャストをする場面が多くなります。
また、潮や風による船の移動もあるため、ある程度余裕があるとよいと思います。
ラインの太さにもよりますが、高切れもあるので、各ラインが最低100m巻いてあると安心して釣りができます。
※平場主体ではPE3号、根が厳しい場所では3~4号がおすすめです。大ダコ狙いの場合、2号は高切れリスクとバックラッシュからの復旧難易度が高まるのでおすすめしません。
※エリアによってはさらに深場を狙うことがあります。
④ブレーキ機能
平場のエギタコ釣りでは、飛距離と釣果が比例します。
両軸リールの場合、スプールの回転速度を調整するメカニカルブレーキがついているのが基本です。
エギタコの仕掛けは重いため、投げなれていればメカニカルブレーキとサミングだけでも、バックラッシュは防ぐことができます。
両軸リールを投げるのが苦手な方や、ブレーキを微調整したい方は、マグネットブレーキ・遠心力ブレーキ・DCブレーキ(デジタル制御)などが併用されているリールを選びましょう。
トラブルを軽減できるのでおすすめです。
⑤パワーギア(ローギア)
エギタコでのギア比は、ローギアにふってあるものが使いやすいです。
大ダコが底に張りついたときに、リールの巻き上げ力が強いと、竿のポンピングにあわせてリールの回転による巻アワセで引きはがしやすくなります。
エギタコは水深も浅いので、ハイギアは不要です。
ハイギアリールの場合、剛性が高い金属筐体×パワーハンドルモデルでないと疲労感が増します。
※深場のエギタコ釣りをする地域があります。深場の場合、回収速度も考慮してハイギアを選ぶメリットができます。
⑥軽さ(ロッドとのバランス)
エギタコは1日小突いたり、キャストし続ける釣りです。
頑丈でドラグ力が強いといっても、あまりに大きくて重いリールは持ち重りして疲れやすいですし、キャストもしづらいと言えます。
重量についても注目しておいたほうがよいでしょう。竿との重量バランスも大切なポイントです。
⑦パワーハンドル
大型のタコが底にはりついているときには、竿だけでなくリールの力を使う必要があります。
その際に、ギア比だけでなく、ハンドル形状も重要です。
パワーハンドルと呼ばれる大型のノブをもつモデルは、指ではなく手のひら全体でつかみます。
また手首ではなく腕全体でハンドルを回せるため、より力をいれて巻き上げられるのです。
エギタコでスピニングリールってどうなの?
船のエギタコでは、ほとんどの釣り人が両軸リールを使用します。
両軸リールは構造上スプールとギアの方向が一緒で巻き上げ力が強いためです。
平場のエギタコではキャストすることで釣果を飛躍的に伸ばすことができます。
キャストしたいものの、両軸リールのキャストに慣れない人もいるはずです。
バックラッシュなどのトラブルを削減したいというニーズがある場合、スピニングリールでチャレンジするのも一つです。
ただし、巻き上げ力やドラグ力などで両軸リールに劣ることが多いので、より大型で剛性が高いモデル×パワーハンドルモデルを選ぶとよいでしょう。
チープなリールの場合、アワセ時にベール付け根が破損することもあります。
また、スピニングリールは両軸リールと比較して巻き取りまでのタイムラグが大きいと言えます。
実際の釣行では、糸ふけが出すぎないように注意しましょう。
※スピニングリールは巻き上げ力が弱くポンピングしがちです。ポンピングはタコがバレる原因なので、できるだけラインのたるみが出ないように巻き上げましょう。
エギタコに向いているリール、~1万円
アブ・ガルシア「BLUEMAX船3」
ブルーマックス船はパワーハンドル改造する人もしばしば
- ドラグ力:6キロ
- ギア:6.4、66㎝/1回転
- ベアリング:3
- 自重:228g
アブこと、アブ・ガルシアの船用小型両軸リール「BLUEMAX船」。
2017年モデルながらも、エギタコでもユーザーが多いアイテム。
5,000円台から手に入れることができ、エギタコだけでなく浅場の釣り全般で使用できるノーマルギアのリールです。
低価格なのに「Magtraxブレーキシステム」というマグネットブレーキ系の機能があり、アンダーキャスト時のバックラッシュも軽減。
使用してみるとわかりますが、ハンドルの長さや形状・剛性で若干心もとない点はあるのですが、十分にエギタコで使用できるリールです。
エギタコで兄弟アイテムのレッドマックス船を使用している人もいますが、ハイギアタイプで巻き上げ力は強くないため、大ダコがかかると負荷が強いので注意です。
特に子供や女性の場合は使用をさけましょう。
ブルーマック船は、社外品のパワーハンドルに変更することで、さらに巻き上げが快適になり、エギタコにもぴったりです。
アブ・ガルシア「黒船 KUROFUNE PH」
- ドラグ力:7キロ
- ギア:6.4、66㎝/1回転
- ベアリング:4
- 自重:210g
アブ・ガルシアの船用小型両軸リール「黒船LT」のパワハンドルバージョン。2019年に登場したモデルです。
「Magtraxブレーキシステム」がついていないのでキャストに最適とはいえませんが、パワーハンドルで巻きやすい仕様。
また、特徴的なのはパワーハンドルの長さを60-70mの2ポジションで調整できるところ。
専用工具を使い、釣り物によってより快適な釣りが楽しめます。
ドラグクリッカーがついているため、岸釣りでのぶっこみ釣りにもぴったり。
シマノ「GENPU 200PG」
- ドラグ力:5キロ
- ギア:5.5、59㎝/1回転
- ベアリング:1
- 自重:190g
長く引き継がれているシマノの小型両軸リールが「ゲンプウ」。
コストパフォーマンスがよく、使用し続けても故障が少なく、巻き上げもスムーズなリールです。
2020年モデルではドラグ力と糸巻き量が向上した、パワーギアモデルが登場。
実売価格で6,000円台から手に入れることができます。
体感値ですが、BLUEMAX船3より巻き上げがスムーズで、長期使用でギアのへたり・ゴリ感が少ない印象です。
シマノ「GENPU XT200PG」
- ドラグ力:5キロ
- ギア:5.5、59㎝/1回転
- ベアリング:3
- 自重:195g
ゲンプウの強化版であるXTのパワーギア&パワーハンドルモデル。
ノーマルゲンプウと異なり、パワーハンドル仕様なので、さらに力を入れやすいという特徴があります。
後述のダイワ・「フネXT」と機能的に競合するのですが、価格面では実勢価格では1万円を切っているので優勢です。
一方、キャスト性能では、MAGFORCEブレーキ搭載搭載のフネXTが優れています。
エギタコに向いているリール、~2万円
ダイワ 「フネXT 150P」
フネXT150H。150Pと筐体は一緒
- ドラグ力:5キロ
- ギア:5.6、59㎝/1回転
- ベアリング:4
- 自重:205g
ダイワのフネXTは2019年に登場したモデル。
「スーパーメタルフレーム」採用の両軸リールです。
ハイギアとパワーギアモデルがあるものの、エギタコではパワーギア一択。PE3号が130m巻けます。
ドラグ力と重量を考えれば、丸型リール「ダイナスター」よりかなり軽量。
MAGFORCEブレーキ搭載でキャストも安心。
ダイワ 「ダイナスター 250 」
- ドラグ力:5キロ
- ギア:5.1、62㎝/1回転
- ベアリング:2
- 自重:305g
ダイワのダイナスターもタコ釣りで人気のリール。
ドラグ力はそれほど高くはないのですが、丸型で剛性が高いリールです。やや重め。
150、200、300番とわかれているんですが、150はドラグ力3キロと少々役不足。
250と300は糸巻き量が増えるだけで、重さも増してしまうので、エギタコ釣りには250番がオススメです。
250番でも、PE4号が170m巻けるので十分。
ダイワ 「フネXT 150P-OP」
- ドラグ力:9キロ
- ギア:4.8、51㎝/1回転
- ベアリング:4
- 自重:220g
2021年4月、フネXTに追加された超ローギアのエギタコに最適なリール。
実売価格は12,000~13,000円程度。
昨今のエギタコシーンでは、このフネXT 150P-OPが一番優秀(ドラグ力・MAGFORCEブレーキ・価格面)です。
4本編国産PE3号150mがあらかじめ巻いてあるモデルも登場。
ギア比の面で他の釣り物への汎用性は低いので、汎用性を考えるなら従来のフネXT 150PやゲンプウXT200PGがおすすめ。
テイルウォーク「テイルウォークOCTOPUS LIGHT 54R(オクトパスライト)」
- ドラグ力:6.5キロ
- ギア:5.4、51㎝/1回転
- ベアリング:4+1
- 自重:225g
PE2号200mがあらかじめ巻いてあるモデル。フネXT150P-OPに先行して小型のタコ用リールとして人気があった直接的な競合商品です。
2号は飛距離が出せるメリットがあり、潮受けもしにくくなり、道糸が立ちやすくなります。
平場ならば問題ないですが、根周りや大型狙いでは高切れのリスクも高まるので、3号か4号に変えたほうがよいでしょう。
軽いのでライト感覚のエギダコをやりたい人にはオススメです。
テイルウォーク 「エラン ワイドパワー OctopusSPII 64BR」
- ドラグ力:12キロ
- ギア:6.4、78cm/1回転
- ベアリング:4+1
- 自重:319g
PE3号200mがあらかじめ巻いてあるモデル。
ドラグ力はオーバースペックといっても過言でないくらいです。
「クリックレバー=ラインアラーム」がついているので、ぶっこみ釣り・泳がせ釣りなどにも活用できます。
300gを超えるので、やや重め。
エギタコに向いているリール、2万円~
シマノ「ベイゲーム300PG」
- ドラグ力:8キロ
- ギア:4.8 、65cm/1回転
- ベアリング:5+1
- 自重:325g
ジギングやタイラバで人気のシマノのベイゲーム。
HAGANEボディ・X-SHIP・マイクロモジュールギア搭載で、圧倒的高剛性でシルキーで滑らかな巻きごこちが特徴。
遠心力ブレーキ(SVS)もついているので、タコエギをフルキャストするのにも最適。
追加された300番はパワーギアで、ラインキャパも2号380m、3号250m、4号190m。
かなり糸巻き量があるので、タコ単体ではなく、ライトゲーム全般からライトジギングなどに様々な釣りに使用できます。
ウィークポイントは重いという点。
シマノ「オシアコンクエスト 300PG」
- ドラグ力:8キロ
- ギア:4.8 、70cm/1回転
- ベアリング:10+1
- 自重:340g
言わずと知れたシマノのフラッグシップモデル。
高剛性で巻き上げの滑らかさは他の追随を許しません。
タコに使うにはぜいたくなイメージですが、他の釣りにもつかえるので投資する価値はアリなのかも。
ハンドルを夢屋パワーバランスハンドルに変えると最高です。
重量が気になる方は、200PG×パワーバランスハンドルでも十分エギタコに対応可能です。
シマノ「カルカッタクエスト 200」
- ドラグ力:6キロ
- ギア:4.8 、57cm/1回転
- ベアリング:13+1
- 自重:235g
シマノの投げジャンルでのフラッグシップモデルがカルカッタコンクエストです。
オシアコンクストよりブレーキ性能がよく、調整もしやすいのが特徴。
エギタコで使うにはハンドルが短いため、夢屋パワーバランスハンドルなどに変えましょう。
ダイワ「バサラ200」
- ドラグ力:7キロ
- ギア:6.3 :1、71cm/1回転
- ベアリング:6+1
- 自重:310g
シマノのオシアコンクエストに対して、ダイワの「バサラ」。
2021年新モデルが登場しました。
金属筐体で高剛性のリールです。ダイワ派ならこちらですね。
結局、エギタコのリールはどれがオススメなの?
現時点での最適解はダイワ「フネXT150P-OP」です。
個人的な好みもありますが、ニーズを4パターンにわけると、オススメなリールは以下の通りです。
- 低価格でそろえたい場合(投げない):シマノ「ゲンプウXT200PG」
- 低価格でそろえたい場合(投げる):アブ・ガルシア「ブル―マックス船」
- お手軽価格でタコ用専用リールを選びたい場合:ダイワ「フネXT150P-OP」テイルウォーク「エラン ワイドパワー OctopusSPII 64BR」
- さらなる剛性と巻き心地を選びたい場合:シマノ「オシアコンクエスト 300PG」シマノ「ベイゲーム300PG」
1は低価格かつ快適な巻心地ですが、サブブレーキがついていないのでキャストは不利です。
2はサブブレーキ付きなのでキャストもしやすいモデル。パワーハンドルに変更するとさらに快適。
3は大ダコもどんとこい!なドラグ力。エギタコメインならこちら。
4はどうせ投資するなら最高峰と思う人向け。ギア比の面でも他の釣り物に汎用性も高いです。
▼シマノ・ゲンプウXTとダイワ・フネXTの比較
まとめ
今回は人気の船エギタコのリールについて、求められる7つの条件を詳細に解説し、オススメリールを紹介してきました。
道具選びは人それぞれ。
「愛用」するのであれば、スペック以外にも重要な点があります。
そう「このメーカーが好きなんだ」という観点で選ぶのも、釣行時の満足度を上げるためには重要です。
以上、船エギタコのリール選びの参考にしてみてください。
関連アイテム
▼現時点のエギタコシーンでは、ダイワ(DAIWA) フネ XT 150P-OPが一番高コスパでおすすめです。(ドラギ力・MAGFORCEブレーキ・価格面)。PE3号が150mついて、
▼さらに大物狙いの場合や根が荒い場所ではPE4号に巻き替えるのがおすすめ。110m巻けます。
▼リーダーはフロロ10号を150㎝ほどつけておけばまず大丈夫。根の高さがある場合や、キャスト時の根ずれ対策をしたい場合はさらに長めにすると高切れ防止になります。
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▼船エギタコ竿についての解説記事
▼船エギタコのリール・巻き手について