カサゴは好きでしょうか?
地域によっては、ガシラ・アラカブと呼ばれる魚ですが、堤防から気軽に釣れ、食味もよいので人気の魚です。
カサゴは、餌だけでなくルアーでも釣れる魚ですが、今回はエサ釣りにフォーカスして、有効な餌について考えてみます。
カサゴの捕食方法
釣り人からすると、カサゴは全長に対して頭部が占める割合が多く、口が大きいので餌を丸呑みするという印象をもってないでしょうか。
たしかに活性が高いときはそういった傾向があるのですが、一概に丸呑みをするとは言い切れません。
実釣を繰り返すとわかるのが、エサをかじるが食い込まないカサゴの存在です。
近年では水槽や水中でのカサゴの生態を観察した動画がウェブで多く公開されていますが、それらの動画をチェックすると、投下された餌に注目して寄ってくるものの餌を食い込むまでに時間がかかったり、結局観察するだけで食い込まないカサゴの存在に気づきます。
これは、仕掛けやカメラ・ライトという異物に対して警戒心を抱くため起っているということも想像されますが、いずれにせよ目の前に落ちてきたものは何でも食べるカサゴという解釈は必ずしも正しくないということがわかります。
カサゴを数多く釣るためには、カサゴの捕食が意外と繊細であるということを理解しておく必要があるのかもしれません。
カサゴのエサに求められる要素
カサゴはルアーでも餌でも釣れる魚ですが、エサ釣りの場合はかなりのバリエーションがあります。イソメや魚の切り身以外にも多くの選択肢があるのですが、餌選びでは以下の要素を考えて選択しましょう。
- 集魚力
- 餌持ち
- 手に入りやすさ(価格・購入場所)
順に説明していきます。
集魚力
まず大事なのが集魚力です。
仕掛けを落とした地点に根があり、カサゴがいればよいのですが、そういうわけにもいかないのが昨今のシビアな釣り場環境です。
だれもいない釣り場や、堤防から投げた地点にある竿抜けポイントではカサゴのパラダイスのようなところはまだありますが、堤防際では、1日に何度も仕掛けが投入され、それが毎日続きます。
こうしたシビアな釣り場環境でも成果を発揮するのが、集魚力です。
集魚力には2種類あります。
- 視覚的集魚力
- 味覚、嗅覚を刺激する集魚力
前者は、見た目で魚のバイトを誘うもので、後者は、ニオイや口にしたときに魚の味覚を刺激するものです。
活性が高いカサゴは、特段ニオイもないプラスチックワーム類に積極的にバイトしますが、エサの強みはワーム類では演出しきれない味覚・嗅覚を刺激する集魚力です。
餌を選ぶ際は、ニオイや味(旨味)について考慮しておきましょう。
餌持ち
餌持ちとは、魚がバイトしたあとに、針に餌が残る程度を言います。
たとえ集魚力が高い餌でも餌持ちが悪ければ、カサゴ以外の魚、たとえばフグやベラなどについばまれてしまい、本命のカサゴを釣り上げる確率がさがってしまいます。
そのため、ポイントの状況にもよりますが、餌持ちは必ず意識しておきたいところです。
手に入りやすさ(価格・購入場所)
身近に釣り具・釣り餌屋があったり、いつもカサゴを釣りにいくポイントの傍に釣り餌を売っているコンビニなどがあればよいのですが、そういった釣り場ばかりでもないはずです。
釣り餌を考えるときは、つかいなれて信頼できる餌を簡単に手に入れることができる手に入れやすさも重要です。
釣具店で購入できるカサゴの餌
①アオイソメ
集魚力★★★
餌持ち★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★★
虫餌の代表格といえば、アオイソことアオイソメですね。この餌もカサゴが好んで食べます。活餌ということもあり、活発に動き、体液がカサゴを寄せてバイトさせます。視覚・嗅覚の刺激もばっちり。ネックは活餌であるため、活餌を取り扱っている釣具店が釣り場近くにないと不便である点です。また虫餌が触れない釣り人にとっても鬼門かもしれません。
ちなみに、カサゴに使うときは、針持ちの良い頭から通し刺しにするほか、房掛けにしてもアピール力が増します。あまり垂らしが長いと、先だけ食いちぎられるので垂らしは5cm以内を目安に切断してしまいましょう。
アオイソメは、釣り餌屋の営業時間外でも自販機で販売されていたり、釣り場の近隣にあるコンビニでも販売されていることがあります。
②岩イソメ
集魚力★★★★
餌持ち★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★
虫餌のなかでも圧倒的な集魚力をもっているのが本虫こと岩イソメです。イソメを上回るニオイにより遠方のカサゴも寄せる効果があると思われますが、そのあたりは諸刃の剣で、フグなどのゲストも強烈にひきつけます。
岩イソメを使用していて、フグやベラ類のアタリが頻繁になったときは使用を控えるか、ポイントを変えたほうがよいでしょう。
とくにフグは群れで行動するため、仕掛けの消耗も激しくなります。
岩イソメはアオイソメの2倍程度の金額のため、カサゴに使うときは、集魚目的で切れ端を刺して、イソメと抱き合わせるとよいでしょう。このときハリスまで岩イソメをこき上げると、チモト部分をフグに噛み切られる可能性が高まるので状況によって控えましょう。
③オキアミ
カサゴを釣る際は不凍品を2Lサイズ以上でまっすぐつけるのがオススメ
集魚力★★★★
餌持ち★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★
浮き釣りや船釣りでよく用いられるオキアミもカサゴがよく釣れる餌です。一方、この餌は餌持ちが極端に悪く、ちょっとしたキャストや、小魚のバイトにより針からとれてしまいます。
テトラの穴釣りなど、本命のカサゴ以外の魚が少ない場所で落とし込んで使うと効果的です。ちなみに穴釣りでは、特定の穴にオキアミを少しずつ落とすと、周囲のテトラからカサゴが集まってくるという技があります。
テトラでカサゴなどがよく釣れる穴を発見したらためしてみましょう。
④切り身(サバ・サンマ)
サバの切り身。集魚力と餌持ちのバランスがいい
集魚力★★★(サンマの場合+1)
餌持ち★★★(サンマの場合-2)
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★★
サバやサンマの切り身は釣り餌屋で冷凍品を購入するほか、スーパーなどで冷凍の太平洋サバ(脂肪分が多い)等を簡単に手に入れやすいと言えます。
サバの身餌は集魚力と餌持ちのバランスがよく、サンマ餌は圧倒的な集魚力をもっているものの餌持ちが悪いという特徴があります。
穴釣りでは、サンマ餌を細切れにして足元に少しずつ撒きながらサバの身餌を使うとよいでしょう。テトラの穴や堤防基礎などは海底で横につながっていて、魚はそういった通路を経て、より状態のよい穴に移動してきます。
⑤冷凍キビナゴ
集魚力★★
餌持ち★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★
冷凍キビナゴには、単純に冷凍したものと、餌持ちをよくしたものがあります。魚そのままのため、視覚的な集魚力は高いですが、サバ餌やサンマ餌より油分やニオイが少ないといえます。
季節によって堤防際をカタクチイワシが回遊しますが、あれらの群れのなかで、弱った個体は群れから脱落して海底へ沈んでカサゴなどによく食べられています。
基本的に餌持ちがわるいですが、イワシなどの小魚を意識した個体が多い状況では利用してみるのもよいでしょう。
多くの釣り餌屋で販売されていますが、取り扱いがない場合もあります。事前にスーパーでイワシなどの干物を購入して利用してもほぼ釣果は変わりません(やや針持ちがよくなる)
冷蔵庫やコンビニで購入できるカサゴの餌
釣りは思い立ったときに行きたくなることもありますね。
こうしたときに、一番問題なるのが餌の問題です。そんなときに冷蔵庫に常にある食品やコンビニであればどこでも販売されているアイテムをエサに使えると覚えておけば安心です。
⑥鮭の皮
集魚力★★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★★
コンビニで販売されている焼きじゃけの皮を一口サイズ(細長く)にカットして針にチョンがけして使います。
焼く前の紅じゃけなどの皮が手に入ればさらに釣果につながります。
基本的に身は必要ではなく、皮だけにして水中ではワームのように動かして使いましょう。
⑦魚肉加工品(魚肉ソーセージ・カマボコ)
集魚力★
餌持ち★(カマボコ+1)
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★★
魚肉ソーセージやカマボコはどこでも手に入る魚肉加工食品です。
とくに常温保存可能なので、釣り用の装備にもっていくことで、様々な釣りに利用できます。ネックは餌持ちが弱いところなのですが、カサゴに使う際は、輪切りにしたものをチョンがけしてつかうとよいでしょう。
どちらかというとカマボコのほうが針持ちがよく、細切りにしたものをチョンがけにしてワームのように動かして使うとフグなどの寄りも少ないといえます。
これらの餌は空腹になったら釣り人も食べられるので、「魚肉ソーセージで○○が釣れたよ」というような話題作りに使うというのが一般的です。
⑧イカソーメン・イカの短冊
シリヤケイカの短冊(これは人間の天ぷら用)
集魚力★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★
イカソーメンは、うま味調味料などを添加されているものがコンビニなどで簡単に手に入る状況でもあります。冷凍品であれば、保存も効きますね。
イカは針持ちがよく、海中で白さがぼんやりと光るのか、カサゴにも有効です。フグなどのゲストが多い釣り場でも、最後まで針にかかった状態でこたえるため、結果的にカサゴのアタリにつながることも。
⑨イカの塩辛
集魚力★★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★★
イカの塩辛は釣りをはじめてしばらくするとこれってもしかして、魚釣れるんじゃない?とおもって使ってみるアイテムランキング上位です。
魚肉ソーセージ同様、「イカの塩辛で○○が釣れた」というようにSNSでのネタ投稿としてしばしば話題になるのですが、その実力も確かなのは事実です。
内臓のニオイが身に染みこみ、仕掛けを投下してしばらくは、海中に尋常ではない臭いをまき散らし集魚します。ネックは、ニオイが継続しないという点と、針がけする際に、必ず手指が汚れ臭くなるという点です。
使用する際は、ニトリル手袋などを利用するか、1回ごとにウェットティッシュをつかって清潔にしないと釣り竿などがイカ臭くなり残念な状態になるので注意です。
淡水にいるものを確保して使うカサゴの餌
淡水に生息している水生生物によっては、海釣りに使えるものがあります。特徴をとらえて利用してみましょう。
⑩モエビ類
集魚力★★★
餌持ち★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★
河川や湖沼などの中流域から上流域に生息している淡水海老は、総じてカサゴ釣りに利用できます。ガサガサなどにより捕獲しておき、エアレーションをつかった活かしバケツで釣り場に持参しましょう。水温の変化や酸欠に敏感のため、夏場は、とくに保冷が必要です。
淡水海老のため、長く海水にいれておくと弱りますが、水中で動くため、ほぼ入れ食いでなんらかの魚が釣れます。そのため、海底にいるカサゴまで餌が届かないことも。
どちらかというと、夜釣りのメバル釣りに最適の餌です。
⑪ザリガニ
集魚力★★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★
ザリガニといえば、一番身近なのがアメリカザリガニですが、最近では気軽に捕獲できるところが少なくなってきました。餌屋で購入すると1尾50~100円程度です。
小さめの個体を選び両爪をカットして尾部分か頭部(軟かい個体)に針がけするのが一般的です。
針持ちがよいですが、フグなどに発見されると跡形もなくかじられる傾向にあります。
カサゴ以外にも、マゴチ・ソイ・イシダイなどが釣れます。
⑫活きドジョウ
集魚力★★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★
活きドジョウは船釣りで大型のカサゴを狙える釣り餌として地域によっては人気です。
死んでしまった個体でも十分釣れますが、活きているものは圧倒的な集魚力を持ち、大型のカサゴから釣れてきます。
針がけする際は、軍手をつけると楽につけられるほか、地面に軽く叩きつけて軽く気絶させてからつける方法が知られています。
単価は1尾数十円から。食用の養殖ドジョウ以外にも、ガサガサなどで捕獲した個体をつかってもよいでしょう。
釣り場で手に入るカサゴの餌
釣り場によっては、カサゴの餌になる生物を捕獲することができます。
採取にあたっては安全に十分気を付けて、ほかの釣り人の迷惑にならないように行いましょう。
⑬イガイ類
集魚力★★
餌持ち★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★
イガイの仲間が岸壁についているところでは、これらを採取して剥き身にすると万能の釣り餌になります。針持ちもよく集魚効果もあります。場所によっては採取が禁止されているところもあるのと、付近でクロダイを釣っている人がいる場合、魚が散るためトラブルの原因となるため控えておきましょう。2枚貝は海水の浄化をする役目を担っているため、海洋汚染の影響を受けやすい生き物です。貝毒の可能性も考え、食用は控えたほうが無難です。
⑭フナムシ
船釣りでアジなどを狙うときもフナムシは特餌!
集魚力★★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★
どの釣り場にも存在していて、無料でとれる万能餌として知る人ぞ知る生き物がフナムシです。
だれしも忌み嫌う生き物ですが、フナムシを食べる波止の魚はとても多いと言えます。釣り上げたカサゴやムラソイなどの胃袋の中からもしばしば発見できます。
特に、波が岸壁を洗うときに、流される個体がいるようで、これらを待ち受けているカサゴがいるときは、落とした瞬間につれます。
意外と針持ちもよいので、釣り餌にこまったら採取してつかってみるのもよいでしょう。
<フナムシの採取の仕方>
- 目の細かい網でつかまえる
- ペットボトルトラップをつくって使用する
⑮活きイワシ
集魚力★★★★
餌持ち★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★
夏から秋の堤防はカタクチイワシやウルメイワシが多く接岸します。これらをサビキでつかまえ、針がけして足元にと落とすのはあらゆる魚食性の魚を狙うための特餌です。
回遊次第ですが、針がけして、そこにカサゴがいれば1発でバイトしてきます。ウルメイワシよりはカタクチイワシがやや針持ちがよいですが、基本的に針がけして落として数秒でショックで死にます。死んでいてもよく釣れるので、カサゴを狙う分にはあまり気にしないで使用するとよいでしょう。
⑯活きイソガニ
集魚力★★★
餌持ち★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★
テトラや磯で数多くみられる小型のイソガニの類もカサゴ釣の特餌です。
どの釣り場でも、カサゴの胃袋から最も多く確認できるのがこれらの蟹類です。そのため、違和感なくカサゴを食わせられるのですが、注意点としては、針を尻蓋部分から甲側に貫通させることと、あまり大きな個体を針がけしないことです。
カサゴは大きな口を開けて丸呑みしそうに思われがちですが、大きな蟹は、口に入らないからか、バイトがあってから吐き出す傾向にあります。
もしイソガニ類をカサゴのエサに使う場合は、500円玉硬貨程度の個体の両爪をもいでつかうとよいでしょう。
⑰貝類
集魚力★★
餌持ち★★★★
手に入りやすさ(価格・購入場所)★★
磯やテトラでは多くの貝類を確認できると思います。たとえばマツバガイは、多くのテトラなどで確認できる貝ですが、カサゴをはじめ多くの魚が釣れる釣り餌としても使えます。
マイナスドライバーをつかってはがして適当な大きさにカットして使いましょう。殻の裏側からライターで炙ると殻から身がとれます。
なお、貝類の採取は共同漁業権に抵触する可能性があります。使用可能な道具などもしっかりチェックしてから採取するようにしましょう。
カサゴの餌にもっとも適したものは
堤防からカサゴを狙うときに利用できる様々な釣り餌について解説してきた記事。
筆者の場合は基本的にサバの切り身を中心に使い、エサ取りの状況をみてサンマ餌をつかうことが多いと言えます。テトラの穴釣りの場合は、サンマやオキアミを少しずつ撒き餌にすることも。
どの餌でカサゴが一番釣ることができるのかは、釣り場の状況によっても異なりますし、そもそも該当の餌が手に入れなくては話になりません。
本記事をみて、自分がいつも選んでいるカサゴ餌の強みを再確認するもよいですし、知らない餌を試してみるのもよいかもしれません。
カサゴを釣りたいみなさんの参考になれば幸いです。
カサゴの資源保護について
カサゴは回遊する魚ではないので、基本的に狭い範囲をテリトリーにして、大きい個体から釣れてきます。
釣り方によっては多くの個体が釣れるかもしれませんが、また来年もカサゴを釣りたい場合は、小さな個体や食べきれない個体、抱卵している個体などは積極的にリリースをするとよいでしょう。
一方、こうした釣り人の共通ルールを旗として掲げてSNSなどで匿名同士(最近では実名も)で誰かを攻撃することが目的になってしまうのもあまりよろしくない状態ではないでしょうか。
例えば、抱卵している個体でも自分のなかで納得がいくようであれば、持ち帰り食べるのよいでしょう。
ただし、自分がよくいく釣り場で、食べきれないほどの根魚を釣り続けると、やはり数は少なくなり釣りづらくなるのは誰しも実感することだと思うので、それぞれが自制をするというのも釣り師の矜持の一つなのかもしれません。
カサゴなどの根魚向け餌づくりノウハウ
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