海釣りをはじめると、大潮・小潮・満潮・干潮のような知識はすぐに身に付きますね。
それで、時合をはかって釣りにいくようになる。
一方、絶好の潮回りでも魚が釣れない潮があるのです。
今回は、典型的に魚が釣れない「赤潮・青潮・水潮」について対策を含めて解説します。
赤潮(あかしお):釣れない度💀💀💀
赤潮は、夏場に水温があがるときに発生します。
特に潮通しの悪い湾内に栄養過多の状態が生じると、植物性プランクトンが大量発生します。
このプランクトン類がカロテノイド色素を持っているため・赤・赤褐色・茶色・等に海が染まります。
植物プランクトンは光合成をし、表層の酸素は濃くなりますが、死滅したあとに海底に貧酸素塊が生成させる原因となります。
<赤潮が釣りにもたらす負の要素>
- 下層部溶存酸素濃度低下(沈下したプランクトンの死骸を分解するバクテリアが酸素を消費する)
- 魚の鰓に植物性プランクトンが詰まって死ぬor活性が下がる
- 魚にとって「視界」が悪くなる
この3点によって、赤潮の程度によっては沿岸部の魚が釣りにくくなります。
「視界が悪くなる」という点については、もともと視力に頼って餌を捕食することが多い魚には、えさが発見されにくくなり、釣りにくくなります。
<対策>
- より沖目で釣りをする
- より潮通しのよいところで釣りをする
- 下層以外のタナで釣れる釣りをする
青潮(あおしお):釣れない度💀💀💀💀💀
青潮は「苦潮(にがしお)」とも呼ばれます。
夏場に赤潮が発生したあとに、植物性プランクトンが底付近に沈殿します。
その後、バクテリア(好気的細菌)がプランクトンの死骸を分解をはじめるのですが、底付近の酸素を消費し、貧酸素塊を作り出します。
次に、陸から強い風が吹くと、海底付近にとどまっていた低酸素濃度の海水が海面に引き寄せられます。
このとき、ふくまれる硫化物イオンが酸素に反応して海面を青緑色や青白く染めるのです。
東京湾であれば北風が強く吹くことが、大規模な青潮の原因とされ、魚だけでなく、アサリなどの大量死滅をもたらします。
<青潮が釣りにもたらす負の要素>
- 魚が酸欠で死ぬor活性が下がる
- 魚が硫化水素によって死ぬor活性が下がる
- 魚にとって「視界」が悪くなる
<対策>
- より沖目で釣りをする
- より潮通しのよいところで釣りをする
- 釣りをあきらめる(特に沿岸部はやるだけ無駄なことがほとんどです)
水潮(みずしお)💀💀💀
水潮は、大雨によって特に表層・湾内・沿岸部の塩分濃度が下がることをいいます。
特に大規模河川流入部に近い海域の影響は大きく、真水が大量に流れ込むことにより、活性が下がったり、より沖目に移動する魚が出てきます。
<水潮が釣りにもたらす負の要素>
- 魚が塩分濃度の低下を嫌って、下層部に定位する
- 魚が沖に出てしまう
- 魚の活性が下がる
<対策>
- より沖目で釣りをする
- 下層のタナで釣れる釣りをする
- 塩分濃度低下に強い魚を狙う(スズキ・クロダイ・イシモチ・マハゼ)
汽水域まで展開するスズキ・クロダイ・マハゼのような魚はあまり影響をうけませんが、マダコや沖目で釣れる魚ほど影響をうけ、釣れなくなります。
梅雨時、秋の長雨、台風シーズンなどは特に注意しておきましょう。
澄潮(すみしお):釣れない度💀💀💀
澄潮は海がいつもより澄んでいる状態を指します。
澄んでいる潮はプランクトンが少ない状態であることが多いのですが、魚が仕掛けやルアーを見切る原因になります。
湾奥は濁りやすいのですが、沖からの潮は比較的澄んでいるため、沖潮が入ると急に澄んでしまったり。
また、潮汐によっても濁り具合が変わったりします。
東京湾であれば、湾奥は下げ潮が濁りやすく、上げ潮は澄みやすかったり。
<澄潮が釣りにもたらす負の要素>
- 魚が仕掛けやルアーを見切る(アタリがでない)
<対策>
- メバル、イサキなど、仕掛けを見切りやすい魚の釣りは控える
※シロギスは潮が澄んでいて晴天のほうが、餌を発見しやすく、アタリが出やすい傾向にあります。
ヌタ潮(ぬたじお):釣れない度💀💀💀
ヌタ潮は、通称「クラド」と呼ばれる植物プランクトンの死骸が大量に海中を漂い、「汚れ潮」とも呼ばれる状態です。
春(3月~4月)や秋(10月~11月)に多く、釣りをしているとラインや仕掛けに溶けたトロロ昆布によく似たものが付着します。
<ヌタ潮(汚れ潮)が釣りにもたらす負の要素>
魚釣りでは以下のデメリットがあり、釣果は伸び悩みがち。
- 光量・餌の視認性への影響:魚が餌を発見しづらくなる
- 酸素濃度への影響:魚の活性が下がる
- 釣り糸や仕掛けの影響:釣りをしている間、清掃の手間がかかる
<対策>
- 海域を変える
ヌタ潮が発生している場合は、魚、イカなど、多くのターゲットが釣りづらくなります。
あらかじめ情報を把握しておき、海域を変えるなど工夫しましょう。
潮通しがよい外海ほど、ヌタ潮の影響は少なくなり、海がきれいになるのも早くなります。
▼ヌタ潮についてさらに詳しく解説した記事
まとめ
今回は魚を釣りづらくなる潮について、原因と対策を解説してきました。
潮は魚の活性にとって様々な影響があります。
人間で言う空気が、魚にとっての水のようなものです。
たとえば、青潮は部屋の中に火山ガス(成分はいろいろ)が充満しているようなもの。
魚だって、呼吸もままならず苦しがるので、餌を食べるどころではありませんね。
海に釣りに行く際は、潮回り以外にも、赤潮・青潮・水潮・澄潮・ヌタ潮についても意識して釣行するとよい釣果につながるはずです。