初夏限定、東京湾湾奥に近い釣り船が出船する釣り物が「夜アナゴ」です。
マニアが熱狂する釣りなのですが、そんなに競争好きじゃない人も季節感や食味目当てで涼しく楽しめます。
今回はこれから「夜アナゴ」をはじめる人向けに釣り方のコツ・タックル・仕掛けなどを詳しく解説します。
なぜ東京湾の「夜アナゴ」に釣り人が熱狂するのか?
東京湾の「夜アナゴ」は夜釣りのアナゴ船を指します。
アナゴ専門のほか、釣り場が近いシロギスとのリレー船(キスアナゴ)があります。
初夏の風物詩でシーズンは4月頃から7月頃まで。
夜アナゴで狙うのはマアナゴで、平均的なサイズは小型から中型(30~40㎝程度)が中心です。
岸釣りで狙うアナゴの中型は船ではかなりの良型とされる
もしあなたが岸からのぶっこみ釣りでアナゴを狙ったことがあれば、はじめは夜アナゴ船にギャップがあるはず。
そう、何故小型のアナゴがときとして血眼になって狙われているのかという点です。
これは筆者が分析するに大きく分けて3つあると考えます。
- アナゴの資源量と平均サイズの問題
- 江戸前では食味の点で小型のアナゴが珍重されていた
- 数釣り競争の興奮
そもそも東京湾をはじめとしてマアナゴの資源量は多くなく低位で推移しているという前提があります。
そのため、船釣りで狙うとなると数が多い小型主体になるわけです。
また江戸前のアナゴでは、「メソ(メソっ子)という小型をはじめとして、より身がやわらかく脂がすくないものが珍重された」背景も関係しているのかもしれません。
脂ノリが珍重されるウナギと異なり、江戸前でのアナゴは大型よりは食味の優れる小型のほうが愛されていたのです。
続いて、船の小物釣り独特ですが、「数釣り競争の興奮」があります。
夜アナゴの釣りでは小型から中型のアナゴを狙います。
中型までのアナゴは特段引き味が強いわけでもアタリが繊細というわけでもなく、1本釣りあげる釣り味は決して高いとは言えません。
では、その面白さはどこにあるのか。
夜アナゴはカワハギやシロギス同様「数釣り」の要素がきわめて強い釣り物です。
実釣3時間程度の限られた時間で、いかに多くの本数を釣る。そのことに心血を注ぐ人も多い釣り物です。
基本をおさえれば釣り船でアナゴを1本釣ること自体は、そうむずかしくありません。
が、短時間で数釣りするためには熟練したスキルが必要です。
ベテランは仕掛けや餌付けにこだわることはもちろん、2本竿や3本竿に独自の小突きといった技巧を屈指しています。
スキルを上げて、他人や自分と競い、さらなる釣果を上げるかに燃える。
「竿頭を目指したい」「次は○○さんに勝ちたい」など競争好きな人には、なによりも楽しみな釣り物なのです。
夜アナゴにハマる人は、有利な席取りのために連日釣行したり、席札を釣行前に取りに行く行動がよくみられます。
そう、釣果の道は前日からはじまっているわけです。熱い世界です。
ここまで、「何故小型のアナゴが狙われるのか」を考察してきましたが、3つ目の競争とは無縁の人も夜アナゴにハマることがあります。
そこそこの釣果を楽しみつつ、夜釣りという風物詩の雰囲気を楽しむスタイルです。
最盛期と異なり、平日出船する船も少なくなりましたが、やってくる夏を感じながら涼しい夜に釣りをするのは何よりも楽しいもの。
まったく釣れないと悲しいわけですが、ときおりくる「ブルンブルン」という本アタリを楽しみ、釣行後にサクッと料理をして晩酌をする。
それはそれで楽しい遊び方で、多くの釣り人を惹きつけてやまないのです。
夜アナゴの釣り場
中ノ瀬東より(木更津側)が夜アナゴの主戦場
基本的な釣り場は木更津沖から中ノ瀬にかけての砂泥エリアです。
シーズン後期になるとより湾奥側を狙う場合もあります。
かつては羽田沖などがアナゴの好ポイントであったのですが、湾奥になるほど、泥が増える傾向にあります。
数狙いであればシーズン初期ほど有効とされ、シーズン終盤は数が釣れなくなるものの、平均的な型は良くなる傾向です。
マアナゴの生態と習性
アナゴは夜行性。日中は障害物や砂泥底に潜んでいる
マアナゴは夜行性です。
曇天や濁りが強い場合は比較的明るい時間帯から活動をはじめるのですが、基本的に夕まずめから1.5時間ほどに時合がくることがほとんど。
関東地方における5月から6月の日没は18時から19時頃にかけてです。
だいたい、日没から20時30分頃までにアナゴの食いが立つ時合がやってきます。
夜アナゴ船でもこの時間帯が好機です。
明るい時間帯は障害物や砂泥にもぐっていたマアナゴは、暗くなると集団で砂泥地をはい回り餌をさぐります。
アナゴは海老・蟹・ボケジャコ・ゴカイ類・魚の死体(カタクチイワシをよく食べています)など、生きたものから死んだものまで食べる魚です。
60㎝級マアナゴの頭部。口唇部分が固く、噛まれると痛い
口唇部は固く、ヤスリのような歯が並んでいて、サイズのわりに噛む力がとても強いのが特徴。
身をひねり、その力をつかって餌を噛みちぎり飲み込みます。
ハリについた餌は端から噛みつかれて、やがてアナゴはハリに到達します。
針をのまれた場合、向こうアワセでも釣れるのですが、ハリに違和感をおぼえたアナゴは身体を回転させて針を器用に外すスキル(デスロールと呼ばれる)をもっています。
針外れはもちろん釣果にいたりませんし、ハリが飲まれると手返しが悪くなり釣果が上向きません。
そのため、夜アナゴではアタリに対して「即掛け」もしくは「ひと呼吸おいて掛ける」方法が知られています。
これらは餌のつけ方やアナゴのサイズ・活性によって日々異なります。
▼アナゴの捕食動画。餌の正確な位置に気づくのが遅いが、一旦察知すると狂ったように噛みついていくのが参考になります。
夜アナゴのタックル
同じ竿とリールの2本竿で小突くベテランが多い
竿
夜アナゴ用の竿は短竿で、軽く小突きやすい120㎝程度が一般的。
スピニングリールと併用できるようにトリガーがついていないタイプも多いのですが、両軸リール主体の場合はトリガーありの竿が滑りにくく、パーミングも容易。
地域と期間限定のため、市販されている専用竿は少ないのですが、一番人気でクセのない竿はダイワのアナゴXです。
小突きやすさ等は専用竿に劣りますが、シロギスやカレイ向けの短竿でも対応可能。
1本竿であれば、25~30号オモリに対応した7:3調子、8:2調子のライトゲームロッドでも問題ありません。
9:1調子等の高感度カワハギ竿は食い込みづらくなり、バラシも増えてきます。
夜で視界も悪くなるため、キャストミス等で穂先折れのリスクも高まります。
スピニングタックルで狙う場合、ガイドがスピニングに対応したものを選ぶほうがキャストトラブルも少なくなります。
両軸と併用できるロッドでもスピニングリールはキャストできますが、元ガイド部分にPEラインがぶつかりやすく、ライントラブルや高切れに至る可能性が高くなります。
▼夜アナゴに適した両軸リール向けロッド
▼夜アナゴに適したスピニングロッド
リール
夜アナゴでは、ダブルハンドル、ハイギアの小型軽量両軸リールが人気です。
- 糸ふけを調整しやすい点(クラッチ操作で糸ふけ調整ができる。ダブルハンドルはよりテクニカルに操作できる)
- ハイギアで巻き取り速度が速くなり手返しが向上する
- タックルがより軽量になることにより、穴子の前アタリや本アタリの判別がしやすくなる
以上が、ダブルハンドル&ハイギアの両軸リールが選ばれる理由です。
ドラグを使う釣りではないので、船下であればメカニカルブレーキ単体のスタンダードなリールで十分です。
ただし潮が速く、オモリも25号程度で、餌・ケミホタル類とあわせて潮受けするため一定の巻重り感があります。
ハイギア巻上げ時の負荷を減らしたい場合は、より剛性の高い金属筐体リールを選ぶとよいでしょう。
キャストする釣りをしたい人は、メカニカルブレーキ以外のブレーキを装備したリールを選ぶとトラブルが軽減します。
スピニングリールでも同様に特にハイスペックなリールはいりません。
ロッドが短いため、2500もしくはコンパクトタイプの3000番がぴったりです。
巻上げ負荷はそれなりにあるので、負荷を軽減したい人は中価格帯以上(およそ1万円以上)のリールを選びましょう。
▼夜アナゴに適した両軸リール
道糸と先糸(リーダー)
道糸はPEライン8本編の1号~1.5号がおすすめ。
水深は深くても25m程度までなので、ライン自体は高切れに備えても100m巻いてあれば十分です。
より細糸を使うことで潮受けが減り、道糸のたるみも出ずらく感度があがるのですが、バックラッシュ時は復旧しづらくなります。
眼が悪い場合、PE2号を選ぶことでラインはさばきやすくなりますが、潮受けしやすいのでとりあつかいに注意が必要です。
中サイズ以上のアナゴを掛ける際の瞬間的なライン負荷はそれなりにあり、先糸をつけることで高切れリスクを軽減できます。
また、キャストを多くする場合も、先糸を介することでキャストミスによる結び目からの高切れが少なくなります。
他に先糸をつけることで穂先がらみも少なくなり手返しが向上します。
ガイド径にもよりますが、あるていどハリのある5号~7号程度のフロロカーボンの先糸を竿の長さ分つけることでライントラブルを減らせます。
キャストをする際は結び目のガイド詰まりをさけるため4~5号がおすすめです。
※木更津沖、中ノ瀬ともに根がかりは基本的にないので、PEラインの強度と先糸の強度バランスは気にしなくても問題ありません。
▼潮が速いことが多く、PEは8本編の1号主体。巻替えたくない場合は1.5号でも問題ない
夜アナゴの仕掛け・餌
夜アナゴの仕掛けで一番人気かつ一般的なのが、釣り鐘オモリをつかったものです。
釣り鐘オモリの振り分け仕掛け(ウナギ針・丸セイゴ針)
釣り鐘オモリの下にダブルスナップやスプリットリングで親子サルカンや三又サルカンを連結します。
人によってはオモリ上にもハリスをつけることも。
ハリスはフロロ4号もしくは5号が一般的で4~8㎝と短めにつくり、夜光パイプか夜光ビーズで覆うことによりアナゴの糸がらみを避けます。
アナゴは太ハリスを嫌うわけではないので、細糸でさばきにくくなるよりは5号程度を使用することをおすすめします。
基本的に仕掛けの各連結部がシンプルなほどアタリがわかりやすくなります。
アナゴを取り込む際はオモリをつかむのですが、その際にアナゴが回転しながら暴れます。
このとき、オモリから先に回転部分がないと、アナゴの回転力を逃がすことができず、仕掛けに絡みつく原因になってしまいます。
なれないうちは仕掛けをシンプルに作りましょう。
筆者のシンプル仕掛け(釣り鐘オモリ2本針+ケミホタル)
<おすすめ夜アナゴ仕掛け(釣り鐘オモリ)>
道糸側から以下の通り
- ケミホタル37or25or極小水中ライト
- 釣り鐘オモリ25号(20号・30号)
- スプリットリング(ソルトルアー用の大き目で強度があるもの)
- 三又サルカンor親子サルカン(小型すぎず破断強度が一定あるもの)
- 4㎝針+7㎝針(2本針の場合段差をつける)をスナップのみで連結
丸セイゴ・ウナギ針・カレイ針等が一般的
針はウナギ針の11号、12号が一般的。
昨今は小型のメソでも吸い込ませやすくするため、11号が人気。
- ウナギ針:よりアナゴが食い込みやすいが餌はつけづらい
- 丸セイゴ:餌をつけやすいが掛けやすさは劣る(とくに小型)
仕掛けをつくる工数を考えると、はじめは市販仕掛け(船宿仕掛け)を購入してしまうと楽です。
慣れてきたら、「あーでもないこーでもない」と自作するとさらに楽しくなります。
オモリの種類と号数
オモリは釣り鐘タイプをつかうのが一般的ですが、必須ではありません。
20号、25号、30号のオモリを使いますが、25号の出番が一番多いです。
潮が飛ぶときも多く、30号のオモリがあると安心です。
特徴は以下の通り。
- 釣り鐘オモリ(固定式):海底に振動をあたえてアナゴを寄せる力があるとされる、色付きはやや高価。オモリが底にあるときにアナゴのアタリがわかりづらい
- 丸オモリ・ナツメ錘(遊動式):海底で転がるため潮がゆるいときは置き竿でも広くさぐりやすい。潮が速いとオマツリの原因になりやすい
- 六角オモリ(胴突き):アタリがわかりやすい。オモリを着底させたまま餌を動かせるため、深場や潮が飛んでいるときによい
夜アナゴ定番オモリ。8割がこちらを選ぶ
丸オモリ・なつめオモリ。遊動仕掛けで広く探るときに使用されがち。アタリが分かりやすい
六角オモリ。胴突き仕掛けで使用される
▼夜アナゴに適したオモリ
ケミホタルや水中ライト類について
アナゴは振動や匂いによって食餌すると思われますが、光に寄ってくるとも言われます。
発光色は人により、緑や赤をつかいわけますが、経験上あまり重視しなくてもよい要素です。
多くの釣り人はケミホタルや水中ライトをオモリ上(もしくは天秤の軸)に装着します。
オモリ上に装着することで巻き上げ時の目印にもなりますし、仕掛け(針)交換時も外すことがなく釣りができます。
強すぎる光を放つライトは周囲にも悪影響を及ぼすともいわれ、乗合船での使用は慎重にしたいところ。
また大型のケミホタルやライトは潮受けしやすくなりオマツリの原因になります。
ケミホタルは37が一般的。潮受けを考え小型の25サイズを使用する人もいます。
水中ライトも使用時はオモリ一体型か小型を選びましょう。
※はじめての釣行で盲点なのが水中ライトです。密封できていないとすぐに浸水して壊れてしまいます。使用前にしっかり確認しておきましょう。
餌
夜アナゴ定番餌がアオイソメ。ヌメリを攻略するのがカギ
夜アナゴで一般的なのがアオイソメ。
イソメは乗船料に入っているため持参は不要です。
ぬめるため餌付けにスキルが必要です。
- 滑り止め(石粉・砂・おが屑など)を持参する
- 利き腕でハリを持つ。利き腕とは反対側の親指と人差し指の爪を伸ばしておく
- あらかじめ頭部から胴までを3~4㎝程度にカットしておく
※海砂は便利なのですが、リールのレベルワインドに入りやすく故障の原因になります。使用時は手指を洗う水を用意するとよいでしょう。塩も滑り止めになるのですが、イソメから体液が出てすぐに弱ります。
やや太目の個体を選び、頭部から胴体付近までをつかいましょう。
尾側は切れやすいためつかわないほうが無難です。
イワイソメは高価だがアナゴの寄りはよい
アオイソメと比較すると動きは少ないものの、独特の臭いがあるのがイワイソメ。
2本針をつかった仕掛けで一方にイワイソメをつかったり、チモトにこきあげてつかうことで集魚力をたかめることができます。
サバやイワシなどを薄く短冊状にしたものを皮ごと縫い差しにするのも一つです。
1本針で食いが不安な場合も2本針で併用することで効果を期待できるかもしれません。
湾奥部のポイントでは接岸するカタクチイワシの死骸を食べていることも多く、イワシエサが強いとも言われます。
※東京湾で遊漁船をつかった釣りでは申し合わせ事項でサンマ餌は使用できません。岸釣りではアナゴの特餌として一般的ですが、船では使用を控えましょう。
その他持参したいアイテム
- 簡易竿受け
- キーパー
- 尻手ロープ
- ヘッドライト
- タオル&ウェットティッシュ
- 緑茶や炭酸水
- ジップロック冷凍用L
- クーラーボックスやクーラーバッグ(小型でOK)
<簡易竿受け>
簡易竿受けはあると便利。竿の固定という観点てはシマノのタイプがおすすめ
簡易竿受けをつかうことで、一時的な置き竿をしやすくなります。
特に手持ちの2本竿で1本にアタリがきた際、もう1本を置く必要があるのですが、竿受けがあると竿が安定しやすく、次のアタリにも備えられます。
<キーパー>
ちょい投げ等でより竿を安定させたい場合はキーパーも便利。2本竿小突きの場合、手の感覚がかわるので注意
キーパーはちょい投げ置き釣りをするときに便利です。
潮が速いときは、かなりの速さで仕掛けが流されるのですが、竿も左右にかたむきがち。
キーパーに設置することにより竿の垂直ポジションを維持できます。
<尻手ロープ>
尻手ロープは夜アナゴでは必須のアイテム。
イソメやアナゴでぬめる手で小突いたりキャストをすると、高確率で竿を「海神奉納」することに。
尻手ロープは必須です。キャストする場合は、短すぎるロープはやりづらいので注意。最低150㎝あるとよいです。
<ヘッドライト>
夜アナゴ船の船上は釣りができるように照明があります。
が、手元をピンポイントで照らせたほうが、効率が良い場面も多くヘッドライトを持参するとよいでしょう。
夜光オモリの場合も、ヘッドライトで照らすことで集魚効果を保てます。
<タオル&ウェットティッシュ>
夜アナゴではイソメやアナゴ由来のヌメリが手指につきます。乾いたタオルを複数枚持参しましょう。
<緑茶や炭酸水>
緑茶や炭酸水があると沖上がりに手指のニオイを軽減できます。
<ジップロック冷凍用L>
釣りあげたアナゴはスタッフがさばいてくれるのが夜アナゴです。
密封できるジップロックを持参すると血などがもれずきれいに持ち帰れます。
氷は別のジップロックに冷やして持ち帰りましょう。
<クーラーボックスやクーラーバッグ(小型でOK)>
アナゴはさばいたものを持ち帰るため、多く釣ってもりょうの手のひらに乗りきる程度です。
そのため持ち帰りの用のクーラーボックスは5L程度の小型で十分です。
クーラーバッグでも大丈夫。
さばいてもらったアナゴは頭部と骨、身にわかれていてコンパクトに収まる
夜アナゴの釣り方と勘所
夜アナゴの釣り方は船下狙いとちょい投げの2種類あり、置き竿を併用することで釣果が出やすい場面もあります。
※具体的な釣り方(小突き方・アワセ等)は記事末にある動画を参考にしてみてください!
船下小突き
上手な人ほど小突きにリズムがあり、釣況によりリズムが変化する
船下小突きは一般的な釣り方です。
<船下小突きのやり方>
- サミングしながら船下に着底させる
- 竿先を水平もしくはやや上向きにし、ラインをはったりゆるめながら竿先をつかってオモリを海底で立てたり起こしたりを繰り返す
- 10~30秒小突いたら小突きをやめ、食わせの間をとる
- ときおり竿先を聞き上げオモリを海底から離すorオモリを50㎝ほど勢いよく上げるようにする(空アワセとアピール)
- 餌をひっぱるようなアタリがあったら小突きをやめておくりこみ、ひと呼吸おいて聞き上げ「ブルンブルン」の本アタリで巻アワセする
- 海面まで巻き上げケミホタルや水中ライトが見えたら巻くのをやめて竿を立ててオモリをもって取り込む
- 利き腕とは反対の腕でタオルをつかい頭部の下部分をしっかりつかみ、利き腕でハリを外しバケツに入れる
釣り鐘オモリに1本竿の場合は、オモリが底から離れるか離れないかで竿先をつかってオモリを上下させ、餌を揺らします。
オモリは底からあげるとしても1、2㎝程度です。
ライトゲームロッドなどやや長めの竿1本で小突く場合、一方の手でバット(グリップ上)をつかんで操作することで疲労度が軽減し、小突きが安定します。
やみくもにガチャガチャ上下させてアピールするというよりは、オモリが海底で倒れたり起きたりするイメージを的確に繰り返したほうがアタリがつくりやすくなります。
2本竿の場合、誘いによってアタリが出ない場合や取り込み時は一方を一時的に置き竿にして仕掛けを安定させることでアタリが出やすくなることも。
投げ小突き
スピニングリールは夜釣りでもトラブルなく遠投しやすい(元ガイドにPEがつまるのでスピニング用の竿推奨)
潮先(潮下)側によく釣る人が入っている場合で船下メインで釣っていても、「アナゴがまわってこない」というのもよくある話です。
こうした場面では、広く探りましょう。
投げて筋をずらしてから小突いたり置き竿をすることで、アナゴとの遭遇率をあげることができます。
<投げ小突きのやり方>
- 下手投げでキャスト
- 潮速によりフェザーリング&道糸巻き取りでラインを張り気味にする
- 置き竿にして放置、もしくは竿を立て気味にして数回小突いてからオモリを手前に移動させてくる
- ラインが流される場合、潮下側とのオマツリを考慮して、一定タイミングで回収する(道糸の角度で判断)
- 以上を繰り返す
短竿のため尻手ロープが短いと投げづらいので注意
アタリから取り込みまで
小突き続けているとやがて「ツツツツ」「ツツン」というようなアタリがでます。
アタリに対して即合わせをするほうがいいか、少し待ったほうがいいかは日によってことなります。
慣れないうちは、一つ一つのアタリに対して落ち着いてとりにいくことをおすすめします。
- 「ツツツツ」「ツツン」というような小さなアタリがあったら竿を少し送り込んで一呼吸置く
- 竿先をすこし聞き上げて重さを確認する。オモリの重さに加えて、やや重さがある場合は乗っていると判断
- 聞き上げて重さを感じない場合、オモリを再度着底させて待つ
アナゴがヒットしたら素早く巻き取ります
海面までオモリを巻き取ったら竿を立てましょう
アタリを放置せず、巻きも的確であればアナゴは仕掛けに絡んでいないはずです
そのまま抜き上げてオモリ部分をつかみましょう
針外しはタオルがあると便利です。手返しは素手のほうが高速
海底でアタリがあってから時間がたってしまうとアナゴが絡みついてしまうこともしばしば
釣りあげたアナゴは一旦バケツに入れましょう。アナゴをさばきやすくするため船宿により海水を入れないor入れても少量などのルールが変わります
夜アナゴで釣果の差がでるポイント
アナゴの頭部下をタオルでつかむみ針を外す。はじめは1本針がやりやすい
年によって変動はあるものの、資源は潤沢でないアナゴ。
夜アナゴ船でより多くの釣果を得るためのポイントをまとめておきます。
曜日と天気
アナゴは大きな群れで生息するわけでもなく、コマセで寄せる魚でもありません。
人が多いほど割り当てが少なくなるのがアナゴです。
休日と平日では平均釣果(割り当て)に差が出ます。
釣果を高めたい人は平日に釣行しましょう。
比較的悪天候が予想される日は空き気味になるので割り当てが増えます。
※ただし時化ぎみの日はオモリが海底に安定せず、難易度が上がります
船宿と釣り物
船宿によって夜アナゴへの意気込みは大きく変ってきます。
- 流し替え(アンカー操作)の頻度
- 実釣時間
などなど。
名人級の釣り人があつまる船宿は「夜アナゴ」を看板としています。
釣果の割り当てが下がる可能性もありますが、流し替え頻度も高く、釣果も期待できます。
ただし、あまり殺伐とした状況で釣りをするのが苦手な場合は、こだわらず空いている船にいくのがよいでしょう。
また、キスアナゴリレーがある船宿の場合、あえてリレーで釣る玄人も減ります。
そのため夜アナゴ初心者でも比較的のんびり釣りができるわけです。
比較的安牌なシロギスの釣果を考えれば「完ボ(完全ボウズ)」もすくないので安心して釣行できます。
釣り座
夜アナゴでは、基本的にアンカーをおろして釣ります。
アナゴは潮先(潮下)側からイソメの臭いつられ潮に逆らって船下にやってきます。
そのため、潮先になる釣り座が一番人気です。
<東京湾での潮先例>
- 南風で上げ潮であればトモ側
- 南風で下げ潮であればミヨシ側
単純に言えば上のとおりなのですが、実際は風が弱く、舳先の方向がかわったり、潮が微妙に流れないなどもあり、一概には言えません。
また、実釣中に風向きが変わる場合、アンカーを起点にして船尾側ほど、ふり幅がひろくなるため、より釣果を上げやすくなります。
次に潮上(潮ケツともいう)側の四隅も人気です。
一見潮上側というと、一番最後にアナゴに出会うイメージがあります。
が、オマツリを避けつつ、筋をずらした投げ方ができたり、2本での投げ小突きや3本竿でトラブルなく狙うことも可能になってきます。
ハイシーズンでは名人級の釣り師が連日釣行し潮先側の席に布陣するのですが、そうなると意外と潮先側の隣席に座る方が釣果が伸びないという場面もでてきます。
そのあたりの釣り座ゲームから楽しむのも一つです。
釣り座に消耗したくないひとは、船宿についたら残された席でベストを尽くす。これが一番です。
仕掛け
夜アナゴの仕掛けは各人こだわりがあるのですが、釣果に関わる要素は以下の通りです。
はじめは一般的な仕掛けや、ベテランに教わりつつ、自分に向いている構成をみつけましょう。
<釣り鐘オモリ系仕掛けの場合>
- より絡みづらくする(余計なパーツをつけない)
- 大きすぎる集魚灯・ケミホタルをつけない=オマツリ軽減
- 慣れてきたら針数を増やす(1本→2本→3本)
- 小型のハリを使いメソクラスのヒット率を上げる(ウナギ針なら12号→11号)
- ハリスをできるだけ短く構成する。段差針の場合4cm前後7cm前後=アタリが分かりやすくなり絡みづらくなる
- サルカン等の構成要素を少なくする(アタリを出やすくする)
<丸オモリ・ナツメ錘の遊動仕掛けの場合>
- オモリの遊動範囲の微調整(長すぎると絡みやすくなる)
- 針の振り分けの仕方
<胴突き仕掛けの場合>
- ライト類一体成型のオモリをつかう
- 餌が底5㎝以内を動くように構成する
餌付け
夜アナゴで餌付けはとても重要です。
アナゴはイソメの端から噛むちぎるようにすすみ、やがて針に到達します。
「モソ」っといったアタリや「フルフル」といったアタリはハリに到達する前でイソメの端を噛んでいることがほとんど。
このタイミングで合わせるとすっぽ抜けにつながります。
また餌付けが今一つであると、イソメが針から脱落してしまい、アナゴの本アタリ(針部分を噛んでいるアタリ)まで至りません。
- イソメの頭部側2尾から3尾の縫い刺し、たらし3~4㎝
- 頭部側3㎝ほどの房掛け
などいろいろあるのですが、重要なのはイソメの頭部から胴体部分までを使用するという点です。
尾側は縫い刺しにしてもすぐにとれてしまいます。
コマセの役目にはなりますが、食わせでは有効でないと理解しておきましょう。
また餌のボリュームや垂らしはある程度あったほうが、アナゴの反応が良くなります。
餌の継ぎ足し・付け替え
アタリがないときはイソメ餌を継ぎ足すか付け替えましょう。
イソメもしばらく小突いていると、体液が抜けてしまい、集魚力が下がります。
新鮮な餌ほど動きがあり、エキスが拡散するため多くのアナゴを寄せます。
投げられるか(特に潮上の場合)
明らかに潮上側の釣り座に座ることになった場合で、潮下側に上手な人がいるというケースでは、キャストできるが釣果の分かれ目になります。
両軸リールでのキャストが苦手な人はキス竿などスピニングタックルを1本持ち込むとよいでしょう。
投げ慣れている人であれば、両軸でもバックラッシュなしに釣りができると思いますが、PE1号以下の場合は一度バックラッシュすると、復旧が困難になります。
その場合、リーダーを結ぶロスが生じることも。
時合中に高切れした場合、思い切ってPE直結にして、ドラグをやや緩めて釣るのも一つです。
手返し
アナゴ釣りの名人をみているとハリ外し→餌付け(付け足す判断)→再投入までを高速で行っています。
手返しをあげるために、最適な釣り座整備や装備をしておきましょう。
- イソメのハリがけに時間がかかる→石粉をつかう、あらかじめ頭部から胴までをカットして分けておき、餌付け時は房掛けにする、丸セイゴ針をつかう
- アナゴのハリ外しに時間がかかる→一定秒数で外れない場合は、スナップから外すorハリ部分からカットする
- 2本竿は同時に投入する
- 細すぎる道糸ハリスを使わない→トラブル軽減
小突き
夜アナゴにおいては基本的に小突いて餌をしっかり動かしたほうがアナゴに捕捉されやすく、釣果につながります。
とはいえ、闇雲に小突き続けてもアタリはでなかったり。
潮が速いときはオモリを底から上げないで小突くことがオマツリを軽減し、釣果につながることもあります。
釣り座や竿の長さによって小突き幅は変ってきますが、釣れない小突き程、竿先が水平より下にありがちです。
長めの竿を使う場合も、後半は竿先が海面側に垂れがち。
竿先を水平から少しあげておくと、オモリが海底を離れづらく、アナゴの鼻先に餌を長くおいておけます。
時化気味のミヨシ側ではさらに竿を高くして道糸のたるみとハリをうまく調整しながら釣りましょう。
投げ小突きの場合、オモリを動かすためには竿を高めにあげる必要があります。
アタリが出ないときは同じ釣り方(小突き)を繰り返さない
小突き方や間などの変化でアタリが出ることも。例:速い誘いからスローに小突いてみる
夜アナゴは小突く釣りですが、熱心に小突きにもかかわらず一向にアタリが出ない場合もあります。
そんなときは同じ釣り方をつづけず、まわりをみながら小突き方や間を変えてみましょう。
アナゴが餌まわりに来ているものの、通り過ぎて違う釣り座下に行ってしまっている可能性があります。
- きちんと小突きの間をとり、食わせるタイミングをつくってやる
- 小突きの幅や高さなどを変える
- 船下だけで釣らず、ちょい投げしてみる
- 空アワセや聞き上げを随時入れる
※アタリが出ない場合、一定タイミングで餌をチェックしましょう。餌に噛み跡があって食い込みが悪い場合は食わせの間がないことが原因かもしれません
アカクラゲ対策
イソメ部分にアカクラゲの触手が絡んでいる状態。まず釣れない
毎年4月~7月頃はアカクラゲが多くなります。
道糸や仕掛けに触手がからむと、潮に流されやすくなります。
また仕掛けに触手が絡んでいると、アナゴが嫌い、アタリが極端に出なくなります。
アタリが出ない場合も、仕掛けを入れっぱなしにせず、一定タイミングで回収し仕掛けから餌部分までをしっかりチェックしましょう。
この動作はハイギアのリールをつかうことで手返しが向上します。
アカクラゲの触手はウェットティッシュや激落ちくん・スポンジをつかうと比較的落としやすく、ハリが掛かってもすぐに外れます。
タオルをつかうとカエシが掛かると外れにくいので注意しましょう。
バケツにアナゴがたまると、おもわず微笑んでしまう。マアナゴはそれほど美味しい魚
まとめ
夜釣りでは釣り座を整理しておくとトラブルも少なくなる
今回は東京湾で人気の「夜アナゴ」の釣り方・仕掛けなどについて詳しく解説しました。
小物釣りということもあり、名人の圧倒的な釣果(数)を見据え、修行のように日夜さらなる高みを目指す人が多い釣り物。
ほかに、「そこそこ釣れればいいなー」という人で、2極化しています。
釣りの楽しみ方は人それぞれなのですが、変わらないのは「釣り物のアナゴは最高に美味」という点です。
煮アナゴ・白焼き・天ぷらなど、ぜひ一度味わってみてください。
夜アナゴ(キスアナゴリレー含む)で出船している船宿一覧
どの船宿でもアナゴはさばいてくれる(船内もしくは沖上がり後)
夜アナゴは千葉・湾奥エリアから東京はもちろん、神奈川(川崎・横浜)までの船宿で出船しています。
最盛期から変わり、集客が見込める週末や祝日限定の船宿がほとんど。
出船日を確認してから予約しきちんと準備して出かけましょう!
千葉県
東京都
神奈川
夜アナゴの釣行動画(釣り方イメージ)
▼東京湾の夜アナゴ釣りにおける2本竿(序盤は3本竿)、置き竿、小突き、アタリの出方、アワセがよくわかる実釣動画です。
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