1月2月の海は水温もさらに下がり、だんだんと堤防や岸壁から魚が少なくなります。
1年でも最も気温がさがっていく時期ですが、釣り船やボートなどのオフショアの釣りであれば、まだまだ多くのターゲットを狙って釣ることができます。
多くの魚が水温低下に備え、脂肪を多く蓄えています。
船釣りはおかっぱりよりもさらに強い風にさらされやすく、体感温度もさらに低下します。
できる限り凪の日を狙って釣行したいですね。
今回は1月2月に船釣りで狙って釣れる魚を紹介します。釣り物探しの参考にどうぞ。
①「アジ」は厳冬期でも浅場で確実に釣れるうれしいターゲット
冬季に東京湾で釣れた大型の黄アジ(40cm弱)
マアジの中でも黄アジと呼ばれる個体群は1年中浅場に居着いているため、1月2月の厳冬期も釣ることができます。
多くの場合、港から近くのポイントが選ばれ、中小型であれば水深30mまでの海域で楽しめます。
釣況によっては水深50m程度までのポイントも選ばれ、全長40㎝前後の大型の個体も狙えます。
アジが海苔棚についている京急大津では、冬でも手漕ぎボートでかんたんに黄アジを狙うことができます。
<東京湾でのLTアジ釣りのノウハウ>
②「カワハギ」は潮温への慣れによって食いが顕著に変わる!?釣況を日々チェック
1月・2月のカワハギはキモパン揃い。
秋からの釣り物であるカワハギも1月2月に引き続き狙うことができます。
水温低下によって群れが集まるため、アタリがでやすい場所とそうでない場所に顕著な差がでてきます。
温かい潮がまじってくると急に活性が上がり好調になるものの、なんらかのきっかけで低調になり、餌を積極的にとらなくなる場合もあります。
水温が低く活性が下がっても、低水温に慣れると再びポツポツ釣れることも。
ゆっくりめの誘いをしたあとに、仕掛けを這わせカワハギにとって餌が一番とりやすい状態を演出し、確実に釣りあげていくのが効果的です。
③「イシダイ」はライト五目や専門船がある。脂ノリは最高!
1月に平塚沖で釣れた石鯛。1.3キロ。ウィリー仕掛けハリス3号
1月2月に船釣りでぜひ狙ってほしい魚にイシダイがいます。
この時期に釣れたイシダイは脂乗りが尋常ではなく、刺身、塩焼き等で最上級の味わいです。
イシダイというと離島などで本格的な磯から狙うイメージがありますが、中小型であれば東京湾や相模湾の船釣りでも十分狙うことができます。
イシダイを釣る船は、コマセを使ったライト五目(ウィリー五目)のほかに、コマセ真鯛や、胴付き仕掛けで狙うかかり釣りがあります。
船宿によって釣り方が異なるので、適切な釣り方を選びましょう。
- ウィリーをつかったライト五目(平塚、茅ケ崎、江ノ島)
- 長ハリスでのイシダイ五目(久里浜等)
- かかり釣り石鯛=胴付き仕掛け(松輪等)
ウィリー五目では、まわりで石鯛が釣れ始めたら比較的速めのシャクリ(待ち時間3秒程度)を繰り返すと釣果で出やすいのでオススメです。
このときオキアミのサシ餌が柔らかいものであったり、針にケンがついていないものは不利です。
サシ餌は船宿で支給されるものを妄信せず、釣り餌店でハードタイプを購入しておき、仕掛けもケン付きのタイプを選ぶとよいでしょう。
ウィリー仕掛けのハリスは2号でも釣れますが、飲まれ等でハリス切れが多いため、3号や4号をオススメします。
<オススメの仕掛け>
<船でも比較的簡単に石鯛が釣れる相模湾のライト五目ノウハウ>
1月2月のイシダイは500g前後の小型でも脂乗りがすさまじく塩焼きで美味
④「マダイ」はコマセ五目以外にタイラバ・テンヤも楽しい
1月2月はテンヤ・タイラバやコマセで真鯛が狙えるシーズン。
活性は高くないのですが、この時期は脂乗りもよく食味がいい個体を釣ることができます。初心者の場合、長ハリスを使うコマセ釣りよりもタイラバを選ぶとよいでしょう。
タイラバは専用タックルでなくても7:3のライトゲームロッドで問題なく釣りができます。
PEラインは0.8号もしくは1号、リーダは3~4号。ポイントは観音崎沖・第二海堡周辺・浦賀航路の深場が主要です。
タイラバの重さは東京湾の場合、80gから100gが主要ですが、事前に船宿に確認しておきましょう。
タイラバはタチウオやサワラのアタックやPEラインの高切れによってロストの可能性もあるため、90gの赤系・オレンジ系を数個そろえ、ネクタイ類とフックの替えをいくつか用意しておくと安心です。
<ピックアップアイテム>
釣り船ではタイラバ・テンヤとコマセは別の船であるため、タイラバでチャレンジできる乗合船を選びましょう。
<金沢八景でタイラバにチャレンジできる釣り船>
弁天屋・野毛屋
※タイラバ・ひとつテンヤで出船する船の場合、大潮・中潮回りのみ出船ということがほとんどです。予約なしで乗船できる船宿もありますが、事前に出船予定日を確認しておきましょう。
<1月のタイラバ動画>
⑤「タチウオ」は深場狙い。好調と不調のタイミングが顕著
夏から秋と浅場で釣れていたタチウオも、1月2月になると水深60~100m以深をメインに釣るようになります。
釣況によっては、水深50m程度のポイントに群れが集まっていて、ひとり20~30本釣れることもありますが、タックルは基本的に深場を想定したものを用意しておきましょう。
サバやコノシロの身餌を使う場合、エサのずれが少しでも生じるとタチウオに警戒されて食いが落ちます。
手返しを考えると小型の電動リールで勝負するのが圧倒的に有利です。
<ピックアップアイテム>
<船タチウオ関連記事>
⑥「アマダイ」は大型狙いのチャンス
アマダイと呼ばれるアカアマダイは水深60~100m前後の水深に1年中棲息しています。
潮が澄み釣り物が少なくなる晩秋以降に船宿が乗合船を出してはじめます。
1月2月は水温が下がって、ゲストのあたりが減るため、結果的にアマダイや「デカアマ」とも呼ばれる比較的大型のアマダイ(40~50cm)も狙いやすくなります。
仕掛けはハリス3号(チヌ針・丸海津針)が基本ですが、ハリスの傷をつねにチェックする点と、針は中軸以上を使うという点を心がけると大型を逃すことが少なくなるはずです。
あらかじめ大物狙いであれば、ハリス4号が安心。
電動リールで釣る場合は、バイトがあってから10m程度までは手巻きで対応し、魚のサイズを確認してから自動巻き上げに移りましょう。
惰性で釣っていると、大型のアマダイと気づかず、電動で巻き上げハリス切れしてしまうこともあります。
<ピックアップアイテム>
<東京湾・相模湾のアマダイ釣りノウハウ>
⑦「イナダ・ワラサ・ブリ」は年ごとに群れの入り方が異なる
年によりますが、1月・2月でもイナダ・ワラサが釣れる場合もあります。
イワシ・カマス・アジ等のベイトの動きにもよりますが、船宿の釣況を確認して回遊魚が釣れている場合は、高確率で釣ることができます。
イナダというと脂乗りが今一つのイメージですが、1月・2月のイナダは適度な脂乗りです。
冷蔵庫で数日熟成させると旨みも出て、刺身やカルパッチョで美味しく食べることができます。
釣り方は、コマセを使ったライト五目・サビキの落とし込み釣り・泳がせ釣り・イナダや鯛を狙った長ハリス・ルアー釣りがあります。
船宿ごとに選べる釣りが異なりますのでよくチェックして釣行しましょう。
<1月後半に相模湾でワラサが釣れた記事(マルアジ泳がせ)>
⑧ヒラメは「寒ビラメ」と呼ばれ最高に旨い時期
1月2月に釣れるヒラメは寒ビラメと呼ばれて、肉厚で身質も最高によい逸品です。
外房・相模湾でイワシの泳がせ釣り等で専門に狙う釣りがあります。
基本的に胴付き仕掛けで狙いますが、流すポイントの地形や流し方によって優位な仕掛けが変わるため、用意する仕掛けは船宿に確認してから用意しましょう。
特に捨て糸の長さ、ハリスの長さと太さなどは間違えると顕著に釣果の差につながるポイントです。
自己流を試す前に、船長に確認しておきましょう。
⑨スミイカ・アオリイカ・ヤリイカ釣りを楽しもう
1月・2月はイカ類も盛んに釣れる季節です。
スミイカと呼ばれるコウイカは水深~80m程度、ヤリイカ等は電動リールを用いた基本的に水深100~200mといった深場の釣りです。
深場釣りは仕掛けの本数も増え電動リールも必須になるためやや敷居が高く、スミイカやアオリイカが初心者から中級者に向いていると言えます。
スミイカはテンヤ(シャコ餌)やエギ・スッテ、アオリイカはエギメインで出船しています。
船によって餌オンリーなどのルールが決まっているため、自分のやりたい釣りができる船宿を選ぶとよいでしょう。
⑩「オニカサゴ・キンメダイ・アコウダイ」は鍋具材に最高
1月・2月の中深場狙いではオニカサゴ、キンメダイ、アコウダイといった釣り物が登場します。
東京湾で出船する船宿の場合、金沢八景以南の船宿が移動時間も少ないと言えます。
道具自体もオールレンタルできることがほとんどのため、頻繁に中深場の釣りをしない場合は、道具も比較的高価なのですべてレンタルしてしまう方がお手軽かもしれません。
釣れれば高級魚であって、鍋物にもうってつけです。
深場でゲストとして混じるサバも脂乗りがよく絶品です。
⑪「湾フグ(アカメフグ)」はさらにアタリが微妙になる時期
1月2月の厳冬期もアカメフグを狙うことができます。
岸からアオイソメやイワイソメを使ったちょい投げで狙うと、勝手に釣れてくる印象のあるアカメフグ。
一方、船釣りで専門に狙うとかなり奥の深い釣りです。
カットウ仕掛けを使って狙うとアタリが繊細で、仕掛けの組み方やロッドの感度や誘いと合わせのスキル等で初心者と玄人の間で釣果の開きがかなり出ます。
ショウサイフグと異なり、アカメフグはツブ根等根がかりが多いエリアを流す釣り物です。カットウ針やハリスが消耗しやすいので替え針やフックシャープナーを必ず持参しましょう。
<ピックアップアイテム>
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⑫「エビメバル」は2月に開幕
東京湾や相模湾ではそれぞれ2月にメバル釣りがスタートします。
東京湾は「モエビ」をエサにしたエビメバルが、相模湾東部はカタクチイワシをエサにしたイワシメバルが人気です。
釣趣もあり、比較的釣りやすい釣り物でもありますし、コマセ等も使わず汚れやニオイも少ないので初心者や女性のチャレンジにもうってつけと言えます。
▼船メバル実釣動画
⑬遠征コマセ五目釣り(カイワリ・イサキ・沖メバル・真鯛など)が面白い
1月2月は水温も下がるため、釣り物が少なくなってくるシーズンです。
そんなときも比較的水温が安定している沖まで遠征してコマセ釣りをすると多種多様な釣りが狙えます。
沖メバル(トゴットメバル)
東京湾であれば、「洲崎沖」や「沖の瀬」と呼ばれるエリアまで湾奥から1時間強かけて移動する乗合船があります。
80号ビシでアミコマセを使いつつ、ウィリー仕掛けや空針2~3本にオキアミをつけて狙う釣りです。
移動時間は湾奥からですと、往復で2時間程度かかりますが、魚種が豊富でボウズが少ないのが特徴です。
⑭ホウボウは餌でもルアーでも狙える魚
アラからもよいダシが出るホウボウ。鍋にもおすすめ
相模湾や外房を中心に冬場の釣りとしてホウボウが人気です。
釣期は1月から3月ですが、濁り潮が入るころに食いが悪くなるためシーズンが終幕します。
釣り方は天秤吹き流し仕掛けに2本針+サバ短冊&バケ針仕掛けか、ジギング。どちらかというと手軽さもありルアー釣りが人気です。
ジギングの場合も、枝スをとってサバ皮のバケ針をつけることでヒット率があがります。
これはホウボウがシラスを捕食していることが多いからです。
その他、専門の船ではないですが、タイラバ船でもヒット率が高い魚と言えます。
1月2月の船釣りでは絶対に濡れないようにしたい
おかっぱりと比較して船上はさらに強く風が吹き体感温度も下がりやすいと言えます。
防寒対策はしっかりするのは基本ですが、さらに、濡れないための工夫をするとよいでしょう。
特に座席が濡れていてお尻が濡れると急速に体力と集中力が失われます。
ヒップガードやクッションマットなどを持参するほか、吸水タオルなどで座席回りの乾燥状態を保つとよいでしょう。
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船釣りは1月2月でも釣り人が多いので週末は混むことも
老舗の野毛屋。寒い時期でもフグや鯛で連日盛況
おかっぱりの堤防・岸壁などは1月2月になると人気ポイントでも閑散としていることが多いですが、船釣りは別です。
きちんと対策をすれば、しっかり釣果もだせるため釣り好きが多く集まります。
人気船宿の週末の乗合はかなり混みあうため、予約ができる場合は確実に行いましょう。
予約ができない場合は仲間と車で向かうなどしてできる限り早く集合することが必要です。
※特に、アマダイ、マダイ、カワハギ、アカメフグなどは混み合う傾向にあります。