9月・10月の堤防の状況は?
9月の堤防からちょい投げ
7月・8月と暑い夏が過ぎてようやく涼しくなってきた9月。
台風が数多く通り過ぎ、釣行回数も減りがちな時期かもしれません。そんな台風も9月中旬以降~10月になると本数が落ち着き、晴れ間が多くなってきて運動会シーズンでもありますね。
晴天の日は紫外線は強いながらも、気温は30℃をしたまわるようになっているこの時期。海中は地上と異なり水温が高い状況が続きます。
そのためエサ取りが活発に動く時期。そんな秋の堤防で釣れる魚について解説します。
1.「アオリイカ」や「スミイカ」は春生まれの新子が盛んにエギを追う
7月中旬のアオリイカの幼体。夏~秋に一気に成長する
アオリイカの産卵シーズンは春ですが、そのころ生まれた新子が夏の間に餌を盛んにとり9月にはエギで狙えるサイズに成長します。
胴長10cm前後の個体がメインですが、生まれた時期や餌の具合によってさらに大きい個体も狙えます。
この時期のアオリイカはまだ幼く、釣られた経験も少ないため警戒心が低いことが多く、数釣りも可能です。
もしあなたがエギング初心者の場合は、はじめるのにもっとも適したシーズンでもあります。
エギは2.5号や3号といった小型のものを利用し、ロッドも汎用的なエギングロッドを選ぶか、やや柔らかめのものを選ぶと楽しむことができます。
港内などで浮いているアオリイカをたくさん釣れる時期でもありますが、資源保護のためにも、あまりにも小さい個体が目立つ場合は自粛したり、リリースをするなど配慮も必要です。
<ピックアップアイテム>
ロッドは1年中利用できる汎用アイテムを選ぶとよい。釣り味や感度にこだわる場合はより繊細なものをチョイス。
2.「タチウオ」は夏に続いてよく釣れる。堤防到着はお早めに!
タチウオは朝夕のまずめと夜間に釣る
タチウオは水温が高い間は堤防からも引き続き狙うことができます。
夜になると堤防際に接岸するイワシやアジを捕食しにくるわけですが、オススメの時間帯は夕まずめです。
タチウオがコンスタントに釣れている堤防の場合、到着時間がカギです。
このシーズンは夕まずめぎりぎりに到着するとすでに堤防が一杯であることもあるので、可能であれば15時ぐらいから堤防に到着し、昼間に釣りをして帰る人に挨拶をしながら、夕まずめ前に入れ替わって釣り座を確保する計画を立てましょう。夕まずめぎりぎりの到着の場合、狙っている釣り座が確保できないこともあるので注意です。
また、秋はアジサバ狙いの遠投かご釣りのシーズンでもあるのですが、潮や風の状況によってはウキが流れてキャスト範囲が狭くなったりトラブルになることもしばしばです。
かご釣りをしている人がいた場合、飛距離等を踏まえて干渉しないような釣り座を選びましょう。タチウオのウキ釣りをしている人がいる場合も同様です。
釣り方はルアーであればワインド釣法が中心です。
基本的に堤防のタチウオ釣りの場合、岸から50m以内で水面から3メートル以内のタナであたりが出ることがほとんどですが、なんらかの理由でタチウオが岸近くまで寄らなかったり深場にいることもあります。
こんなときは、遠投でき沈下スピードが遅めのスロージグを選んでもよいでしょう。
夕まずめ前の明るい時間帯はメタルジグからスタート。サバやイナダも狙える
メタルジグは沈下スピードが遅いもので夜光カラーをチョイス。
ワインドにはマナティのルミノーバシリーズが鉄板。
エサ釣りの場合、年配の方はゆっくり待てる電気ウキの釣りが多いですが、釣れる確率を上げるためには、テンヤを使った釣り方が効果的です。
テンヤにはテンヤホタルを装着。エサはキビナゴ中心にアピール力を高めるときはイワシを利用。
電気ウキの釣りでタチウオを狙う場合、基本的にタナを縦に釣る釣りですが、タチウオテンヤをつかえば、縦にタナを調整しながら横に広くゆっくり引けるため、結果的に釣果が伸びます。
ワインドで釣果が出ない場合も、テンヤのスローな釣りにはあたりが出ることもあり、ワインド派の人もボウズ逃れのためにテンヤを用意しておいてもよいかもしれません。
堤防から狙うタチウオはルアー・エサ問わずランディング時にバレやすいといえます。
ランディング時は指4本サイズ以内であれば、たも網を使わずに抜き上げることをオススメしますが、タックルのパワーがない場合などは、たも網をスムーズに使いランディング力を上げていきましょう。
たも網を使用する際は、岸壁の高さと潮の干満要素を踏まえて柄の長さを用意しておく必要があります。多くの場合5mあれば対応できますが、足場が高い堤防の場合5mでは海面まで届かないこともあります。
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<ピックアップアイテム>
ロッドは9フィート前後のシーバスorライトショアジギングロッドが使いやすい。
3.「マハゼ」は数と型がバランスよく一番釣れる時期
7月・8月といった夏場に釣れるハゼは小型の唐揚げサイズがメインでしたが、夏の間に餌をしっかりとったハゼが一番よく釣れるのが9月~10月です。
やがて秋が深まり、水温が下がっていくとハゼも次第に深場に落ち数が釣れなくなってきます。水深が浅く、深場がない河川ほどシーズンは短いといえます。
型も数も楽しめる9月・10月のシーズンは、天ぷらサイズのハゼを最も効率的に釣って楽しめる時期なのかもしれません。
人気のハゼクラでも小気味良い引きを味わうのによい季節。
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<ピックアップアイテム(ハゼクラ)>
ハゼクラをやる場合、アジング・メバリング・エリアトラウトのタックルを流用するとよい。PEラインを使ったほうが感度がいいが、トラブルを避けたい人は4lb程度のナイロンが使いやすい。
4.「スズキ(シーバス)」はコンディションのよい大型が釣れる時期
シーバスことスズキは、秋に河口域で落鮎やボラ・サッパなどを荒食いして、水温の低下にともなって産卵のために特定海域に移動します。
河川が絡む堤防では、このシーズンのスズキを狙うことができます。
ルアー・餌ともに夜釣りが中心。
秋はシーバスが餌としている魚も大型であるので、実際に食べている餌に合わせた大型のルアーを選びましょう。
エサ釣りの場合は、漁港周りではイワシやアジなどを泳がせてもよいですし、アオイソメを房掛けにして電気ウキ仕掛けで狙う人もいます。
<ピックアップアイテム>
5.「シロギス」は数が釣れなくなるも大型のチャンス
夏場に近場でたくさん釣れていたシロギス。9月はまだちょい投げでもまだ釣れますが、10月に入ると次第に近場では釣れなくなっていきます。
狭い湾内にある堤防などでは、台風が数度きたあとにガラっと釣れなくなることも。
シロギスは視覚的に餌をとっているため、浅い海が底荒れし濁ると餌を視認しにくくなるため極端に食いが落ちます。
地域差がとてもあるので、よく釣況を調べながら釣行するとよいでしょう。
9月に入ると各地の海水浴場もクローズされるため、サーフを端から端まで遠投しながら探ってみましょう。
これまで誰にも狙われなかったキスがたまった良いポイントを見つけられるかもしれません。
また水温の低下にともなり釣れるキスには大型の個体も混じります。25cmを超えるシロギスの引きはかなりパワフル。
大型は天ぷらだけでなく刺身にするのもオススメです。
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※前述のシーバスタックルやエギングタックルと同様。ルアーロッドを利用すると手軽でいい。
6.夏が旬の「マゴチ」は秋でもまだぶっこみ釣りやルアーで狙える
マゴチといえば夏が旬とされる魚ですが、釣り物として狙われる期間は春から秋と年々長くなっています。
これは様々な釣り方が一般的になってきたというのもありますが、温暖化という面もあるのかもしれません。
堤防からマゴチが狙える時期の目安は、堤防からちょい投げでシロギスやメゴチが釣れているシーズンと重なります。
9月・10月はまだキスやメゴチも狙えます。これらの魚をちょい投げで釣るか、あらかじめ河川でハゼを釣って持参し、ぶっこみ釣りで狙いましょう。餌としては15㎝程度のハゼが食い込みがいいと言えます。
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※前述のシーバスタックルやエギングタックルと同様。オモリは中通しオモリもしくはジェット天秤を利用するとよい。
7.「カワハギ」はツブ根周りや岸壁際でまとまって釣れる
カワハギは8月後半から9月に浅場の砂地のつぶ根にまとまるため、狙って釣ることができます。
潮通しのよい堤防を選び、障害物がないポイントより、やや根が混じっているところに仕掛けを投入するとよいでしょう。
ちょい投げで釣る場合は、針のサイズを吸い込みやすいものにする点と、イソメを小さくつけるところがポイントです。
テトラや岸壁際でも群れていることがあり、コマセで寄せつつ胴付き仕掛けで狙う方法もあります。
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※前述のシーバスタックルやエギングタックルと同様。
仕掛けは胴付きの市販品を利用するがキャストするのであればジェット天秤に投げようの仕掛けでもよい。
8.「アジ」は朝夕のまずめと夜にまとめて釣る
秋はアジが積極的に堤防周辺を回遊する季節です。
ルアーでのアジングをはじめとして、ポイントが遠い場合や大型を狙う場合は遠投カゴ釣り・投げサビキ、中小型は堤防近くでサビキやウキ釣りで狙いましょう。
遊漁船で狙う沖釣りと異なり、基本的に日中のアジは堤防周りにいないため釣れません。
狙って釣る場合は、朝・夕まずめや夜釣りをするとよいでしょう。
9.「イナダ」と「大サバ」などの青物は遠投カゴやライトショアジギングで
夏場はブリの幼魚である『ワカシ』が回遊していた潮通しのいい堤防では、秋になるとイナダサイズが混じるようになります。
この頃、全長40cm程度の大サバ(基本的にマサバが大きくなったものを呼ぶ)も、シラスや少しイワシ類を追って堤防際まで回遊します。
釣り方はエサ釣りであれば遠投かご釣り。ルアーであればメタルジグをメインに遠投しましょう。
まわりで釣れてないときも100m以上遠投することで釣果につながることも。
完全に回遊を待つ釣りなので、投げ続けることが肝心です。
夕まずめや朝まずめは表層から3メートル以内を中心に、日中は中層から底までを狙うとよいでしょう。ナブラがあるときは迷わず表層です。
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※前述のシーバスタックルやライトショアジギングタックルと同様。メタルジグ意外にスピンテールジグ類も反応がいい。
11.「イワシ」は型が大きくなったものが堤防周りを回遊
8月に獲れたウルメイワシ
夏に入れ食い状態だったイワシもたくさん餌を食べて秋にはさらにサイズが大きくなっていきます。マイワシ、ウルメワシなど、サビキで数が釣れる時期でもあります。
群れが回っている堤防は、常にコマセが入っている堤防です。
人気がない堤防より、混みあって常にコマセがまかれているような人気のポイントを選ぶとよいでしょう。
イワシがよく釣れる堤防では、この時期、シーバス・カマス・イナダも狙うことができるかもしれません。釣れたイワシを泳がせるほかに、ルアーも一緒に持っていくことをオススメします。
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12.「カマス」群れがやってくるとまとまって釣れる
関東の堤防から狙って釣れるカマスは、アカカマス・ヤマトカマスの2種類がいますが、この両者は秋になってイワシやシラスが接岸している頃にそのあとを追って堤防や漁港内に入ってきます。
日中はあまり釣れないので、夕マズメから夜釣りとして狙うとよいでしょう。
エサで狙うよりはルアーで釣るほうが効率的で、小型のシンキングミノーやスピンバイブのようなハードルアーのほかに、1~3g程度のジグヘッドで狙うと面白い釣り物です。
基本的にかなり大規模な群れで港内と沿岸を行き来するので、釣れるときは連発して釣れます。いないところには全くいないため、釣り場情報を常にチェックしておくとよいでしょう。
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13.「アナゴ」は夜釣りで引き続き釣れる
アナゴ釣りというと夏の夜釣りが有名のように感じますが、秋も引き続き釣ることができます。
引き続き夜釣りが基本ですが、時合の釣りのため、夕まずめから狙うとはじめの時合を逃さず済むことが多いといえます。
この時期の夜釣りではポイントがタチウオと重なることも多いので、到着時間はお早めに。
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14.「イシガニ・ワタリガニ(ガザミ)・モクズガニ」のカニ網が楽しい
ガザミやタイワンガザミ、イシガニなどの蟹をカニ網で狙うことができます。塩分濃度がやや低い河口近くの堤防や漁港で狙うとよいでしょう。
河川の近くにある堤防であれば産卵に伴い川を降ってくるモクズガニも狙うことができます。
ちなみにモクズガニは10月中旬以降がオススメです。
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15.「タコ」はまだ狙える。数からサイズへ
堤防釣りのタコは梅雨時から8月中までが数を狙う時期ですが、9月以降もまだ狙うことができます。
タコはあまり移動しない生き物ですので、堤防では日々釣り人に釣られていくのもあって数自体は少なくなっています。
一方、生き残ったタコは巨大化していて、釣れると数キロサイズの個体も狙える時期でもあります。
タコは共同漁業権に指定されているところがほとんどですので、釣りをするところを選んで楽しみましょう。
9月・10月の釣りのまとめ
秋は1年でも堤防釣りが一番活況となる季節かもしれません。これは、釣れる魚の種類もそうですが、夏の暑さが一段落して、堤防を訪れる人も増えるからです。
サビキ釣りやちょい投げを楽しむファミリーのほかにも、特に回遊魚を遠投カゴで狙う人やタチウオ狙いの人は人気のポイントでは5メートル間隔で釣り座を設けていたりします。
心無いほんの一部の釣り人によるゴミの投棄も増える時期ですので、マナーを守りつつ、余裕があれば他人のゴミも持ち帰るようにしていただければと思います。
関連アイテム
大物も増える時期なので、たも網も毎度持参したいシーズン。
堤防釣りの釣り座の高さや潮の干満によって必要な長さは変わりますが、よっぽど高い釣り座でなければ6mのアイテムを持っておけば安心です。