天ぷら種としてよく知られているキスことシロギス。
国産のシロギスは、底引き網で漁獲しづらく魚屋やスーパーにはあまり流通しません。
そのため、まさに「釣り人ならではの味わい」といっても過言ではありません。
本記事は「シロギス料理レシピ大全」として、はじめにシロギスの「食材としての特徴」「持ち帰り方」「下処理方法」を紹介しています。
その後、独自の10種類以上のシロギスレシピを紹介しています。
料理名は目次から参照してチェックください。
シロギスをつかった料理をどんどん追加していくので、よかったらブックマークしてみてください!
シロギス(キス)の特徴・締め方・持ち帰り方
キスは腹から鮮度落ちしやすく、身もゆるくなりがち
シロギスは水分量が多く、メゴチと合わせて比較的鮮度落ちしやすい魚です。
特に夏場はすぐに身が緩んでしまうので、釣りあげたそばからできるだけストレスを与えず締めていくのが大切。
おすすめは潮氷(海水氷)で締める方法。まとまって釣れるシロギスにはうってつけです。
まず、釣りをはじめる前に、クーラーボックスのなかにクラッシュアイスと海水を混ぜ合わせておきます。
次に釣りあげたシロギスは、バケツなどにいれておきます。休憩タイミングなどを見計らってクーラーボックスの潮氷へ丁寧に入れていきましょう。
この時、氷のみの場合は鮮度落ちし、身がゆるみやすいので注意です。魚体全体が冷えず、片側のみ冷えてしまうからです。
大型のシロギスを刺身にするときは血抜きをしてから持ちかえるとグッド
大型の個体を刺身にする場合は、脳締めや延髄締めをして血抜きをしておくと鮮度がさらに長続きします。
夏場バケツに入れておく場合は要注意。適宜海水を交換or酸素を補給
潮氷で締めた良型シロギス
潮氷で締めたあとは、しっかり冷えた状態で持ちかえるのも重要です。
<締め方・持ち帰り方のまとめ>
- シロギスはできれば釣れたそばから潮氷で締める
- 刺身にする大型は脳締め&血抜きがオススメ
- しっかり身が冷えた状態のまま持ちかえる
※シロギスはハリが飲まれやすい魚なのですが、一度針が飲まれた魚はバケツに入れてもすぐ死ぬので、即クーラーボックスが理想です。
シロギス(キス)は当日に下処理する。かなり重要
下処理を完了したシロギス
しっかり保冷をして持ちかえったシロギスは、当日中、できるかぎり早めに下処理をしましょう。
シロギスの胃腸には未消化物が常にあり、胃壁が薄く、胃酸や酵素類によってすぐに腹が緩み溶けてしまいます。
ちなみにメゴチ同様、胃内容物は独特の臭気があります。
釣りあげた翌日には、ハラワタに接触している部分から痛みがすすみ、生食時の風味や食感が落ちます。
また、全体的に水分が多いため、身が緩みやすく、さばきにくくもなるのです。
オススメの下処理方法は以下の通り。
- 頭部をもって鱗を包丁の刃側でやさしく落とす(身を押さない)
- 頭部を落とし、内臓と血合いを洗い流す
- 水分をキッチンペーパーなどでぬぐっておく
下処理を当日済ませることで賞味期限が伸びる
シロギス(キス)のさばき方(刺身用大名おろし)
鮮度落ちしやすいシロギスを刺身で食べる。これは、まさに釣り人の特権中の特権です。
大型のシロギス
持ちかえったシロギスは、冷蔵庫からだしてすぐの保冷された状態でさばきましょう。
他に、ボールに氷水をためて調理するのもオススメ。
身が緩むとさばきにくくなるので、室温に気を付けましょう。夏場はクーラー必須。
スプーンでうろこをとるのも一つ。
後程落とす頭を指で押さえて、鱗を落としで身を押しつぶさないように注意しましょう。
鱗を落としたあとは、頭部をおとします。
頭を落とす際は、胆嚢・胃腸を傷つけないように注意。
夏場に釣れた大型のキスは抱卵していることも。
卵を食べる人は、日本酒につけこんでおきましょう。
大型のシロギスはいかつい
頭部はダシ取りに使えます。
大名おろしが手軽。包丁とまな板の水分は拭いつつ、工程を進めていきます。
腹骨をすく。
まな板の手前側にサクを置き、皮をすいていきます。
やや棒状の身なので、ブレードの薄いフィレナイフがおすすめ。
血合い骨を適宜除去すれば、刺身としておいしく食べられます。(のぞかなくてもそれほど気になりません)
食感や甘みをさらに増したい場合、大名おろしにしたあとに、一塩し冷蔵庫内で脱水するのもおすすめです。
藻塩やヒマラヤピンクソルト(細粒)を身の30㎝上からわずかにふりかけます。
シロギス(キス)のさばき方(松葉おろし)
シロギスを天ぷら用にする場合、数が少ない場合は背開き行うときれいに仕上がります。
一方、まとまった量がある場合は、一度下処理した後に松葉おろしにしていくのがおすすめです。
工程をまとめられますし、内臓由来の臭みも身肉につきづらく、釣行翌日以降の調理にも向いています。
こちらは下処理を完了したシロギス。
大名おろしにしつつ、身全体を切りはなさいように刃をすすめます。
その後、中骨を切り取る。
尾側に残る骨が少ない方が食感はよいですが、揚げる際に尾びれがとれやすくなります。
できあがり。
天ぷらにする際は、しっかり水分を拭い、打ち粉をしてから衣をつけて揚げましょう。
次に、シロギスの料理レシピを紹介していきます。
キス料理レシピ①いくらでもイケる君!「シロギスしゃぶしゃぶ」
実はシロギスはしゃぶしゃぶに向いている魚です。
昆布だしであっさり食べるのもよいですし、サクにするときに出る、中骨と頭部をつかってダシをとるのも一つ。
ポン酢・もみじおろし・小葱で、ペロリと食べられます。
残った汁は雑炊やうどん・温麺などに。
キス料理レシピ②さっぱり旨いぞ!「シロギスの酢じめ
夏場はどうしても食欲がなくなりますが、シロギスの酢締めならば、パクパクと食べられます。
塩をふって脱水したあとに、1分ほど米酢や合わせ酢につける、浅めの締め方(刺身に近い)から、半日から1日漬け込む方法も。
好みでどうぞ。
キス料理レシピ③まろやか!「キスの糸づくり胡麻生姜和え」
糸づくりにしたシロギスを練りごまやショウガで味付けしたもの。和え方はいろいろ。ウニ+白みそ和えなど、お好みの方法でどうぞ。
キス料理レシピ④締めの一杯!「キスのゴマ茶漬け」
胡麻和えにしたシロギスの糸づくりを軽めの白飯に盛り、昆布だしや、シロギスのアラ出汁をかけて食べる一品。
締めに良いですね。
キス料理レシピ⑤BBQのお供!「シロギスのニンニク醤油漬け焼き」
すりおろしにんにくなどで下味をつけたシロギスをアルミホイルで焼き上げる調理法。
焼き肉のたれなどをジップロックにいれてつけこむのも一つ。夏場野外で食べる際に、単純な塩焼きよりは、パンチが効いて美味しい食べ方。
キス料理レシピ⑥炙ればわかるさ!「シロギスの焼き霜づくり」
皮つきのシロギスをバーナーで炙るだけの料理。
バーナーで皮目をあぶって、即、氷水につけこみ、水分をしっかり拭いましょう。
鮮度によっては湯引いてからバーナーで炙ることで独特の臭みを軽減できます。
奥:イシモチ、手前:シロギス
キス料理レシピ⑦THE 洒落乙!「シロギスのカルパッチョ」
シロギスはカルパッチョにも適した魚です。
冷やしたお皿に、にんにくの断面をすりつけ、風味をつけます。
その後、刺身にしたシロギスとハーブ・野菜を盛り付け、カルパッチョソースをかけていきます。
ソースはオリーブオイル+クレイジーソルト+レモン汁が簡単です。
キス料理レシピ⑧痛風まったなし!「シロギスの痛風ペンネ(シロタマパスタ)」
夏場のシロギスは抱卵個体も多く混ざっています。
折角食べるのであれば、卵を捨ててしまうのももったいないですね。
卵のみ甘辛く煮るのもよいですが、パスタソースに仕立てるのも一つです。
赤いのはドライトマト
ペペロンチーノ風にオイルソースに仕上げるのがおすすめです。これを通称「シロタマパスタ」と呼びます。
ドライトマトと合わせると濃厚で深みのある味わいに。
キス料理レシピ⑧水筒にいれて飲みたい!「シロギスの最強ブイヤベース」
シロギスの頭部や中骨は捨てるひとがほとんどですが、数十尾から百尾単位で持ちかえった場合は、幾分勿体ない気もしますね。
そんなときは、一緒に釣れた魚のアラともどもブイヤベースにしてしまいましょう。
熱湯をかけて霜降り処理をすれば臭みもなくなります。
キス料理レシピ⑨ビールの友達!「スパイシー・シロギスフライ」
シロギスにガーリックパウダーなどで味付けをしてからフライにしたもの。
揚げ油にラードを入れるとサクッとあがります。
キス料理レシピ⑨上品な味わい!「シロギスの昆布締め」
シロギスは昆布締めにも最適な魚。
昆布に含まれる塩分により脱水され、旨味が凝縮された昆布締めは日本酒によく合う一品。
キス料理レシピ⑩冷蔵庫の奇跡!「シロギスの和風生ハム」
冷蔵庫内で昆布締めにしたシロギスを一定期間寝かせると、脱水が進み弾力を帯びてきます。
また昆布の色合いがつき飴色に。旨味もバッチリ。
クレイジーソルト+ピチットシートで作る「シロギスハム」もおすすめです。
キス料理レシピ⑪油は正義!「シロギスのアヒージョ」
シロギスは淡白な味わいなので、さっぱり食べるほかに、油と一緒に調理することでも美味しく食べられます。
アヒージョにもうってつけ。
砂浜に隣接する小磯でイソスジエビを調達し、一緒に調理すると乙な味です。
白ワインにもよくあいます。
キス料理レシピ⑫透き通った甘み!「シロギスの刺身」
釣ったばかりの大型のシロギスは、刺身にうってつけ。
身が緩まないように持ち帰り、内臓が身にふれないように刺身にしましょう。
ワサビ醤油、しょうが醤油、ポン酢と紅葉おろし、塩、どれで食べても美味しい魚です。
鮮度がよい良型のキスは刺身にしたい
キス料理レシピ⑬三国すべて「キス天」に帰す
やはり王道なのが「キス天」とも呼ばれるシロギスの天ぷらです。
衣でつつんで揚げると、水分が適度になり、外はさっくりで、中はほくほくの天ぷらが出来上がります。
旬の夏野菜(ナス・ピーマン・ししとう・大葉)などと一緒に楽しみましょう。
キス料理レシピ⑭骨せんべい
キス天をつくるときに出る中骨は骨せんべいにしてみましょう。
低温の油で長時間揚げます。
味付けはシンプルな藻塩などが一番。
子供も大人も喜ぶ一品です。
キス料理レシピ⑮キス天丼
あまったキス天の活用法。
冷蔵庫にしまっておいたキス天を小鍋にいれて、麺つゆ+みりん+水を入れ加熱。
天ぷらが温まったら、温かいご飯の上に盛り付けるだけで出来上がるキス天。
シンプルなのに最高の旨さです。
キス料理レシピ⑯昆布締めに柑橘の香り!「シロギスの酢橘昆布締め」
シロギスの昆布締めを仕込む際に柑橘の香りを効かせる方法。
8月~10月あたりに良型のシロギスが釣れたらぜひやってみましょう。
初夏は河内晩柑など、季節の柑橘類を使うのがオススメです。
キス料理レシピ⑰ピンギスが釣れたら「背越し」がおすすめ
- ピンギスしか釣れない場合に数尾持ちかえって料理する
- ピンギスにハリを飲まれて弱ってしまった
こんな場合、天ぷらや唐揚げにするのも面倒な気も。
そんなときは「背越し」にしてみるのも一つです。
下処理したキスを皮と骨がついたまま薄切りして、酢水にさらしてポン酢で食べてみましょう。
実に美味。
まとめ
釣り人にとってはなじみ深いシロギス。
天ぷら以外の選択肢がなさそうに見えますが、淡白な身はいろいろな食べ方ができるのです。
キスは鮮度良く持ちかえれば、生食も可能。
特に甘い刺身はぜひ食べてみてほしい味わいです!
関連アイテム
▼おいしいキス天をつくるためには油温に気をつけたいところ。米油や菜種油にかどやの銀印をブレンドすると香りがでて実に美味。キスの皮目をすくのが苦手な方は、オピネルのフィレナイフがおすすめ。