本記事では1月2月の厳冬期に堤防や岸壁で狙える魚と釣り方をわかりやすく解説します。
関東地方を中心としていますが、隣接している地域であればそれほどズレはないはずです。
東北・九州・四国以南については1、2か月程度、釣り物のズレが生じることもあります。
釣り方詳細については、関連記事を紹介しているので、あわせてぜひチェックください。
1月・2月の堤防はどんな状況?
晴れた冬の凪は昼間の釣りものんびりで楽しい
年も明け、1月になると防寒対策をしっかりしないと釣りどころではなくなります。
北風が強い日も多く、堤防釣りも長時間はきつくなってきたり。
地上と海中の温度では1~2か月のタイムラグがありますが、1月になってくると、あれほど堤防に群れていた小魚も姿を消しはじめます。
これは魚がより水温が安定する深場に移動するからで、浅場では全体的に魚影が薄くなります。
そうなると、岸釣りよりは船釣りがメインになってくる人も多いかもしれません。
一方、1月2月の厳冬期においても、ターゲットとなる魚は堤防のまわりに確かに存在しています。
この季節はシビアな釣りになることが多く、行き当たりばったりで釣りをするよりは、狙った魚がいる場所へ釣れる時間帯・潮回りに釣行し、魚の習性に合わせた釣りをするとよいでしょう。
寒いときに釣りを楽しむには、できるだけ晴天の日を選び、風が少ない日を選んで釣行しましょう。
また、北風が防げる南向きのポイントを探して釣行するのもおすすめです。
背後に山があるような地形では、比較的風が強い日でも、快適に釣りができます。
今回は、そんなシビアな1月2月の堤防で釣れる魚や釣り方について解説します。
1.「カレイ」はちょうど産卵シーズンで喰い渋る。常夜灯回りの夜釣りがベスト
カレイは比較的低水温を好む魚で、真冬でもしっかり活動しています。
東京湾で狙う場合は、マコガレイが一般的ですが、1月2月はちょうど産卵シーズンやその直後で積極的に餌を食べません。
一方、夜間に照明があたる浅場にはマコガレイがたまりやすく、餌の食いもよくなります。
一時的に夜行性になるのかもしれません。
1月2月のカレイ釣りでは、そういった金脈スポットを探り当てれば数釣りすることも可能です。
反対に、いないところには一切いないのがマコガレイの特徴でもあります。
釣り場における過去数年のデータや釣具店やSNSでのリアルタイム情報などを頼りに、ポイントを絞っていくよいでしょう。
同じ釣り場でも、カレイがたまるところとそうでないところも顕著です。
常連と思われるカレイ狙いの釣り人が投げる距離、堤防からの角度などの状況を常に分析しておきましょう。
もし、その時自分が釣れなくても、同じようなことを別の日にチャレンジすれば釣果につながるかもしれません。
ちなみにマコガレイを釣る場合は、下げ潮もしくは上げ潮の前後1時間を集中的に釣ると効果的です。
これはマコガレイの遊泳力が弱く、潮が動きすぎていると、餌の捕食もうまくいかないからともいわれます。
たとえば、大潮で運河のような地形では、餌のイソメがかなり動きます。
こうした状況では、マコガレイより、アカメフグのような魚が有利に餌を捕食していると考えられます。
夜間、常夜灯がついている浅場は餌が集まりやすく、カレイも集中的に餌を食べています。
夜釣りの場合でも、人気の釣り場は夕まずめ(1月2月は17時前後が日没)に到着しても場所が確保できないこともあります。
目安として、15時ぐらいには到着しておくとよいでしょう。
もしくは、昼前後の潮どまりに合わせ、その1時間前には釣りはじめ、そこから延長してナイターカレイを狙うのもよいかと思います。
イワイソメのニオイで寄せてアオイソメの動きで喰わせる
餌はアオイソメだけでなく、より集魚力が高いイワイソメを混ぜるのが有効です。
夜釣りの場合、ケミホタルや装飾品で仕掛けを目立たせるのも効果的。
マコガレイがまた好調になるのは、産卵後餌を積極的に食べはじめる3月~5月程度までなので、1月~2月は釣行を控えるのも一つの手です。
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2.「アイナメ」は産卵シーズン。東京湾では数が少ないので幻
アイナメは東北でよく釣られているイメージがありますが、カレイ同様、寒流を好む魚です。
そのため真冬の1月2月でも狙って釣ることができます。
東京湾の場合、マコガレイ同様かなり数が少なくなってきています。産卵期に重なる点をふまえて、乱獲は慎みたいものです。
アイナメは沖根回りや岸壁際につくため、まず海底地形をチェックしましょう。
一見なんの変化もない広い堤防や岸壁でも、岸壁の崩れによる根や、捨て石による変化があり、アイナメはこれらの構造物の周りに生息しています。
根周りを狙うということもあり、エサ釣りであれば軽めの「ブラー」「ブラクリ」など、ルアーであればワームのテキサスリグなどがオススメです。
アイナメもイワイソメへの反応がよいですが、虫エサ以外にも蟹やエビ類への反応も良いといえます。
ちなみにアイナメは特に赤い色に反応すると言われており、ブラーやワームは赤系を選ぶのも一つです。
効果は定かではないのですが、決まって赤針で狙う釣り人も多くいます。
当たり前ですが、人気釣り場の岸壁際や見える範囲の根回りは多くの釣り人に攻められきっています。
沖の沈み根まわりなど、あまり攻められていないエリアに仕掛けをキャストするブッコミ釣りも効果的です。
沖根周りを狙う際は根がかりしづらいように、ネムリ針(ムツ針系)に房掛けにした虫エサを投げると、トラブルも軽減でき釣果につながることもあります。
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水深が5m以下で、潮が速くないエリアの場合、足元にできるだけ軽めのブラーを落とし込むとよいでしょう。遠投して沖根を狙う場合はジェット天秤にネムリ針がついた投げ仕掛けもオススメです。
3.「アナゴ」は寒くても釣れる。夕まずめからスタンバイ!
初夏から夏に釣るイメージがあるアナゴも1月2月の厳冬期に狙って釣ることができる魚です。
マアナゴは夜行性であり、完全に「時合の釣り」です。
夕まずめから釣りはじめ、21時ぐらいまでを目安にするとよいでしょう。これは巣穴をでたアナゴが餌を探っていくときに最初の時合を逃さないためです。
多くの場合、21時を超えると、あまりアタリも出なくなります。
これはアナゴが集団で巣穴に帰るのかもしれません。
そのまま釣りを続けていると、アタリが出ない時間が数時間続き、やがて真夜中や朝方にまたバタバタとアタリが出る傾向にあります。
アナゴは水深5、6m程度の浅場でも釣れますが、餌が多い発電所など温排水が絡んだエリアで砂泥底のポイントが狙い目です。
漁港の荷揚げ場付近についてもアラや未利用魚が投棄される傾向にあり、アナゴが寄る傾向にあります。
漁港周りでは、岸壁の外側に投げるよりも、内側に投げたほうが釣果につながりがちです。
根と砂泥エリアが隣接しているところはねらい目
堤防まわりにテトラや岩礁帯などがあるエリアも、日中のアナゴの隠れ処になるので砂泥底との際に餌を落としておきましょう。
餌はアオイソメのような虫エサでも釣れますが、アナゴをメインで釣る場合は、他の魚に餌をとられづらいサバやサンマの身餌を使うのがオススメです。
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4.「ハゼ」は落ちハゼをじっくり狙う
9月~10月といった秋が旬のマハゼは、水温が下がるにつれて航路や湾内の深場に落ちて産卵に備えます。
1月であれば、まだこのマハゼを狙って釣ることはできるのですが、コツがあります。
- 昼間でも釣れるが夜釣りのほうが釣りやすい
- 航路や湾内の深場にキャストして届く堤防や岸壁から釣る
- 餌はアオイソメを大きめにつける
- キャスト後は基本的に動かさない。5~10分ごとに30cm~1m仕掛けの場所をさびいて変える
- 居食いをしやすいので固めの竿先は注意(天秤の種類や竿の穂先が硬いとあたりが出ない)
1月~2月のマハゼは餌をほとんど食べないため、ややほっそりとしたシルエットになりますが、1尾のサイズは大きくなるので食べ応えがあります。
都市河川の河口では、温排水の影響もあり、夜間に水深1m程度のエリアにマハゼを目にすることができます。
こういった個体はライトを間接的に照らし目前に餌をたらすと見釣りすることも可能です。
あまり光量が高いライトで直接照らすのは控えましょう。
基本的に夏や秋のハゼ釣りと異なり、航路などの深場にロングキャストしてじっくり待つという釣り物だと覚えておきましょう。
こちらはマハゼによく似ているがウロハゼという種類。1・2月でも釣れる
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5.「イワシ」は潮通しの良い堤防際に大量回遊。100尾もかんたん
1月の厳冬期、エリアによっては港内に大量のイワシ類(カタクチ・ウルメ)やトウゴロウイワシ(ボラの仲間)が接岸していることがあります。
東京・神奈川エリアでは、三崎港(北条湾付近)・根岸湾などが好ポイントです。
イワシ類は釣り物が少ない冬でも最も簡単に釣れるターゲットです。
一番釣れる方法はアミコマセをつけたトリックサビキ。
イワシとはいえ、サビキの存在を見切るので、ハリスは1号未満・ハリの大きさも小型にするなどすれば釣果もあがるはずです。
オススメの仕掛けはハイパーパニック(パニック仕掛け)です。
冬場にアミコマセを解凍するのは大変なので、アミ姫などのパッケージ入りの常温保存品をつかうのもおすすめです。
あらかじめネットで購入しておけば、釣り具屋にいく時間も省略することできます。
<狙い目のポイント>
三崎港は毎年年明けまでカタクチイワシやウルメイワシが接岸していて、簡単に釣れます。
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6.「カサゴ」は寒い時期にもよく釣れるうれしい魚
カサゴも1月2月の厳冬期に岸から狙って釣れる魚です。
日中釣る場合は水深が数メートルあるテトラや岩場の穴釣りがオススメです。
夜釣りであれば、根がない岸壁際でも十分釣ることが可能です。
穴釣りではブラー・ブラクリでの釣りが一般的ですが、夜釣りでは2g以下のジグヘッドにイソメやワームをつけたものがよいでしょう。
軽量ジグヘッドの着底を理解するためにはメバリング・アジングタックルが応用できます。
カサゴも上から落ちてくる餌に反応しやすいため、できるだけ軽めのオモリで釣ると釣果を上げることができます。
冬にカサゴを釣ったら鍋や味噌汁にするのがおすすめ!
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ルアーは蟹系のほかグラスミノーがよく釣れます。虫ヘッドにイソメをつけるのも一つ。ワームの場合はガルプが効果的
7.「ムラソイ」は冬でもひざ下の水深で釣れる
ムラソイはカサゴよりさらにしっかりした骨格
ムラソイはカサゴによく似た魚ですが、カサゴよりさらに浅いエリアに生息しています。
ゴロタ浜
ムラソイを効果的に狙えるエリアはゴロタ場・ゴロタ浜と呼ばれる石が積み重なったエリアです。
他に、テトラ帯や小磯もねらい目です。
真冬でも水深30cm程度あればムラソイは釣れます。
基本的に穴釣りで、エサはイソメやオキアミやサバの切り身、ルアーは蟹やエビを模したものがよいでしょう。
カラーは白やピンクや赤など、視認性の高いものが効果的です。
カサゴ同様、ムラソイも釣るのが簡単な魚です。魚さえいれば誰でも釣ることができます。
一つの釣り場から根魚を持ち帰りすぎると、次第にその場所は小型の個体のみしか釣れなくなってしまいます。
持ち帰る量など考慮しましょう。
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サイズさえ間違わなければ、どんなワームでも釣れます。
ワームが壊れやすいので堅い素材を選んだほうが手返しがよくなります。
どちらかというとリアクションの釣りなので餌をつかないでワームで釣るほうがお手軽です。
ただし、反応が鈍いときは、オキアミをポロリポロリと穴に落とすと活性が上がります。ぜひためしてみてください。
8.「メバル」は産卵がらみで食いが悪くなるも地域差あり
エリアにもよりますが、1月2月はメバルの産卵期にあたります。
そのため、産卵に絡んでいる大型の個体は狙いにくいと言えます。
小型は積極的に口をつかうため、アタリの少ない厳冬期のルアー釣りで数釣りすることができる貴重な魚でもあります。
港内で常夜灯に群れている個体や、根回り・海藻上につく個体など、それぞれのパターンがあるため飽きず楽しめます。
メバルもカサゴ同様、回遊性が低い魚です。
同じポイントで釣りすぎると魚影が極端に薄くなってしまいます。
義務ではないですが、持ちかえる数や基準を決めておくのも一つです。
また、リリースメインで釣ったり、抱卵個体は積極的にリリースしていくとよいでしょう。
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9.「ヤリイカ」は産卵がらみで接岸。群れで爆釣可能!
沖釣りのターゲットと思われがちなヤリイカ。
じつは、毎年1月~3月の水温が下がる時期に、集団で浅場にきて産卵行動をとります。
根や海藻がしげっているエリアに隣接した堤防を選び、餌巻きスッテや小型のエギで狙うとよいでしょう。
アオリイカやコウイカのような重量感はないため、メバリングロッドなどウルトラライトクラスのタックルでも十分対応可能です。
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エギは3号未満を使うとノリやすいのでおすすめです。
「ストームのワームエギ」や「アルカジックジャパンのエギヅノ」はメバリングロッドなどでも簡単につかえてかなり釣れます。
ヘッドの重さは軽めのナス型オモリやスプリットショットリグで調整してもよいでしょう。
基本的にエギでつれますが、活性によってはエギの動きに反応しません。
浮き釣りで狙う餌巻きスッテのステイ系の動きにしか反応しないこともあります。
10.「ウミタナゴ」はのんびり浮き釣りで狙いたいターゲット
ウミタナゴはメバル同様、春告魚と呼ばれますが、厳冬期にもよく釣れるターゲットです。
ちょい投げやへチ釣りでも釣れますが、浮き釣りが一番効果的。
餌は、オキアミ・イソメでアミコマセを撒きつつ釣るとよいでしょう。
堤防や岸壁でも海藻が付近にあるところがよく釣れるポイントです。
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11.「シーバス(スズキ)」は「マイクロベイト」か「バチパターン」を狙う
1月2月の夜間は、シーバスことスズキを狙って釣ることができます。
12月頃から潮回りによって「バチ抜け」と呼ばれるゴカイ類の産卵行動がおきますが、シーバスはその際に盛んに餌をとるようになります。
また、港内に退避しているイワシ・ナミノハナを餌にしていることもあるので、都度パターンを考えながら釣りましょう。
捕食している餌のサイズが小さい場合、「マイクロベイトパターン」といって、小型のワームやプラグ類しか反応しないこともあります。
冬季に横浜で釣ったシーバスの胃内容物。蟹は比較的多い
こういったパターンのシーバスの胃袋を開いてみると、小型のカニ類やシラス(イワシ類)などを捕食しています。
同じシーズンでも食べている餌に合わせた釣りが必要という点でおもしろいターゲットです。
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マイクロベイトパターンのシーバスは、2g前後のジグヘッドにグラスミノーSSをつけて釣るのもオススメ。
PE0.6号未満のメバリングタックルで十分釣ることができるものの、ドラグ設定やランディングネットの用意なども用意しておきたいところ。
1月2月に釣りをするなら十分すぎる防寒対策がオススメ
オモリを加えて遠投性能を上げたワームエギ。堤防ヤリイカ用
関東エリアでも1月2月の釣りは氷点下になることもあります。
特に夜間や明け方などは引き締まるように冷えます。
冬の釣りは寒さを我慢できないと成立しないため、十二分に防寒対策をして釣り場に臨みましょう。
- ニットキャップ
- ネックウォーマー
- インナーのヒートテック上下
- 腹巻
- ヒートテック上に貼るホッカイロ
- フリースなどの上に防寒ジャケット
- 指切りのチタニウムグローブ
- 防寒シューズ
- 手を温める用のウォーマー
などなど。
また着ぶくれすると動きが鈍くなるので、落水にも注意です。柵がない釣り場では特にライフジャケットの着用などは必須。
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寒くて堤防に釣り人がいない1月2月こそチャンス
寒くて堤防から釣れる魚も少なくなる1月2月。
この季節は1年でもっとも釣り人が少ないシーズンです。
人が少ないということもあって、人気の釣り場もしばしば閑散としています。
釣れない場合は「キャスト練習!」と割り切り、ポジティブに遊んでみるとよいかもしれません。
1日真冬の野外で釣りをしていると、身体を動かさないということもあり、身体の芯まで冷えてしまいます。
こうなると風邪もひいたり体調も崩しやすくなるので、帰りがけに温泉やスーパー銭湯によったり、おいしいラーメン屋によって暖をとるのもこの時期の楽しみ。
釣り場環境によっては、シングルバーナーで湯を沸かし、カップラーメンやコーヒーなどを楽しむのも一つ
「寒くて魚なんか釣れないよ」
そう、思ってこころが折れそうになったときの一匹は格別なので、ぜひ味わってほしいと思います。