東京・神奈川エリアでは、コロナ禍に起因する釣りブーム再燃により、岸釣りをする人が増えてきています。
横浜エリアでは各釣り公園、三浦半島では東岸の海辺つり公園・うみかぜ公園や三崎港・城ヶ島など有名な釣り場は釣り客が増えています。
週末に早起きして釣行しても、混雑で釣りにならないこともしばしば。
そこでおすすめなのが、手漕ぎボート釣りです。
敷居が高めな「釣り船」ほどコストがかからず、岸釣りよりまとまった釣果を得やすいのが魅力。
乗合船のようなタックルのルールもないので、岸釣りタックルを活用することも可能。
基本的な操船方法と釣り方さえ会得すれば、釣り船以上の釣果を得ることも。
今回は三浦半島方面で釣りをする方向けに、横須賀大津沖の手漕ぎボート釣りの魅力やノウハウを解説します。
手漕ぎボートで狙う横須賀・大津沖の魅力
横須賀大津沖は、手漕ぎボートエリアでも水深が30m程度あり、周年多くの魚が狙えます。
釣り物は、アジやシロギスから大型のヒラメ・マゴチ・マダイ・タチウオまで。
三浦半島の場合、冬季はクローズするボート店もあるのですが、大津港の場合はボート店が通年営業しているのも魅力です。
横須賀大津沖の手漕ぎボートで狙える魚種・シーズン・釣り方
大津沖で狙って釣れる魚と、主な釣期と釣り方について紹介します。
※居着きではなく回遊性が高い魚の場合、タイミングを外すと全く釣れません。
詳しくはボート店のサイトをチェックしたり、問い合わせてみましょう。
アジ(金アジ)
大津沖で釣れる夏の金アジは最高の食味
- シーズン:周年
- 釣り方:コマセ吹き流し/サビキ・バチコン・ルアー
大津沖といえば、アジ。
金アジ・黄金アジ・黄アジと呼ばれる居着き型のマアジがよく釣れます。
▼アジは周年狙うことができるのですが、以下を押さえておきましょう。
- 夏場は港近く(行程5分)の水深10mエリアでもよく釣れる
- 冬場は水深20~30mエリアの根周り、海苔棚周りを狙う
- 小鯵以外はサビキ釣りより、吹き流し仕掛けが有利
- オモリ号数は30号が使いやすいが、さらに軽くてもOK
- コマセはアミエビよりはイワシミンチで釣果があがりやすい
▼大津沖でのアジの釣り方・釣り具など詳細解説
サバ(マサバ)
秋冬に釣れる35~40㎝程度のマサバは脂ノリも抜群
- シーズン:周年(春~秋の高水温期中心)
- 釣り方:コマセ吹き流し、ルアー
大津沖ではサバもよく釣れます。
特に秋から冬の大型のマサバは「トロサバ」とも呼ばれ、引き味も抜群。
▼サバを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 夏から秋の高水温期に釣りやすい
- メタルジグやジグサビキでも釣れるが、コマセ釣りが高確度
- 長ハリスは不要で、アジの吹き流し仕掛けで十分
- ハリスは2号を使用し、頻繁に釣れる場合は3号or4号にすると手返しがUP
- 頻繁に釣れる場合は竿を1本にするとトラブルが回避できる
- 血抜きや保冷をしっかりする
シロギス
シロギスは港近くでも釣れる。航路の存在と出入りする釣り船に注意
- シーズン:春~秋
- 釣り方:天秤吹き流し、胴突き
大津ではアジに比べてシロギスを狙う人が少ないのですが、夏から秋は浅場で狙ってよく釣れる魚です。
▼シロギスを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 夏から秋の高水温期に釣りやすい
- 夏は港周辺の水深10m以浅で釣れる。行程5分以内の砂泥エリア
- テンビン吹き流しが釣りやすいが、胴突きしかけもアタリがダイレクトで面白い
- オモリ号数は5~8号程度で十分
- 澄潮では、ハリスは1号未満にするとアタリが増える。高活性時は1号で手返しを上げる
- 複数本の置き竿と手竿で狙うとポイントが絞りやすい
タチウオ
大津ではドラゴン級のタチウオもよく釣られている(画像はイメージ)
タチウオは大津沖でも人気の釣り物。
夏から冬までは特に手漕ぎボートエリアにもタチウオの群れが濃くなり、数釣りも可能に。
- シーズン:周年(夏~晩秋主体)
- 釣り方:ジギング、天秤仕掛け(身餌)、テンヤ
▼大津でタチウオを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 周年釣れるが、夏から晩秋の高水温期に釣りやすい
- 冬から春も釣れるが大型の個体主体で数はでない
- 泳がせ釣りではかなりの確率でタチウオがヒットしやすく、ハリス切れ対策が必要
- テンビン仕掛けの場合、オモリが30、40号あるとシャクリのテンポをつかみやすい
- 高水温期は釣り船とポイントがバッティングするため、遊漁船の存在に配慮する。近づきすぎない
スズキ(シーバス)
- シーズン:周年(夏~晩秋主体)
- 釣り方:泳がせ釣り、ルアー
シーバスことスズキも、大津でよく釣れる魚です。
当地では、狙って釣れるというよりも、その他の釣りのゲストとして登場することが多い印象。
▼スズキを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 周年釣れるが、イワシと豆・小あじが多いシーズンに集中する
- 基本的にタナはボトム付近
- 海苔棚周りにも居着いているがルアー直撃はロープにかかりがちなので避ける
メバル
アジ釣りのゲストでメバルが釣れる場合、小型~中型主体
- シーズン:周年
- 釣り方:コマセ吹き流し、サビキ、胴突き仕掛け×活きエビ餌
大津ではメバルもよく釣れます。
アジ狙いのビシ釣りやサビキにヒットしやすく、専門に狙っているひとは少ない印象。
▼メバルを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 濁潮の日を狙う
- 正確に根上を狙う
- ビシ釣りでは大型は警戒するので釣れない
濁潮の日はアジ仕掛けにメバルがたくさん釣れてしまい、高確率でハリが飲まれる
カサゴ
誰もが狙う有名な根では大型は出づらい
- シーズン:周年
- 釣り方:コマセ吹き流し・胴突き仕掛け・タイラバ
カサゴもアジ狙いのビシ釣りにかかりやすい魚です。専門に狙っている人は少ないのですが、かなり数はいるので、狙ってみるのも一つ。
▼カサゴを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 正確に根上を狙う
- 有名な根では25㎝以上の大型はほぼ釣れない
- サバ短冊など身餌を使う
- オモリを10号程度にすると根上での根がかり回収率が高まる
イナダ・ワラサ
武山出し付近で小鯵泳がせ釣りでヒットしたワラサ
- シーズン:晩夏~冬
- 釣り方:コマセ吹き流し、泳がせ釣り、ルアー
青物の代表格イナダ・ワラサも大津を代表するターゲット。ブリサイズに成長した個体もまれに回遊することも。
イナダはルアーでも釣りやすいのですが、ワラサ級になってくると子アジの泳がせ釣りが一番効果的。
▼イナダやワラサを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 冬場は海苔棚まわりの小鯵を狙っている
- 海苔棚周りはアンカーをしての回遊待ちで釣れる
- 海苔棚周りでのワラサ狙いはロープに巻かれないようなタックル構成で
- タナは底上1~2mでアジの泳層と重なる
- 小鯵がたくさん釣れるとき、場所は青物は回遊してないことが多い
マゴチ
- シーズン:周年
- 釣り方:泳がせ釣り、ジグヘッド&ワーム、タイラバ
人気があがってきているマゴチも、大津でよく釣れる魚です。
夏から秋は、シロギスやメゴチの泳がせ釣りが面白く、ベイトが少ないシーズンはルアーで狙うとよいでしょう。
▼マゴチを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 夏から秋は水深10m程度の浅場をメインに。冬は20m以深を狙う
- 泳がせ釣りをするなら、夏秋のシロギス・メゴチシーズンを狙う。小鯵でも釣れるが食い込みが悪い
- 泳がせ釣りのタナは底上30㎝以内に餌が泳ぐようにする
- フラットな砂泥エリアよりは、ツブ根や航路脇などの地形変化があるエリアがオススメ
- ルアーの場合はジグヘッド&ワームの他に、ドテラ流しのタイラバも有効
ヒラメ
- シーズン:周年
- 釣り方:泳がせ釣り、ルアー
高級魚ヒラメも、大津の手漕ぎボートエリアで狙って釣れる魚です。
当地ではルアーよりは泳がせ釣りが人気。豆アジや小鯵が釣れる秋から春までにねらってみましょう。
▼ヒラメを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 海苔棚が入る秋冬シーズンは、海苔棚まわりにヒラメが居着いている
- 海苔棚周りはアンカーをしても泳がせ釣りで釣れる。
- 海苔棚以外のエリアはアンカーをすると極端に釣果が落ちるので、流し釣りをする
- 泳がせ釣りのタナは底上1mに設定するのが基本。高めのタナほどタチウオが混じりやすい
- 流し釣りの場合、フラットな砂泥エリアよりは、ツブ根や航路脇などの地形変化があるエリアがオススメ
マダイ
- シーズン:周年。のっこみ期は4月中心
- 釣り方:コマセ真鯛、タイラバ、タイジグ
大津沖ではマダイも狙えます。しかも小型サイズだけではなく、大鯛と呼ばれる数キロサイズもチラホラ上がることも。
▼マダイを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- ビシアジ仕掛けでも釣れるが、専門に狙うのならば長ハリスを使いビシから餌を離す
- アジ狙いの釣り人が多い釣り場を避ける(ビシの上下でマダイが警戒)
- タイラバはアンカーをせず、ドテラの流し釣りする。道糸の出方により60gから80gのヘッドで調整すると釣りやすい
4月前後の乗っ込みシーズンは大津でマダイを釣るチャンス
▼ORETSURIちゃんねるでは大津沖のボートタイラバの様子をUPしてます!
アナゴ(マアナゴ・クロアナゴ)
- シーズン:周年
- 釣り方:ぶっこみ釣り
大津沖では昼間にアナゴも狙えます。金田湾の場合、ギンアナゴが主体ですが、大津は良型のマアナゴ主体。
クロアナゴも混じってきますが、ダイナンアナゴは少ないようです。
▼マアナゴを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 濁り潮&曇天の日に釣りやすい
- 根に隣接した砂泥エリアを狙う
- 秋から春はイソメを餌にして、マコガレイと合わせて狙うのがオススメ
- サバなど身餌をつかうとゲストが少なくなる
カレイ(マコガレイ)
- シーズン:秋から春
- 釣り方:ぶっこみ釣り
大津では秋から春にかけてマコガレイが狙えます。
▼マコガレイを狙う場合、以下を押さえておきましょう。
- 干潮、満潮前後にアタリが集中する
- 根に隣接した砂泥エリアを狙う
- アナゴと合わせて狙うのがオススメ
- 竿を複数本用意して、遠近のポイントを探索していく
大津沖の手漕ぎボートマップと代表的ポイントの特徴
排水溝前
排水溝とは、港を出て右手(走水側)の馬堀海岸の岸壁にあるもの指します。
それぞれの排水溝沖100~数百メートルの近場にマアジのポイントが点在しています。
たとえば、港から数えて一つ目の排水溝沖は夏のマアジポイントの一つです。
ガレ場
港正面沖に存在するポイント。
大津の名だたるポイントの中では一番沖目に位置していて、真鯛や青物を狙いやすいとされます。
ちょっと大きめの魚を釣ると「え?やっぱりガレ場」ですか?と聞かれたり。
フグが多いシーズンはフグ地獄になりがち。
タコつぼが仕掛けられていることがあり、ブイやブイとブイの間で底釣りをするのは避けましょう。
高確率で根がかりして回収が不可能になります。
武山出し
港をでて、3番目の排水溝の沖目の位置しているエリア。
休日であれば、常にボートがたくさんいるので目印にしましょう。
とりあえず、はじめは武山付近にいけばなにかが釣れます。
秋冬は海苔棚と重なるため、アジの好ポイント。ドンピシャの根上の場合はカサゴもよく釣れたり。
付近は根が多く、かなりアバウトに釣ってもアジが釣れるのですが、冬の渋いときはねを外すと、アジのアタリが減ります。
砂泥エリアではイシモチのアタリが増えます。
中根
中根は武山出しの沖目に存在している根。
中根に直行する人は少なく、基本的に武山界隈の根をチェックして、釣果が出ないと中根にいくか、となる存在。
アジ釣りなら武山界隈からチェックしていくのが正解です。
夏場であれば、武山手前の排水溝前からチェックしましょう。
大津沖での釣り注意点
岸から数百メートル離れるだけで真昼間でもアジの釣果は数倍
航路と釣り船の往来
大津港には複数の船宿があり、朝と昼前、15時前後にはよく出入りがあります。
航路にはブイがあるので、ブイとブイの間にはアンカーをおろして釣らないようにしましょう。
また、出入りが多い時間帯は速やかに航路を横断して、航路でないエリアに行く必要があります。
はじめての場合はボート店でよくチェックしてから出船しましょう。
また、朝の港内は釣り船の出船があります。
釣り船を優先とし、その後に漕ぎだしましょう。
タコつぼ
ガレ場付近にはタコつぼが仕掛けられています。
ブイ周辺やブイとブイの間にはロープがあり、底釣りでは高確率で根がかりし、回収できません。
流し釣りをする際は、いつの間にか自分がタコつぼにハマってしまうことになるので、海面の目印に要注意。
海苔棚
海苔棚のブイ。侵入禁止
出典:海上保安庁
大津は海苔の名産地です。
海苔棚付近は魚もよく寄り、各ボート店も海苔棚周りでの釣りを黙認しています。
一方、海苔棚は漁業者の仕事場(ボート店の海苔棚もある)でもあります。邪魔をしないで釣りをすることを念頭においておきましょう。
また、海苔棚は四方にロープが張られて成り立っています。長さは100m程度あるのでかなり離れていても、仕掛けがロープに巻きついてしまうことも。
操船になれないうちは、近づかないのが得策です。
三角波
大津港をでて左手(海辺つり公園側)は北風により波が立ちやすく、「三角波」と呼ばれる、異なる波同士がぶつかり、波が大きくなるエリアです。
北風が吹く日には近づかないようにしましょう。
風によるポイント選択
北風
大津は地形上、北風(沖からの風)が4m以上吹くと、かなり波が高くなり手漕ぎボート釣りには適しません。
釣りをしている最中、北風が強く吹いてきた場合は、速やかに沖上がりしましょう。
特に二人乗りの場合は、転覆の可能性が高まります。
波とボートを平行にせず、直角にして進みましょう。
南風
大津は南風には比較的強く、波が立ちにくいという特徴があります。
経験があれば、南風4~5m程度であれば、釣りができることがほとんどです。
南風が強いときは沖にボートが流されます。
二人乗りの場合や漕ぎ慣れていない場合は、沖から港へ帰るのが困難になるので、速やかに岸付近まで戻りましょう。
南風であれば、岸近くまでくれば、穏やかになり釣りもしやすくなります。
夏場は岸近くでも、アジやシロギスがいるので、楽しめるはずです。
その他の注意事項
出典:まるまつ丸
大津の手漕ぎボート店
石田丸とまるまつ丸
現在、横須賀大津港には2つのボート店があります。両者ともに、はじめての場合もやさしく対応してもらえます。
以前は、小川丸も手漕ぎボートの貸し出しを行っていましたが、現在は釣り船のみで営業しています。
それぞれのボート店の特徴を紹介します。
まるまつ丸
https://www.marumatsumaru.com/
まるまつ丸は、ウェブ予約ができる点がメリットです。
週末予約については、かなり前から埋まってしまうことがほとんど。
釣行が決定次第予約しましょう。
石田丸
石田丸は仕掛け類が豊富。乗船前にだいたいの仕掛けが揃います。
また免許不要の2馬力船もあります。
予約なしの到着順なので、週末に東京方面からの電車釣行では、どうしてもボートにあぶれてしまうことも。
電車釣行の場合、あらかじめ「乗れないこともある」と考え、乗合船へのシフトなどを考えておきましょう。
車釣行の場合もできるだけ早くの到着が必要です。
大津手漕ぎボートノウハウ
まるまつ丸のボートは黄色。石田丸のボートは水色
電車釣行派は平日釣行がおすすめ
まるまつ丸、石田丸ともに、平日はボートが空いています。
特に石田丸の場合は予約不可なので、週末は車組でほぼ埋まってしまうことも。
風が強い場合は釣り船にシフト
大津の場合、それぞれの判断もありますが、北風が4m以上、南風が5m以上あるとかなり釣りづらくなり、危険性も増してきます。
出船については、自分の経験・乗船人数・ボート店の判断でとりきめていく必要があります。
まるまつ丸の場合は、予約できるわけですが、悪天候時にキャンセル料があるわけでもありません。
乗船が難しくなった場合は、速やかに連絡しましょう。
大津港には複数の船宿があるので、釣り船に乗ってしまうのも一つです。
北風が強い場合は、風裏に当たる、葉山や小網代(油壺)エリアのボートまで行ってみるのも一つ。
祝休日の駐車場が混みあう
大津港にはボート店以外に複数の船宿もあり、週末や祝日の駐車場が混みあいます。
特にタチウオが好調なときには、かなり混雑します。4時台の到着を目途に計画していきましょう。
まとめ
大津沖での釣果(アジ・カサゴ・シロギス)
今回は横須賀大津沖の手漕ぎボート釣りの魅力やノウハウを解説しました。
普段、三浦半島方面で釣りをする方はもちろん、そうでない方も、大津沖のボート釣りは魅力がいっぱいです。
混みあっている堤防や、釣り船ではない独特ののんびりした雰囲気を味わいたい人は新しい選択肢として考えてみるのも一つ。
漕ぎ方がわからない場合やポイントや釣り方などは、ボート店のスタッフにいろいろ聞いてみましょう。
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