東京湾の船釣りで周年愛されている釣り物が「餌マゴチ」です。
本記事ではマゴチの生態・餌での釣り方・釣果を上げるコツ・タックル・仕掛けについて解説します。
マゴチは浅場の釣り物でも、比較的引きが強い魚。
むこうアワセの釣りではなく、本アタリを出すまでに独特の駆け引きがあり、たくさんのファンがいます。
東京湾の乗合釣期は3月~10月ごろ。
実際は周年釣れる魚なので、手漕ぎボートやプレジャーボートの釣りであれば、1年中楽しめます。
食味もよいので、ぜひチャレンジしてみましょう。
マゴチの基本知識
生態・釣り物としての概要
マゴチはサイズが大きくなると頭部が横に張り出す
マゴチは日本近海で釣れるコチ類としては最大級の種類です。
釣りで狙えるサイズは、40~60cm程度が一般的。近年は数が少なくなりましたが、70センチを超える超大型も釣られています。
東京湾では60センチを超えると大型とされる(マーゴンと呼ぶひとも)のですが、沖縄以南の南方で釣られているものは「ミナミマゴチ」という種類で、70㎝以上に大型化します。
マゴチは主に水深数mから30m程度の湾内や沿岸部の砂底・砂泥底に生息し、餌が多くなる根周りや、かけ上がりに固まる傾向にあります。
初夏から秋までは、水深5-20m程度の浅場でよく釣れるため、岸釣りやボート釣りのターゲットとしても人気。
これまでマゴチは、秋も深くなり水温が下がると、やや深場の水深20m~40m程度に移動したり、砂泥に潜って冬眠するとされてきました。
そのため浅場ではあまり釣ることができないという認識だった釣り人も多いはずです。
一方、湾内にとどまる個体もいるようで、冬から翌春にかけても水深10m以内の浅場でも釣れることがわかっています。
イトヒキハゼ。東京湾のマゴチが特に好む餌。マハゼと異なり通年釣れる
マゴチはボケジャコ((二ホンスナモグリ)も好んで食べる
厳冬期の浅場ではマゴチの餌となる「シロギス」や「メゴチ」が深場へ抜けてしまうため、イトヒキハゼや甲殻類(ボケジャコや小さな蟹)が主要なベイトです。
マゴチは単体ではなく、まとまって生息していることが多い魚です。船中でアタリがでたら、タナを取り直して集中して狙うと釣果につながることもしばしば。
地域としては、特に東京湾で人気で、マゴチ専門の乗合船が多く出船しています。
ポイントについては、神奈川寄りは本牧・小柴/富岡/八景・野島・横須賀沖の砂泥エリアが主要ポイント。
潮通しがよい第一・二海堡付近も好ポイントで、千葉寄りでは木更津から大貫沖付近が人気。
釣り船では上記の海域を狙うことがほとんどですが、湾内各地の砂泥底に広く生息しています。
マゴチは眼が頭部の上側についているため、上から落ちてくる餌に反応しやすい
マゴチは海底に生息して、砂泥地等で海底に隠れながら生活しているため、ヒラメのように平らな身体をしています。
骨格をはじめ身体の作りが極めて丈夫で、捌いてみると骨の太さに驚かされます。
歯は鋭く細かく、エラ蓋や背びれに鋭い棘があるので注意しましょう。
毒はありませんが、雑菌が付着しているため、刺されると腫れて痛むことがあります。
マゴチは骨が太く、引きの強い魚
エラ蓋の棘はマゴチの強力な武器
釣り上げたマゴチは鋭い棘のある背びれを立てて威嚇してくる
マゴチ釣りのシーズンはほぼ周年。6月~7月の梅雨時は産卵がらみで食いが渋くなることも
これまでマゴチ釣りのベストシーズンは、産卵を経てマゴチが浅場で荒食いをする「夏」とされてきました。
一方、近年は「春マゴチ」と称され、梅雨前の3月・4月・5月でもマゴチが狙われ、数多く釣れている状況が続いています。
また、水温の上昇からか夏以降の冬場も湾内で釣れ続けています。
真夏に釣れたマゴチは「照りゴチ」と呼ばれ、同じく夏を旬としているスズキ同様、珍重されます。
これは夏場に白身の高級魚ヒラメやフグの食味が落ちるため、代替的に珍重されているものと思われます。
マゴチ自体は脂を楽しむ魚ではないのですが、身肉のハリや旨味といった食味自体は産卵に絡まない、秋から春までの方が充実しています。
初夏に釣ったマゴチは抱卵・白子持ちであることもしばしば
毎年6月から7月の梅雨になると、産卵に絡む個体が多くなります。
このときも、まったく餌を食べないわけではないですが、アタリの数は減る傾向にあります。
また、梅雨シーズンのマゴチ釣りは、餌よりルアーが有利と思われます。
これはマゴチが「捕食目的」ではなく「威嚇目的」でバイトすることが増えるからとも言われています。
船マゴチ釣りのタックルについて
手漕ぎボートの泳がせ釣りで釣れたマゴチ
生き餌を使ったマゴチ釣りは、コマセを用いた釣りと比較すれば、ベテラン向けに感じられるかもしれません。
実は正しい釣り方を覚え、しっかり実践すれば、初心者でもきちんと釣れるものです。
とはいえ、釣果をさらに上げるためには工夫もあり、仕掛けを自作するベテラン釣り師も多い釣り物です。
まずはマゴチ釣りに適切なタックル・仕掛け・釣り方を覚えておきましょう。
「マゴチ専用竿」か7:3調子のゲームロッドが最適
マゴチ専用竿は細かい前アタリをとりやすく、アワセも決まりやすい
マゴチは専用竿でなくても釣ることはできますが、以下の条件の竿を選びましょう。
<マゴチ竿に求められるスペック>
- やや長め、2m~2m50cm程度(竿が長いことによりアワセがききやすい・仕掛けを安定して底上に維持できる・タナとりしやすい)
- 7:3調子で穂先が繊細かつ胴が強い竿(アタリを捉えやすく胴で合わせをきかせやすい)
- 手持ちで釣り続けることがほとんどなので持ち重りしないもの(リールとのバランスも重要)
- 15~20号のオモリに対応している竿(穂先が固すぎるとオモリの着底と前アタリが捉えにくくなる)
<マゴチ竿に向いてない竿>
- 重すぎる竿:手持ちで疲れて、竿先が垂れ、タナが下がる
- 竿先が固すぎる竿:初期アタリでマゴチに違和感をもたれて話されてしまう。そもそも初期アタリがわからなくなる
- 短すぎる竿:底上1mにオモリをおくタナとりがしづらくなる
マゴチ専用竿以外では、固めのキス竿やカレイ向けのものやライトゲーム用汎用竿なども対応可能です。
一方、穂先のやわらかさと胴の強さを兼ねた調子については、やはり専用設計のマゴチ竿に分があります。
はじめは貸し竿(キス竿や汎用グラスロッドがほとんど)やライトゲームロッド(MHorMクラスがおすすめ)で対応しましょう。
さらにこだわりたい場合は、マゴチ専用竿の購入がおすすめです。
ちなみにマゴチ専用竿は、やや長めで穂先が柔らかいため、エビメバルやカレイ用の竿としても使えます。
<オススメのロッド>
▼ダイワ「マゴチX」は一番リーズナブルな専用竿。入門者からベテランの手持ち竿におすすめ。
▼シマノの「ベイゲームXマゴチ」はシマノのマゴチ専用竿としては最もリーズナブルなもの。ライトゲームBBの次はこちらにステップアップ
▼アルファタックルの「海人マゴチ」は低価格ながらオールFuji SiCガイドの専用竿
▼ダイワのミドルエンドはアナリスターマゴチ、ハイエンドはメタリアマゴチ。アナリスターの235は置き竿に最適
▼がまかつの「マゴチスペシャル」は2.55mとやや長めの食わせ調子竿。置き竿にも適している
▼マゴチ専用竿についての詳細記事
置き竿ならば6:4調子もオススメ
船が上下しやすいミヨシ側の釣り座や波が高いときの置き竿は6:4の長竿が有利
釣り座の間隔や潮の速さ次第ですが、手持ち竿と置き竿の2本竿で楽しむのも一般的です。
置き竿にする場合は、長竿が有効です。
置き竿用に長めに設計されたマゴチ竿のほか、3m程度で硬めなメバル竿が適しています。
ヒラメ竿はノーマルタックルの場合、ややオーバーパワーで15号のオモリの着底がわかりづらいこともあり、ライトヒラメ竿が適しています。
<長竿のメリット>
- 波による振動を吸収し、オモリ位置が安定しタナを狙い続けられる
- マゴチが餌をくわえた時に違和感を持たれづらく、すぐに離されにくい
- 流す筋を変えられる
<長竿のデメリット>
胴調子竿の場合、竿が柔らかいため本アタリのタイミングがわかりにくいという特徴があります。
前あたりに対して、積極的に聞き上げていき、十分重さを感じたタイミングが本アタリです。
ほかに、食い込みはよいのですが、アワセが効きづらいという傾向にあります。
アワセを入れる際には7:3調子の竿より、長く強いストローク(海面から頭上まで大きくあわせる)で対応する必要があります。
竿だけでなくリールの回転による巻きとり「巻きアワセ」が必須と覚えておきましょう。
本アタリがあったら、海面下まで穂先が入る程度にラインを巻き取り、体に引き付けるように全身で合わせるとよいフッキングになります。
長竿は比較的重量が増すため、手持ちで使うと竿先が下がりがちです。
特にビギナーの場合、タナが下がり、餌が底上に垂れがちになるためアタリが激減します。
長竿の持ち重りを防ぐためには、金属筐体など、やや重めのリールを合わせましょう。
<オススメのロッド>
▼2本竿の場合、やや長めの6:4調子のゲームロッドやメバル竿をもっておくと自分の仕掛け同士で絡みにくい。
3m強の長竿を使い、他の釣り人と流す筋を変えるという技も。
▼マゴチ釣りの代用竿についての詳細記事はこちら
リールはパーミングできる「小型両軸リール」がベスト
重いリールやスピニングリールは不適
マゴチ釣りは頻繁なタナ調整を考えれば、小型両軸リールが釣りやすく、大半の釣り人がベイトリールをつかっています。
太糸をたくさん巻けるようなリール(例:シマノであれば、小船・チタノス船)などは、しっかりパーミングできず、持ち重りするため、手持ちのマゴチ釣りには向いていません。
またパーミングは3フィンガーで行うと、しっかりアワセが決まりやすく、アワセそこねが少なくなります。
1フィンガーグリップで合わせると、アワセの衝撃に耐えられず、竿を落とす可能性もあるので注意が必要です。
マゴチ釣りで「よいしょ!」と合わせたときに、アワセきれずロッドがもっていかれる人はだいたい1フィンガーでパーミングしている印象です。あと2フィンガーで腕力が弱い人も竿先が下がり勝ちです。腕力が弱い人は3フィンガー。これほんと。https://t.co/Z7ydGEBhAQ
— 平田 剛士/ORETSURI(俺釣) (@tsuyoshi_hirata) June 30, 2021
ちなみにドラグはフルロックで釣るため、細かい設定は不要です。
<マゴチ用リールに求められるもの>
- PEライン1.5~2号が200メートル巻けるもの(実際は100mほどラインがあれば十分)
- ロッドに装着した際にバランス的に持ち重りしないもの(一日手持ちで釣るので軽いほうが疲れない)
- ドラグが劣化等で滑らないもの
- ハイギアよりはノーマルギアorパワーギア(特に剛性が低いリールの場合)
- 剛性が高く、巻き上げ力が強いもの(金属成形の丸型リールだとさらに快適)
- カウンターは基本的に不要だが、置き竿で10cm刻みのタナ調整には便利
▼現行の手巻きリールでは、価格面・剛性・PE2号が200m巻けるという観点でシマノの「ゲンプウ」「ゲンプウXT」や「ダイワのフネXTシリーズ」がオススメです。長竿をつかったときはオシアコンクエストのような金属筐体のリールをあわせることで持ち重りが軽減します。
▼船マゴチに向いているオススメなリール解説記事
ハリスは5~6号。道糸はPE2号がベスト
道糸はPEラインの1.5~2号を選びましょう。
市販仕掛けのハリスはフロロカーボンの5号が標準です。
マゴチ自体はそれほど眼がよい魚ではないので、大型狙いで6号をつかっても食い自体は落ちません。デメリットは多少潮受けしやすくなるという程度です。
4号ハリスは、サイマキがより自然に動くというメリットがありますが、直線強度以外にも摩耗で切れることが多いので避けたほうがよいでしょう。
この釣りではマゴチの堅い上あごにフッキングする必要があり、合わせを強く入れる釣りです。
細すぎる道糸やほつれが目立つ場合は道糸から高切れします。
最適解はPEライン2号を中オモリに直結することです。
PE1号でも先糸をつければなんとか釣りになりますが、船マゴチは浅場の釣りで潮が速いところを釣ることもすくないため、細糸のメリットはほぼありません。
劣化しているPEラインは高切れしやすいので、安心して強いアワセを入れるためには2号を選んでおくとよいと思います。
1.5号の場合、先糸にフロロカーボン5号をつけておくと中オモリとの結び目で高切れしにくくなります。
ただし、ランディング時にガイド詰まりして海面でバレる原因になりがちです。
ちなみにPEラインとサルカンを直結する場合は、ちちわをつくって結ぶのが基本です。
潮の流れにもよりますが、PE3号以上は潮受けしやすくオマツリが増えるため控えましょう。
▼PEは2号。8本編を選ぶと潮受けしにくい。4本編のほうが長持ち。高強度のフロロカーボンリーダーを選ぶのも一つ
天秤・オモリは15号が標準。手漕ぎボートでは10号でもOK
定番のFUJIWARA・バランスシンカー
かつては鋳込み天秤を使うことが多かったマゴチ釣り。
現在はオマツリをさけるために潮受けしにくい「三日月オモリ(バランスシンカー)」や「イカ用中オモリ」の利用が一般的です。
また鋳込み天秤の長さはそれぞれ異なるため、タナトリにずれが生じるということもあり、中オモリがもっとも多くつかわれています。
船宿を利用する際、オマツリ防止のため「鋳込み天秤の使用」が禁じられていることもあります。事前に確認しておきましょう。
東京湾の場合はオモリは15号が標準ですが、手漕ぎボート等、オマツリの懸念がなく水深が数メートル等の場合は10号でも全く問題ありません。
船釣りではポイントによって、水深30m程度のエリアまで狙うこともあります。
この際は錘を20号にすると、着底がよくわかりタナボケしにくいといえます。
中潮・大潮まわりで潮が速く流される時も、オマツリに配慮しながら20号をチョイスしましょう。
船釣りでは、高切れによるロストにそなえて15号・20号をそれぞれ2つずつ持参しておくと安心です。
ちなみに中オモリの色はマゴチの釣果には全く関係ありません。
取り込み時に竿先へ巻き込まないためには蛍光オレンジがおすすめです。
▼定番のバランスシンカー。色は黒でも、銀でも、蛍光オレンジでも釣果は全く変わらないため好みで。オレンジは巻き上げの際に見やすい。
▼利用者が多くなってきた感のあるシャクリシンカー。潮切れがいい
▼アオリイカ用中オモリの定番
▼鉛付き・鋳込み天秤は潮受けしやすくオマツリの原因になるため利用者が少なくなってきた
スナップサルカンは強度が高く開きづらい形状のものを選ぶ
餌マゴチではドラグをフルロックにして合わせるため、スナップにも高負荷が生じます。
強度が高く、オマツリ等で開きづらい形状のスナップサルカンを選びましょう。
出っ張りがなく、強度の高いハヤテスナップ付きクレンの8号(22.4kg)がおすすめです。
インターロック式のスナップはセーフティタイプより強度が高いのですが、開きやすいので避けた方がよいです。
大型のものほど潮受けしやすくなりますが、釣果に大きくかかわるわけではないので、小型すぎるものは避けるとよいでしょう。
投稿が見つかりません。仕掛け(ハリ)は「エビ餌(サイマキ)用」と「ハゼ・メゴチ用」の2種類がある
東京湾の船マゴチ仕掛けは2種類です。
シーズンによって、サイマキ餌(クルマエビの子供)仕掛けとハゼ・メゴチ餌があります。
- サイマキ餌:養殖のためオールシーズン
- ハゼ餌:8月~10月頃(マハゼ)、イトヒキハゼを調達して釣る(オールシーズン)
それぞれの餌に最適な形状のため、間違って使わないように注意しましょう。
やや形状が大きい、サイマキ餌用の針をハゼやメゴチ用につかうと赤クラゲやゴミを拾いやすくなります。
反対に、ハゼ・メゴチ用のチヌ針をサイマキにつかうと、ハリがけが難しくなります。
サイマキ(クルマエビの幼体)餌用のハリ
サイマキ餌用のスズキ針・マゴチ針は形状がエビを刺しやすい形状
釣り船の場合、ハゼやメゴチ餌が使えない春から夏までのシーズンは、サイマキ餌(養殖クルマエビの幼体)が利用されます。
乗船料に5尾の料金(追加は1尾100円程度)が含まれていることがほとんど。
海老の頭部に針を固定するために、ひねりのない大型のスズキ針(マゴチ針)が用いられます。
エビが底から浮かないように、針自体に糸オモリがまかれているのが特徴です。
糸オモリ。潮が流れていないときは不要
この糸オモリは潮がゆるい場合等に外すこともできます。
また、潮に関わらずオモリを外すとエビの動きがより自由になり、マゴチへのアピール力が高まります。餌持ちもよくなります。
筆者はよっぽど底潮が速いとき以外は糸オモリを装着しません。
大型のマゴチは「がまかつ マゴチ18号」や「改良マゴチ17号・18号」がオススメ
基本的なサイズは、がまかつのマゴチ針であれば17号。
50㎝未満のアタリも積極的にとっていきたい場合は、16号を選ぶとよいでしょう。
55cm以上の大型のマゴチを狙う際、ハリ折れや曲がりを味わいたくない場合は、針が変形しにくいマゴチ針17号や18号を選ぶとよいでしょう。
18号でもしっかり食い込ませれば40cm級から釣りあげることは可能です。
あえて18号をつかって小物は相手にしないというストイックなスタイルにするのも一つ。
大物狙いの場合、がまかつの「改良マゴチ」が剛性と鋭さで最も優れたマゴチ針です。
ノーマルマゴチ針18号は60㎝前後の型がヒットすると伸びてしまうことも増えてきます。
60UPを狙いたい場合は、改良マゴチを選びましょう
一方、改良マゴチは線材が太いため、サイマキ餌の耐久力や動きはノーマルのマゴチ針に劣ります。
ハリ色は釣果に影響しませんが、澄み潮時など、気になる人はマジックで塗りつぶすのも心理的にはよいでしょう。
ただし、カラーコーティングされた市販針は貫通力が下がり、フッキングミスにつながりやすいので注意が必要です。
ハゼ・メゴチ餌用のハリ
東京湾でもっともつれるハゼ餌。それはマゴチが周年常食している「イトヒキハゼ」
ハゼ・メゴチ餌用は、丸セイゴ針・チヌ針(5~8号等)・海津針が用いられています。
チヌ針や海津針はマゴチ針と違って、多少小型でも伸びにくい形状です。平打ちのハリは特に強度が高いのでおすすめ。
8月以降になってくるとハゼ餌(船宿では1尾100円が相場)が登場したり、自分でハゼやメゴチを釣って持ち込むスタイルの釣り人もいます。
あらかじめ船宿に問い合わせておき、エサにあった仕掛けを選びましょう。
丸セイゴやチヌ針は管付きモデルも販売されているので船上でのハリ交換もしやすいと言えます。
マゴチ仕掛けは自作もかんたん
マゴチの仕掛けは、1本針でハリスとオモリを結ぶだけという極めてシンプルな構成。
だれでも作れるので自作もオススメです。
必要なのは、ロッド側からスナップサルカン+フロロカーボンライン5号1.5m+釣り針です。
ハリスのチモト部分を2重加工するカスタマイズが知られていますが、アワセが遅く飲まれないかぎりフロロ5号でもめったなことでは切れません。
気になる場合は、フロロ6号でもさほど喰いは変わらないので、ハリス自体を太くしたほうが簡単で、結び目でゴミを拾う率も下がります。
▼マゴチの餌釣りは仕掛けの自作をする人が73.1%
東京湾の餌マゴチ、
「仕掛け」について教えてください!— ひらっさん (@tsuyoshi_hirata) August 22, 2023
▼「シーガーの船ハリス」は安定した強度でヨレがなく一番お得
▼ハリス5号で耐摩耗性を上げるなら、シーガーグランドマックスFXが一番おすすめ
ハゼ餌用。写真位置の夜光ビーズなどは不要です
こちらが完成品。結び方はかんたんな外掛け結びで問題ありません。
ビーズ類などは好みですが、濁り潮のときに効果があるという人もいいます。
ビーズで集魚力があがるというよりも、浮力によって餌が自然に動くというような効果があるのかもしれません。
基本的になくても問題ありません。
ハゼやメゴチ餌の場合、針にシリコン製ビーズをはめておくと、餌がずれなくなり安定しやすいというメリットはあります。
潮や混雑状況によっては、大型のビーズ類は潮受けするためオマツリの原因になったり、タナのずれにつながることもあるので注意しましょう。
マゴチ釣りのエサと正しいつけ方
サイマキの餌付けはネット知識だけでは誤解も多いので実地で聞いておくのがおすすめ
基本的には、サイマキとハゼ・メゴチが用いられます。
カタクチイワシ・アジ・銀白(ウグイの幼魚)でも釣れますが、エサの生命力や遊泳する層と泳ぐスピードから、底上を狙いやすいサイマキとハゼ・メゴチが選ばれています。
一方、ボート釣り等でカタクチイワシの生け簀回りを釣る際は、カタクチイワシや銀白を使うのもよいでしょう。
サイマキ(クルマエビの幼体)
口ではなく触覚の付け根にある溝がベスト。針先は垂直ではなく脳みそをさけて手前にぬき、針先を1㎜程度出す
マゴチ釣りの一般的な餌は「サイマキ」と呼ばれるクルマエビの幼体です。
まず角を半部ほど折ります。
次に口の上端(頭部のV字突起の付け根。▲の形をしている)から針先をさしこみ、脳みそをさけてツノの付け根付近に針を1㎜程度ぬきます。
針先はほんの少しだけ出す。頭部のギザギザ部分(中心線)に針先が入るとずれにくい
このように海底で正しい姿勢で泳ぐようにする
針先を少し出すことでフッキングしやすくなるのですが、カエシまで出してしまうと、ハリが動きやすくなりサイマキが弱りやすくなるので注意です。
しばらくつかっていると、カエシまで頭部に抜けてしまうことがあります。このときは弱り具合をチェックしましょう。
無事針がけが完了したら、一旦、海面かバケツに優しくつけて、サイマキが生きて動くかどうかを確認してから投下します。
腹を下にして、自然に泳ぐ状態がベストです。
ハリがけした状態でよく跳ねる個体はさらにアピール力が高く、投下してすぐにアタリがでやすい傾向にあります。
サイマキは死んだり弱ると極端に食いが落ちます。
もったいないですが、あたらしい餌につけ変えましょう。
しばらく上げ下げするとサイマキも弱りはじめます。腹肢(尾部分のひらひら)が動いていても、跳ねないエビは新しい餌より食いは落ちます。
釣れている人ほど餌を交換しているので、意識して付け替えていくとよいでしょう。
<サイマキを元気よく使うコツ>
- 投下時はサミングしてゆっくり落とす
- 巻き上げ時もゆっくり巻く
- ハイギアではなくパワーギア、ノーマルギアのリールで巻き上げる
- 針がけしたサイマキを複数用意し、バケツでの休憩時間をいれて、ローテーションする
サイマキを投入する際に、海面で腹肢が動いて泳いでいるのを確認しているかと思います。
投入してから時間がたった場合、腹肢が動いていても、エビの瞬発的な動きは弱っている可能性があります。
新しいサイマキは着底後の刺激で「ピョンピョン」と跳ねる動き(キックバック)をします。
マゴチはこの動き(水中の波動)に反応し、瞬間的に口を使いがちです。
これをリアクションバイトというのですが、ずっと同じサイマキをつかっていると、こうした跳ねる動きをしなくなるためアタリが出にくくなります。
よくマゴチを釣っている人が釣り続けるのは、釣り座やタナとりの要素も大きいのですが、マゴチを釣り上げるごとに「新しいサイマキに交換している」という要素も大きいのです。
1本竿でも、サイマキを休ませ、ローテーションで活きの良さが長続きする
<ワンポイントアドバイス>
マゴチが小型のときや食い込みが悪いときは、小型のサイマキを選別すると食い込みがよくなります。普段マゴチが食べているエビ・蟹・小魚類からするとサイマキは比較的大きな餌なのです。
ハゼ・メゴチ・シロギス
8月以降はマハゼを釣って船宿に持ちこむのもいい。
マハゼ・イトヒキハゼ(カミツキハゼ)・メゴチは口にチョンがけします。
メゴチの場合、両エラブタに角があります。これをハサミでカットしておくと「食い込みが良くなる」といわれていますが、実際はあまり変わりません。
カミツキ(イトヒキハゼ)は冬から春でも手に入る餌
シロギスは頭部が硬く動きが速いのでマゴチ釣りのエサとしてはメゴチには劣る
生餌全般のノウハウ=餌をいたわる
サイマキでもハゼ・メゴチ餌でも同じですが、落とし込み時はサミングしながらゆっくり沈め、回収時はできるだけゆっくり巻き上げます。
こうすることで餌が弱るのを遅らせることができます。
また、同じ餌を付け続けるのではなく、あらかじめ針がけしてある餌をバケツなどに泳がせておきローテーションして使うのもテクニックの一つです。
餌はバケツで休ませることにより、使い続ける場合より長持ちします。
マゴチが釣れるポイント(ボート釣りの場合)
釣り船と異なり、手漕ぎボートやプレジャーボートの釣りでは、ポイントを探す必要があります。
マゴチが多く生息しているポイントは以下の通り。
- 砂泥底で海底が隆起している場所(瀬)の周り
- ブレイク部分(深くなっている)、かけあがり、かけさがり
- ガラ場など根がらみの部分から砂泥底に変化している場所
マゴチは海底で群れているものの、大きく移動する魚ではありません。
1か所でねばって釣るよりは、パラシュートアンカーと竿受け(受太郎など)を活用した「流し釣り」や、オールで漕ぎながら釣る「漕ぎ釣り」で広く探るとよいでしょう。
マゴチの釣り方
夏の東京湾はこのように濁りが強い
投入前
まずリールのドラグは必ずフルロックにしておきましょう。
マゴチの餌釣りの場合、アシストにトリプルフックを使うルアー釣りと異なり、フッキングの強さが必要であるからです。
トリプルフックは柔らかいマゴチの下あご内側や外側等にハリがかりしやすいのですが、1本針は上あごやかんぬき付近にフッキングさせる必要があります。
仕掛けのハリス部分は、手で両端の結び目をもって伸ばしヨレをしっかりとっておきます。
このときに針の結びがしっかりしているか必ず引っ張って確認しておきましょう。
市販仕掛けも完璧ではありません。針先がシャープであるかも必ず確認しましょう。
新品のマゴチ針でも不良品が混じっていることがあります。
投入(餌の動きを確認)
海面にまず餌を流します。
次にオモリが漂うように竿で支えて、餌が錘と干渉せず、まっすぐ泳いでいる状態を確認しましょう。
特にサイマキの場合、まっすぐに泳ぐ状況を確認してから、エビが弱らないようにサミング(親指でスプールを抑える)しながら沈めていきます。
着底~誘い
マゴチが主に餌を捕食するタナは海底から「30㎝以内」と覚えておきましょう。
錘の着底を確認した後にクラッチをもどし、竿先を海面までもっていきます。
そこから水平までゆっくり上げます。
この動作でオモリが海底からおおよそ1mの位置に移動し、ハリス1.5mの場合、エサが海底付近に漂うようになります。
ほかに道糸のマーカーで1メートル錘をあげる方法でも構いません。
が、クラッチを切らないで竿の上下のみでタナとりをするほうが、道糸のたるみが出ないため、微妙な前アタリに反応しやすいと言えます。
潮流によってオモリをとめる位置が変わるため、船長のアナウンスに従っておきましょう。
潮がゆるいときはオモリの位置を海底から1m10cm~1m30cmなど高めのタナに調整していきます。完全に潮が止まっているときは1m50cmラインにオモリを置くこともあります
反対に潮が速くながれている場合は、1m未満の低めのタナにオモリ位置を調整します。
この釣りではタナトリの差が出るため、適当に釣るのではなく、10cm刻みであたりの出方をみていくとよいでしょう。
小潮や潮どまり前後など、潮が緩いことがわかっているときは150cmのハリスを120㎝~130cm程度につめて持参したり、糸オモリを外して対応するのも効果的です。
メーカー仕掛けには糸オモリがついていますが、サイマキの釣りでは不要です。
よっぽど潮が速いとき以外は、糸オモリを外すことで、サイマキがより自然に動き、耐久力も上がります。
海底は隆起していて、水深も変動します。
底を狙っているつもりでも、いつの間にか浮いてしまっていることまるので、タナとりは10秒~1分に1回行うようにしましょう。
釣り船の場合、船長によるアナウンスがあると思いますが、底の変化が激しいときは短い間隔で、平坦な場所は長時間キープします。
タナとりをする際に餌も動く(ハゼはヒレが、サイマキは腹肢が動く)ため、マゴチのアタリを誘発することができます。
ただし、タナとりを5秒や10秒に1回など頻繁にやっている人が全く釣れない場合もあります。
ポイントが平坦な場合かつ、マゴチの活性が高くないと思われる場合、長時間のポーズや置き竿でアタリが出やすい場合もあります。
タナとりはオモリが着底することにより、マゴチが警戒していることがあるのかもしれません。
その日、その時間にあったタナとりタイミングは、釣れている人を観察してマネするのが一番です。
アタリを待つ姿勢は、竿を水平からやや下げる程度が、アタリに反応しやすいと言えます。
また釣れない場合、疲弊しながら手持ちで誘いつづけると、竿先を海面近くまで下げがち。
こうなると、竿の弾力を活かしきれないため、微妙なアタリに気づけません。
オモリもいつの間にか底上1mから下がりがちで、餌も底を引きずることになってしまいます。
また前あたりに対して、竿先の送り込みが難しくなるので注意です。
<マゴチ釣りでダメな釣り方>
サイマキの頭部に砂泥がついている状態はタナが低すぎ。マゴチに発見されにくい
- オモリを着底させ続け引きずっている
- タナが低く、エビが底上で引きずられている(砂や泥がつく)
- 地形変化が多いところでタナを取り直さない(エビが底上を漂っていない)
- 死んだり弱った餌を使い続ける
オモリを着底続けていたり、タナとりをし直さない場合、エサの動きが少なくなり実際のタナがぼけてしまったりします。
クラッチを切らないタナ取りのほうがアタリをとりやすくなる。短竿はグリップエンドをつかみ下げるのがおすすめ
<タナとりの工夫>
- 潮が動いていないときはハリスを30cmほどカットしてしまい1.2mで狙ってみる(or1.3m)
- 同、イトオモリを外してしまう。
- 潮が効いている場合は餌が浮き上がりやすいため、錘の位置を気持ち下げめにする
- 同、夜光玉などの飾りを外す
- 同、ハリスに小型のガン玉を打ち、餌が底上を這うようにキープする
アタリからアワセ
アタリは、主に3つのパターンがあります。
- 竿先にクンクン、クンクンとでるもの
- いきなりグーンと重くなるもの
- そっと竿先がうごくが引き込まない「持たれ系」
潮が動いているときに多いパターンが「2」です。
潮が動いていて船も動きますし、魚も積極的に動いているため、アタリが大きく出がちです。
比較的大型の個体のアタリでも多いパターンです。
竿先がいきなり引きこまれるものは、基本的に丸呑みされていてヒットしやすい(ハリス切れの可能性は上がる)といえます。
問題は「1」や「3」の場合です。
「1」の場合、竿先にアタリがでたときに、PEラインのテンションをゆるめないまま、ゆっくり竿先をさげてハリスを送り込み食い込みを誘います。
竿先を下げる意味は食い込みが浅い段階で中オモリの重さや竿の抵抗に違和感を持たれないためです。
マゴチは餌を噛んで弱らせた後、餌を咥えなおし飲みこみます。
そうなると竿先に出るアタリがしだいに増幅します。
その後、聞き上げていき、竿先から胴部分まで重さが乗るのをまって、大きく合わせます。
「3」のもたれ系のアタリは、潮が動いていない場合や、大型のマゴチが居食いしていることが多い印象です。
あまり送り込まず、竿先をゆっくりと聞き上げていくと、「餌が逃げる」と思うのか、アタリが増幅し、本アタリに持ち込みやすいと言えます。
反対に、あまり送り込みすぎると丸のみされ、餌が胃袋に到達し、食道にフッキングてしまいます。
食道にフッキングさせてしまうと、ハリスが歯で擦れてラインブレイクの原因になることもしばしば。
ほかに、潮や風で船が動かず、マゴチの活性も低い場合の傾向としては、ラインを送り込むと引きこみがなくなってしまうこともあります。
この場合は、積極的にゆっくり竿先をあげてテンションをゆっくりかけていくと、強く食い込むことが多いので試してみましょう。
マゴチの上あごはかなり硬いため、アワセが弱いと貫通しません。
また、ラインの余りを巻き取らないで、短く急なアワセをすると、すっぽ抜けやすいと覚えておきましょう。
比較的ヒット率が高いマゴチの合わせ方は以下の通り。
- 前あたりに対して竿先を下げる
- ゆっくり竿先を聞き上げていく
- 竿先から胴までマゴチの重さを感じる
- 竿先をさげ、リールで道糸のたるみを巻き取る
- 竿の胴をつかってゆっくり長いストロークであわせる
ドラグがゆるんでいたり、竿の胴がやわらかいもの(Mクラスまでのライトゲームロッド、6:4のメバル竿、真鯛コマセ用の竿などはアワセに工夫が必要)だとアワセがうまくききません。
ヒットしても、針先のみかかっていて、貫通していないため、巻き上げ途中でばれてしまうので注意が必要です。
手漕ぎボート釣りでは、とくに力が入りにくいためさらに強く長いストロークで、のけぞる程度に合わせる必要があります。
長竿の使用も有効です。
以前は、「ヒラメ40コチ20」といわれ、マゴチのアタリがあったときは20秒ぐらいはまったほうがいいとも言われていました。
今では道具も変わり、釣りの技術も進化しました。
そのため、秒数によらず竿に乗ったかどうかを判断して行動することで、さらに釣果を伸ばすことができるはずです。
特にサイマキの場合は食いこみがよいので、アタリがあってから7、8秒で完全に食い込んでいることがほとんど。
よっぽど小型の個体や、ソゲと呼ばれる1キロ未満の小型のヒラメ以外では、この7、8秒を数えて、竿先でマゴチの重さを確認しながらあわせます。
ソゲと呼ばれる1キロ未満のヒラメ は食い込みが悪い
初心者にありがちなのですが、あまり本アタリを待ちすぎてもよくありません。
餌をくわえたあとに、違和感を感じるのか、活性の低いマゴチはいったん咥えたエサでも放してしまいます。
勘所がわからないときは、7~10秒数えたあとに竿先を聞きあげてみましょう。
「竿先に魚の重みがあるようであれば」躊躇なく合わせる。
乗る乗らないは時の運です。
前アタリがあったら竿先を必ず下げる(中オモリの違和感をマゴチに与えないようにする)
はっきりとしたアタリが出ない場合は、竿先聞き上げやライン巻き取り(竿先下げながら)でマゴチにプレッシャーをあたえる
マゴチの重みや強い引き込みを感じたタイミングで長いストロークで合わせる
<コツ①サイマキ餌の状態をチェックしよう>
左:フグ 右:マゴチが頭部を噛んだものの、違和感を感じて離した状態。
サイマキ餌にアタリがあった場合、以下のような見分け方があります。
- 頭部がつぶれて即死している →マゴチにかまれて吐き出された可能性が高い
- 頭部をのこしてバリバリと噛み食べられている →フグに喰われた可能性が高い(アタリが出にくい)
- 針をのこしてバリバリと噛み食べられている →フグに喰われた可能性が高い(アタリが出にくい)
- 頭部後ろ側がえぐられて食べられている →イカに喰われた可能性が高い(もたれるようなあたり)
※フグとイカのあたりが判断できると死に餌で長時間釣りをしないで済みます。感度の高い竿ではフグのアタリ(針に到達しないもの)はPEラインをゆするような感覚を得られます。
頭部の針手前までバリボリされているのはフグの仕業。フォール以外ではアタリがでにくい
5月・6月はアカクラゲの触手が仕掛けについていることも。アタリがでない場合は仕掛けを確認
ヒットから釣り上げるまで
竿を水平以上にたもったまま一定のスピードで巻き上げましょう。
以下はポンピングしがちです。
- ハイギアかつ剛性の低いリール
- 腕力(手首の力)が弱い人(女性・子供)
- 3フィンガーでのパーミングができていない
ポンピングをするとマゴチはバレやすくなります。
竿先を水平にしたまま、等速巻きしましょう。
海面までマゴチがきたら、タモ入れしてもらいやすいように、道糸を中オモリまで巻き取ります。
海面にマゴチが出るとテンションがなくなりバレやすくなるので、速やかにタモ入れしてもらいましょう。
タモにマゴチが入ったら、クラッチを切ってラインをすこし出すとタモから魚が出にくくなります。
抜き上げはハリス切れ、針折れや曲がりでのバレの原因になります。
隣に釣り人がいる場合はマゴチの棘が刺さる危険もあるので避けましょう。
特に小型のハリ(がまかつのマゴチ針であれば16号)で、55cm以上の大型を釣ったときは注意です。
釣り船であれば、タモ入れをしてもらえることが一般的なので、クーラーやボートバックなどは邪魔にならないように、釣り座付近からおろしておきましょう。
他の釣り客と声をかけあって助け合うのも重要です。
※船中連続ヒット時は船長や中乗りスタッフのタモ入れが遅れる場合があります。その場合、巻き上げ速度をやや遅めに調整するなどの工夫が必要です。
マゴチもコツをおぼえれば、kidsでも十分釣れる
釣り上げた後の注意点
マゴチのハリ外しはグリップよりタオル等が格段に手返しを上げられる
マゴチのえら蓋の棘と背びれにふれると、手や足がすぱっと切れるので危険です。
夏場はサンダル履きの場合も多いですが、足元に注意が必要です。
素手で触らず、まずは重ねた布巾で頭部と胴体の付け根を押さえ、プライヤーでハリを外しましょう。
船の釣りは揺れるということもあり、見た目は悪いですが、フィッシュグリップよりタオルでつかむと楽です。
マゴチは力が強いので、ワリグリップ系のアイテムは役にたちません。
ランディング後はハリスと針をチェックしましょう。
飲まれている場合、ハリスは、やすりのようなマゴチの歯によって傷ついていることがほとんど。
また針先も一尾釣ったりバラしたら、針先が反ったり潰れていることがほとんど。
毎回交換したほうがよいでしょう。
上が伸びたマゴチ針
針先がわずかに曲がっているマゴチ針。貫通力が低くなりフッキングミスや高切れの原因になる
がまかつマゴチ針18号。ランディング時のハリ外しで暴れるとこうなります
はやる気持ちもあると思いますが、冷静にハリスと針の状態を確認し、針を結び直すか仕掛け全体を交換しましょう。
マゴチ釣りのゲスト
ショウサイフグ・シロサバフグ・トラフグ・アカメフグ
ショウサイフグ
シロサバフグ
トラフグ
アカメフグ。神奈川側のガラ場付近に多い
フグ類は、マゴチ釣りのゲストでよく釣れる魚です。
マゴチ釣りの針は比較的大き目のため針がかりするまでは至らず、エサだけ取られることがほとんど。
シリヤケイカ・スミイカ・モンゴウイカ
シリヤケイカ(4~6月の神奈川側に多い)
スミイカ。八景側に多い
モンゴウイカ。千葉側に多い
シリヤケイカ・スミイカ・モンゴウイカもマゴチ釣りのゲストでよく釣れるゲストです。
3月から5月頃まで、9月以降は特にイカのアタリが増えてきます。
一方、針がかりはしないことがほとんど。
釣りあげたい場合は、微妙なアタリがあったら合わせず、ゆっくり聞き上げましょう。
重さを確認してから慎重に海面まで等速巻してタモ入れします。
ワニゴチ・イネゴチ
ワニゴチやイネゴチなどは、マゴチと同じコチの仲間です。
マゴチよりも形がスマート。
実際の種類は見分けがつきづらい魚です。
ヒラメ
マゴチ釣りで釣れたら一番うれしいゲストは、おそらくヒラメです。
東京湾では、放流活動の甲斐もあって近年ヒラメが釣れることが増えてきています。
養殖個体でなく、天然繁殖個体が多く釣れます。
あたりの出方はマゴチと大差がないので、ヒットしたばかりは判断できないことがしばしば。
サイマキ餌よりはハゼ餌のほうが釣れやすい印象です。
スズキ(シーバス)
第一海堡・第二海堡・富津沖は特にスズキが多い
シーバスことスズキもマゴチ釣りのゲストで釣れる魚。
マゴチより引きが強い。
夏場沖目で釣ったスズキは臭みも少なくマゴチ同様、美味。
マダコ
潮がきいてないときに、マゴチを釣っていると急に根がかり。
そんなときは、マダコがかかっているかも。
ただし身切れしやすいので釣りあげるのは至難の業
マダイ
秋シーズン、春シーズンは真鯛のヒットが多くなります。
浅場で釣れる真鯛は浮袋が膨らまず、かなり引きが強いので、ドラグを使いながら上げていきましょう。
大鯛の場合、ドラグフルロックでやりとりすると、ハリス切れやハリが伸びやすくなります。
特にマゴチ針をつかっている場合は慎重にやりとりしましょう。
ドチザメ・エイ(アカエイ・ガンギエイ等)
ドチザメ
秋ごろはドチザメのヒットが増えてきます。
バットから引き込むような重い引きで、スピード感もあればドチザメの可能性が高いと言えます。
エイは、バットから竿がまがったままゆっくり引き込みます。
それぞれオマツリの原因になるので、マゴチ船では速やかにやり取りする必要があります。
マゴチの持ち帰り方
マゴチ専用の釣り船の場合、水槽で活かしておき、沖上がり時に締めて提供してくれるところや自分で締めるところに分かれます。
ボート釣りなどでもスカリで活かしておき、締めて血抜きをしてから持ち帰るとよいでしょう。
マゴチは魚体の特徴から神経締めをしやすいので自分でやってみるのも一つ。
洗いで食べるときは、氷で冷やしすぎないようにして(氷や氷海水に魚が触れないように)持ち帰ります。
マゴチの食べ方・料理法
マゴチは食味が良く、活きの状態で高級料理店等に流れていくことも多く、スーパー等でみるのはまれかもしれません。
白身の魚で、釣りたての食味・触感が、ややフグに似ているということもあり、「夏フグ」とも呼ばれます。
美味しい料理法は、以下の通り。
- 刺身
- カルパッチョ
- フライ、天ぷら
- しゃぶしゃぶ
- かま塩焼き
- アラ汁
釣った初日よりは3、4日寝かせたほうが旨みがでますが、釣りたての身が「イカっている状態」をポン酢と紅葉おろしで食べるのも格別です。
釣り船によっては、神経締めした個体の内臓をとらないまま、濡れ新聞紙でくるみ冷蔵庫で4日ほど熟成させる方法を推奨されます。
もちろん、内臓をぬいて寝かせる方法でも構いません。
まとめ
マゴチとのやりとり、最後の豪快なアワセが最大の釣趣
エサ釣りで狙うマゴチは、「ルアーマゴチ(一つテンヤマゴチ)」と異なり、アタリがでてから食い込ませてかける駆け引きにたのしみがあります。
針も1本のため、しっかり食い込ませて合わせないとフッキングしません。
釣って楽しく、食味も絶品なマゴチ。
まだ経験したことがない方も、釣り船やボート釣りで一度狙ってみてはいかがでしょうか。
ORETSURIのマゴチ釣り動画
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▼東京湾船マゴチ釣りの再生リスト
マゴチ乗合がある船宿
マゴチ釣りで出船している代表的な船宿を紹介します。
特に神奈川県の釣り船はマゴチを看板としている印象があります。
<東京>
<千葉>
- 川崎丸(富津)
<神奈川>
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