本記事では「イシモチ」ことシログチの下処理と料理レシピを紹介します。
現在は18種類の料理レシピがあります。料理名は目次からチェックください。
イシモチ料理というと、刺身や塩焼きが一般的ですが、ほかにも美味しく食べる方法があります。
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イシモチについて
大型のイシモチ(シログチ)
イシモチの標準和名はシログチ。全長30cm前後が一般的だが、最大で40cm程度まで成長する。
通称のイシモチは「石持」に由来し、耳石が大きいため。この耳石は頭部を包丁で割るときに避けなければ包丁の刃が欠けるほど固い。
水深20m以内の海域で釣れることが多く、冬から春までは群れが固まるため船釣り初心者でも大釣りできる。
比較的難易度が低く、ポイントまで近く、ビギナーでもコンスタントに釣れるため、東京湾の金沢八景では専門に狙う釣り船も多い。5月以降水温が上がってくると群れがさらに浅場に散るようになり、岸釣りでもよく釣ることができる。
雨後の濁りによっても活性が上がるとされ、実際に雨後で濁る河口エリアや湾内では多くのイシモチが釣れる。釣り餌はアオイソメが一般的ながら、アカタン(イカタン)やサバの切り身などでも釣れる。
イシモチ(シログチ)は細かい歯がならんでいる
鋭い歯が並び獰猛な顔つきだが、餌の食べ方は慎重。
長めのアオイソメをつかっていると丸呑みせず、端からしゃぶるように食べるため、アタリが「ぶるぶる」とわかりやすい。一方、アタリに対して即合わせするとすっぽ抜けやすく、多少感度の低い竿や胴調子のタックルがいい。
感度がよい竿とPEラインをつかっている場合、ナイロンの先糸を2mほどつけることで食い込みをよくすることができる。
イシモチと呼ばれる魚には他にニベやクログチなどがいるが、東京湾ではシログチが主流。相模湾ではニベやオオニベの幼魚も混じって釣れることがある。
江の島片瀬漁港でみた近海物のイシモチ。これはニベと思われる。(下端はメジナ)
イシモチの下処理
血抜きが重要
イシモチは水気が多く、鮮度が劣化しやすい。劣化したものは独特の臭みがでるため、釣りあげてからの血抜き処理が必要。
船釣りで専門に狙う場合、アジ同様に数が釣れる魚なので神経締めまで一尾ごとにする暇はないが、釣れた個体の片エラか両エラの付け根(胸側)をカットして常温の海水で5分ほど泳がせる。
ほかに船宿ごとに推奨する血抜きの方法も変わってくる。胸側のエラの付け根をカットしたあと心臓をハサミで切る方法があるが、心臓のポンプ部分が動かなくなり血が抜けきらないという説もあるので好みで。
保冷が重要
船釣りでは氷が潤沢につかえるが、岸釣りでは特に保冷に注意したい。
血抜きをしたあとは速やかに潮氷(水氷)で保冷する。
堤防釣りなどではイシモチを釣った後に水汲みがバケツに入れて置きっぱなしにしがちだが、夏場などはすぐにくさみやヌメリが多くなる。
当日中に鱗とエラと内臓と血合いをしっかり取り除く
釣ったイシモチで血抜きをしたものは刺身にするのも最高の旨さ。翌日以降は内臓や体表に臭みがではじめるので、できる限り当日中に棒身(頭部・内臓・血合い・鱗を取り除く)にしておきたい。
刺身にする場合をはじめ、サクにして塩を軽くふりドリップを抜くことにより、さらに保存性が高まりもちもちとした食感の刺身を食べることができる。
塩焼にする場合も塩を全体にふり、30分以上冷蔵庫でドリップを抜くと旨みが増す。
イシモチ料理:刺身類
イシモチの刺身
釣り物のイシモチはまず刺身にして味わいたい。水分が多い魚なので、サクに軽く塩をふってから水分をぬいてから食べるのもオススメ。
醤油をつける場合は薬味に、すりおろし生姜もよく合う。もみじおろし×ポン酢で食べても実にうまい。
イシモチの刺身韓国風
写真右奥がイシモチ。それ以外は黄アジ
イシモチを韓国風の刺身にして食べてみるのもいい。醤油とわさびの味に飽きたときにオススメ。
コチュジャンもしくは、ごま油塩コショウに生姜の千切りなどの薬味を挟んで食べる。ご飯も進む味。
イシモチの炙りポン酢
イシモチは、バーナーで皮目を炙ると初日でも旨味がでてうまい。炙ったイシモチは醤油より、もみじおろしを薬味にしたポン酢がよく合う。
イシモチのカルパッチョ
イシモチはカルパッチョにもよく合う魚。よく釣れる春はハーブやベビーリーフ・食用にできる花をかざりつけると華やか。
イシモチの昆布締め
昆布締めのイメージ。写真はシロギス
水分が多いイシモチ昆布締めにすると塩分で水分がぬけつつ、旨みが増す。
イシモチ料理:なめろう・ユッケ類
イシモチのユッケ
淡白なイシモチは叩いた後にコチュジャン・ごま油・胡椒・ニンニクペースト等でしっかり味付けをすることで、ビールなどのつまみにもなる。
イシモチの和風タルタル
イシモチを糸づくりにした後に、とんぶりとマヨネーズ等の調味料と和えると食感が面白い。味付けを多少濃い目につくれば、バケットなどにのせてオードブルにもできる。
イシモチ料理:酢の物類
イシモチのはらわたポン酢
イシモチの腹膜や浮き袋はゼラチン質が多く含まれて美味。内臓を丁寧に取り除き、日本酒に漬け込んだ後、軽く湯がいてポン酢で食べてみると絶品。
イシモチ料理:汁物類
イシモチの潮汁
イシモチは船釣りではまとまって釣れる魚。専門の船に乗ると軽く10尾を超える釣果を出すことができる。
このとき多くのアラがでるが、丁寧に霜降り処理をして沸かさないように出汁をとると透明感のある潮汁ができる。具材としてはしめじがオススメ。柚子皮の香気もよく似合う。
イシモチのアラ炊きナンプラースープ
イシモチのアラを炊き出し、濾したあとに、野菜をいれ炊いたもの。
あっさりのなかに、イシモチ由来のまろやかなコクがあって、東南アジア系のいろんな料理に応用可能。
イシモチ料理:焼き物類
イシモチの塩焼
イシモチを塩焼きにするときは、下処理後塩をふって30分程度水分をぬいてから炙るとさらにいい。
鮮度落ちしやすい魚ながら、下処理をしっかりして水分をぬけば数日持ち、レジャーシーズンはBBQなどに持ち込んで炙って食べると評判がいい。
イシモチの干物
イシモチが多く釣れたときは、中長期的に味わう方法として干物がある。マアジと比べて旨味では劣るがあっさりして飽きの来ない味わい。
イシモチのインドネシア風ソテー
イシモチをズッキーニなどとソテーして、レモングラスやサンバルソースなどで風味をつける食べ方もいい。
特に30cmを超える大型の個体は肉厚で旨い。コクがほしい人はサンバルソースにココナッツミルクを合わせるとさらに旨い。
イシモチのベトナム焼き
イシモチにサテ・トムというベトナムの香辛料とネギ油・コリアンダーパウダーを混ぜたものをすり込んで焼き上げたもの。シンプルな塩焼きよりはパンチがある。
イシモチのアクアパッツァ
イシモチはブイヤベースやアクアパッツァの具材としてもむいている。カサゴやメバルなどと一緒に具沢山で炊いてみよう。
アクアパッツァでもブイヤベースでも両面に焼き目をつけると風味がちがう
イシモチの清蒸(チンジャン)XO醤ソースがけ
下処理したイシモチに日本酒もしくは紹興酒をふりかけてラップをしてレンジで数分加熱。別途、にんにく・長ねぎ・生姜を食わえて風味を増したXO醤を鍋で熱してかけて食べる料理。
もともとイシモチは淡白な魚ながらも、XO醤や香味野菜とごま油の風味によりかなり満足度が高い料理に仕上がる。見た目のインパクトも強い。
イシモチ料理:揚げ物類
イシモチのトートマンプラー(タイ式さつま揚げ)
イシモチをすりつぶし、香辛料と混ぜ合わせたものを揚げたもの。イシモチは比較的大釣りしやすい魚で、大量に消費するのにもオススメ。とても美味。
イシモチ料理:ごはん・麺類
イシモチ丼
イシモチを薄くスライスして、酢飯に盛りつけたもの。味付けは醤油よりはポン酢がオススメで、大量の大葉やネギなどの薬味と一緒にかきこみたい一品。
イシモチ料理:煮物
イシモチの煮付け
イシモチは水分量が多く煮崩れしやすい魚ながら、丁寧な下処理と煮方によってきれいに煮つけることが可能。甘辛い濃い目の味付けがオススメ。
イシモチの卵の甘辛煮
イシモチをさばいていて大きくなった真子をみつけたら下処理をしてから甘辛く煮つけたい。タラコやカレイの卵によく似た食感と味わい。寄生虫フィロメトラもよく見られるので、害はないが下処理のタイミングで取り除きたい。
関連アイテム
▼イシモチはぜひ皮付きで炙ったものをもみじおろしとポン酢でたべてみてほしい。どんぶりにしても絶品
▼イシモチの清蒸をつくるときに具沢山のXO醤を使うと味わいがぐんと上がる
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