食味が良く、群れで接岸するのでまとまって釣れる魚がカマス。
関東の岸釣では、アカカマス(本カマス)とヤマトカマス(水カマス)を総称して「カマス」といいます。
今回は東京湾と相模湾東部(東京・神奈川)の岸釣りで、しばしばカマスの回遊がある釣り場を紹介します。
後半ではカマスを効率的に釣る方法も解説!
(★印は回遊や釣りやすさの度合いです。年によって異なるので随時更新します)
カマスについての基礎知識
梅雨時のアカカマス(抱卵)
日本全国の沿岸部で主に狙われているカマスは、アカカマスとヤマトカマスの2種類です。
- アカカマス(本カマス):ヤマトカマスよりサイズが大きくなり、水中では背が赤褐色じみて見える。ヤマトカマスより食味と浜値が上
- ヤマトカマス(水カマス):アカカマスより小型で細い。鉛筆サイズもよく釣れる。水分量が多く、フライや天ぷらに適している
大型のアカカマス。最大40㎝程度
ヤマトカマス。20㎝~25㎝程度の個体がよく釣れる
アカカマス・ヤマトカマスは、浅い海の岩礁帯上に群れることが多い魚です。
小魚を好み、カタクチイワシ(シラス含む)の群れを追って湾内や漁港内に入ってきます。
漁港施設や岸壁付近に大規模な群れが入っているときは日中でも釣れますが、活性が上がるのは夕まずめから夜間。
群れで移動し、いないときには全く釣れません。
沿岸部に捕食者である、イナダやワラサの群れが入っているときもどこかに姿を消してしまいます。
カマスを釣るために重要なのは、釣具店やSNS等で釣り場情報をしっかりチェックしてから釣行することです。
関東の場合、岸からカマスを狙って釣れるのは6月~12月ぐらいまでですが、近年は海水温の上昇から年明けまで釣れることもしばしば。
アカカマスは岸近くでカタクチイワシなどの小魚が釣れなくなると、岸から離れて沖の深場に移動することが知られています。
冬の相模湾では、深場に落ちたアカカマスをサビキや掛け針で狙う専門船があり、まとまって釣れるので人気です。
若洲海浜公園 ★★★
若洲海浜公園周辺は小アジ・小鯖・イワシ類がよく回遊するのですが、8月以降カマスの群れもこれらの魚を追ってきます。
湾奥に位置するので、他の釣り場より遅めに釣れはじめるのが特徴。
海釣施設は営業情報をよくチェックして釣行しましょう。
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東扇島西公園 ★★★
先端部はなかなか確保できない
川崎市の東扇島西公園は、24時間釣りができる貴重な釣り場です。
カマスはカタクチイワシの回遊とともに、釣れはじめます。
日中釣るよりは、夕まずめから夜に狙ってみましょう。
潮通しがよい先端部(川崎新堤側)に近いほど有利。
電気ウキのタチウオ仕掛けに混じることもあります。
<関連情報>
▼餌や仕掛けは公園入口にある勇竿釣具店の出張所が便利。釣況などはTwitterをフォロー
ふれーゆ裏 ★★
ふれーゆ裏の岸壁。釣り場は広いが混みあう
横浜市鶴見区の通称「ふれーゆ裏」も24時間釣りをすることができます。
カマスが回遊する量はそれほど多くはないのですが、接岸している場合は狙って釣れる魚です。
夜間はタチウオも入ってくるので、アジやメバル狙いのライトソルト系のタックルだと簡単に切られてしまうことも。
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横浜市の海づり施設(大黒・本牧・磯子)★★
大黒海づり公園の赤灯
横浜市にある3つの海釣り施設はカマスがよく釣れる釣り場です。
これはまかれたコマセに常にイワシなどの小魚が寄っているからとも言えます。
施設ごとに釣果が発表されるので日々確認してみましょう。
夏以降、カマスの釣果が桁違いに増えたら釣行チャンス。
混雑状況によってルアー釣りができないこともあります。
レンタル道具もあるので、手ぶら釣行も可能。
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みなとみらいエリア(横浜港)★★★
意外かもしれませんが、「横浜みなとみらい」エリアにもカマスは多く回遊します。
常夜灯によった小魚を狙ってカマスが港内に群れていることも。
どの場所でも投げ釣りやルアー釣りは禁止なので、4~5mの磯竿3号をつかってのサビキ釣りかウキ釣りがおすすめです。
<ポイントの例>
▼比較的赤レンガパーク付近が人気
- 臨港パーク
- 新港パーク(カップヌードルミュージアム裏)
- 赤レンガパーク(赤レンガ倉庫裏)
- 象の鼻防波堤
- 山下公園付近
<注意事項>
- ルアー、投げ釣り禁止
- 周囲確認は毎度行う
- ゴミの持ち帰りと周囲の清掃。特にコマセ類
根岸湾(磯子周辺)★★
磯子海づり施設周辺を根岸湾と呼びます。
火力発電所の温排水の影響でアジやイワシがほぼ周年回遊しているため、カマスもそれらを追ってきます。
比較的水深が浅いため、満潮前後の潮位が高い時間帯を中心に釣行しましょう。
メバルの量はすくないのですが、アジの群れが入るときは入れ食いになるため、カマスと一緒にねらうのも一つです。
金沢八景エリア(幸浦岸壁・福浦岸壁・八景島対岸・八景島駅下・野島公園駅下)★★★
幸浦・福浦岸壁や八景島対岸・シーサイドライン八景島駅下・野島駅下は、夕まずめから朝まずめにかけてカマスが狙えます。
八景島対岸はところによりテトラ帯があるので長竿によるサビキ釣り、投げサビキ等が有利です。
秋以降はメタルジグやスピンテールジグでイナダや大サバとあわせて狙うのも一つ。
※台風被害により福浦岸壁側は工事中で立ち入り禁止状態です。
※特にゴミのポイ捨てが多いエリアです。必ずゴミは持ち帰りましょう。
うみかぜ公園・隣接護岸(横須賀)★★★★
横須賀市のうみかぜ公園にもカマスはしばしば回遊します。
周年コマセがきいているため、カマスの餌となるイワシ・アジ・サバの寄りがよいのが特徴です。
かなり混みあう釣り場で、夜釣りではタチウオのウキ釣りをする人が多く、オマツリ等のトラブルに注意しましょう。
大サバ狙いのメタルジグやスピンテールジグにカマスが混じります。
日中は、やや低めのタナを狙いましょう。
<関連情報>
※台風関連の規制により土日祝は釣りができません。その他営業情報は公式サイトを確認ください。
海辺つり公園(横須賀)★★★★
海辺つり公園は、横須賀市の釣りに特化した公園です。
受託管理者が日中に集計した釣果を公開しています。カマスの釣果が増えてきたら釣行チャンスです。
開園時間は、午前5時から午後10時まで。
きれば夕まずめから2時間程度の時合にあわせて釣行しましょう。
公園手前側より、中央から奥側のほうが回遊魚の群れがよく回ります。
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三春町岸壁・大津港新堤防(横須賀)★★★
20時以降は車を横付けして釣りができる
海辺つり公園脇の岸壁は「三春町岸壁」と呼ばれています。
三春町岸壁に隣接する大津港新堤防と合わせてカマスが狙える場所です。
根や海藻エリアが多いので、ルアー釣りの場合は根がかりに注意しましょう。
※三春町岸壁は工事中。大津港新堤防突端部は侵入禁止。大津港内も釣り禁止。
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三崎港(花暮岸壁・冷蔵庫前・北条湾等)・城ヶ島エリア ★★★★★
三崎港(花暮岸壁・冷蔵庫前・北条湾等)は、夏以降毎年のようにカマス回遊する釣り場です。
比較的水深が深く、ほぼ周年イワシが寄っています。
地理的に三崎港エリアの近隣には岩礁帯がつづき、カマスが日中に待機しやすい環境(産卵場でもある)も整っています。
立ち入り禁止・釣り禁止エリアがあるので注意が必要。
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三浦半島の地磯各所(横須賀・葉山以南)★★★★★
三浦半島の東京湾側(横須賀・三浦海岸以南)と、相模湾側(葉山以南)はカマスが群れる岩礁帯に恵まれています。
岩礁帯に隣接している漁港内では夕方から夜間に大量のカマスが接岸することがあります。
また梅雨時は根周りを直接狙えるポイントであれば、産卵で集まっている個体群を釣ることができます。
地磯の場合、装備が甘いと命の危険も高まります。
相応の装備で臨みましょう。
漁港は釣り禁止・立ち入り禁止の場所がほとんど。現地や漁業者の指示を守って楽しく釣りをしましょう。
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江ノ島湘南大堤防★★★★★
冬場は比較的空いている湘南大堤防
江ノ島の湘南大堤防は、サビキ釣りに適した足場のよい岸壁です。
裏磯と呼ばれる磯場や沖根にカマスの群れが多いのですが、岸壁側のイワシなどを追って、湘南大堤防にも大きな群れが入ることがあります。
近年は秋冬にその傾向があります。
一旦群れが入ると、しばらくは釣れ続くのですが、週末は混雑で竿を出す場もなくなる程度。
釣果情報をチェックしつつ、できれば平日に釣行するとよいでしょう。
ジグヘッド&ワームが基本ですが、群れが遠いときにはメタルジグ・スピンテールジグ・などをキャストするのも一つ。
人が多いので毎投周囲の確認をしましょう。
<関連情報>
投稿が見つかりません。片瀬漁港・境川河口★★★★
片瀬漁港(港内は釣り禁止)
江ノ島と隣接する片瀬漁港も夏から秋にかけてカマスがよく釣れる釣り場です。
境川河口部や西堤防(白灯)側からメタルジグやスピンテールジグをキャストしましょう。
釣況により小型のミズカマスも多いのですが、その場合はジグサビキで狙うのがおすすめ。
釣り禁止場所も明確に決められているのでルールを守りましょう。
<釣りができる場所>
- 西堤防(白灯台のある遊歩道)先端手前の釣りエリア(外向き)
- 境川河口部
腰越漁港★★★
「腰越漁港」は鎌倉市にある釣り場で、漁業目的だけでなく、観光客や釣り客も想定した施設で、比較的ゆったり釣りができます。
カマスは秋冬に群れが大きな群れが入ることがあります。
▼腰越漁港の詳しい釣り場解説記事はこちら(釣行前に要チェック)
平塚新港(ひらつかタマ三郎漁港)★★★
平塚新港もカマスの群れが入りやすい釣り場です。
立ち入り禁止エリア・釣り禁止エリアが設けられているので注意しましょう。
漁業者や遊漁船優先。作業を邪魔せず、船の出入りに注意すること
出典:平塚市
また日中しか釣りができないこともあり、夕まずめと夜間釣りができる、大磯港のほうが釣りやすい印象です。
<関連情報>
相模川河口★★★★
相模川河口部は「湘南潮来」とも呼ばれ、海水の影響を強く受けるエリアです。
河口部から馬入橋までが主なポイントで、右岸にある護岸部から釣りをする人がほとんど。
カマスは主に上げ潮時にイワシなどのベイトを追って河川をさかのぼります。
シーズンは平塚新港のポイントと重なるのですが、秋から冬にかけてで、大きな群れが入る年は長い期間釣れ続きます。
漁港内と違って流れがあるため、ワームの釣りでは単純なジグ単では上手く同じレンジを探れないこともあります。
3g程度の重めのジグヘッドに変更する手もありますが、ご当地釣法として、中オモリをつけての釣り方が人気です。
他にジェット天秤に、1m程度のリーダーを付けてジグヘッドを
そのほか、群れの入りはじめでスレていなければ、メタルジグをつかったジグサビキも有効です。
ボトム狙いではマゴチやヒラメもまじってくるほか、シーバスも多いエリアなので、ドラグ調整もしっかりしておきましょう。
夜間、もしくは朝夕まずめかつ大潮の上げ潮の潮位が高いタイミングではマアジも頻繁に混じります。
大磯港★★★★
大磯港中央堤防
大磯港は西堤防・中央堤防・東堤防・船だまりに大きなカマスの群れが入ることがあります。
年によってかなりばらつきがあるので、前年大釣りをしてもまた釣れるとは限りません。
夕まずめから夜釣りでは、常夜灯によるシラス等をカマスが捕食しています。
メタルジグやスピンテールジグよりは、2グラム未満のジグヘッド&ワームで表層から2m以内を引いていましょう。
カマスは海面近くを意識しているため、夜間は底を狙っても釣れません。
船着き場入口の常夜灯は特に照明の影響が強く、周辺にカマスが寄りやすいポイント。
沖に伸びる西堤防はさらによい場所なのですが、釣りの種類が制限されています。
ルールに注意しましょう。
(釣りの利用)
利用者は、西防波堤の「釣り場」において釣りを行うときは、次に掲げる事項を守
らなければならない。
(1) 釣糸による方法以外の方法で水産動植物を採捕してはならない。
(2) 投げ釣りをしてはならない。
(3) まきえさ、コマセを使用してはならない。
(4) ルアー及び掛針で釣りを行ってはならない。
(5) 「釣り場」以外の所で釣り(投げ釣りを含むすべての釣り)をしてはならない。
(6) 消波ブロックに登って釣りをしてはならない。
(7) 釣竿や荷物等を長時間放置してはならない。
(8) 船舶の航行に支障となる行為をしてはならない。
出典:大磯町
※船溜まりエリア(泊地)はこれまで釣りが黙認されてきましたが、緊急事態宣言のタイミングで釣り禁止が明記されたエリアです。釣りをしないようにしましょう。
<関連情報>
- 湘南大磯すずき釣具店(夜間は虫エサの自販機もあり)
江之浦漁港★★★★
江之浦漁港は夏から秋にかけて大量のカマスの群れが入ることがあります。
基本的に朝夕のまずめ時に漁港外側に向かってメタルジグやジグサビキで狙います。
ベイトが追い込まれているときは港内にカマスがたまることもあり、その場合はジグ単とワームで狙いましょう。
カマスの時合は夕まずめ。夜釣りもおすすめ
カマスを釣る確率を高めるためには夕まずめから3時間程度釣りをしましょう
カマスは季節やシチューエーションによって釣れる時間帯が異なります。
- 梅雨時に根周りに群れる産卵個体=昼間でも釣れる
- 夕まずめにイワシ等を追って岸壁や漁港に入る個体=夕まずめから夜間
また群れで移動するため、接岸していないと全く釣れません。
近隣の釣具店や他の釣り人の発信などを参考、エリアを見定めましょう。
カマスの数釣りはハードルアー。ソフトルアーはシラスパターンに強い
活性の高いカマスはスピンテールジグへ狂ったようにバイトしてくる
カマスは群れで行動するのですが、漁港内では足元に大量に回遊していることも。
大量に泳いでいるのに釣れる人と釣れない人の差が大きい魚です。
まず漁港内へ入ってくる群れは、連日同じ行動をとるため、多くの釣り人に攻められスレています。
そのため、スピンテールジグやメタルジグのようにシルエットが大きいルアーの速い動きでは口を使わないこともしばしば。
ベイトの種類にもよりますが3、4㎝程度のストレートタイプのワームを2g以下のジグヘッドにつけてデッドスローで引いてきます。
群れが近い場合は1g以下のジグヘッドを選びましょう。よりナチュラルに漂います。
道糸はフロロカーボンであれば1号(4lb.)がおすすめ。
明らかに飲まれてハリス切れすることが増えてきたらバイトリーダーをつけるのもよいですが、ほとんど1号でなんとかなるはずです。
ワイヤーハリスをつけると極端にアタリが減るので控えましょう。
エリアとして、ボラ掛けをつかったひっかけ釣りは厳格に禁止されていることがあります。
港内の釣りではオモリを漁船にぶつける等のトラブルもあります。船が行き来するときは釣りを控えましょう。
漁港内で優先なのは明白に漁業関係者で我々釣り人ではありません。
▼とりあえず遠投の釣りであればメタルマル。根周りやすれてないときの釣りはOK
▼すれていないときはジグサビキやキャスティングサビキも効果大
▼漁港内での近距離戦では、ジグヘッド&ワームは1g程度がおすすめ。ワームは飲み込みやすいストレートタイプを選ぶ。カラーは夜光系中心。スレたらクリアタイプやホログラムを選びましょう。
まとめ
アカカマスの干物はアジの干物と並んで最高に旨いのでつくってみよう!
今回は東京・神奈川(東京湾・相模湾東部)でカマスが多く回遊する釣り場を紹介しました。
- シーズン(6月から11月ごろ)
- 回遊の有無(釣具店等や釣り公園公式SNS等で釣果情報をチェック)
- 時間帯(夕まずめから夜間の釣りがおすすめ)
- すれてない場合はハードルアー
- 漁港内の近距離戦は軽量ジグヘッド&ワーム
以上、5つのポイントを押さえておけば、きっと高確率でカマスを釣ることができるはずです。
カマスは群れているので、釣れるときは数十尾以上釣れることがあります。
釣りをしているときは夢中になって釣ってしまうものですが、食べきれない分はリリースするなど工夫をして楽しみましょう。
関連アイテム
▼カマスを狙うライトソルトタックル(漁港内近距離戦・低活性時)
▼カマスを狙うライトショアジギングタックル(遠距離戦・高活性時)
▼カマスは歯が鋭いので、プライヤーとフィッシュグリップは必須。クーラーボックスは15L程度が適しています。ライトゲーム向けのクーラはロッドを立てられるので便利!保冷時は水汲みバケツで血抜きしてから潮氷で保冷しましょう。